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95.初詣は神様仏様キリスト様?

本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


「旅の余韻を返せー!」

 と叫んだ翌朝。

 1月1日。

 お父さん、お母さん、明けましておめでとうございます。

 弟は遅くまで起きてたせいでまだ寝てる。トットと出発しなければ。


 お、今度はマイクロバスがウチの前に来た。

「「司ン~!」」グラ玉が飛び出してきた!

「新年明けまして目出とう御座います」と時サン、お延さんとお次さんも出てきた。

 うわー!4人とも豪華な晴れ着だ!振袖だ!

…待て、この人達、時サンの妻だよね。振袖じゃあないな、留袖だ。


 時サンだけフツーのスーツだ。いいのかよ?!

「昨日振りでスミマセン」「いえいえこちらこそスミマセン」

 何か保護者同志がペコペコしてる。


「司ンー!素敵ー!」「素敵はムテキー!」

 今日の私は、袴姿に和風の外套。ちょっと頑張りました。

 そして寮へ…うお!


******


「キャー!」「ステキー!」「ムテキー!」

 迎えに出た4姉妹の着物姿に狂喜乱舞する飴ズは…


 ラン、スー、ミキ!あんたらコスプレ大会か?てか、うおまぶし!


 ランはタイの民族衣装かな?刺繍を施した衣のカラフルな衣装がうおまぶし!

「シーワライって言うんだヨー!時サマ、どう?どう?」

「とっても似合って美しいですよ」

「そうか、そうよねー!このままウエディン…」

「待てラン!早まるな!」私は彼女を止めた。


 シーワライ。よく見るタイの衣装は片方の肩から先は素肌なんだけど、今この寒空でそれやったら十中八九病院送りだ。

 冬用の絹のアンダーウェアを着てる。それも金に光ってるし。

「素敵…南の国のお姫様みたい…」とはお延さん。


 スーは…チャイナドレスじゃないな。漢服っていうのかな?

明制襖裙おうくんって、満州民族より前の、明朝の服だよ」

 これも綺麗だ。白を基調に、刺繍の入った襟と豪華な帯。そして絵入りの袴。

 眼鏡もなんか赤い縁でちょっとオシャレ。

「おー!プリンセサオリエンタル!」とはグラちゃん。そして手は光の速さでタブレットを。


 ミキは肩が大きく膨らんだ、これまたうおまぶし!な赤い絹の服。

「ワタシはマリア・クララ・ガウンだヨ」首から胸元の露出が大きい、けど冬なんで暖かそうなマフラーを巻いている。


「司ンも…華やかっていうより、キリってしてるネ」

「あれ、マンガで見たよ!モガさんが通るってヤツ!」

「袴だよ。入学式や成人式で見たでしょ皆」

 そうなんだけど…飴ズの民族衣装と4姉妹の晴れ着の谷間の私、迂闊だったー!


「こりゃ元旦ファッションショーだなー」

 なんてお次さんが言いながら光速で飴ズをスケッチしてると、男子寮から野郎共がこっちに来始めている。


「あーッ!脱出!!」

 私は号令し、みんなをバスに押し込んだ!


******


「えー、大変申し上げにくいのですがー」とマイク越しに時サン。

「「「あ"~」」」と飴ズ。

 マイクロバスのモニターに、「都内初詣ラッシュ」とニュースが映っていた。

「このまま予定通り上野寛永寺&東照宮に突入か、地味だけど穴場に行くかなんだけど」

「「「穴場!!!」」」

 一同が声を上げた。


「え~、それでは歩いて靴擦れもしない距離で、仏教神道キリスト教をお参りできる穴場へご案内しま~す」

「「「何それ~???!!!」」」

「ま、行ってのお楽しみで。最初はキリスト教で1時間程かかるけど、いいかな?」

「ミサはそれくらいするヨー」「グラちゃん解ってるねー」

「「「お任せします~」」」


******


 例によってバスの中は大はしゃぎ。昨日までと何も変わりがないな。


 なんて言ってる&歌ってる間に、山手線外側の、かつては田園風景だっただろう住宅街に…

 デカい教会があったー!!

 結構高い時計台…時計の文字盤あるけど時計の針が無いヨー!

 コンクリ打ち出しの教会の脇の広い敷地に、マイクロバスは止まった。


 教会の中では

「あー、キリスト教では『教会』ってのは、信徒の疑似的家族を言うんだ。

 建物そのものの事は聖堂、って言う。

 この教会の信徒では無い私達は、そこは意識した方がいいかもね」

 そうなんだ。


 結構な高齢者が礼拝を受けている。あまり若い人がいない。

 あれ?隣が学校みたいだけど、生徒は来てないのかな?


 でも、聖歌隊の歌う歌、ラテン語なのかな?は特別な空間を感じさせる。

 グラシアちゃんとお玉ちゃん、そしてミカエラも歌っている。

 凄いな、クリスチャンってラテン語とか歌えるんだ。

 関東城巡りの初日でも歌ってたっけ?


******


 それから歩いて、古代から続く神社へ。って、近!!

 教会、もとい聖堂の時計の無い時計塔が見えるよ鳥居から!

 こっちは結構若い人も晴れ着を着てお参りしてる。縁日みたいな屋台も賑わってる。


「お盆にはあの辺の空き地にお化け屋敷が出来てね、大イタチとか狼少女とか来るんだよ」

「何そのインチキ120%の出し物?!」

「子供の頃見た狼少女が微妙に可愛くってね、なんかエッチだったよ?」

「神社でそれいいのかよー!」

「時様はエッチなのですよ?」

「駄目じゃんお延さん!」

「時様エッチー」「私も狼になるヨー」「止めい!」


「「「うまうま」」」

 グラ玉ミキの落ち着く所は屋台めしだ。折角の服汚すな…って、紙エプロンみたいのしてる。

 時サンの配慮、神掛かってるな。紙だけに。


 神社のお参りは賑やかに終わった。


******


 大鳥居から、道の真ん中に並木があって、その並木に挟まれた一段高い歩道がズーっと先まで続いている。普通の町の真ん中に。


「おー、ファンタスティコ!」

「これ…もしかして暗渠?」

「スーさん正解!ここは神社の池から川が流れていたんだ。

 でも大雨で溢れたんで暗渠にしたんだよ」

「それでこんな素敵な参道に…」

 道の先を見遣って物思いにふける、天女みたいなスー。


「スー、あまり考え込まない方がいいよ?埼玉にも暗渠沢山あるけどこんな綺麗じゃないからね?」

 ここは特別でしょう。


******


 暗渠とは思えない参道を進んでちょっと左へ折れると、今度は…お城の門みたいな、お寺の門。

 鯱立派だなあ…って、お寺は鴟尾じゃないの?

 その門前にも振袖姿、袴姿の参拝客が一杯並んでる。


「ここも賑やかねえ」

「ココ!どの仏様のお寺?!」

「ここはお釈迦様と阿弥陀如来様だよ」

「お釈迦様拝めるの?」

「あー…今は阿弥陀様だけだよ。お釈迦様は他のお寺に移されてしまった。

 最近になって立派な阿弥陀如来像が祀られたんだ」


 行列は総門や仁王門、そして元は釈迦の図会を祀った中世の堂を超えて、阿弥陀如来へ。

 昭和の仏像だけあって、金色に輝いている。

 熱心に祈っているランを見ていると

「タイの上座部仏教では阿弥陀様の立ち位置ってどんなもの?」って聞けない。


 タイ以西とベトナム以東では、上座部仏教と大乗仏教の違いがある。

 夫々インドから伝播するルートも南回り、北回りで、経由する間の宗教、北はマニ教やチベット密教、南はヒンドゥー教との融合があって色々違うんだそうだ。


 かつて日本が存亡をかけて戦ったスペイン・ポルトガルのカトリックと、国交を維持したプロテスタントや国教会の違いは学校で習うし受験に出るけど、同じアジアの仏教の違いって、試験に出ないし学校でも習わないんだよね。


「ねえラン…」

「日本にも、あんな金の仏様あるんだネー」

「てか日光で見たでしょアンタ!」

「ソーダッタ!」

 結構いい加減なのかな?


******


「こんな歩ける近さでお寺と神社と大聖堂があるなんて、日本ダネー!」

「そういいつつ全部回ってる私達も大概だけどね」

「私はあんな大きなチャーチ(教会)が日本の街中にあるのがビックリです」

「確かに日本の宗教の縮図みたいだったな…」

 バスはいかにも日本的な街を後にした。


******


※今回のお話は架空の町が舞台です。

 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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