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「ぐわ!」
次が来る。
そう分かっていても身体が動かなかった。
(やばい)
龍太郎は迫る腕を凝視していた。
やられたらどうなるのだろうか、帰れなくなってしまうのだろうか。元の世界の自分も死んでしまうのだろうか。せっかくまた頑張ろうと思えたのに。そんなことを考えていた。
楽朗が間に割ってはいって次の一撃を防いだ。
が、吹き飛ばされて、背後にいた龍太郎もろとも後方に吹き飛ばされる。
「ぐっ」
「わ」
アスファルトに転がる二人。
膝を擦りむいて痛い。
「すぐ立て! くたばってる暇ねぇぞ!」
龍太郎が前を見ると影がすでに向かってきていた。
ぐずぐずしている暇などない。
「どうすればいいのこいつ!?」
「いつもなら戦わないで逃げてんだよぉ!」
「面白いね!」
「はぁ!?」
「こんな強い奴倒せたら、元の世界でも死なないよ絶対」
「そんなならいいなあ!」
「別方向から同時に攻撃してみよう」
「合わせりゃいいんだろ」
駆けだした。
二人は別れて左右から影に向かった。
別方向からの攻撃に翻弄される影。
これならいけるかもしれない。
楽朗が飛んだ。
龍太郎が影の股をくぐった。
斬った。
影の腕が落ちる。