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ソドソドレソミファソソファファファミレドミド
トランペットの音色が虚空に流れていた。
何処かで聞いたことのあるような曲だ。
朝日が昇ってくるようなそんなイメージの曲。
空は一面黒かった。
曲のイメージに全く似つかわしくない空。
もしかしたらこれから朝日が昇ってくるかもしれないと期待してしまうような。
絶対にこない朝日を告げるような曲。
そこに朝日があるような。
今にもこの恐ろしいほどに満たされた闇の海が晴れ渡り青空に変わってくれるような。
奏者は誰に聴かせるでもなく自分の奏でたい、見たい景色を吹いていた。
黒で塗りつぶされた世界をあざやかな絵の具で上塗りしていくように、
黒をかき消していくように。
目をつむると、音と共に情景が浮かんでくる。
この闇の世界には存在しない、
さんさんと光る太陽と
晴れ渡る空と
青々とした緑と
きらきらと光る海
歌う小鳥や
のびのびと駆ける小動物。
飛ぶ虫たち
美しい虹や
ゆっくり流れる雲と川。
トランペットの音が闇に溶けると、
再び世界は闇しかない寂しい世界に逆戻り。
夢から覚めてしまったのか、
それともまた夢を見ているのかよくわからない世界に。