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第29話 追加放送 コスプレ撮影会

 デュラリオン王国のステーションに到着しました。


 大量生産品と中古品を引き詰めた安上がりの発着場に、プレハブ小屋の入出国審査場。


 WDOが本気を出せば一日で豪華な城も建設できるはずなのに、この体たらくですよ。


 人員と予算のせい? そのくらいは知ってますよ。でも一般人、特にその地元の人間に対して、お前の所には人員も予算も回せないって言って納得して貰えるとは思えませんけどね。


「なんか田舎の無人駅みたい」

「アスも酷いこと言うね」

「え? 酷いのかな? 私の頃は褒め言葉でもあったんだけど」


 さて都会を住んでいる私たちにとっては、田舎の寂れたステーションに過ぎませんが、デュラリオン王国にとっては違います。


 何せデュラリオン王国は、この広い三千大世界を知ったばかり、無数の異世界群との交通手段はこの田舎ステーションしかないのです。


 三千大世界との繋がりであるステーションを守るため、大勢の兵士を常駐させています。田舎ステーションをぐるりと木製の柵で囲み、内側には十以上のテントが立ち並んでいますね。野戦の陣地か何かかな。


 いや、WDOはステーションを破壊されることにも慣れてるんですけどね。外の世界との繋がりを持とうとした時、それに反対する勢力が勢いづくのはよくある話ですし。壊されても良いから、こんなニコイチみたいなステーションを作ってる訳です。


「あなたは勇者様!? 勇者様が再訪してくださったぞ!」


 デュラリオン王国の鎧を着た兵士が私に気が付いて話し掛けて来ました。


 まだ私のことを勇者だって? こいつらWDOから何を聞いたんですかね。ちゃんと話を聞いていれば、私は勇者じゃなくて美少女配信者だったって分かりそうなものですが。


 グレーゾーンスレスレの配信者? はっはっは、うるせぇ。


 まあ、このままデュラリオン王国の城まで案内して貰って、ジブリールちゃんに会いましょう。




「待っていたぞ、K!」


 留学中のお漏らし王子、じゃなくてミカエルくんが何故居るんですかね。


「なんでここに居るの? もう落第した?」

「Kが来ると言うから、帰って来たのだ!」


 駄目ですね、コイツ、早く何とかしないと。今、ミカエルくんにとって重要なのは留学先で勉強することです。遊んでる暇なんて無いでしょう。


 まさかとは思いますが、ミカエルくん、私に恋とかしちゃってる訳? 弱小国家の王子なんて私が見向きすると思う? せめてデュラリオン王国を常任理事国まで上げたら、考えてやっても良いけどね。


 冗談冗談。つーか、我が事ながら女を見る目ねぇな。私のどこに恋する要素があんだよ。


 え? 私の恋愛観かぁ。そうだなぁ。光姉さんが本格的にイキオクレなったら、お嫁に貰ってあげようかな。


 って、貰うかボケ! 血の繋がった姉妹だぞ!


 ジブリールちゃんと再会するまで、ミカエルくんが留学先の出来事をペラペラと話していますが、相づちはアスに任せておきましょう。この二人、連絡取ってる様子がないので仲悪いんですかね。


 そしてジブリールちゃん登場です。ほらお前ら盛り上げろ!


 以前よりも着飾ったジブリールちゃんだよー。


「勇者様、またお目に掛かることができましたことを神に感謝いたします」

「ああ、いいよいいよ、そういうのはさ! あ、これお土産ね。こっちは賞味期限あるから早めに食べてね」


 ジブリールちゃんがでっかいパンダのぬいぐるみを抱えている絵が大好評ですね! 私が持つと食糧にしか見えないって感想なのに。


 あ、皆さん知ってます? パンダって昔は食用なんて考えられないくらいの希少種だったらしいですよ。国によったらパンダを使った外交戦略になるくらいだったんです。こういう事言うから、食糧にしか見えないって言われるんでしょうね。


 ともかくジブリールちゃんが高級焼き菓子を食べてるところは撮影しましょう。デュラリオン王国は思ったよりも荒廃していなかったとは言え、魔王軍との戦争で物資には困っていたはずです。食糧だって必要以上の贅沢はできなかったので、きっと美味しそうに食べてくれるでしょう。


 ああ、ジブリールちゃんの今後は大丈夫です。WDOの支援もありますし、新発見の異世界なので各国の企業が開発に乗り出しますから。


 だからお前ら、デュラリオン王国へのチケットを購入しようとすんな。お呼びじゃねぇよ。


 そんな事よりもジブリールちゃんの手を掴んで更衣室へ。アスもちゃんと付いて来てます。


 持ってきた大量の衣装を見せます。


「勇者様、これは一体?」

「魔法少女」

「勇者様、こちらは?」

「ホワロリ」

「勇者様、下着では?」

「水着」


 ジブリールちゃんは本当に良い子ですね。すべて私の指示に従って着替えてくれるそうです。


 はいはい。いくら投げ銭してもお着替えシーンは放送しません。


 いやぁ、真面目な話、放送したら要求したお前たちもヤバイよ? ジブリールちゃんのお着替え映像がハードディスクに保存されているだけでお縄だから。


 はーい、それでは魔法少女から! 私は見ていませんが、今期放送しているアニメのコスです。誰だよ、これを私に郵送した変態野郎は。今の内に逮捕したほうがよくね? ポージングに決め台詞、そして悪役になった私との再現シーン! これで満足かよ? ついでにジブリールちゃんを攻めてやるぜ!


 次はフリルいっぱいのホワイトロリータファッションです。待ち受けている次のせいか、ジブリールちゃんの表情が硬いですね。緊張を解きほぐす前に、アスに絡みましょう。私は銀髪のアスに白いの着せるのは全体的に白すぎると思うんですが、ファッションセンスのない私の番組の視聴者たちは、頑なにジブリールちゃんとお揃いを主張しました。


 お待ちかねの水着でーす! ジブリールちゃん、顔を真っ赤にして座り込みです。まあ水着の露出面積って下着よりも少ないことが間々ありますからね。今回はジブリールちゃんの年齢を考えて面積多目なんですけど、デュラリオン王国の常識的にはまだまだ布が頼りないみたいです。これだと撮影会にならな―――え、これで良いの? わりとマジで視聴者たちの性癖が分からん。


 肉球キャップ付きの猫衣装、ニャーニャーと鳴き真似をしてくれるサービス精神旺盛なジブリールちゃん。


 コスプレの超々定番ハロウィーンの魔女、お菓子をくれなきゃイタズラしちゃう。さっきあげたけどね。


 まだまだ服はあるよー!


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