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小さな少女二人が手を繋いで歩いていた。

「あ、あっちいこ」

 一人の少女が、向こうを指を差して隣の少女に言った。

「うん」

 隣の少女は笑顔で頷く。

 二人は走りだしていた。

 楽しそうに笑っている。

「私たち最強」

「最強ー」

一人の少女が前にでて、遅れている少女の手を引っ張りながら走っていた。   

「カエちゃん、早いよー」

 少女は一生懸命走っている。

「早く、早くー」

 道ばたに一輪、花が咲いていた。

「お花だ!」

 一足前の少女は手を離して花の咲いている方に向かった。

 手を離された少女は転んでしまった。

「きゃッ」膝が擦りむけて血がでている。

「カエちゃん、待って」

悲しいことに転んだ少女の声は、もう一人の少女には聞こえていないようだった。

 少女は花の前でしゃがんでニッコリと微笑んだ。    

「りっちゃん見て、お花だよ」

 少女は振り返った。

 すると、もう一人の少女が手を伸ばしているのが目に入った。   

 トラックが走っているのも目に入った。

 ブレーキの甲高い音。

 少女は一人ぽつんと立っていた。

 なんの表情も浮かべていなかった。

 顔色は白蝋のように白い。


 少女は、喪服を着ている親と手を繋いでいた。

 黒いスーツの大人達。垂れ込めた空気。

 ただ泣いていた。

 雨が降っている。冷たい雨だ。


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