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03.君が好きな”私”はもうどこにもいない。

 ・[主視点]

☆→天真てんま さくら、【転生後】天光あまみつ るな

○→華一はないち 太陽たいよう

□→桜華おうか とも

 ・・・ひとりは寂しい。私はそれをよく知っている。病院生活とニ度目の人生。このどちらもが私に世界からの疎外感を植え付けたから。

 そしてトモモと太陽も・・・私と同じ。みんなひとりになって、ひとりの寂しさを味わった。

 だけど今、トモモは私を見つけた。

 太陽は咲良さんを見つけた。

 だからこそ、私はトモモを取り返さなくちゃいけない。


 私はトモモのことをよく知っている。誰よりも知っている。今この瞬間だってトモモは絶対に私に会いたがってる。だってひとりは寂しいから。

 トモモは私のことを嫌ってなんかない。それなのに会ってくれないのは待っているから。私がやるべきことを果たす・・・その瞬間を。

 私のやるべきこと。決まってる。それは太陽にお別れを告げることだ。


 大丈夫・・・大丈夫・・・大丈夫・・・。

 私は”私”じゃない。

 この拒絶は嘘なんかじゃない。

 私は太陽のことを好きになんかなっていない。

 私の心はトモモの物。

 トモモの為に、私は生きてる。


 「だから・・もう・・・・二度と私たちの前には現れないでください。」

 咲良さんの家に来ていた私は・・・本音と嘘が混じった言葉を彼に投げつけた。けど・・・

 「ん〜・・・二度と・・は無理かな。」

 そう彼は断り、意味のわからない言葉を述べた。

 「でも約束された日が来るまでは近づかないよ。」 

 「約束された・・日?」

 私にはそれが何なのかがわからない・・・。けど彼の態度からは「君にならわかる。」と伝わってきて・・・余計に理解ができなくなった。

 そんな私を無視して・・・彼は喜びと幸福に満たされた表情で告げる。

 「そう。僕と君との・・・。」と。

 ・・・僕と君との・・・・”私”と君との・・・・約束・・・。

 「ちょっと太陽くん!三日前ちゃんと話し合ったでしょ!そんな意味わからないこと言ってないで早く了承して!でなきゃ・・・」

 怒りと願望の混じった口調で咲良さんが彼を脅す。

 「サクラさん。ちょっと黙ってて。」

 しかし彼は気にせず一蹴。

 これに咲良さんの怒りが爆発した。

 「なぁあ?!もういい!」

 だから携帯を手に取り・・・。

 「太陽くんだろうと警察に通報するから!」

 そう告げながら・・私にも了承を求める・・・。

 「ルナちゃんもそれでいいよね?」

 と。

 「はい。約束された日が何かは知りませんがお願いします。」

 ・・・これで・・・終わる。そう思ったけど・・・。

 「あーあーあー待って。わかったわかったから。」

 「待つわけないでしょ!」

 「待てやッ!」

 私もさくらさんも突然の怒声に・・・体が震え硬直して・・・。

 「ごめんね?とりあえず座って。いいから。」

 その声と共に席にかけ直した。

 

  ・・・・違う・・・・こんなの違う・・・。

 ・・・”私”の中にある彼はいつも弱々しくて、虫一匹も殺せないような優しい人だったのに。なのに今のはまるで違う。かつての彼の姿からは想像もできない程の振る舞い。

 普段見る彼の姿はまるでそっくりなのに・・・その奥にある”私”に触れると全てが変わってしまう。これが・・これこそが・・・彼の変わってしまった部分なのか・・・それとも呼び起こされてしまった本質部分だったのか・・・。

 どちらにしても、これは”私”のせいでもあるということ・・・。

 ふざけないでよ・・・・。

 なんでそれを私が・・・・いや・・関係ない。

 そうだよ・・・私には関係ない・・・関係ない・・・関係ない。

 ・・・私は知らない。


 「とにかく!二度と近づかないでください!私が言いたいのはそれだけです!」

 もう早く終わらせたくなって、そう叫んだ。

 なのに・・・。

 「・・・とりあえずさ、僕の話聞いてね?・・・うん。僕が何故君を”君”であると確信してるのか。それを話すよ。」

 ・・・彼にとっての・・・私が・・”私”である理由・・・。

 ・・・これを全部否定すれば・・・終われる・・・。


 あの日・・・。おもちゃ店の前で2人の少女を見た日こと。・・・僕は君との記憶を見た。

 足早に去っていく2人の後ろ姿。握りしめられた手首。転けそうになる後ろの子。それを強引に引っ張っていく前の子。

 ・・・懐かしいな。

 僕もあんな感じで君に引かれて、いろんな場所に連れて行かれたっけか・・・。

 ・・・今は一人で巡り歩くだけになってしまったけどね・・・。

 

 ・・・そう。僕は今でも・・・君の家に赴いている。君と過ごした町中を巡り歩いている。でなければあの日々の記憶を忘れてしまいそうで・・・。

 僕は君との記憶が消え去ってしまうことが酷く怖いんだ。とても恐ろしいんだ・・・。


 ・・・そんな折・・・今日も今日とて君の家に訪れたある日のこと。・・・僕は一人の少女を見つけた。あの時、足早に去っていった少女の内の1人だ。彼女は君の家の前に佇み、ただそこにあるだけの廃墟を眺め呆けていた。

 気になった。・・・その少女に興味が湧いた。

 なぜ、あの家を見つめてたんだい?

 なぜ、あんな物思いにふけるような顔をしてたんだい?

 気になる・・・気になる・・・気になる。

 まさか帰ってきたのか?

 君が・・・僕の一番大切な人が・・・。


 その日から・・・僕は彼女を探った。

 彼女はよく外で遊ぶ。その姿はまるで昔の君だった。他にも・・・大胆に髪をかきあげる仕草。水の飲み方。はしゃぎ方。笑い方。見れば見るほど溢れてくる。・・・彼女はどこまでもどこまでも・・昔の君にそっくりだった。

 だけどまだ足りない。僕は未だ、少女の姿に君の面影を重ねているだけだから。


 ・・・町中を走り回る君は・・特定の場所で遅くなる。・・・そこは・・・僕と君との思い出の地だった。僕がいつも巡り歩く場所だった。

 嬉しかった。心が踊った。どんどんと君が近づいてきてくれるから。

 

 ・・・ここまででも充分。彼女を君だと信じれる要素は集められたけど、最後に一つ。確信に至れる情報が欲しかった。

 それは君の反応だ。


 丁度僕には息子がいた。だから公園で遊ぶことに不信感は抱かれない。そこで何日も待った。君が来るのを。


 そしてついに、その日がやって来た。

 「あの子たち・・・ちょっと前に咲良さくらと話してた子たちじゃないか?」


 僕は咲良を誘導した。


 「本当だ。」

 「声かけてきたら?」

 「太陽くんは?」

 「桜太連れてすぐ向かうよ。先行ってて。」

 「わかった。」


 これできっと・・・僕は確信に至れる。

 ついに君本人が帰ってきたんだと。


 「・・・さくら?」

 僕は君の名前を呼んだ。

 隣りにいる偽物じゃなく、君本人の真の名前を。

 そしてその瞬間の君の反応は、まさしく僕が求めていたもの。

 驚愕・・焦燥・・・喜び・・隠蔽。

 ハハハハハハ・・・。

 それはもう肯定しているようなものだよ!

 ああ!

 帰ってきたんだね!

 君は生まれ変わって帰ってきてくれたんだね!

 さくら!


 ・・・動揺したのか・・・焦りのせいか・・・。私は・・・・。

 「・・・違う・・・違う・・違う!私はルナ!さくらなんて人知らない!生まれ変わりなんかも意味わからない!」

 強めの口調で否定した。だけど・・・。

 「いいよ、それで。どれだけ君が否定しようと僕の確信は揺らがないから。」

 と、彼はそれすらも受け入れる態勢へと変わってしまった。・・・こうなった以上、私はどうして良いか分からなくなって・・結局・・・。

 「やめてください!もう警察に通報します!」

 そう言った。なのに彼は・・・再びあの言葉を繰り返す。

 「大丈夫だよ。約束されたの日が来るまでは何もしないから。」

 「約束された日とか意味わからないから!」

 ・・・追い込まれて・・・動揺して・・・焦って・・・そのせいで思考が乱れだした私に、彼は最悪の一手を打ち込んでくる。

 「シロツメクサでできた指輪。持ち帰ってたじゃん。」

 「あ・・え・・?そ・・それ・・見て・・・あ・・ちが・・違う!・・違う!探索してたら見つけただけ!綺麗だったから持ち帰っただけ!」

 「あんな枯れた草を?」

 「そ・・そう!」

 「廃墟に忍び込んで?」

 「そう!」

 ・・・これは苦しい言い訳なのだろうか・・・。わからない・・・・。

 「ちょっと待って!」

 ・・・バンッ!・・・と机を叩きながら咲良さんが立ち上がった。それはまるで・・・この部屋に漂う不快な空気を断ち切るようで・・・。

 ありがとう・・・・少し冷静になれた。

 そんな私の感謝には気づくことなく、疑問符を大量に浮かべる咲良さんが・・・。

 「・・・ちょっと待って・・・。二人はさっきからなんの話をしてるの。」

 と、説明を求めてきた。けどこんな内容信じられるわけがないし、知られたくもない。だから私は嘘を付うとした。なのに・・・彼は真正面から話し始めた。

 「サクラさん。僕の過去話、覚えてるかな?」

 「もちろん・・・。太陽くんが大切そうにしてる話だったから。」

 「そこにさくらって子、出てきたでしょ?」

 「ええ。私と同じ名前だったからちゃんと覚えてるわよ。」

 「そのさくらって子の生まれ変わりが彼女なんだよ。」

 止めるべきか悩んだ間に・・・話しは直ぐに終わってしまった。

 だけどこんな内容の話は当然・・・。

 「は?」

 と、咲良さんは更に疑問符を増やす結果となった。

 そこに間髪入れず・・・。

 「信じないでください!こんなのただの妄想話ですよ!」

 私は彼を否定する。

 「当り前よ!・・・信じるわけないでしょ、生まれ変わりなんて馬鹿げた話・・・。」

 そうだ。それでいい。こんな話が信じられてしまったら・・・咲良さんの中にいる私が悪者になってしまう。・・・咲良さん自身が深く傷付いてしまう・・・。

 「別に信じなくていいよ。咲良さんには”関係のない話”だから。」

 「ッッ!関係のない?!?!」

 と思ったけどその前に彼の口を塞がないとだめだ。

 じゃないと咲良さんの怒りが更に強くなっていく。

 そう思い至った私は・・・彼の口を塞ぐため・・・椅子に足をかけて机の反対側にいる彼めがけてタックルしようと力を入れようとした。けど・・一歩遅かった。

 彼は咲良さんに向かって言っちゃいけないことを言ってしまった。

 「だってそうでしょ?あなたは偽物なんだから。」

 と。

 「ふざけないでよッ!太陽くんは私の夫でしょ!!!」

 咲良さんは激怒する。

 「書類上はね?」

 「な に そ の 言 い か た?!」

 更に激怒する。

 「ん?わからないかな?さくら本人が帰って来たんだから君はもう用済みってこと。」

 「はぁ?!ワタシのこと好きって言ったの!あれは嘘だったってこと?!」

 「なんのこと?僕はあなた対して好きなんて言った覚えないけど?」

 「とぼける気?!」

 「・・・・勘違いしてない?」

 「勘違いぃ?!」

 「僕はあなたに言ったんじゃなくて、あなたを通してさくら本人に伝えたんだよ。あの時の僕は何を血迷ったかあなたみたいな偽物をさくら本人と勘違いしていたんだ。」

 「んなッッ!?!?」

 ああ・・・最悪だ。

 ・・・どうしよう。

 ・・・この状況じゃ喧嘩の原因である私が入っていってもより酷くなるだけのことがわかる。

 でも何もしなくても結局私は悪者に・・・。

 ・・・もういや・・・・・・なんでこんなことに・・・。

 これも全部私のせい・・なの・・・?

 「・・・・・もう知らない!よかったですね さ く ら さん!」

 咲良さんは私を睨みつけ・・・泥棒相手に吐き捨てるように・・・。

 ・・・それが・・痛い。

 痛くて・・痛くて・・・。

 ・・・何も弁明できなかった。

 ・・・違うんです。

 私はただ・・・みんなが・・・幸せに・・・。

 そう言いたかったのに・・・そうなりたかったのに・・・。

 ・・・咲良さんは出て行ってしまって・・・私はひとり取り残されてしまった。


 「さくら・・・。帰ってきてくれたんだね。僕はようやく・・・君に会えたんだね。嬉しい・・嬉しいよ・・・ねえ・・・。」

 ねっとりとした声が迫り・・・。

 「あッ・・・いッやぁ!」

 キスをされそうになって、突き飛ばした。だけど燃え尽きてしまいそうな心じゃ力が入らなくて・・・。

 「どうして?なんで拒絶するの?再会のキスだよ?さくらは嬉しくないの?」

 当たり前でしょ・・・。

 「ふざけないで・・・ふざけないで・・・。」

 私を追い詰めないで・・・私に押し付けないで・・・。

 これ以上は・・・私の心が・・・張り裂けそう・・・。

 「ああなるほど。約束の日の為にとっておくんだね。わかった。それじゃあ僕も我慢するよ。このあとはどうする?僕はいっぱい話したいことあるよ。ずっと寂しかったしね!でも君に会えた!どうする?今話したいな。ここで別れちゃうと約束の日まで会えなくなるからさ。」

 ・・・やめて・・・。

 「ねえ、さくら?どうしたの?なんで泣いてるの?どっか痛いの?」

 ・・・気持ちが悪い。全部が・・・気持ち悪い。

 そんな感情に染められて・・・だから・・頬に迫る君の手すらも弾き飛ばして・・・。

 「いい加減にしてよ!・・・こんなの君じゃない・・・。君は・・・華一はないち 太陽は!こんな最低な人間じゃなかった!!」

 想いをぶつけた。

 「確かに、さくらがいなくなって僕は変わっちゃったけどさ・・・でも君は帰ってきてくれた。だから僕はようやくあの頃の僕に戻れるんだ。僕は君がいたから・・・僕にとって君は全てだったんだ。そうさ。僕が変わってしまったのも君の言う最低な人間になってしまったのもどれもこれも全部あの紛い物のせいなんだ。あんな女には二度と近づかないよ。だから大丈夫だよさくら。本当の君は帰ってきたから。今の僕は君の知ってる僕だから。」

 何もかも・・・全部間違ってる。

 そうさ・・・。

 「・・・人の本質は変われない。」

 だけど・・・。

 「・・・だけど君の本質を暴いてしまったのは・・”私”なんだね・・・。」

 「違う君のせいじゃ・・・いやそうだよ。君のせいだ。だから責任とってよ。僕がこんなにも壊れちゃったのは・・・君の言う最低な人間に成り下がってしまったのは・・君のせい・・なん・・だから・・・。」

 「君のせい・・・か・・・。」

 ・・・そうやって自責でうずくまってしまった君の背を・・・”私”はゆっくりと撫でてあげた。

 それでいい・・・・もう・・それでいいよ。

 ”私”はそれを・・受け入れるから・・・。

 「・・・ずっと苦しかったんだ。」

 「わかるよ。」

 「怖かったんだ。」

 「その通りだ。」

 「辛かったんだ。痛かったんだ。」

 「立場が逆だったら・・・きっと”私”もそうだった。」

 だけどさ・・・。

 「全然前向けなくて、元気も湧いてこなくて、感情が冷めきって、心が冷たくなって、世界から色が消えて、明日を生きることすら億劫になって・・・。でも君のために生き続けて!頑張って生き続けて・・・そしたら君がやってきた。輪廻すらも飛び越えて、君が帰ってきた!神様が僕のことを憂いてくれたんだ!僕の願いを聞き届けてくれたんだ!君の祈りが天すらも貫いたんだ!」

 「私はぁ!・・・私は天光 月。天真 桜じゃない。」

 「違う君は・・桜だよ。別の名前があっても・・君は・・僕の・・さくらだ。」

 「いいや違う。ルナはさくらじゃない。ルナはルナ。ルナはトモモの物。」

 「僕からすれば るな も さくら も同じ。それに君は ともも とかいうやつのものでもない、僕の物だ!」

 「いい加減わかってよ!君が好きな”私”はもうどこにもいないって!君の好きなさくらはもうこの世界にはいないって!ねぇ!」

 「今目の前にいるじゃないか!」

 「私は天光 ルナだ!!だからもう二度と近づくな!」

 「それはできない!僕らは誓っただろうが!あ!待てッ!・・・わかった!約束の日が来るまでは近づかないから!だから待ってろ!その日が来たら必ず迎えに行くから!僕は君を信じているからな!」


 ・・・・私は振り返ることなく、彼の前から逃げだした。

 逃げることにした。私の持つ全てから。

 あれはもう私の知ってる彼じゃない。改めて自覚したと思う。私は彼のことなんか好きじゃなかったって。だから・・・もう二度と会うつもりはない。何があっても・・・何もできなくても・・・絶対に会わない。

 ・・・だからこそ・・不安が・・・焦りが・・・募ってゆく。

 どうしよう・・・何も解決してない。

 ただ言い合っただけで何も解決していない。

 というよりも最悪の方向に進んでる気がしてならない。

 このままだと彼とさくらさんが離婚してしまう。

 そしたら彼は限度無く私を追いかけ続ける。

 そしたら私はやるべきことを果たせない。

 そしたらトモモは一生私のことを許してくれず、やがて呆れて離れていってしまう・・・かもしれない。

 このままだとまたみんなが孤独になっちゃう。

 そんなのは嫌だ。

 どうしよう・・・。


 ・・・とりあえず警察には通報するとして・・・その前にできることを・・・。

 まずは彼とさくらさんとの関係を回復・・・。

 さくらさんが戻ってきてくれればなんとかなる?

 いや難しいかも・・・。

 さくらさんにとってあの会話内容は相当ショックだったはずだろうから・・・。

 でも”私”が死んでから彼を支え続けたのはさくらさん・・・なんだから少なくとも彼は本当に嫌ってはないはず・・・。

 ・・・本当に?

 彼は彼女のことを紛い物とまで言ってたよ?

 二度と近づかないとも言った。

 ・・・でもこれらは感情に呑まれた結果、咄嗟に出た言葉っぽい。

 ・・・・とりあえずさくらさんに連絡とってみる?

 ・・・さくらさん・・・私の話聞いてくれるかな。

 私に対しても明らかな怒りを見せてきてたし・・・。

 万が一にでもあの内容を信じていたら、終わりかな。

 ・・・それでも、とるだけとってみよう。


 『もう一度。

 今度はさくらさんと私だけで、

 会えますか?         』13:26


 それ以外には・・・もう一度、彼にお願いしてみる?

 ・・・無理だ。

 何を言ったところで今の彼は止められないし止まらない。

 彼に関しては、私じゃどうにもできない。

 そう、さくらさんか警察かのどちらかに頼るしかない。

 今の私じゃ何もできない・・・。

 待つしかない・・・。

 ・・・なのに待っても何も変わらなかったら?

 ここままじゃ・・・。

 「うッ・・・うッ・・・。」

 どうしよう・・・・どうしたらいい?

 泣いてちゃだめなのに・・・止められない。

 「トモ・・モォ・・・。」

 ・・・トモモに会いたい。

 ・・・・会いたい・・・会いたい・・・会ってくれる?

 こんなにも不甲斐なくてやるべきことも果たせないこんな私に・・・・。


 『会いたい』 13:31


 「ああああああああ!!!!」


 私は走った・・・。ただひたすらに走った。抱える全部を後ろに落としてしまいたくて。


 「ハァ・・ハァ・・。」

 あれ?

 おかしいな・・・。

 いつもならもっと走れるはずなのに・・・。

 ああそういえば・・・お昼全然食べれなかったんだ・・・。

 いやお昼だけじゃない。

 朝ご飯も・・・昨日の夜ご飯も・・・。

 ダメだ・・・気分が悪い・・・。

 吐きそう・・・。

 なにもないのに・・・気持ち悪い・・・。

 ・・・気持ちが悪い。

 「・・・・うッ・・・・いや・・・いやだよ・・・。」

 私をひとりにないで・・・トモモ・・・。

 二人とも壊れてて笑えるぅ〜

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