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 枯れた灰色の草は冬枯れた草のよう。

 ガサガサと踏み、倒れた幹、黒く残った株。

 ドブのような匂いが染みついた空気。 

 少年の呻き声。

「ううう」

 転がる玉。

 血がこぼれてゆく。

 色を失っていた。

 消えていく。

 また一人の少年がやってきた。

 その少年は玉を拾った。

 太陽に透かすように玉を見た。

 闇しかない空に透かして見た。

 ガラス玉のようだった。

 色が灯る。

「あは、綺麗だなあ」

少年は周りを見回した。

 ぐるぐると回る。

 メリーゴーランドのように回る。

 回る。

 回る。

 回る。

 天から音が降っていると少年は幻想した。

 この果てしない闇だけの空から、オルガンの音が流れてくるのを聴いていた。

 こんな世界を少年は楽しんだ。

 少年は喜んだ。

 こんなに素敵なところはないと。

 現実の腐った、何もできない不自由な世界よりずっと自由で色鮮やかで素晴らし世界だと。

 楽しそうに笑う。

 笑う。

 喜び。


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