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相変わらず天我は友達のグループに無視をされていた。悲しくはあったが、もう気にしないことにした。他人は変えられないから、変えられないことに悩んでいても時間の無駄だと思うことにした。変えられることを変えていこう。そう思うことにした。
「ねえ、このあと時間ある?」
天我が話しかけても、相手はなにも反応してくれなかった。
「見せたいものがあるから体育館に来てほしいんだ」
そう言い残して天我はその場をあとにした。
「なんだ?」
体育館には別段これといってなにもなくて、天我と友人だけだった。
「そこで見ててくれる、黒川先生来るから」
「なんで黒川が?」
天我は友達を二階へ続く階段の上に待たせた。本人はというと体育館入り口の真上にいた。なぜだか、バスケットボールとバレーボールのカゴが横にあった。
(いったいなんなんだ?)
数学教師の黒川が来た。天我ばかりを説教する先生だった。
「黒川先生!」
黒川は頭上の声がする方を見た。
「なんだ天上、呼ばれて来てみれば、そんなところでなにをしてるんだ」
「しねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
天我はバスケットボールを黒川めがけて投げつけた。
「な、なにをするんだ!?」
天我はボールを投げ続ける。
「僕ばっかり、目の敵にして頭来てんだよ、くそ先公がよおおお!」
ボールの一つが黒川の鼻頭に激突して鼻血が出た。
「ば、ばか止めろ!」
ボールが黒川の身体に当たり続ける。
止んだ。
「はあ、はあ」
天我は階段を降りるとき友達を見た。すごい楽しそうにしている友人と目を合わせた。階段を降り、黒川の目の前で頭を下げた。