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 少年がまた影を斬った。これで何体目だろうか、ここに来てからしばらく経っていた。

 ふと後ろの路地の闇を見た。膨らんだ闇。なんだろう。何かいるのだろうか。

「誰かいるの?」

 ヌっと路地の闇から女の子の白い顔だけが出てきた。

「あなたはだあれ?」

「僕は龍太郎。君は幽霊?」

「さあね」

 女の子はそう言ってぴょんと闇から出てきた。脚がある。さっきまで倒していた亡霊みたいな奴らとは違う。人間のようだった。

「何か用?」

「あれ、困ってないの?」

「困る? なんで?」

「この世界が怖くないの?」

「怖くないよ。気に入っちゃったよここ」

 律はかなり変わった人間だと思った。ここを気に入るなんてのは普通ではない。律のようなここの住人でさえ気に入ってるなんて者は皆無だ。

「あなたは死にたがってるわけじゃないの?」

「あー、どうなんだろうね死にたいかもしれないし、生きたいのかもしれない」

「そっか、そういうこともあるよね」

「うん、君はお助けキャラみたいな感じなのかな」

「キャラ? んーそうかもね、ここに迷い込んで来た人を影から守ってる」

「そうなんだ、じゃあいらないや」

 律は驚いた。助けをいらないなんていう人間に初めて会ったからだ。

「なんで? あいつら次々襲ってくるよ」

「僕、攻略本とか見ない主義なんだ。ゲームは一番難しくしないと楽しめないじゃん。自力でやるのが楽しいんだよ。それにあいつらと戦うの楽しいし」

 律はあきれた。

「身体乗っ取られたり殺されるかもしれないよ?」

「いいよ別に、そんときはしょうがないよね、僕が選んだんだから」

 なにを言っても無駄なようだった。

「そっか、じゃあ頑張って」

 律は背を向けて帰っていった。


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