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165.ガイド松代城 これが真田最後の城

昨日に続き今夜も不在のため繰り上げ投稿します。

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


 信越本線から長野鉄道に乗り換えて…

 これ東京に行くとき乗った地下鉄の電車だよ!一瞬埼玉に帰ったかと錯覚したよ!

 しかし電車は地下に潜らず、のんびりと山と田んぼの景色を走った。

 それを眺めつつ父が言った。微妙な表情で。

「海津城に行くのも、久々だなあ…」

 海津城、即ち松代城だ。


「川中島合戦の武田軍の本拠地、その後織田信長の小姓だった森蘭丸の兄森長可が治めたりなんだかんだで江戸初期に沼田から真田信之がやって来て、以後真田の本拠地になった、だったっけ?」

「よく勉強したなあ司!お前も信州の血が流れてるなあ」

 知らんがな。

「因みに森長可はあの津山城を築いた築城の名手だ!」

 あー。内陸だったから山陽ツアーの時行けなかったな。一度行ってみたいなあ。

 破風やアンシンメトリーの「動」な姫路城と対照的な、破風等が無い「静」の城。


「この城は森家が信州に残した織豊時代の偉大な遺産って訳ね?」

「その通りだー!」


 もうこの人とは意地を張らずに持ち上げながら聞いて褒めそやした方が良いなあ。

 それでいいのか父よ。


「あれだ!あの天守が海津城だよ!」

 あまり高い建物の無い町の向こうに、ぴょこっと…聳えるというか、もう少し慎ましやかな天守が見える。


******

 

 電車は広い堀の脇を走り、切妻の大きな櫓門の先にある駅に止まった。

 駅前ロータリーの先がさっき見た門、三之丸太御門だ。


「この海津城はなあ、この三之丸もそうだし、その内側にも二重に三日月形の馬出が設けられてるんだ。

 三日月馬出こそ武田流の縄張だ!」

 武田流の極致山本勘助が縄張した小諸城には無かったんですけど。

「そしてこの広い堀!これ自体が要害だ!」

 う~ん。湖みたいだ。あ、ボート漕いでる人が居る。


「よし、武田、織田、徳川、そして真田が治めた海津城へレッツゴー!」

 子供がいる。50過ぎた子供がいるよ。


******


 で、堀でか。でか。


「こんな広い三日月堀も珍しい!しかも三之丸も巨大な馬出で、二重になっててな!」

 更に、小さな真壁造りの二層櫓が桝形無いを守る二之丸南門へ。

 二之丸南面は平櫓が四基?五基並んで守っている。

 う~ん。平櫓でしかも切妻、小柄な物なので、なんというか盛り上がらない景色だなあ。


 だが北側には。

 内堀に囲まれた、打ち込み接の立派な本丸の石垣。

 その隅に重箱造り、真壁造りのこれまた小さい二層櫓。


 そして正面には、筋違い桝形の太鼓門。奥の櫓門が小さい。


「現在に残る松代城は、17世紀に入って真田家が整備したもので、森家が創建した近世城郭の石垣の上に建っています。

 かつては大規模な櫓があった可能性もありますが記録は残っておらず、唯一残っていた天守だけが修理されその姿を保っています。

 その他の櫓や門は規模も小さく、結果として長閑な城として激戦の昔話を今に伝えています」


「司ちゃんのガイド、お父さんよりしっくりくるわねー」

「いや、まだまだだ」

 お父さん、大人気ない。


 門を潜り本丸へ。

 中には何もない。

「松代城の御殿は三之丸の西隣、花の丸に置かれており、本丸は何も無い空間でした」

 何もない分、天守が立派に見える。

 小諸城より立派な、三層四重の天守が北西隅に付け櫓を伴って建っている。


 見下ろす風景は、低地の小諸城や崖に面した上田城と違って、穏やかな盆地だ。

「結局ここが大名としての真田の、最後で長く平和な時を過ごした地になったのよね」

「ああ。それが良かったのか、無念だったのか…」

「百年兵を養うは平和を守らんが為って言うし、良かったんじゃない?」


 のんびり城内を散歩し、私達は今夜の宿へと向かった。


******


※江戸期の松代城復原模型は下記の通りで、高層建築はほぼ無い状態です。

 この世界では、恐らく織田政権の森家が天守を上げたであろうという勝手な想像で天守の存在を設定しています。

 ま、あんな立派な天守台があれば、その上も立派だっただろうと思うのが人の情です。

https://castles-in-japan.com/%E3%80%90%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%E5%90%8D%E5%9F%8E%E3%80%91%E6%9D%BE%E4%BB%A3%E5%9F%8E%E3%80%90%E7%9C%9F%E7%94%B0%E5%8D%81%E4%B8%87%E7%9F%B3%E3%80%91/


※なんと天守の姿が一切謎の城巡りが三城続いてしまった…

 しかし生まれてこの方ン十年、「謎だった天守の姿が解ったぞ!」って話は淀城天守程度しか知りません。

 それも既知の資料を作図した結果、という物でしたし、今伝わっていない新資料というのも難しそうです。

 元和期江戸城天守立地割とか、大坂城願正寺絵図とかも割と最近紹介されたものかな?


※時尾一家が乗って来た長尾電鉄屋代線は2012年に廃線。松代駅は観光名所として鉄道跡地と共に残っていますが、実際は三之丸は愚か二之丸の東南をブっ潰す様に敷地を占有しています。

 この物語ではもうちょっと南寄り、三之丸の外に設けられています。

 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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