コ、コイツ、ヤベー
知らない天井だ…
スパイが布団の中で目を覚ます。
「ん?起きた?」
女性がスパイの顔を覗き込む。
この態勢、この感触、まさか膝枕!?ん?待て、ここはどこだ?
スパイは一瞬正気を失いかけたが、ギリギリで留まった。
「俺はどうして気を失ったんだ…」
「それ、私のせい、」
何やりやがったコイツ?
「こう首をトンって」
女性はジェスチャー付きで答えた。
それができるのはフィクションだけだぞ?嘘も大概にしておけ。
「あっ、その時何か壊しちゃったみたい…」
はぁ?首に仕込み武器なんて仕掛けてないが…
スパイは自身の首を確かめる。
#体内装甲__プロテクター__#が逝ったーー!!
なんだコレは、どう言うことなんだ?分からん?は?え?コレは俺様の自信作、徹甲弾も一回限りなら完璧に防げる代物だぞ!?一体どうやっ…
「だから、首をこうトン、って」
あー、そう言う見え見えの嘘はいい。粗方、催眠ガスがなんかで…待て、心読まれてないか?
「読んでないよ?」
よ、読まれてる!
「ちょっと待ってくれ、聞きたいことが山ほどある、いいか?」
「ん?いいよ」
「まず一つ目俺はどうして気絶した?」
「首をこう…」
そんな嘘はどうでもいいんだよ。信用されたいなら証拠の一つでも出しやがれ!
「ん、分かった」
「は?」
女性は手を伸ばし前屈みになって何かを掴んだ。
「あ、ごめん」
女性の胸がスパイの顔に当たる。
「別に構わん、それで何なんだ?その球体は?」
「鉄の玉?」
何故疑問型?いや待て、それをどうするつもりだ!?
「フン!」
パーン!
その球は金属とは思えない音を出して弾け飛んだ。
「あっ……」
スパイは恐怖のあまり気絶してしまった。