プロローグ
新連載です。
もう完結まで書いている作品なので、安心してお楽しみください。
「僕と結婚しよう」
それはまるで、透明度の高い硝子のような声だった。涼やかで、透き通っていて、だけど丸みも感じられるような、美しい声。言葉を紡いだ唇も薄くて形がよく、顔の造形はまるで黄金比で作られた人形のような精巧さと端正さがあった。全体の雰囲気は優艶を体現したかのようで、 手足も長く、シルエットでさえも彼は気品に溢れている。
新雪のような白銀の髪。その奥にあるラピスラズリの瞳がゆっくりと細められる。
「ね、レイラ」
砂糖をまぶしたような甘ったるい声で名前を呼ばれた瞬間、レイラ・ド・ブリュネは思い出した。自分の前世が日本人の女子高生だったということを。この世界が前世でプレイしていた乙女ゲーム『恋と魔法のプレリュード』、略して『こいまほ』の世界だということを。そして目の前にいるのが、隣国の第二王子、アルベール・レ・ヴァロワ、またの名を『ヤンデレ最凶王子』であることを。
取り壊される予定の旧校舎で(監禁だよ!)
手首を縄状の黒っぽい何かで繋がれたまま(拘束だね!)
レイラは自分の前世とこの世界のあり方を、唐突に思い出したのである。
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