1話 なんで俺が
読んでいただけるとありがたいです。
俺は、幽薙 霊夜。どこにでもいる普通の高校生のはずだった。しかし、現実はとても非情で俺に安寧などくれはしなかった。いつからだろうな、幽霊と言われるヤツらが見えるようになったのは。思い当たる節は父さん達が死んだことくらいしかない。
「なんで俺だけ生かしたんだ。父さん。」
当然、父さんは無反応だ。俺が見えてないような、虚ろな瞳をしていた。おっと、もうこんな時間か。学校行かないと。俺は慣れた手つきで朝食を作り、制服に着替え家のドアに手をかけ言った。
「行ってきます。」
通学路にもたくさんの幽霊がいる。人間だけじゃない、犬や猫の動物もだ。霊にもオーラがある。オーラには種類があって、黒いモヤなら怨霊、黄色いモヤなら守護霊、そして白いモヤなら生霊。
「なんでなんでなんでなんでなんでナンでナンデ…。」
幽霊にも喋るヤツがいる。喋るヤツは、大抵自分の死んだ理由を知らないヤツか、恨んでいるヤツだ。怖くないかって?最初は怖かったさ。でも慣れた。というより慣れないとやっていけなかった。あの人、なんて数怨霊を連れてるんだ。少し近づくと怨霊の声が聞こえてきた。
「ウラぎり者、ナンでまだいぎてる。」
裏切り者だと。まさか、この人。人殺しか、それなら納得だけど、このままいくとこの人呪い殺される。でも、俺にはやれることは無い。早く学校行かないと遅刻する。今日は何か違うなんてこの時は考えもしなかった。そして教室に入って驚いた。幼馴染の円 輪廻に怨霊がついていた。なんで輪廻に。見た目からわかる、コイツは確実にやばい。するとそいつは俺が見えているのに気づいているかのようにこっちを見て笑った。俺は少し驚いた顔をし、深く考えた。どうすればいいんだ。このままじゃ、輪廻が死んじゃう。早く案を考えないと。そんな時にホームルームが始まった。いや、どうでもいいから考えないと。と、その時。
「霊夜君、輪廻さん。今日の放課後、生徒指導室まで来なさい。」
なんで俺と輪廻が。そんなことを思っていると祓宮 札幣先生がこっちを見て安心しろみたいな視線を送ってくる。全然安心できない。でも、まぁ、少しは気が楽になった。この日の時間の進みはとても早くあっという間に放課後になった。コンコン。ガラガラガラ。
「失礼します。」
「どうぞ。そこに座って。」
「はい、わかりました。」
「札幣先生、なんで俺たちを呼んだんですか。」
「僕、回りくどいの苦手だから率直に言うね。幽薙 霊夜、君にはあれが見えてるね。」
札幣先生が指を指す方向には、あの怨霊がいた。
「祓宮先生、なんで何もいないところを指さしているんですか。」
「あーごめん。今日コンタクトしてないからすごくボヤけているんだ。君を指さしたんだよ。」
「はい、見えてますよ。でも俺にはどうもできません。」
「率直に言うが、君。僕の弟子になる気はないかい。」
「え?」
これが、俺の初めて会った霊消師だ。そして、同時に俺が霊消師になるきっかけの人だ。必ず俺があれを消す。だから、安心してくれ輪廻。
どうも響猫時雨です。ちなみに読み方はきょうびょうしぐれです。初投稿であまり上手とも言えない作品ですが、コメントしてくれると励みになります。投稿は不定期ですが、楽しんでくれると嬉しいです。