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122.旅路の果てに

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


 後日「案内士になろう!」社から振り込みが…がががが????

「あががが!」「落ち着け!」「もももちつけけけ」「餅突くな!」

 言葉にならない会話の末、私とスーは社へダッシュした。


 今回振り込まれたお給料何と!!…何と…50万円!!

 最初の約束の倍以上軽く突破してね~???!!!


******


「雅姐姐?ちょっと多すぎやしませんか?」

「言ったでしょ?交通費に宿代、小遣いも出てるって」

「いえそれでも」

 貰いすぎだよね!


「司ン…あんたそれでも結構ボられてんのよ」

 ボラれ?

「えー、意味が解りません!」

「あなたは徐姉妹の専属ガイドとしてとても気に入られて、普通以上の評価を得たの。

 叔母さん達の総資産、その辺の国超えてるの。

 その連中相手に気に入られてたんだからメガ円規模の働きをしたのよあなた」

「メガ円…しゃ!しゃくまんえん?!」

 ドッゲエエエー!


「でもね。若いころからあまりに大きな金を手に入れたら道を踏み外すって、『宿代と酒代は引かせてもらったからね』ってこの金額だって。

 ま、そっちもどんだけ掛かった事やら」


「こっここここれなんなん何かにきふきふ寄付できませんかねねねね」

「正気を保て司ン」

 おんなじ位貰った筈のスーが冷静に言う。

 こいつこんな大金子供の頃から貰ってたのか―!

 ビンボー女子大生仲間じゃなかったのか裏切り者ー!ブルジョワー!ヤクルトジョワー!


「あたしゃ10万、就職用のスーツの足しにしろだって」

 え?少なくない?

「オバサン達は結構厳しいよ。司ン、やっぱよっぽど気に入られたねー」

 そうなの?…そうなんだろうなあ。

 あの4人の笑顔が脳裏に浮かんだ。

「あー。有難いな。嬉しいな」

 自然に気持ちが落ち着いていく。


 雅姐姐がほほ笑んだ。

「多分、あなたが今後何か頑張りたいとき、あの人達は全力であなたを応援するわよ。

 でもそれはあなたが真剣に夢に取り組んで、考えられる全部を試して、全力でぶつかってそれでも駄目だった時」


 そして一転怖い顔になった!

「安易にあの人達を頼ったら逆に潰されるわよ」

 ヒー!怖いー!

「あの~。フツーに頑張って、フツーに生きて行く自由は私には残されていないのでしょうか~?」

「いえフツーにアリでしょ」

「へ?」

「そういう生き方もあり、よ」


 そういう生き方しかしませんよ!フツーに9時5時で働いて後はノンビリ過ごすんです!

 記念日ビンテージのシャンパーニュなんて何年に1回頂ければ、いやいや無くても充分です!

 ロマネコンティなんて論外!

 ン十万の城泊とか無理!

 眺めのいいホテルに両親案内して親孝行してそれで充分です!

 千円程度のスペイン産のカヴァでも充分贅沢!

 私!普通の女の子に戻ります!ってか普通の女ですよ!


「もうそうします」

「私はムリだと思うなあ。あなた何か持ってるし引かれてるもの」

「げ」

 脳裏にあのオッサンが浮かんだ。

 だが、私はみすみすあのスケベオヤジに全てを許すつもりはない!

 もっとイケメンでナウいヤングとイカしたニャンニャンするんだー!


「でもウチは貴方みたいな人材、手放したくないなあ。

 ホント真面目にウチで働かない?もう殆ど単位取ったんでしょ?

 叔母さん達は例外としても初年度で年収500超え行くんじゃない?」

「ご…ごしゃくまんえん

 …って。意外とそんなでも無いですね」

「お!冷静だな司ン」

「ふっ!騙されなかったか」

「当たり前ですよ。500なんて30過ぎたら下の線ですよ?

 セレブ相手に1千万いかなかったら、それこそ会社のレベルが問われませんか?」

「いーねー!言う言う!そうだよ。あんた自分を安売りしちゃダメだよ?」

 雅姐姐が満足した様な顔で言う。


 あれ?私、試された?


「どう?連休にまたガイドしてみない?

 今度は英語で。英検1級かTOEIC800点以上が条件だけど、行ける?」

「え、まあ何とか」


 同級生がイロイロ遊んでる最中、ガイドゼミで結構英語使わされたから受験の時からレベル落としてるゆとりはなかったし、ビジネス用語とか覚えさせられたし。こんちくしょ。

「ちょっと考えてよ。今度こそお持ち帰り無しツアーになるかもだし、英語圏の人達だしね」

「まー。連休だったらいーかなー」ちょっと欲が出た。

…なる「かも」だし?


「よっしゃー!んじゃ、次の司ンの活躍を祈って、カンパーイ!」「乎乾啦!」「カンパーイ!」

…って、これ。

『白黒松爽水』!!


「あ、コレね、今無茶苦茶流行ってんだって!」

 と、雅姐姐が指さす方を見ると…

 向かいのビルにデカい広告がー!

 んで事務所のTVでもCM流れてるしー!


「てか雅姐姐、輸入元解ってんだろなあ?!」

 スーが白目で突っ込む。

「エーナンノコトカナー」


 駄目だ、あの叔母さん達には絶対勝てない。

 就職の悩みなんてちっぽけ、ちっぽけ。


******


※一千万は吹っ掛けすぎですが、大体専属ガイドの相場は2020年頃で1日2万円程度。

 月15日前後で年400万程度と左程割が良い仕事ではありません。

 やはり副業や老後の趣味にするのが良さそうでしょうか。


※オチの、あのアヤシイ飲料。モデルになった(してしまった)黒松コーラも宜しく。

 一人で死ぬかよ、奴も奴も呼ぶ。

 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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