本を並べる(SF/ジュブナイル編)
「ジュブナイルってなに?」
「少年期向けの小説やらなんやらのこと。映画とかも入るかな。
ラノベの前の名称というか。ヤングアダルトでもいいけど」
「古すぎる」
「ええ、ラノベという単語の発祥以前からこのジャンルいますので、こちらの方がなじみがあるというか。
主に少女小説に生息していましたが。電撃文庫が創刊されたときは……てそういう話はいらんですな。年寄りはよくない」
「で、なに」
「星虫いいんじゃよぉっ! と誰かに訴えたくなっての犯行です」
「犯人が出頭するのはやっ!」
「イーシャの船もいいよっ! 宇宙人がくるよっ!」
「……どういうはなしよ?」
「ええとね。星虫はある日突然、空か何かが降ってきて、それが額にペタッとつきました。そいつは星虫と命名され、無害のように思えたのですが……。ということろからスタート、大丈夫、ハッピーエンドだ」
「逆に念押しするのが、不穏」
「で、イーシャの船はその前の話に当たる。主役は違います。拾った謎のイキモノ(推定宇宙人)が巻き起こす騒動に巻き込まれる主人公のおはなし」
「宇宙戦争でもする?」
「しません。
大丈夫、ちゃんとラブストーリーだ」
「……ほんと?」
「途中は不幸」
「どーなんだそれ」
「あとねミドリノツキというのもね。あと鵺姫奇譚とかね、ほらほかにもあるよぉ」
「なぜそんなに推し」
「新刊が、出ない。マジで、でない」
「どのくらい?」
「20年近く。元々本の数が少ない作家さんで10年に一冊レベル。
で、出版社がもう息してない。一応、上の会社に吸収合併されたっていうけど」
「あらら……」
「幸いなのが1~3冊で完結するから、続きが永劫読めないでもない。
だから、おすすめだよ☆ 電子書籍でも売ってるよ! 青春の甘ずっぺぇ感じをさぁ」
「推すね」
「ほかにもあるよ。
思い出エマノンとか。性癖曲がればよろしい。子供が生まれると子供に自分の記憶ごと生まれ変わるよ! 夫が父親になっちゃうの。元の自分が抜け殻になってるの」
「ひどっ!」
「そーゆーのがいいんですっ!
じゃあ、健全なもので星のダンスを見においで。宇宙海賊の財宝の争奪戦に巻き込まれる女子高生の話。
この作者は女子高生海賊のほうが有名だけど、私はこっちのほうが好きかな。おっさん比率の問題のような気がするけどねぇ」
「おっさん好きだな」
「あの渋みがわからんとは。
あと、ちょっと情けないところがいい感じに可愛い」
「わからぬ」
「うむー。いいかんじのおっさんとは……。
他はヴェイスの盲点 からはじまるクレギオンシリーズ。これ、打ち切り。悲しい。
運搬業を営む主人公と美女がある惑星にお届け物を届けるところから始まるお話」
「まともそう」
「天才美少女も出てくるよ。でも、ハーレムにはならぬ。なんか、どこまで行っても従業員。あるいは、相棒」
「健全だ」
「ですです。
ほんとは雪風を推したいが、ジュブナイルではない気がするので泣く泣く、入れない。シルフィードとどこかで見かけたら、ああ、と思っていただいて結構です」
「……そー」
「幼年期の終わりとかもいいとおもうよ! 宇宙人の造形がとっても好きだし名作」
「いきなりメジャーなのぶっこんできた」
「いや、さすがにものすごく偏ったかなと。
あと、そーねー、なにかが道をやってくるとかさぁ」
「おい」
「たった一つの冴えたやり方とかさぁ」
「まて」
「あーあとゴトーを待ってとか」
「それ、SFか?」
「SFっぽいと思っております。来ぬものを待つ彼らと来てしまったら?という感じがぞわぞわしますね!」
「そこは星新一とかいれないの?」
「数が多すぎてね……。読んだ記憶はあるがどこに入ってる話なのか、覚えてないんですのよ……」
「何という弊害……」
「かわいそうな自分の記憶力が悲しい」