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大丈夫、あのときみたいにやればいい。そう楓は自分に言い聞かせた。
「な……あれがなれの果てって奴?」
「うん」
「ひいい」
天我は楓にしがみついてきた。
「ちょ、離して、動けないでしょ!」
「で、でもお」
そんなやり取りをしていると、影はスーっと二人の方に向かってきた。
「来るよお!」
楓は動いた。
一閃。
楓の一太刀で影は消えた。
できた。
剣を見つめる。
一人でもなんとかやれそうだ。
「うわああああ」
後ろで天我の悲鳴がした。
見ると、羽を持った影が天我の頭上にいるではないか。
「逃げて!」
楓は駆ける。
天我は逃げようとしたが影に捕まれて、二メートルほど上まで飛んでいた。
「助けて!」
高い。楓は思った。あそこまで届くのか自信はなかったけどやるしかない。
身をかがめて、踏み込んだ。
「とどけえーッ!」
飛んだ。
斬った。
「わああああああああああ」
天我は床に落ちた。
楓は床に着地する。
天我は痛そうにしていた。
「うう」