表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/81

19

「うわあ、どうするの!?」

「上、行くしかないか、こっち」

 二人は少し戻って階段を駆け上がった。

 屋上に出た。月があるでもなく、星があるでもなく、闇だけが広がる空。

 女の子はドアを閉める。

 楓は息を切らしていた。

「どうするの、もう、逃げられないよ」

「さっきのやつ出して」

「さっきの?」

「たまたま持ってたでしょ」

「たまたまって……これ?」

 楓はポケットから玉を出した。

「それ、持ってて」

「う、うん」

「ねえ」

「ん?」

「こんなことずっと続けているの?」

「うん、ずーと、ずーとだよ」

「凄いね」

「さっきなんで助けるのかって訊かれたけど、他にやることないしさ。やりたくないって思うときもあるよ。けどね、私たちがやらないと、君たちみたいな人、たぶん死んじゃうんだ」

「そうだね」そうに決まってる。

「ここくる人ってさあ、だいたいが、死にたがってる人とかなんだけど」

「うん」

「半分くらい、自分から奴らに殺されに行くんだよ」

 沈黙。

「その命、あたしによこせって思うよね」

 目の前の女の子は苦笑いを浮かべていた。

 なんて反応したらいいのか言葉が、出ない。

 ドカン!

閉まっている入り口に何かがぶつかる音がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ