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「やった」
龍太郎が喜んだのも束の間。
「まだだ、すぐ元に戻るぞ」
「嘘でしょ!?」
二人はいったんさがることにした。
「ずるじゃんあんなの」
「だから、戦っても良いことないって言ったろ」
「弱点もないのかな」
「さあな」
「限界まで斬ったら? 細々になるまで」
「霧散したあと、元に戻る」
「打つ手無しかあ」
「だから逃げたほうがいいって言ったろ」
「んー」
と龍太郎は腕組みをした。
「とにかくそれでも倒し続けよう」
「本気で言ってのかそれ?」
楽朗はあきれ気味に言った。
「もしかしたら、倒せるかもしれないからね」
「……」
影の再生がそろそろ終わりそうだった。
「別に手伝ってくれなくてもいいよ、難易度下がるし」
「一人で倒せると思ってんの?」
「全く思えない」
「強がり言ってんじゃねえよ、最後まで付き合うっつーの」
「ありがと」
「じゃあ、いくとしますかぁ」
二人はゆっくりと走りだした。
斬った、斬った、斬った。
倒し続けた。
再生し続ける影。
斬っても斬っても同じことの繰り返しだった。