05.崩壊と再生
[!警告!]
!残酷な描写・・アリ!
☆
結局メールは送れていないまま・・・私たちは中学三年生へと進んでいった・・・。しかしその間・・・特に何も起きることはなく・・・。
・・・ーーーそれからひと月・・・。
・・・ーーーまたひと月と・・平穏な日常が過ぎていった・・・。・・・しかし運命の日は・・・少しづつ・・・そして確実に近づいてきている。それだけは忘れてなんかいない。
・・・ーーー「中学ぅ〜卒業ぉ!」
万歳しながらトモモが叫ぶ。その手を叩いてハイタッチ。そして・・・。
「来年も・・・また一緒に学校行こうね・・・。」
「もちろん!」
・・・乖離した二つ。本能を何重もの殻で包み、理性で陽気を取り付ける。もう誰も・・・見えない赤子に気づかない・・・。
・・・この一年は、今まで生きてきた中でも圧倒的に早く感じた・・・。ずっと悩み続けていたせいなのか・・・それともトモモの面倒を見続けていたせいなのか・・・。まあいい。そんなことはどうでもいいんだ。来たる日、彼に対する接し方は決めてあるから。その日のことしか、私の頭の中には存在していないから。
・・・・次の日・・・朝目覚めると、私宛に一通の手紙が届いていた。
『天真 桜へ
卒業、おめでとう。
4月22日。
君と見つけた秘密基地で。
僕は待ってる。
華一 太陽。』
・・・ーーー4月20日。
ベッドの中・・・物言えぬ不安に、お腹を抑える。そのお腹に、振動が伝わっている・・・。私の手が・・・震えているんだ・・・。
「・・・嫌だ・・・怖い・・・。」
・・・つい・・・小さな声が・・・漏れてしまった。
・・・ああ・・・どれだけ隠してしまおうと・・・ひとりになるとこうも脆くなってしまうのか・・・。
・・・私はまだ完全じゃない。完全に自分を騙せてない。嘘を貫き通すだけの我慢強さを・・・私はまだ持てていない。
だけど・・・時間は待ってくれない。
・・・4月21日。
無理して胃に流し込んだ物を、全部出してしまった。・・・何も・・・食べられない。・・・体が重くて・・・動きにくい・・・。精神的ストレスが過剰にかかりすぎてる・・・・。
・・・こうなった時は、身体機能に過剰なストレスをかけてやればいい。私がやってきたことだ・・・。
まずは限界を超える運動。
・・・今は無理。体が重い・・・。動けない・・・。
次は息止め。
これなら簡単にできる・・・けど・・・持続性がない。平静に戻れば・・・また不安が押し寄せてくる。だからといって繰り返せば・・・明日を頭痛に苦しめられる。
だから最後の方法。
・・・・これしかない。
・・・これしか、思いつかなかった。
かつて一度・・・動けなくなり極限状態に陥った私が取った手法。
何もかもを忘れさせてくれる・・・異常者の魔法。
即ち・・・強烈な痛み。
「イッッ!!・・・はぁ、ハァ、はぁ、ハァ、はぁ、ハァ・・はぁ・・ハァ・・はぁ・・・・・ハァァ・・・・。」
2センチほど先を出したカッターで、自分の内太ももを突き刺した。もちろん全力で。
内太ももという、そこそこ脂肪の多い部分。そこに女子中学生という非力な力。ちょっとでも力を抜けば、上手く皮膚を破れないかもしれない。それがキレイに入った。
・・その3秒後くらい。隙間から液体が溢れ出す。鉄臭くて・・・赤い色をした・・・。下に敷いた白い布切れが次々と染まっていく・・・それが目に映り続けて・・・。
ドクッ・・ドクッ・・と流れ出る・・・その感触に意識が集中している・・・。
・・・内太ももは良い。どれだけ自傷しても周りにバレにくいから。ここなら心配かけずに済む。
だからこそ私、リスカするやつが大嫌い。死にたいとか言いながらリスカするやつが大っ嫌い。死にたいんならとっとと首切りゃいいじゃん。なんで手首なんか切ってんの?結局のところそういう奴らは死にたいんじゃなくて助け出して欲しいんでしょ。共感してほしいんでしょ。手首切って血ぃ垂れ流して僕を助けて私を助けてってそれが本音なんでしょって。だったらとっとと声出して助けを求めろよ。自分から動いて助けてくださいって周りに救いを求めろよ。なに?待ってれば同情してくれる人、共感してくれる人、愛してくれる人、許してくれる人、自分のことを救い出してくれる・・そんな人が来てくれるとでも?きっしょ。ふざけんなよ。白馬の王子様みたいなクソ理論あるわけ無いだろうが。自分が求めるものは自分から行動を起こすことによって初めて得られる。これこそが至極真っ当で超絶当たり前な理論だろうが。・・・ま、そうだとするならリストカットもある意味自分が起こした行動、その過程の中にある一部分でもあるのかな・・・。
「・・・・・フゥゥ〜〜〜・・・・。」
リセット完了。
・・・とりあえずは落ち着いたかな・・・。
・・・それにしてもあのドクッ・・ドクッ・・てした感触・・・。
男の人ってあんな感じなのかな・・・。
・・・女の私じゃわかるわけないか・・・・。
ちょっと残念。
興奮が冷め・・・ズキズキと・・内太ももがまた痛み始める。だけどそれがあることで冷静さを保つことができる。
「・・・止血しなきゃ。」
・・・まず下に敷いた布を入れ替え秘密のバスタオルをその下に起き、傷口と血で汚れた内太ももをペットボトルに入れておいた水で軽く洗い流す。それを水の染み込んだ布で拭き取り、次は大きくて乾いた布を丸めて、数分間傷口を抑える。
・・・すると一向に止まることなく流れ出る赤が・・少しづつ白を染めていく・・・。
何度か布を交換し、白が残り始めてから数分。最後に傷口をもう一度水と布でキレイにしてからガーゼを重ねた。
これでよし。
さ、心の平静を保ててる内に、明日の準備を済ませてしまおう。