12
足音が小さくなっていく。
よかった。
少し安心してホッと息を吐いた。
頭上からヌッと突然生えた!
人の顔が隠れていた机の上から出た。
「やっほー」
楓の口から声は漏れなかったが、びっくりして肩を上げていた。胸に手をやる。手は震えている。
「……!?」
「大丈夫?」
その女の子は心配そうに話しかけてきた。
楓はゆっくり、口元の手をどける。
「だ、大丈夫じゃない」
楓は今にも泣きそうなになって応えていた。
その女の子は楽しんでいるかのように言った。
「みたいだね」
楓は立ち上がってその女の子を見た。たぶん、楓と同じくらいの学年だろう。肩まであるボブヘアーで、背恰好は楓と同じくらいだ。
「よ」
と女の子は乗っかっていたテーブルから降りた。
二人の目が合った。目の前にいる女の子はじっと楓を見ていた。
「やっと人に会えたあ」
と楓は緊張していた表情を緩ませた。見ると、女の子は黄色い剣を持っている。あの影が持っていた剣と似ているような気がした。ある考えが楓の中でよぎった。
「あなた、さっきの……もしかして昨日、私のこと助けてくれていたの?」
「まあね」
女の子は照れたように頬を掻いた。
「ありがとう。ここはなに? あの黒い影は? なんなの?」
楓はやっと会えた希望の光にすがるように、矢継ぎ早に質問を投げかけた。
「待って待って、落ち着いて一つずつね。ちゃんと説明するから。えーとね。私たちはここをたまり場って呼んでる。あいつらは、なれの果て」
「たまり場? なれの果て?」