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天我は学校の校門までやっとたどり着いた。
楓と楽朗はすでに着いて待っていた。
「ハア、ハア、二人とも、無事だったんだ」
「よーし、中入るか、えーと」
楽朗が楓の方を見たが、楓は首を横にふる。
「僕、テンジョウアマガ」
「ラクロウ」
「私、カエデ」
三人は玄関を通り過ぎた。とりあえず、天我は水飲み場で水をたらふく飲んだ。
適当な教室に入って楽朗は机の上に立て膝をついて座った。
二人も席につく。
沈黙。
「ねえ、どうやったら元の世界に帰れるの?」
「しらん」
楽朗はきっぱりと言った。
「え」
天我は意外な答えに驚いた。
「とりあえず来た奴次第だ」
「どうゆうこと?」
「しらん」
「なんだよそれ……」
「こっちに頼られても困るんだよな、知らんもんは知らん。影が来たら守ってやるけど、帰るうんぬんはてめえでどうにかしろ。力になれない」
「楓ちゃんはまえ、どうやって戻ったの?」
「んー、影を全部倒したら、あの渦が出てきて、元の世界に戻れた、かな」
「僕、あいつらと戦わないといけないの……」
天我は下をみた。
沈黙。
「他にないのかな」
「さあなー」
楽朗は興味なさそうに相づちをうつ。
「なんで天我君は飛び降りようとしていたの?」