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「いただきます」
わー食べてくれるんだね、やったあ
うん、最近は沢山食べられるようになったからね
ハンバーグ君、ありがとね
まえは食べてあげられなくてごめんね
どういたしまして
召し上がれー
僕達も食べてよー
にんじんとコーンの声だ
うん、じゃあ遠慮なく
いつもありがと
ワーイ
「ごちそうさまでした」
晩ご飯を食べたあとは、部屋に閉じこもらずにリビングにいたりする。なんとなく見ているテレビの話をしたり、学校の話をしていた。
お父さんもお母さんも喜んでいるようだった。
色々と良い方向に向かっていけてると思う。
それから新しく目標ができた。もう一度、あの影のいる世界に行くことだ。どうやって再びあそこに行けるのかわからなかったけど、りっちゃんにもう一度会いたかった。もっと沢山、話したかった。いっぱい、いっぱい話したかった。それに、あの世界からりっちゃんを解放しないといけないと思った。あんな所であんな奴らと戦うなんて、りっちゃんにやってほしくない。りっちゃんが私を助けてくれたみたいに、私もりっちゃんを助けたい。
図書館に行って、異世界なりの行き方の本を探した。フィクションなら、鏡の中に入るとか、穴に落ちるとか、井戸を通るなり、洞窟、亀に連れて行ってもらう、トラックにひかれるとかあるけれど、異世界への入り口が都合良く見つかるなんてあるわけもなく、案内人だって現れてなんてくれない。インターネットに潜っていると、面白い記事があった。 霊界という異世界は、今いる現実の世界の近くにあるものだそうだ。
これが近いような気がした。自分の認識と似たようなことだから、勝手にこれだと決めつけているのかもしれないけれど。僅かでも情報が欲しかった。あのたまり場という所は霊界なのだとしたら、あそこにいるのは皆幽霊なのかもしれない。
ただ、あそこにどうやって行けばいいのかは分からずじまいで、途方に暮れた。