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「は?」

「なに?」

 ここに来るまえに戦っていた不死身の影だった。身をかがめて窮屈そうにしながらも、教室に入り込もうとしている。

「こんな所まで入って来やがった!」

「天我君! 天我君! 起きて! ねえ、起きてよ!」

 楓が揺さぶって必死に起こそうとしたが、天我に起きる気配はなかった。

「そいつ、連れて逃げろ! 俺がしばらく足止めする!」

「う、うん」

 楓は天我の足を持って引きすりながら後ろの方から教室を出た。

 階段を降りながらゴンゴンゴンと顔を打ちつけても天我は目を覚まさなかった。

 楽朗と影が戦う音が聞こえてくる。


 

 斬っても斬っても再生する。嫌になる。こいつもこいつだ、こんな身動きの取れなくなる場所にわざわざ入ってきて、なにを考えているのだか。だが狭い通路が幸いして、こちらには有利だった。こいつの相手はもう何回もしている。もう飽き飽きだ。油断していたら、一瞬でやられてしまう。壁に影の腕がめり込んでいる。自分の大きくてデカいという長所が短所になっているではないか。動きが止まっている間にもう片方の腕を集中して斬り、脚もついでに切断してやった。あいつらは今どこまで逃げただろうか、玄関を出ていてくれてたらいいんだけど。もう少し足止めをしたら、追いかけよう。そんなことを考えながら眺めていた影はまた元通りになって壁にめり込んでいた腕を引き抜く。壁の破片。飛んでくる腕。それをかいくぐり、又の下を通った。影は床を殴りつけ、足元が崩れる。落ちる。ずっと永遠に落ち続けてくれないかと思った。奈落の底に。

「なあ、お前は生き返ったらなにがしたいんだよ。……おれは」

 

 玄関を出て校庭の方に向かおうとした。見上げると、巨大な巨大な影がいた。

 でいだらぼっちとか光の巨人ならぬ影の巨人、のようなそれぐらいの大きさはあった。

 楓はただ、見上げていた。

 掴んでいた天我の脚も離した。

 呆然と立ちつくした。

 影の巨人が腕を一振りすると、校舎の一部が爆発したように吹き飛び、全ての窓ガラス

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