49話 クロエ
49話です。
よろしくお願いいたします。
帰ってきた紫と清十郎は、
リュックにたくさんのスナック菓子を入れて帰ってきた。
「すごいわ。
2人とも」
「ちょっと奥まったところにある店が手つかずだったんです」
「ああ。ラッキーだったよなぁ。
ただ、小鬼とは違うやつらがいた」
「違うやつら?」
「ああ。見たことない犬?
みたいなのがうじゃうじゃと
「そんなのもいるのね」
「ええ。
小鬼とは違って足が速いので、
見つかったらかなり危ないです」
聞いた伊都子が不安そうな表情を見せると、
その肩を紫が軽く叩いた。
「大丈夫。外敵はここには入れないから。
いざとなったら、逃げ込めばいいし」
「あんまり遠くには行かないで下さい」
「あー。
それだと食い物が見つからない」
紫が苦笑いしたのを、伊都子が目を細めて見た。
「まぁまぁ、伊都子さん。
2人とも無事だったんだから。
紫さんも無理しないで下さいね」
2人が「はーい」と返事をする。
その時だった。
「おい」と清十郎が厳しい口調で言った。
一同が清十郎の視線を追う。
道の突き当り、丁度10ブロックくらい離れた場所に、
白い靄が出ていた。
「霧かしら。今朝はなかったけど」
「そうですね」
クロエが言うと、清十郎がビルの2階辺りを指さした。
そこには小さな光があった。
最初は窓ガラスが反射しているのかと思ったが、
そうではない。
飛来する発行体だ。
「あれ・・・なんだか見たことが・・・」
クロエは光に釣られるように、
噴水公園の敷地ぎりぎりまで出て行った。
少しでも近づいて、靄と光の正体を知りたかったのだ。
「クロエさん、それ以上出たらダメです」
紫に肩を掴まれる。
「あの靄の中、何かがいますね」
ついてきていた清十郎が呟いた。
「人だ!」
「ちょっと待て。どいつもこいつも」
伊都子が飛び出して行こうとするのを、紫が押し留めた。
「伊都子さん。人がいるの?
確かなの?」
「はい。人影が」
紫が伊都子の肩を掴んでクロエの隣に押しやった。
「伊都子ちゃんはここに居て。
俺が見てくる。
その代わり、危なくなったら帰って来るからな」
「俺も行く」
紫と清十郎が準備をすると、
姿勢を低くしながら靄に向かって歩き出した。
クロエは伊都子の背中を擦りながら、
進む2人と靄の上にある光とを交互に見守った。
光は小さく旋回を始めた。
「あの光、クルクルし始めたわね」
「はい」
「伊都子さん。
あの光のこと、知ってるの?」
「知ってるわけではないですけど。
でも、あの靄も光も見たことがあるような」
「どこで?」
「ここに来る前に、困っていた私を、導いてくれた」
伊都子がそこまで言ったところで、
清十郎と紫が、すかさず脇の建物に隠れる。
旋回していた光が消え、靄が晴れてきた。
すると、靄の中から女性が姿を現した。
「あ」
伊都子が叫び、握ったクロエの手に痛いくらい力を入れる。
女性の体は真っ赤だった。
「あの子、怪我をしてるのかしら」
隠れている清十郎と紫がこちらを見て、
追い払うように手を振った。
危ないかもしれないから、隠れていろというところだろう。
こんな時でも2人は冷静だ。
クロエは頷いて、伊都子と一緒にもう少し奥へ引っ込むことにする。
女性は棒のような長い何かを腰にぶら下げていた。
「あ」
その時、吊られていた人形の糸が斬られるように、女性が倒れる。
「倒れちゃいましたっ」
「2人に任せましょう。
きっと大丈夫よ」
しばらくすると、紫が血まみれの女の子を背負って戻ってきた。
「まぁ、大変っ。こっちへ」
クロエは紫に、噴水の傍に寝かせるように指示を出した。
「伊都子さんはお湯を沸かして」
伊都子は真っ青な顔をしていたが、
クロエの指示に気丈に頷いた。
テントの中からタオルを持って出てくると、
清十郎が日本刀を抱えて突っ立っていた。
何かを呟いている清十郎にクロエは叫んだ。
「セイちゃん。手伝って頂戴」
「あ、ああ。はい」
女性は全身血だらけで、腐った肉のような酷い匂いがした。
伊都子と協力して、噴水の水で濡らしたタオルで体を拭いていく。
伊都子は泣いていた。
「きっと大丈夫」
目を閉じて彼女は何度も頷く。
「かなりの重傷かと思ったけど、
そうでもないみたいです。大丈夫」
清十郎が落ち着いた口調で言った。
「あれだけ酷い状態だったのに、
傷ひとつないのは変な気がするけど」
汚れの濃かった箇所に目を近づけて見るが、
汚れていただけのようだった。
「でも、よかったわ」
クロエと伊都子は、顔を見合わせるとほっと溜息をついた。
丁寧に顔を拭うと、女性は若い女の子とわかった。
多分、伊都子よりも年下だろう。
清十郎と紫を追い払うと、女性の汚れた服を脱がせた。
クロエが着ていた緑色の古いジャージを着せてやる。
「おばさんのお古を年頃の子に着せるのは
申し訳ないわね」
蒼白な顔をしていた伊都子が少し笑う。
清十郎が戻って来て、女性の脈と呼吸をチェックする。
「衰弱しているみたいですけど、まぁ大丈夫でしょう」
「良かったわ~」
伊都子とクロエは相談して、
女性の髪をお湯で洗うことにした。
汚れを流した髪をタオルで拭いてあげているとき、
身を捩らせた。
うんっ、うんっ、と声にならない声を出す。
「どうしたんですか?!」
クロエは何かを探すように動き回り始めた手を握ってやる。
「発作みたいね」
女の子の手が、クロエの手を強く握り返してくる。
顏が真っ青だ。
「かわいそうに。
つらい経験をしたのね。もう大丈夫よ」
女性は高熱を出して、2日間目を覚まさなかった。
その間に発作は何度か起こったが、
見守っていると、5分くらいで収まった。
危険を顧みず、紫と清十郎が薬局から解熱剤を見つけてきた。
薬のおかげで、熱は順調に下がっていった。
少しは目を離せる状態になった頃、女性は目を覚ました。
テントから野生動物のように素早い動きで出てきたのを、
昼食の準備中だったクロエが発見する。
「あら」
クロエは声をかけようとしたが、
彼女の出すただならぬ雰囲気に閉口した。
彼女の目は何かに怯え、焦り、必死だった。
クロエは、はっとなった
女性の持っていた刀と帯と巾着は、紫が握っている。
「大変!
紫さん!!」
這うように走った彼女は、すでに紫の目の前まで迫っている。
「うっ」
不意を突かれた紫は、膝蹴りを受けて後ろに倒れた。
流れるような動きで、女性は紫の首元を押さえてのしかかる。
馬乗りになった彼女が、紫から刀と帯を奪い取った。
持っていたカゴを投げ捨てて、清十郎が駆けつけるが、
顔面を鞘で殴られて倒される。
作業していた伊都子が手に持った道具を落として、悲鳴を上げた。
視線が伊都子に向かったので、
クロエは慌てて彼女に駆け寄って抱きしめた。
「伊都子さん。大丈夫?」
伊都子はパニック状態になっており、呼吸もおかしかった。
「私を見て。
見なさい」
クロエは伊都子の顔を両手で挟んで、
無理矢理こちらを向かせた。
「大丈夫。
私を見て。大丈夫よ」
呪文のように繰り返していると、伊都子は少し落ち着いたようだった。
「クロエさん・・・」
腕の中で泣き始めた伊都子の背を擦りながら、
クロエは紫から奪い取った刀を確認している女性を見た。
「待ちなさい」
足掻く紫に手を出そうとした彼女が、
クロエの声を聞いてこちらを見た。
「あなた。
いい加減にしなさい。
ここの人達は、あなたを命懸けで助けてくれたのよ」
クロエは子ども達を諭すとき、大きな声を出すことは滅多にない。
乱暴をした子に声を荒げても、火に油を注ぐようなものだからだ。
「私達は敵じゃない。
もうやめなさい」
クロエは伊都子を背後へやると、
刀を持っている彼女へ向かって進み出た。
「あなたが跨っているその人。
紫さんは、倒れたあなたを背負ってここまで運びました。
あなたが殴ったその人。セイちゃんが、あなたの熱を下げるために、
解熱剤を見つけて来たわ。
その2人は、あなたをテントで看病するために、
外で寝るようになったのよ」
クロエは毅然とした態度で続けた。
「怯えているこの子は、汚れたあなたの体を洗ってくれました。
どんな理由があれ、あなたが傷つけて良い相手ではありません」
クロエはゆっくりと近づいた。
「とりあえず、ここは安心だから落ち着いて頂戴」
風に揺れて髪が吹きあがり、彼女の顔が見える。
面が真っ青を通り越して、黄色くなっているが、
目はしっかりとこちらを見てくれている。
視線には後悔と動揺が混ざっていた。
ああ、よかった。伝わったみたい。
クロエは肘に優しく触れた。
ゆっくりとこちらに引き寄せると、倒れている紫の上から外した。
「・・・死ぬかと思った。
セイ大丈夫かよ?」
「ああ。
まぁ何とか」
体を起こした紫と清十郎がうなずき合う。
良かった。2人とも平気そうだ。
「あれれ・・・」
気が抜けてふらふらしている体を、伊都子が受け止めてくれる。
「クロエさん。
だ、大丈夫ですか・・・?!」
景色が白んで目が開けていられない。
貧血かもしれない。
「大丈夫。
ちょっとびっくりしちゃって」
クロエはしばらくの間、目を閉じて深呼吸を繰り返した。
「ああ、やっと楽になったわ。
あなたも大丈夫?」
女性に目を合わせると、申し訳なさそうに逸らされた。
清十郎が伊都子からティッシュを受け取って、
鼻の血を拭いながら言った。
「悪いんだけど、あんた。
それをこっちに渡してくれない?」
女性は差した刀を前に置き、頭を下げた。
空手や剣道などの武道でみられる所作だった。
紫が苦い顔をしながら刀を取り上げる。
「本気でやりやがって。
俺じゃなかったら怪我してるぞ」
「まぁまぁ紫さん」
吐き捨てるように言った紫を、クロエがなだめると、
今度は清十郎が口を開いた。
「く、クロエさん。
いきなり襲ってきたんですよ?」
「まぁ、反省しているみたいだし。
許してあげましょうよ」
「は、反省してるって言ったって・・・」
その言葉を聞いて、清十郎がまた何かを言おうとしたが、
クロエが満面の笑みを向けると、閉口した。
「ほら。
刀も返して頭も下げたんだから。
文句は言いっこなし」
清十郎と紫は同時に大きくため息をついた。
「クロエさんって結構強引だよな」
両肩を竦めて男2人が苦笑いを浮かべる。
「あ、あの。
これ・・・」
クロエの隣でいきさつを見守っていた伊都子が、
巾着を女性に渡した。
まだ怖いのだろう、伊都子の手が震える。
女性は何度も頭を下げながら、両手で受け取った。
その様子に、伊都子が表情を和らげた。
「ありがとう。伊都子さん」
「いいえ。
あのクロエさん、この人顔が赤いわ」
クロエは慎重な手つきで、女の子の額に触れて体温を確かめる。
「大変。
もう一度、横になった方が良いわ。
伊都子さん。お願いできるかしら」
女性は少し戸惑っていたが、伊都子が手を差し出すと、
それを握って大人しくテントへ向かって行った。
クロエは彼女に食べさせるために、おかゆを作ることにした。
「クロエさん」
火の調整をしてくれている清十郎が小さく言った。
「なに?」
クロエは目を合さずに聞き返す。
「あの子は、普通じゃないですよ」
「そうかしら」
「今回のことで、みんな大変だった。
でも、あの子はそれだけじゃないです」
「どういう意味?」
クロエは思わず顔を上げて清十郎を見た。
ねじ曲がったような笑みを浮かべた清十郎がそこには居た。
「俺と一緒で、育ちが悪いってこと。
一緒にいたら、大変かもしれない」
「私はあなたの育ちが悪いなんて思ったことはありません」
清十郎が一喝されたような顔になる。
しばらくすると、テントに向かったはずの女性と、
伊都子が帰って来た。
「テントに入らないんです。
何もしゃべらないから、どうしたいのかもわからなくて」
「あらあら。そうなの。
じゃあ、みんなで一緒に居ましょうか」
すると、黙ったまま彼女は小さくうなずいた。
いつまでも突っ立っている紫と清十郎を見て、
伊都子が声をかける。
「あの・・・お2人はこちらを手伝ってくれませんか?」
浮かない表情だった紫と清十郎だったが、
伊都子が用事を伝えると、「はいはい」と言いつつ
手伝ってくれるようになる。
「あなたは、どこからきたの」
クロエが聞くと、女性はただ悔しそうに喉元を押さえた。
喉が腫れて声が出せないのかもしれない。
喉が痛いのか聞くが、首を横に振っている。
「緘黙・・・ですかね」
ふと清十郎が言った。クロエもそれに同意する。
緘黙とは、精神的、環境的理由により、
後天的に声が出せなくなる症状のことをいう。
クロエが受け持ったクラスにも
そういう子どもはたまにいる。
緘黙は、一切話せなくなることは少なく、
場面によっては話せることが多い。
例えば、学校が辛い子は、家では問題なく話せるのに、
学校では全く話せなくなったり、その逆もあったりする。
「話せないのね。大丈夫よ。
よっぽど怖い目にあったんでしょう。
でも、良かったわ。ここは安全な場所だから」
クロエは清十郎と紫と視線を交わす。
2人は目を細めたが、何も言わなかった。
おかゆの入ったカップを手渡すと、
女性はクロエの目をまじまじと見た後、
深く頭を下げてから食べ始めた。
「ゆっくり食べてね。
私達もお茶を飲みましょう」
言うと、すぐに伊都子が温かい緑茶を入れてくれた。
「あなたの名前、教えてくれる?」
女性は口をあけたが、やはり何も言えない。
清十郎が刀を差すときに使用していた帯をみせる。
「これあなたの名前?」
彼女が頷く。
帯には産土 月子と書いてあった。
「珍しい名前ね。
剣道か何かをしていたの?」
月子は2度頷いた。
クロエが持ってきたメモ帳を渡すと、月子が筆談を始めた。
「綺麗な字・・・」
伊都子がつぶやく。
メモには綺麗な字で、『実家が剣術道場をしていました』
と書かれていた。
「この剣は、実家にあったのか」と紫が訊く。
「剣じゃない。
刀だよ」と清十郎が訂正する。
そのやりとりに月子は小さく頷く。
『祖父から引き受けました。
専門学校に通いながら、道場の手伝いをしていました』
「家はどうなったんだ」今度は清十郎が訊いた。
『私以外、みんな死にました。
私だけが生き延びてしまい、ここまで逃げて来ました』
「そ、そう・・・か」
字を読んで、紫と清十郎が一度持ち上げた肩を落とした。
紫が月子の傍らにやってきて、日本刀を差し出す。
「わかった。じゃあ、これは返す。
もちろん、膝蹴りなしが前提な」
2人はしばらく厳しい視線を交わす。
月子が神妙に頷くと、紫も頷いた。
日本刀を受け取ると、脇に置いて月子は深々と頭を下げた。
しばしの沈黙が訪れる。
「いいよ。もう。
月子ちゃんよろしくな」
紫が相好を崩すと、月子が恥ずかしそうに俯いた。
月子を休ませた後、クロエと伊都子は懐の深さを見せた男達に
おむすびを作ってやった。
紫と清十郎はすっかり機嫌を直してくれたようだ。
「いきなり襲われたときはどうなるかと思ったけど、
平和にまとまって良かったな。
すっげぇ美人だし」
紫が清十郎の肩を叩く。
「おまえ、美人だったら良いのな」
「ちょっと、その発言は問題ですよ」
伊都子が紫の発言に眉を顰める。
「ご、ごめん伊都子ちゃん・・・」
「紫さんは、常識がないです。
最近は美人って言ったら、セクハラになるんですからねっ」
腰に手を当てて、伊都子が言った。
「そ、そうなの?」
「そうです」
清十郎がクロエの用意した漬物を指して言った。
「クロエさん。これ。おいしいです」
「そう?
よかった。私が漬けていたものよ」
「へーすごいな。
自分の母も、小さい頃よくしてくれました」
「そう・・・素敵なお母さんね」
「ええ。まぁ」
清十郎が子どものような顔で、嬉しそうに微笑んだ。
だが、すぐに遠くを見つめて頬に力を入れる。
クロエには清十郎が何を考えているのか、
何となくわかった。
だから黙っていることにする。
その間ずっと紫と言い合っていた伊都子に声をかけて、
クロエはパンを取り出した。
「私達はパンを食べましょう」
「わぁ・・・いいですね」
少し機嫌の悪かった伊都子が笑顔になる。
「とっておきのジャムを使いますから、
楽しみにしていてね」
クロエが手作りの栗ジャムを取り出す。
県外から取り寄せた栗をふんだんに使ったジャムを、
火であぶったパンに塗っていく。
伊都子は一口食べると、「おいしー!」と声をあげた。
紫が隣にやってきて羨ましそうにする。
「2人はおむすび食べたでしょ・・・」と伊都子。
「クロエさん。
俺も」
紫が言うと、「あ、ずるいっ」と伊都子が眉を上げた。
「あらあら。
これでみんな仲直りね」
清十郎も含めて3人にパンを配り終えると、
クロエは立ち上がって月子の様子を見に行った。
テントの前で声をかけようとしたとき、
中から月子が飛び出してきた。
「うわああお!!
びっくりした!
今度は何?!」
月子は申し訳なさそうに頭を下げると、
横を走り抜けていく。
月子は噴水公園の敷地範囲の境目で足を止めた。
クロエが追いつくと、そこに清十郎、紫、伊都子もやってくる。
「どうしたの?」
「わからない。
月子さんが」
「いや、あそこ」
「わ」
紫が指す方向に、赤色の獣がいた。
「あれは、見たことないやつだな」
清十郎が焦った様子で声を上げる。
「犬?」
「いえ。犬よりもでかいですよ。
多分、ライオンくらいの大きさあります」
紫が望遠鏡を覗きながら言った。
「ええ。そんなに大きいの?
ここも危ないんじゃあ」
「いえ。ここには外敵は入れませんから、
きっと大丈夫です。でも、念のため奥に入っておきましょう」
清十郎の指示で、皆が公園の中心に向かって歩き始める。
だが、月子はそこから動かなかった。
強く奥歯を噛みしめて、前方の獣達を凝視している。
「どうしたの?
月子さん」
月子の額は真っ青になり、目には激しい焦燥が光っていた。
彼女はまるで天秤にかけるように、クロエと獣とを見比べた。
月子の口がゆっくりと動く。
その動きが、「どうしたらいいの」と言葉を描いていた。
ありがとうございました。
次話すぐに更新いたします。




