『なやみバコ』序章
悩み それは生きていれば確実に付きまとうモノ
自身自身ではどうにもできない 他者にも解決できないような、そんな理不尽な悩みもある。
私の名前は 佐藤 優途
”先生”と呼ばれる職業に就ている。
僕には不思議な能力が備わっている
いや 僕の能力と言うには語弊がある。
僕の能力 それはこのスマートフォンの中にある。
『なやみバコ』というアプリがこのスマートフォンにインストールされている。
いつの間にかこのアプリがインストールされていたのだが、最初は『ブランクアプリ』という名前だった。
この『なやみバコ』アプリを起動すると
『なやみバコ』と書かれた木製の箱が出現する。
この『なやみバコ』は誰かの「悩み」を受信して、匿名の手紙にし、この『なやみバコ』に保存するのがこのアプリの能力らしい。
とはいえ、このアプリで人を救えた事なんて殆どない。基本的にカウンセリングしようとしても拒絶される事ばかり、事情を知っていることを気味悪がられる。
普通にその学校の先生とはいえ『自分の内に秘めているはずの悩みを知っている人間』が訪ねて来たら通報案件なのでアプローチが難しい。
悩みを受診しても、悩みが大きかったり、小さかったり、僕が介入するまでも無いもの、介入がそもそもできない問題もある。
「お腹が痛い」「学校辛い」「授業ダルい」
「彼氏欲しい」「彼女欲しい」「やべぇうんこ漏れそう」「いじめから楽になりたい」「友達が欲しい」
「あの人に振り向いて欲しい」「あの子に逢いたい」「死にたい」「消えたい」「辞めたい」「辛い」
こんな様々な悩みを受信する。
そしてこのアプリは、僕が悩みを解決することを決めた時、その手紙の主の元まで案内してくれる機能がある
そして「悩み」を受信すると通知が来るのだ。
ぴろん♪
噂をすれば また誰かの悩みを受診した