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160.謎の美人案内士を探せ!

※今回は日常回で城旅はありません。半分はL〇NEみたいな感じです。


******


「ねーちゃん!どーなってんだよ!」

 運悪く部活から帰った弟、またしても美人4姉妹に会えなかった。

 私は洋上の豪華な日々を思い出しつつ、せめてもと近くのスーパーで売ってたカヴァを飲んでいた。


「己の不運を呪うが良い」

「そーじゃなくて!いやそっちもだけどよー!」

 何があった?

「俺のダチ共がねーちゃんに会わせろ会わせろってウルセーんだよ!」

 

 ブフォ!飲んでたカヴァ返せ!

「ナジェアイタインディスカー?!」

「知らねーのかよ、テレビで時々映ってたり、ネットで噂になってるんだぜ?!

 貴族海運王を案内する謎の美女だってさ!頭オカシイんじゃね?」

「ちょっと待てい」頭を鷲掴みにしてやった。

 お、携帯に弟からリンクが送られて来た。


「山陽・山陰の海城に豪華船」「英国貴族・海運王のお忍び豪華ツアー」

「イテテギブギブ!」

 ふんふん。

「旅行業の黒船!豪華ヨットチャーターの新時代」「切っ掛けは地元小学生の歓迎演奏」

「ギエーっ!ゲェーっ!」

 そうか、あの旅はそういうインパクトもあったのねえ。

「なんだ?ニュースじゃなくてまとめサイト…」

「英国貴族の美女を愛でる会」「英国の美熟女貴族を讃える会」

「死ヌー!死ヌー!」

 そんなんまであるんかあ

「英国貴族クルーズ、謎の美人案内士についてkwsk」?

「巨乳眼鏡愛好家向け英国貴族クルーズ案内士対策」??

「美女案内士はあの世紀末学園祭覇王?!」

 なんか超望遠写真とか乗ってるー!


 ブッビョオオー!

「ナジェ載ッテルンディスカー!オンドゥル、撮ッタンディスカー!!」

「俺の携帯濡らすなー!」

「うるせえ飲んでたカヴァかえせー!」


******


 他の掲示板とか、ニュースにもよく見たら私の写真がー!!

「セレブと一緒だと安心できる美女具合」

「彼女にしたい案内士」

「甘えたい巨乳」

「待て奴は世紀末覇王だ」

…好き放題書きやがってコイツラ。微妙に失礼だし。


「でダチ呼んでいーのかよー」

「ダメに決まってんだろヴォケ!」

「こんなチヤホヤされるの一生に一度かもグギギギー」

 五月蠅ェんで頭を再度握りつぶす。


******


「ヤッホーおつかれー給料明日振り込むから驚いて目ぇ回すなよー」

 雅姐姐からすごい軽い電話が。

 何か初対面の時の「出来る女」風味はすっ飛んじゃったね。


「あとお家からあんまし出ない方がいいよ」

 何それコワイ。

「今度のニュースがインパクトデカ過ぎて、他の代理店のリクルータが動き回ってるみたいなのよね。

 貴方の大学から何とかしてくれって泣きつかれたんで今黙らせてる最中なのよ」

「そんな騒ぎに?!」

「御自宅に凸しても蹴散らしてね?」

「いやこの就活が大事な時に!」

「何言ってんの。もう司ンは我が社の歴史文化ツアーのコンセプトリーダーよ?日本の会社で言ったら係長とか主任確定よ?」

「はいぃ?」

「とりあえず年収500万は堅いわ。契約内容は詰てから持ってくから、他に浮気すんじゃないわよ!

 後明日大丈夫?今回の給料と、今後のお話したいから。

 じゃーねー」プツ。


 嘘、私の年収、高過ぎ?


******


 翌日、お客さんが…雅姐姐が車で来た。

 そして「案内士になろう!」社。


 目の前には、海外うみそと社長と今回の支払い明細。

 カンマが二つ付いていた。GWの時の倍じゃね?

 半分近くがチップだ。源泉徴収はシッカリ引かれていたので手取りはカンマ一つだけど、それでも見たこと無い金額だった。

 私の通帳がエラい事になってるだろうけど、怖くて銀行行けないよ。


「で、こっちが当社の採用条件書です」と社長。

 月ン十万円、ボーナスンケ月分、旅行随行以外年間休日ン日。土日は無さそうだ。

 この業界にとって土日こそ稼ぎ時だしね。

 顧客からの成功報酬除く…

 何だかお父さんより収入いいんじゃ?それに成功報酬って…

「それは役得よ。ただ、今までの2件はトンでも無さすぎたけど。フツーは数万あるか程度よ」

「でも、これ40代くらいの全国平均年収クラスじゃないですか?

 長がついてる人みたいな」


 ニヤニヤと雅姐姐が話し出した。

「実はねー、もう今月後半からってオファーが来初めて、司ンにもご指名が入ってるのよ」

「まだ就職してないんですけどー!」

「そんな直ぐにあの大ツアーが組める訳ないんでお断りに忙しいんだけど、じゃあ何月ならOKかって問い詰められちゃってねー」


「今回の貴女の給料見て貰って解る通り、相当な金額が動くビッグプロジェクトから普通の富裕層の4~5日間規模の普通のプランまで、夏休みからは企画が目白押しになりそうなんだ。

 わが社としては、今からでも社員として取り組んでもらいたいくらいだよ。

 新人じゃなくて、プロジェクトリーダーとして」

 社長から期待の籠った目で言われてしまった。


 帰りのバスコンでお延さんがシンデレラみたいーって言ってたけど…

 こんなシンデレラは嫌だー!楽なのを要求する!


「それでウチのスタッフが検討したツアーがこれ」

 コッチの心の声などお構いなしに雅姐姐が資料を渡してくる。

「貴方から見てどう?勿論アドバイス料は別で払うわ」

 5冊の企画書が。早い!というか、私の最初の企画の頃から参考に作られた、とかかな?

 ちょっと素人の私が意見を申し上げるのもコワイな。


「あと、とりあえず業界の繋がりにはウチの子を横取りすんなって睨んどいたわ。

 それでも無視して来る奴はいるだろうから、学校とかではくれぐれも気を付けてね」

「雅姐姐、一昨日ダッシュで帰ったのって…」

「余計な虫から我らがルーキーを守るためよ」

「お手間を掛けさせてしまって、すみません!」

「その替り、契約は宜しくね!!」


******


 車で送って貰ったら、家にピーコック海運東京支社から郵便。

 中には、英語の手紙、そして…雇用条件書?


 手紙の方は私に指名で「今度の旅行の企画、根回し、説明、文化社会に対する深い造詣に敬意を表し、貴殿が当社に就職を希望された場合の条件を試算させて頂いた。

 あくまでも敬意の表し方の一つとして読んで頂けたら幸い」と余り見ないクィーンズの丁寧な言葉で書いてあった。


…何じゃこりゃ?〇が一個多い気がする。

 唯、採用条件が厳しいな。赴任地は業務事情により会社が指定、転勤も希望は聴いてもらえそうにない。

 また査定はプロジェクトの成否に応じる。失敗の場合は解雇もあり得る。労組・福利厚生なし。

 報酬は高いけど、リスクも高そうだなあ。

 後、国際英語コミュ力検定…900点?!オウフ。


 ジェフ伯達について気になって調べてたら、「ピーコック伯爵夫人ショア国会議員辞職」のニュースが。

 同時にアジア協力基金の理事も辞職した様で、「アジアは自分の手で未来を掴むべき」とのコメントが載っていた。

 他の記事ではジェフ伯の海運会社、ピーコック海運がアジア富裕層向け旅行会社を創立したそうだ。

 あの報酬は新会社設立スタッフとしてのものか!これでガッチリ成功治めたら、それこそ私もセレブの仲間入りですよ?

 でもなあ。


******


 携帯でみんなに報告。

時尾「雅姐姐の会社と、ジェフ伯の会社からオファーがあったよ。後者、日本企業とケタ1つ違い」

延「素晴らしいですね司さん」

グ「マラビヨーソ(素敵)!」

次「どっちにしろ就職決まったらお祝いだな」

玉「おいしい所にいこうね」

 ありがとう皆。


スー「UK一択だな。雅姐姐の会社じゃあセレブになれんぞ」

ラン「私達も内定採れたよー、司ンとスーのお蔭だよ」

スー「おおそうだ。司ンのお蔭で内定、しかも私は役付の大抜擢だ!地獄も見たがな!」

ミキ「あれは地獄だよー。でも仕事始まったらあれが続くのかー(涙)」

時尾「何と!三人ともおめでとう!」

 そんな素晴らしい事になってたのか!でも何故私のお蔭?


スー「あの叔母さん達の商会が今回の司ンの活躍に目をつけてな、私に色々脅迫してきやがった」

時尾「それは災難」

スー「あけすけに話す訳にもいかず、雅姐姐に相談したら前回の叔母さん達の企画概要なら提供OK、後は学園祭で使った九州旅行の資料で対応すれば?って言われて持ってったら大好評だった、そっから地獄」

時尾「そうか学園祭のが役に立ったか。みんな頑張った甲斐があったね!」

ミキ「そしたら色々条件出されて旅行の企画をさせられたんだよ!」

時尾「オウフ!」

ラン「司ンいなかったから死ぬかと思ったよ!」

スー「当たり前だよ、司ンはセレブ相手に大立ち回り中だぞ?足引っ張れんだろ」

 感謝するよースー!でどうなった?


スー「いくつかの企画が採用されてこれからテスト運用だって。

   一部はなろうにも協力要請が良くから司ンもかかわるだろうな」

ラン「で、私達も採用されたよ!」

ミキ「司ンには頭上がらないネ!」

時尾「そうだったんだー。おめでとう!うれしい!」

スー「だがこれからはライバルだぞ?協業する時もあるけどね」

時尾「叔母さん達がどっちが稼ぐか賭けてそうだね(笑)」

スー「…凄いな、その通りだ。伊達にあの人達と寝食共にしてねーな」

 マジか?!チキショー。いいおもちゃだぜ。

 でも就職には代えられないよね。感謝感謝。


延「それで司さん。どちらの道にすすむのでしょう?」

時尾「悩ましいです。一生の決断ですし」

グ「御両親には相談したの?」

時尾「父は条件書見てフリーズした。母は「世の中ヒマとカネ持ってる人っているのねー」だって」

次「流石世紀末覇王の母wwwwwwwwwwwwwww」

時尾「それやめてー」

次「ネットでも司ン有名人になりつつあるぞ」

時尾「それもやめてー」


 等ととりとめもない話を交わした。

 その後。

「もしもし、お延さん?」

「差し出がましいかもしれませんが、随分お悩みの様ね」

「はは。こんな選択の機会が我が人生に訪れようとは…」

「一度、時様のお家に遊びに来られてはどうでしょうか?」

「はい?」


※山陽山陰の章、次で終わりです。

 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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