表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/33

第7話 魔王軍四天王はサクっと討伐

流星の耀き(メテオ・インパクト)!」


 たーまやー!


 私が召喚した隕石がすべてを消し飛ばしました。


 オリエンスってどんな姿だったんでしょうね。もちろん千里眼で魔王軍は確認しましたけど、どれがオリエンスなのかなんて見分けが付かなかったです。


 まあよく言うじゃないですか。口の中に入れればみんな同じ。全部吹き飛ばせばみんな同じです。


 RTAなので必要な戦闘以外は回避推奨ですしね。


「な、なな、ななな」

「どっか寄ってきたい? もう走り出してるから、引き返して欲しいてのは無しで」

「ちょ、ちょっと、え? 何? 今の? 何?」


 戸惑ってるアスに関するコメが多いですね。概ね好意的で良いんですが、うーん、この要望には困りました。


 アスはミカエルくんより年上でお漏らしさせるのは難しいですし、さすがにこの年齢でお漏らしを全国配信は可哀想でしょう。いやぁ、投げ銭の前振りじゃなくて、わりとマジで。アスが外歩けなくなっちゃうよ。


 その時は養ってあげるとか、そういう問題じゃねぇよ。


「そうそう。魔王軍四天王、南のゴアプってのがさぁ、ちょっとだけ東側に拠点を構えてるらしいんだよね」

「まさか」

「ちょっと寄り道して、そっちも消し飛ばしてから王都へ帰るから」

「ど、どうして?」

「どうしてって、時間短縮以外の理由はないけど。アスが目を覚まさなかったら、東からぐるりと時計回りに四天王討伐して、それから王都へ戻るつもりだったし」


 あ、もちろん異世界召喚に慣れてない人は、四天王を一匹討伐するごとに王都に戻って身体を休めたり、新しい装備を整えたりして下さい。


 じゃあ、移動の間にアスの装備に関するアンケートを採りますね。ここは視聴者の要望に応えます。配信である限り、見た目はとても重要ですから。


 おい勝手にアンケートを始めるな。


 えー、これやんのー。私がヤバイ奴みたいじゃん。ヒロインの服選びイベントって言われてもなぁ。


 分かったって。そりゃレギュレーションは守るよ。


「ねぇ、アス、ちょっと頼みがあるんだけどさ」

「な、何?」

「メイド服着てくんね?」

「………Kは頭が変?」


 ほらあああぁぁぁーーー!




 東と南の魔王軍四天王を討伐して王都へ凱旋します。大歓迎でセレモニーが開かれるなんてことはありませんけど。


 あれミカエルくんが出迎えてくれるようです。でもミカエルくんとのイベントはもう終わったので、さっさと追い払いましょう。


「勇者! 無事だったか!」

「悪いけど、急いでるから後でね」


 この後の予定は、まずアスのサイズのメイド服を調達。それから冒険者ギルドで討伐完了の報告をして、それも終わったら北と西の四天王を討伐しに出発です。


「え、ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 ミカエルくん、馬で移動してる私たちを追い掛けて来ます。街中なんでスピードは出してないですけど、歩幅が合わないのか小走りになって苦戦してますね。


「君に助けられたこの命、少しでも魔王討伐のために役立てて欲しい!」

「じゃあ城に帰って大人しくしてて」

「なんでだっ!?」


 なんでも何も、アス一人なら馬一匹で後ろに乗せれば良いけど、ミカエルくんを連れて行くとなったら馬二匹か馬車になります。その時の移動時間がどれ程延びるのか、考えるまでもありません。


 んー、でも連れて行って欲しいってコメが散見してますね。どうしましょうか。


「だって付いて来れないでしょ?」

「くっ、だけど僕は、知ったんだ! 君の言った通り、僕がまだまだだって!」

「なら、やるべき事が違くない?」

「いやそんな事はない! これが僕のやるべき事だ!」


 やべぇ奴ですね、ミカエルくん。将来、人の話を聞かない暴君にならないと良いですが。


「K、誰この人?」

「むっ、君こそ誰だ。何故彼女と同じ馬に乗ってるんだ」

「この子はミカエルくん、デュラリオン王国の王子様らしいよ。この子はアス、事情があって私と行動を共にしてるんだよ」

「この国の王子?」

「事情ね。気を付けてくれ勇者、こいつ魔王と同じ不吉な髪の色をしてる。間諜かも知れないぞ」


 おっとミカエルくんが嫌な情報を口にしましたね。もしかして魔王が銀髪美少女だったりするんでしょうか。そんな事になったら、私の視聴者様たちが攻略難度を天井知らずに上げそうで怖いです。


 あー、もう上げようとしてるし! おいてめぇら、これで魔王がおっさんだったら、おっさんの衣服だけを一枚ずつ丁寧に引っぺがして欲しいのかよ!


 よし収まったな。


 想像しちゃった? お前の勝手だって言いたいところだけど、口直しにアスがメイド服を着るんで投げ銭していって下さいね。


「ねぇK、これ動きにくいし馬にも乗りにくい」


 サイズの合うものがあって良かったです。銀髪ヒロインにメイド服はなかなか映えますね。映像が華やかになって嬉しいです。なんかもう次にアスに着せる服のアンケートを始めている人がいますが、イベントとしてヒロインの服イベントはこなしたので、次はないです。無いってば!


「我慢してね。神々が理不尽な試練を与えてくるからさ」

「侍女服がKの趣味なのか?」

「違うよ。神々の趣味」

「Kは勇者だから神々の声が聞こえるという事か。しかし、侍女服なのか。神官たちはこれを知っているのだろうか? 後で伝えておくか」


 視聴者様たちとミカエルくんのせいで、デュラリオン王国の宗教が大変な事になりそうですが、まあ私には関係ないのでさっさと冒険者ギルドへ行きます。


 冒険者ギルドへ入ると、入り口近くに座っていた酒臭かったおっさんが立ち上って、私に近付いて来ました。


 今日は酒の臭いはしないし、依頼を出してくれたのがおっさんなので、ここは笑顔で応対してあげましょう。私のスマイルはゼロ円ではないですが、依頼料という形で徴収するのでサービスです。


 ニヤリ。


 これが私の笑顔です。


「お前、本当にっ!」

「次は北と西もやってくるから、そっちの依頼も出してくれる?」

「は、はははっ! くそったれ! いいぜ、超特急で作らせてやる!」

「ああ、超特急で頼むね」


 おお、急に良い奴になりましたね。全国配信で碌な大人じゃないとか言っちゃってごめんよ。おっさんの癖に興奮して、せっかくアスが華やかにしてくれてる映像を汚しているんで、プラスマイナスで言うとマイナスな気もしますが。


「ギルドの管理してる魔導馬車も手配してやる。普通の馬より早い」

「んじゃ、それもよろしく」

「今の人も、まさか魔王軍四天王があんな形でやられたなんて、夢にも思わないでしょう」

「ふんっ、なんだお前、Kのやり方に文句があるのか? 卑怯な魔王軍に対抗するのに、どんな手段を使っても許されるだろう」

「………まだ卑怯な手段だったら良かった」




 おっさんの名前はデルギーンって言うらしいです。はい、どうでも良いですね。


 魔導馬車は石油自動車程度の性能しかないようです。私とアスだけなら馬に強化術式掛けたほうが早いですけど、ミカエルくんが付いて来ているので、こちらを使って移動になります。


 操縦はデルギーンが買って出てくれました。


「ガキ勇者、勇んで出発したが、俺たちは温室王子入れてもたったの四人だ。作戦とかはどうすんだ?」

「誰が温室王子だっ!」

「作戦? そんなの立ててたら時間掛かるじゃん」

「そう。Kには不要」

「へっ、まあいい。アイツがぶっ殺されるところ、この目に焼き付けてやる!」

「………無理だと思う」

「無理? 俺だってアイツの力は知ってる。だが、それでも勇者ならやってくれるかもって期待してんだよ!」

「そういう意味じゃない」


 ん? 何? ああ、仲間の割合かぁ。


 まあ、視聴者様たちのご指摘は尤もです。仲間の割合が男女比二対一、しかも片方はおっさん。これは由々しき事態ですね。


 RTAにタイム以上に優先されるものなどない、のはある種の正解ですが、RTAの前に配信、私のチャンネルです。真に重要なのは私と視聴者が楽しめて、投げ銭が貰える事。


 仲間を増やしたいところですが、見つかるかな。


 あ、着いたみたいですね。


流星の耀き(メテオ・インパクト)!」


 かーぎやー!




 46:58:31


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ