第一話。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ねぇ、どうしてだろう。
君じゃなきゃ、駄目なんだ。
一人では、壁が大き過ぎるよ。
一緒に、登ろう。
二人で、二つの足跡。
付けていこうね。
“ユメ”と言う名のゴールまで。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ザアァ……
雨が、降っている。
冷たい、雨。
私の今の気分に、ぴったり。
そう、思い乍ら、雨に打たれる。
ふと、雨を見上げた。
グラッ
私の目の前が、急に歪む。
…あ、あれ?か、身体に力が……
私は、ズルズルとへたれ込んでしまった。
そして、そのまま、倒れてしまった。
此所は、誰も通らない、寂れた商店街。
私の事を、見てくれる人なんか、いない。
東京、とは言え、誰も知らない、道。
助けて、と声を出しても、此所は、廃墟同然。
原宿とか、渋谷とか、直ぐ、近くなのに。
「……っっ。だ…れか……」
小さな、小さな声。
意識が遠のく中で、声を振り絞る。
ザ、ザアァ……
雨が、一層激しくなった様に、思えた。