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116.お宿は岸和田城二の曲輪駐車場?

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


 あー…一瞬じゃなかった、もうじき12時だ。

 痛、痛た…鉄格子に囲まれてる?

 と思ったら今度は毘姐姐の炊き枕にされてる。

 これもうプロレス技なんじゃないの?

 あっちではスーが増姐姐の抱き枕にされて凄くいい笑顔で寝てる。


 ここんとこ皆ソファとかで雑魚寝する率高いなあ。

 旅の疲れがたまらないといいんだけど。

 ちょっと脱出して、と。

 自分の部屋は~。二之丸御殿の方だ。先ずは伏見櫓を下りないと。


 おや?窓の外、堀の反対側の駐車場に見たことがあるバス…もといバスコンのキャンピングカーが。

 時サンだー!


******


 何故か私はバスコンの前にいた。あー。何やってんだろ。

「よ!お疲れさん」

 白壁の方から声が。あ、駐車場の一段上、白壁の手前に時サンが椅子を出してお延さんと一献やってる。


 なんだろう?今までの疲れがドっと出た。

 いや、叔母さん達4姉妹にはとてもよくして貰ってる筈なのに、スーもいて翻訳とかの大変さは無い筈なのに。

 やっぱり富豪一族相手、お客さん相手に色々気を遣っていたんだ。

「うわ~ん!!」


「あらあらー、よしよし」

 あれ?抱き着いたのはお延さんだった。

 自動的に防衛本能が働いたかな?

 なんかこっちに手を向けて中腰になったまま唖然としてる時サンのマヌケ面がおかしかった。

「ぶはっ!あははゲホゲホ!」

「ちっ!ヒデェなあ」

 私を抱きしめそこなってそんなに悔しいか助平親父。


******


「頑張ってるみたいだねー」

「がんばってますよー」

 こっちで飲んでるのは日本酒だ。やっぱり時サンだなあ。

 お酒は「三輪福」。岸和田のお酒だ。

「同じく、井坂十蔵!」

「何言ってだ?」

「いや気になさらずに」


「いやいや、あの女傑軍団相手に気に入られて一緒に寝泊りするなんて大したもんだよ。

 普通は『ふーん』『あーそー』で二度と声はかからず、そんな感じだよ?」

「あー。そうなんだ。普通そうですよねー」


「司さんの物怖じしない態度、真剣に案内する物を楽しんで貰いたい、色々知って貰いたいって誠意が、あの軍団の何かに触れたんだろうなあ」

「そうですか?へへ、嬉しいなあ」

「あの子達も、立派になりましたねえ。危なっかしかったけど」


「ん~。時々時サンの事知ってたり気にしてたりした様な事言ってたんですよ。

 昔何かの係りがあったんですか?」

 ちょっと気になったけど…

 これ、あの人達の過去を探る事にならない?


「あ!私余計な事聞いた?」

「そういう一歩引いた所もあの人達の心証を良くしているんだよ」

 そうなのかな?


「あの子達は昔苦労して祖国を捨ててT逃げてきて、日本で奨学金を元に学校を出て起業したガールズサクセスストーリーの主人公達なんだよ」

 時サンは事もなげに話してくれた。

 この人の事だ。あの人達に知られて嫌な事は言わないだろう。

「あーそんな感じしてました。まあ企業情報の経歴見れば何となくわかる話ですよね」


「しかもバイオレンスアクション寄りの」

「そーゆー感じもしてました」

 時々放つ持姐姐の殺気とか、毘姐姐の超人的体力とか。


「更に国際革命支援や武器密輸とか」

「それは…」

「何度か殺されそうになったりね」

「…」

 何だか段々ヤバくなってない?

 私ゴッドファーザーの世界に出入りしちゃってました?!


「でも、強運と絶対諦めない意志の強さ、仲間を絶対助けるって団結力でピンチを切り抜けてね、今の東南アジアの歴史に欠かせない偉人になったんだよ」

「そんなスゴい人だったのかー!」

「あの子達に救われた国も3つや4つ、人命だと数千万人に上る」


 凄い!凄いんだけど。

「それは時サンが言っても何ですよねー」

 目の前にお延さんやお次さん達助けるために日本の歴史を書き換えちゃったオッサンを目の前にしちゃうとねえ。

「彼女達は時間とか空間を操れないぞ?」

「時サン案外あの人達のピンチ助けたりしてません?」

「ん~何の事かなフフフ」助けたんだ。


 お延さんが笑顔で私達の杯にお酒を注いでくれる。おっとっと。

「不思議ですね。時様が助けたあの子達と、司さんが知り合って一緒に旅しているなんて」

「私には時サン自体が謎の中の謎なんで、なんだかそういう事も色々あってもおかしくない気がしちゃいましたよ」


 あ~。何だか凄い安心した。

 この冴えないオッサンの酒臭い顔がこんなに安心できるとは思わなかった。

 吊り橋効果って奴かな?

 いつ取って食われるかわからない女傑軍団に放り込まれてたお蔭でこんなに安心できるのかな?


 しばらくお話した後、

「さて、そろそろ仕事に戻りますね」

「おお、逞しいね」

「誰かさんのお蔭ですよ。バスの中はお次さんやグラ玉ちゃんも一緒でしょ?」

「ああ。ランさんとミキさんもね」

「私そっちで旅したいなあ」

「明日、仕事が終わったらまた家や寮まで送るよ」

「地獄に仏―!」

 嬉しい!これで勝つる!


「司さん。最後まで、あの人達をきっちり楽しませて欲しい。

 日本にゃこんないい所や、いい若者が居るんだぞって教えてやってくれ」

「すげー重い責任感じるんでやめて下さい」

「はは、そうだな。ま、気楽に、いつもの司さんで」

「そうします!」


 ちょっと後ろ髪引かれつつ、私は二之丸御殿へ戻った。


******


※時サンの日本酒コレクション、今回は岸和田市内の井坂酒造所の逸品です。

 大〇戸捜査網、隠密同心お馴染みの向上。

 大人気なろう小説「のうきん」でヒロインがいつも言ってるアレです。TACの隊長です。


 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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