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03.ダレソカレ

 ・[主視点]

☆→天真てんま さくら、【転生後】天光あまみつ るな

○→華一はないち 太陽たいよう

□→桜華おうか とも

 彼の言う約束された日。それは天光 月が結婚可能な年齢を迎える日のこと。つまり私の十六歳の誕生日。

 私はその日が来るまでに彼との間にある絡まりをほどき、その上で彼を説得し彼に私を諦めさせなければならない。

 ・・・できるかな・・。

 いや違う。

 やるんだ。

 私がやらなきゃ。

 「・・・・大丈夫。私ならやれるよ。」

 胸に手を当て、意味のない自己暗示をかけた。



 「ワァ〜・・・やっぱり何回見てもキレイだね〜。」

 「・・・そうだね。」

 校庭の隅っこで一本だけ咲く桜の木・・・。

 トモモはその桜に吸い込まれそうなほどに、瞳をまん丸くさせてた。そのまん丸な瞳が今度はこっちを向いて・・・。

 「ねぇルナナ。」

 「ん?」

 「ここさ、絶対に告白スポットになってるよね。なんなら都市伝説とかもありそう。」

 都市伝説・・か・・・。

 「・・・コッホん。校庭の隅っこに咲く桜の木、その木陰で告白し結ばれた男女は、末永き幸せを謳歌する

であッろぉ〜う。って感じ?」

 「アハハハ・・。そうそう。そういうやつ。」

 「・・・本当にあるかもね。」

 「ありそうだよね〜。」

 ・・・・・桜・・・懐かしいな・・・。

 昔から・・なんにも変わってない。

 なんにも・・・変わってない・・・。

 「・・・ルナナ?大丈夫?」

 「・・うぇッ?!どうかした?」

 トモモの人差し指が、私の頬に触れた。

 「・・・涙。」

 「あッ・・・涙・・・なんでだろうね。トモモと一緒のクラスになれたこと、嬉しいのかな・・・。」

 「・・・おいしい。」

 「ちょっと舐めないでよルナの涙〜。」

 「おいしいよ?」

 「いやそれは関係なくて・・・。」

 「唾液とはまたちょっと違う味。」

 「だッ?!ちょッ!周りに人がいるんだよ!?」

 「大丈夫大丈夫、聞こえない聞こえない。距離空いてるし、数人しかいないし。聞かれたとしても広まらないって。ここにいる人達もきっとそういう関係だぁ〜から。」

 「いやいや流石にそんなわけないって。同性ペアばっかりだからだいたいは友達だよ。」

 「ルナたちは?」

 「私たちは〜・・・まあ、例外?」

 「例外って・・・。仕方ない。やるか。」

 「なにを?」

 「公開告白。」

 「ここで?」

 「もちろぉぉ、ん。」

 「入学式当日から晒し者になる気?」

 「イヤ?」

 「流石にちょっと恥ずかしい。」

 「んぇ?」

 「その間抜け面ちょっと腹立つなぁ〜。」

 「まぁまぁ落ち着いてやお姉さん。」

 「はぁ〜。」

 「・・・・んぇ?」

 「ぶッくふふふ・・・。ここで・・いきなりの変顔は・・ちょっと・・・。」

 「・・・元気なった?」

 「なに?励ましてくれてたの?」

 「まぁね。あんな表情されると、流石にわかる。」

 「・・・ごめん。」

 「いいよ。何を抱えてるのかは知らないけど、それもルナナらしいって気付いたから。」

 「・・・うん。ありがと。」

 「いいよ。・・・で、やる?」

 「・・・・ちょっと恥ずかしいけど・・まあいいよ。やろう。」

 「え?!ホントに恥ずかしいの?てっきりネタかと・・・。」

 「ルナも大人に近づいてるから・・ね?」

 「・・・リップクリームを色付きに変えたくらいで何言ってるの・・・。」

 「あぁ〜、先生にバレるかバレないか・・・すごくドキドキしたなぁ〜。」

 「・・・ルナナ、正直に言うけどあんま変わってないよ。」

 「いやいや。ルナ、ちゃんと鏡の前で確認したよ?それにトモモは気づいてたじゃん。」

 「ルナナに関しては単純に自分補正が入ってるだけ。トモはルナナのことずっと見てきたから。それにほら。よく思い出してみて。ルナナと親しかった子でも、気づいたのは一人だけだったでしょ?そしてもう一人は指摘されてようやくだった。」

 「た、確かに・・・。」

 「ルナナの唇は始めっから血色が良くて艶も張りもある最高級品なんだよ。ちょっとやそっとじゃ特に変化なし。というか小学校の時も乾燥対策で付けてた色なしリップを色付きに勘違いされてたじゃん。」

 「た、確かにぃー!?・・・忘れてた。」

 「チィッ・・この全素材ブランド品お嬢様野郎がが・・・。」

 「なにその言い方。」

 「いや全身ブランド品お嬢様野郎だと、全身にブランド品をまとっただけのお嬢様野郎になっちゃうから、肉体を構成する素材一つ一つが全てブランド品のお嬢様野郎っていう意味で全素材ブランド品・・・。」

 「もういいもういいもういいからぁ〜。」

 「イエース、ルナーナサーン。」

 「・・・で、やるの?」

 「恥ずかしいんじゃなかったの?」

 「・・・まあ正直なところ恥ずかしいのは昔っからそうだったよ。昔っからこういったことするのは恥ずかしかった。」

 「え?!そだったんだ。知らなんだよぉ〜。」

 「でもまあ恥ずかしいのも別に悪い感じはしなかったし、実際やってみれば盛り上がるし楽しいし興奮するしで最終的にはやってよかったって思えるから。」

 「変態サンカナ?」

 「それはトモモも同じでしょ?」

 「ワタシハメダチタイダケェ〜・・・だから一緒だな。ワラワラ。」

 「そうそう。それじゃあ、いく?」

 「うん。いくぅ〜。」


 「さっきの人で写真撮影の順番待ちは終わったみたいだよ。トモモ。」

 「ならば心置きなくやれるね。ルナナ。」

 「うん。行こう。」

 

 ・・・ーーーお天道様てんとさまが真上と昇り、桜の真下が木陰へ変わる。(くういろどる風の揺らめき、大地を飾るはピンクの花びら。世界が恋に包まれて、二人の瞳に互いが映ると・・・。

 「ルナッナァ!わたし・・あなたが好きィ!」

 愛の言葉を皮切りに、ゴーン・・と金が鳴りました。想いを乗せた金の響きが、あたり全てを包み込み・・・全ての視界を奪う二人の、恋物語が幕を上げる。

 「この気持ち・・抑えられないの!あなたを想うと溢れてくるの!」

 両手を胸に当て叫ぶトモモが一歩前へ。

 「私だってそうだ!あなたを想うだけで心が締め付けられる!私の本能が抑えられなくなる!」

 私は左手を広げてトモモの方へ。右手は心臓の前でパーからグーへ。ここで泣きそうな顔。そして目をつむりながら顔を逸らす。

 「本当に?!あなたもわたしのこと、愛してくれているの?」 

 更に一歩前へと進むトモモ。それに合わせて私も顔を上げる。そして一泊おいてから・・・。

 「当たり前じゃないか!私には君しかいないんだ!ひと目見たときから!君だけが私の全てを奪い去ってしまった存在なのだから!」

 叫びとともに少し前へ。そして両腕を広げてトモモを待つ。

 「ああ!!好き!大好き!愛してるわ!ルナナ!」

 トモモが私の胸の中に飛び込んできた。それを私は抱き返す。

 「私もだ!トモモ!私も君を愛している!」

 更に強くぎゅっと抱きしめた後・・・トモモの両肩を掴み・・・その両手を頬に移動させ・・・そしてトモモの口へ私を運ぶ。・・・甘い・・・とても甘い口づけを・・・周囲からは見えないよう頬を押さえる手で隠す。

 『これで僕たちは本物の恋人だね。』

 「ああ!そのとおりだね!トモモ!」

 「うぇッ?!ちょッ、ルナナ。脳内で話し進めないで!」

 「え?」

 今度はトモモが私の顔を引っ張って、そのまま耳元で囁いた。

 「いやだから、会話飛んだよ。トモ、何も言ってないのにいきなり同調されても。」

 「嘘・・・ごめん。気づかなかった。」

 「まぁいいよ。それじゃ、続き。・・・誓いの言葉を交わしましょう!」

 「・・・ああ!そのとおりだね!トモモ!」

 「新郎・・・。」

 「新婦・・・。」

 「「あなたは。」」

 「・・・・その・・健やかなるときも・・・。」

 「病めるときも・・・。」

 「『喜び』のときも・・・。」

 「悲しみのときも・・・。」

 「『富めるときも・・・。』」

 「貧しいときも・・・。」

 「『これを愛し、これを敬い・・・。』」

 「これを慰め、これを助け・・・。」

 『その命ある限り・・・。』

 「心身を尽くすことを・・・。」

 「「『誓いますか?』」」

 「・・・誓います。」

 「『・・・誓います。』」

 『それじゃあ、改めて。誓いのキスを・・・。』

 「はい。」

 愛してるよ・・・たい・・よ・・う?

 ・・・あれ?

 「好きだよ。・・ルナナ。」

 「ッッ!?いやァッ!?」

 「ルナッ・・・ナァ!」

 ドンッ・・って・・目の前にいた誰かを突き飛ばしてしまった。

 「・・イッテテ・・・!?ルナナ!」

 「ハッ・・ァ・・ァッ・・ハァッ・・ハァッ・・ハァッ・・・。」

 「ルナナ!落ち着いて!大丈夫だから!私はトモ!桜華 友!ルナナの・・君の恋人だから!」

 「ハァッ・・ハァ・・ハァ・・とも?・・ン・・トモ?・・・トモモ?・・誰?いや・・・。」

 バタンッ・・と、私が倒れた。

 「ルナナ!?保健室!すぐ連れて行くから!」

 最後にそれだけは・・・確かに聞き取れた・・・。


 「目、覚めた?」

 「・・・・うん。」

 「私のこと・・・誰だか分かる?」

 「トモモ・・・ルナの大事な人。」

 「よかったぁ・・・。ふぅ・・・・先輩方、ご迷惑おかけしてすいませんでしたぁ!そして・・・手を差し伸べてくださり本当にありごとうございます!彼女は無事、目を覚ましましたぁ!」

 「そりゃ良かった〜。」

 「本当にありがとうございました。」

 「いいのいいの。あたしらもいいもん見せてもらったから。それじゃあまたね、新入生。・・・ほら行くよ、ゴリラくん。」

 「ゴリラくんって・・・ルナナ運んでくれた人か・・・。流石にあだ名だよね・・・。」


 「ママたち、すぐ戻ってくるって。・・・起きれる?」

 「・・・うん。」

 「体調は問題ない?」

 「ん〜・・・うん。元気みたい。」

 「・・・ホントに?」

 「うん。」

 「よかった・・・。・・・心配した。」

 「・・・ごめん。」

 「・・・ねぇ、ルナナ?」

 「ん?」

 「・・・・・・トモは・・ルナナの味方だから。何があってもずっと一緒にいてあげるから。だからルナナ、ちゃんとトモに頼ってね。これだけは絶対に忘れないでね。」

 「・・・うん。わかった。」

 ・・・わかったって言うんならちゃんとこっち見て言ってよ・・・。目を逸らさないで言ってよ・・・。

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