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173/251

173.お宿はKKRホテル名古屋 父帰る

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


 半ばローカル線ツアーとなった美濃城巡りの終点は名古屋。

 流石に山登りで疲れたのでお宿は前に徐姉妹も泊まった名古屋KKRホテルへ。


「お城が良く見えるわあ~」

「天下一品の眺めだ!」

「夜にライトアップが始まったらもっときれいなんだよ」

 前大坂城を見た時もため息が出たからね。


 旅路の汗を流し、夕食も城が見渡せるレストランで採る。

 おお、天守と本丸のライトアップが始まった。

 青白く輝く天守、隅櫓を結ぶ多門櫓に諸門。二之丸の塁線も照らし出されていてL字型の二層櫓が並んでいるのが浮き上がる。


「今夜はなかなかリッチだなー!」

 ひつまぶし御膳である。

「色々食事も楽しまなきゃねー」

「諏訪の馬刺しも美味しかったわー」

因みに今夜のお酒はかの有名な「醸し人九平治」である。

 市内に蔵を持っているが、目下世界に訴求できる酒を求めて、原料の酒造米を全国に探しているそうで、今後が楽しみなお酒です。

 時サンに買って帰ろう。


******


 和室からも名古屋城が見下ろせる。

「司のお蔭で、随分贅沢させてもらったなあ」

「まだまだ折り返し地点だからね。後3日あるよ」


 と、その時電話が鳴った。父の携帯だ。

「会社からか…無粋の極みだな」

 と部屋の隅で電話に応じる。

 大丈夫かな?


「え?そりゃウチの仕事じゃないでしょ!なんでウチを駆り出してるんですか!」

 何かモメてるし。

「断るか納期を延期させて下さい。私の仕事じゃありませんし、今は正当な休暇中です!」

「部長が勝手に引き受けたんでしょうが!他から人引っ張って来てやらせるのもそっちの仕事でしょ?!」

 あ、キレかかってる。

 この休み取るため結構徹夜や泊りを繰り返してたからな。


 あれ?父の気配が変わった。

「部長、今日は何年何月何日ですか?今後に備えて録音します。

 今から部員全員を集合させてください。23時には私も出社します。勿論部長もです」

 ゆっくり、丁寧に話している。


「お父さんキレたわね」

「全員で分担を決めて、泊りがけで終わらせます。

 私に電話した以上、他の面子全員にも集合を掛けるべきでしょう?

 今から東京に戻ります。

 誰もいなかったら、訴えますよ。先ずは組合に。そして、弁護士同伴で訴状を出します。

 貴方の行動の結果ですので、こちらは自動的に動くだけです。

 御託は良いです。やりなさい。それが貴方の選択の結果です。

 5時間後に会社で会いましょう」

 父は淡々と言って電話を切った。


「司、折角の旅行だったけど、会社に戻って色々終わらせるよ。

 親孝行してくれたのに、済まないね…」


「お父さん、会社訴えるって」

「今までも何度もこういう事があってね。

 でも、今回は。許さない」

 父が怖い。


「思いっきりやっていいのよ、司ももう稼いでくれてんだからお父さんが無職でも」

「ちょっとお母さん!」

「タダ辞める何てことはしないよ。辞めるなら訴えて、金ふんだくって辞めてやるさ!」

「退職旅行の費用はちゃんと取って来るのよ」

「お母さん…」


「二人とも、後3日楽しんでな!こっちが片付き次第戻るからな!」


 父は笑顔で東京へ帰って行った。


******


 翌朝。

 父が居ない、仕事上の、多分上司の采配の悪さで休みを潰されたって無念もあって寂しさと無念さを感じる。

「朝ごはんのまえに朝風呂よー」

 大浴場もないのにユニットバスでも母はゴキゲンだ。

「ウルサイお父さんもいないから羽伸ばすわよー」

 母よ…。


 きしめん等名古屋料理も選び放題のバイキングを頂き、気分を切り替えて出発だ!


 まず近くの名古屋東照宮を参拝。

 日光や上野、芝程じゃあないけど、赤い柱に極彩色に彩られた組物が豪華な拝殿が、広い境内に佇む。

 都会の中の神聖な空間だ。神聖って言っても祀られているのは人間だけどね。


 そして名古屋城へ。豪華な御殿にはしゃぎまわる母。

「でもこんな中じゃあ落ち着て寝られないわよねー」

「寝室はもっと奥で、ちゃんと落ち着いた淡い色画で設えてあるんだよ」


 こんな感じで信州東海城旅行後半戦、母娘二人旅が始まった。


******


※城の眺望で全国でも有名なホテル、KKRホテル名古屋。国家公務員用のホテルなので予約は難しいかもしれませんが、是非とも泊まってみたいホテルです。

https://www.kkr-nagoya.jp/


※世界的にも有名になった「醸し人九平治」は名古屋の萬乗醸造の酒で、前世紀末からブランド化を図り、1997年に「醸し人九平治」を発売し、その後のセールスを経てパリの三ツ星レストラン、ギィ・サヴォア等で採用されたそうです。

 この物語では発売され始めたばかりです。

https://kuheiji.co.jp/

 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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