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閑話No.001 世界仕様決定部

メタトロン:世界仕様決定部、部長。

ハニエル:恋を司る天使。慎重派。サマエルにライバル意識を持つ。

サマエル:死を司る天使。大雑把な性格なため、ハニエルに突っかかられる。

神の命によって世界仕様決定部が作られて数週間がたった。


「こんな適当な仕様提案、ほんとに通るんですね。びっくりしました。」


部員のハニエルが、採用の判子が捺されて返ってきた自身の仕様書を見ながら、部長であるメタトロンにいう。


「まあこの部署自体、神の気まぐれによってできたものだしね。僕らはせいぜい神の気に入りそうな仕様を出すしかないさ。僕も、まさか、と思って出した十万歩の案件が通るとは思わなかったよ。」

「第一号にしては変な案だと思ってたんですけど、そういう事情があったんですね。」


二人は苦笑した。するとそこに、もう一人の若い天使が飛び込んできた。


「ぶちょー!オレの案通りましたよ!ほら!」


同じく部員のサマエルである。


「おお、良かったね。」

「ほら、ハニエルも見ろよ!オレの案だって通るんだぜ!」

「あんな案絶対通んないと思ってたのに。何だよ黒猫が前を通ることで幸運が減るって。意味わかんないんだけど」


憎まれ口を叩くハニエルを、メタトロンはまぁまぁと言って窘める。


「オレは恋人が増えるごとに減るほうが意味わかんないけどな!」

「何さ、じゃあ次早く案が通ったほうが勝ちな!」

「おう、勝負な!」


二人は睨み合いながらそれぞれのデスクに戻っていってしまった。

この二人は、天使としての職務の違いもあるのか、いつもこんな調子である。ハニエルは普段は温厚であるが、なぜだかサマエルに対して噛みつく節がある。サマエルの方は別にハニエルを嫌っているわけではなく、良き友人だと思っているようだが売られた喧嘩は買うつもりのようだ。

――まあ喧嘩するほど仲がいいっていうしな……と小競り合いを続ける二人を見ながら、メタトロンも自身の席に戻った。

天界の、まだ新しい匂いのするオフィスの昼下がりのひとときであった。

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