24
律は屋上に寝転がっていた。
「よっと」
楽朗が瓦礫の山から這い出ててきた。
瓦礫がガラガラと音を立てて崩れる。
「こりゃ、派手にやったな」
「最強の相棒とだと出る力が違うよー」
「無事、帰ったのか」
「うん」
「よかったな」
「そっちは上手くいったの?」
「……まあ、なあ」
楽朗は武器をほうり投げて、どっと座り込む。
何かの音がする。
くぐもって聞こえていた音がだんだんとハッキリと聞こえてきた。がやがやとする教室の音。生徒達の楽しそうな声。
目を開けた。涙が流れていた。
「帰って、来てる」
机に突っ伏していた顔を上げて周りをみた。
昼間の学校。明るい教室。いつもいる人達。日常の光景だった。いつもどおりだった。
「夢じゃない、夢なんかじゃない」
立ち上がって教室を出る。
明るい廊下。
廊下を眺めた。玄関を眺めた。家庭科室を眺めた。
りっちゃんを思い出した。
扉が開く。
屋上に出た。
風が強く吹く。
割れて崩れた屋上なんかじゃなかった。なんてことない屋上。
りっちゃんと戦って、りっちゃんと話して。りっちゃんと手を繋いだのを思い出した。
離れる手の感触を思い出した。
しゃがみこんで泣いた。
「うううううううううう」