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今から飛び降りるよおお!
待って! 早まらないで!
3! 2! 1!
待って!
えい!きゃー!ドン!
近ッ!
なにこれ?
ベッドやん
天上天我は二段ベッドの上から飛び降りた。
「いってええ」
ばかだこいつ
くたばれ
「頭から血がでた」
ふざけんな
SNSで今から飛び降りるという部屋を作り、人を集めた。注目を集めたかったからだ。とりあえず、嘘は言いたくなかったので二段ベッドの上から飛び降りた。
身体が痛い。
スマホの画面を見ると、誹謗中傷のコメントが激流のように流れていた。目にも留まらぬ早さとはこのことだと天我は思った。
直前まで優しく引き止めてくれていた人も、激しい罵倒のコメントをしていた。なんだか悲しい気持ちになった。
それにしても頭が痛かった。
もっと高い所から落ちたらどうなんだろう。
なにも感じないで意識が飛んでしまうのか、それとも痛みを感じてから意識が消えるのか。どっちかというと苦しみたくはないと天我は思った。あまりに痛すぎると痛みを感じないなどと聞いたことがある。肉がえぐれるほどの痛みだと、麻痺してしまって痛いと感じないとかなんとか。実際にそんな経験したことがないので知らないけれど。
いったいどうなんだろう。
今回のは予行練習で実際に本当に死ぬことを考えていた。
正確は温厚で、嘘をつけない人間だった。自信というものがなく、色々なことの判断を友達にいつも聞いていた。彼女ができて、どう接したらいいのか聞いていたくらいだった。