68
天我は小学校のときのマラソン大会を思い出していた。
走るのは好きじゃなかった。
歩くようなスピードで走っていたものだった。
途中でしんどくなって止まって、それきり。
上位の人たちがなんであんな一生懸命やれるのかよくわからなかった。
動くのが単純に好きなのだろう。
僕だって走れるのなら走りたかった。
けど、できないんだ。
しょうがないじゃないか。
根本が違う。
過ぎ去る背中。
取り残される。
歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。
歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。
歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。 歩く。
走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。
走る。走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。
走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。 走る。
夜の町の空気は重苦しくて吸うたびに身体が重くなりそうだった。
走れ。
走れ。
走れ。
自分を励ました。他には誰もいないから。
玉を握りしめていると元氣が貰えるようだった。
走れ。
走らないと、帰れないと。
走れるなら走れと。
自分を鼓舞した。
走るんだ天我。お前は行ける。
頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、