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109.ガイド鳥羽城・伊賀上野城 やはり築城名手は××?!

本日夜間不在のため今のうちにアップします。

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


「あっはっはーついに捕まったか~ガンバレぶちっ」

 ヤーティンさんに助けを求めるが「ぶちっ」された。ま、しゃーねーか。

 だけど何だか嬉しそうだったぞヤーティンさん。今度会ったら文句言ってやる。


 そしてバスは南東へ。


******


 そこは、戦場だった。

『これとこれ、黒もいいね!サンゴは似たのあるし』

『この不揃いの黒いいわねー!赤のドレスに会うかしら?』

 今まで奥の方で沈黙してたナイスバディな姉妹が目を血走らせて店内を右往左往していた。


『姐さんにはこの宝石との組み合わせなんかいいんじゃないかな?』

『あなたの財布で買えるかしら?』

 仲良し美男美女姉弟も色めきだっている。イケメン弟君、シスコン?


 勿論、大声でアーダコーダ言っている4姉妹の事は、知らない。


 ここは養殖真珠で財を成した〇木本真珠島の展示販売所だ。

 そして私はここに本来要る筈じゃなかったんで、バスで待機…

 と思ったら毘姐姐に抱えられて「欲しいの選べ!」とか言われる始末。

「約款で禁止されていますので~」と断ったら「気持ちだよ!」と気圧されたので、学生でも手が届きそうなの選んでお茶を濁した。

 なんか頼んだのと微妙に違う感じがするが、それ以上は言わない。


 本当はここから見上げる対岸の丘、鳥羽城を案内する筈なんだけど、まあ~プランBだな。


******


 真珠島から遊覧船で対岸の大手水門、海に向かって開かれた櫓門の前で下船。

「いやー、おもしれーもんだぜ!門だけに!」毘姐姐。日本人か?

「鳥羽城は織田・豊臣配下で海軍を指揮した九鬼氏の城です。

 城自体は当時の標準的な近世城郭ですが、外郭部に鉄船、蒸気機関の整備を行える工場を併設しており、琵琶湖の海軍と連携するための鉄道も結ばれており、17世紀としては近世を通り越して近代レベルに近いの工業基地でもありました」


「やっぱニホンは凄いわねえ」

 さっき買った真珠のネックレスを豊満な胸元で輝かして増姐姐が言う。

 凄いのは姐姐さんのナイスバディです。


 大手水門の奥には二之丸御殿。ここは迎賓館等には使われず、九鬼水軍から日本海軍、海上保安庁へと進化する過程が展示されていた。

 織田門下で瀬戸内を掌握し、琵琶湖運河で安土から大坂を支配し、大坂の乱では大軍を大坂へ急行されポルトガル・スペイン艦隊を殲滅させた鉄の艦隊も模型で展示されていた。


 勿論、現代の巡視艇の模型も展示されている。

『あー、この船あん時のだ!こん畜生!』

『よく見た奴よね。男に追い回されるはいいけど船は懲り懲りよ』

『日本の警察は見る目が鋭い。ごまかすのも一苦労だったよ』

『もう、あんな事はしなくていいよね。皆のお蔭でさ』

 何だか叔母さん達、盛り上がってる。


 御殿の外にはより大型の模型や実物も展示されている。

 何故か叔母さん達の目は、見学というより懐かしい物を見る目だった。


******


 御殿の頭上には折り重なる白壁と諸櫓。

 ここからだと天守は内陸側に向かっていて見えない。

 まあ、二層の重箱櫓の上に望楼乗っけたイマイチ冴えない天守なんですけどね。


 それでも本丸に上り、天守から真珠を買い漁った〇木本の島を眺めてなにやらご満悦な4姉妹であった。

 なおちびっ子たちは大手水門廻りで勝った貝の串焼きでご満足であった。

 この辺り、海産物も美味しんだよね。


******


「銀ー座でーひーとーつ」

 バスは朝から出来上がってる酒臭い人達を乗せて一旦来たへ、そして名阪国道を西へ。

「情~熱の花ー!」

 なぜこの人達は日本の懐かし歌謡曲ばっか歌ってんだろ?

「大体東南アジア圏って日本文化が遅れて入って来てるんだよ。しかもこの人達結構昔…」

「ハオ~!」「ひっ!!」

 あ、連行された。ガンバレー。

「司ンも何か歌えー」

 よし、バスガイドっぽい毒にも薬にもならない歌!

「もーしも~私が~家を~」

「よーし月並みだがいーぞ!飲めー!」

 またシャンパーニュ。勿体ないから少し頂きます!


******


 なんてやってると伊賀上野城。遠くに破風の無い五層の層塔式天守が見える。


 巨大なコの字型の櫓門が固める西大手門を潜ると…

 その先は西側が大坂城もかくやという峻険壮大な石垣!

 しかしその南面はなだらかな平地で、低い石垣と屋根すら持たない大きい冠木門。その手前に駐車場。


「なんだかやる気あるんだか無いんだかわっからねぇ城だなあ!」毘姐姐の言う通りだ。

「はい。この伊賀上野城は、実は未完成の城です。

 築城の名手藤堂高虎が大坂への詰めの一手として高石垣で固めた本丸を中心に、堅牢な大手門二基を外郭に備え、あちらの天守台に層塔式の5層の天守を建築していましたが」

「が?」

「終わっちゃいました大坂の乱」

「チェー!」何そのガッカリそうな毘姐姐。あんた真田昌幸(信綱の父、バトルジャンキー)の生まれ変わりか?

「そのため未完成のこの城は城代御殿だけ仕上げて本丸周囲の石垣工事も中止。

 完成間近だった天守も大急ぎで解体し、藤堂高虎は『台風で崩れた』と報告したそうです。

 太平の世になったため不要な城を残したくなかった家康の意を汲んだ高虎の配慮なのでしょう」

「チッ!やっぱ××野郎は××だぜ!」

 まあ気持ちはわかる。

「藤堂高虎は徳川家康に高く評価され、津を居城、上野を詰めの城と二城の所有を許され、改易もされずに江戸時代を通してこの地を支配しました。

今建っている天守は、昭和に入り地元の名士が古図面を元に再現したものです。

 その姿はこの後行く予定の丹波亀山城と瓜二つですので、兄弟天守という関係かもしれません」

「イエヤスも、大したことねえなあ」

「徳川200年の平和を築いた人なので~」

「平和かあ…オメー色々考えさせんなよ」

 お?て事は喧嘩番長の毘姐姐、色々考えて下さってる?


******


 なお天守内は議員さん所蔵の武具刀剣を展示してあるのみ。

 何かのオタクなゲームとのタイアップもしていないみたいで少々寂しい物があった。


 こんなんだったら地元特産品の紹介とかあればいいのにね、大坂城駅前天守みたいく。


「勿体ねーな。新しい建物だっつうなら折角観光客が来るんだし特産品でも売りゃいいのにな!酒とか、肉とか!」

「毘姐姐と考えが同じだったー!」

「お?気が合うなあ司ン!」抱きかかえられた―!


「ニンジャいないー!」「ニンジャー!」

「いるよー」


 駐車場近くの武家屋敷がカラクリ屋敷に改造されて博物館になっている。

 これは大うけだった。

「司ンもニンジャー?」「違うよーフツーの女子大生ですよー」「ウソー!」「ウソー!」

 何だか大広間では忍者映画やってる。あ!くの一爆発した!子供の忍者自爆した!ひでー!

 あ!巨大蝦蟇が御殿ぶっ壊した?!何だコリャ?!ドラゴン出てきて櫓ぶっ壊した!よくできたミニチュアだなー!

「司ンー!お城コワセー!」「コワセー!」

 忍者の風評被害爆上がり中。


******


※鳥羽城、小学校の敷地になっていた所為でわずかに山麓の武家屋敷の石垣が残る程度。大手水門等二之丸は国道と鉄道の敷地となり消滅しています。

 往年の姿は下記の通り。一度途中まで描いて挫折した過去がある、複雑な姿です。

https://castlejp.web.fc2.com/03-hokurikutoukai/21-toba/toba.html


※〇木本真珠島のお話、半分実話。女性を、特に年配の女性を狂わせるなにかがあそこにはあるのです。


※津城に続いて全国の藤堂高虎ファンの皆様スミマセン。


※伊賀上野城天守解体の下りは伝説の域を出ません。しかし現地を訪れた者なら急峻な本丸西面石垣とそれ以外のゆるゆるさを見て「これは配慮だなあ」と思わざるを得ません。

 なお層塔式だったとか亀山城と似てたとかは、一部そういう考証をする説もありますが根拠はあるんだか無いんだか。

 も一つ言うと、本丸東側は藤堂高虎以前、筒井順敬が居城としていた区画が一段高く設けられ、ここに高虎以前に三層の天守がありました。

 いつもの復元図ですが、この城復元してもあまりにもパッとしないので今回省略です。


※現在の伊賀上野城天守…「伊賀文化産業城」は昭和に入って地元の衆議院議員川崎克氏が木造で建造したもので、旧態と無関係な模擬建築です。

 ですが今となっては昭和の貴重な木造建築であり、また氏のライフワークだった松尾芭蕉顕彰のため寄進した記念館「俳聖殿」と並んで郷土の歴史を刻んだ文化遺産となっています。


※伊賀流忍者博物館は実在しますが劇中とは位置が違います。本丸北側、俳聖殿近くです。

 館内で流れてたヒデー映像は何だったんでしょーねー(スっとぼけ)。


 もし楽しんで頂けたら、また読者様ご自身の旅の思い出などお聞かせいただけたら今後の創作の参考とさせて頂きますのでお気軽に感想をお書き下さい。

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