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125※残酷な描写ありマリンブルー4

 翌朝、目覚まし時計に起こされた命は大きく伸びをしてから目を擦りながら部屋を出て、ぼんやりとする頭をスッキリさせるために洗面所で顔を洗った。


「ちーちゃん、おはよう」


 タオルで顔を拭いていると、突如トキワに抱きつかれたので命は悲鳴を上げた。にも関わらずトキワはがっしりと抱きしめたまま命のうなじを鼻で撫でた。


「今日も可愛いね。好きだよ、ちーちゃん」


 朝から絶好調のトキワの溺愛に命はタオルから顔が離せなかった。しかしこのままだと出発の時間が遅れてしまうのでタオルを下ろせば、待ってましたと言わんばかりに唇を奪われてしまった。


「ちーちゃん、トキワお兄さま、朝からラブラブだねー!」


 顔を洗いに来たのか、ニヤニヤしながら洗面所の入り口で顔だけ出して冷やかす妹に命は再び悲鳴を上げて、トキワを突き飛ばし、逃げる様に自室に駆け込んだ。



 ***

 


 ちょっとしたハプニングはあったが、出かける準備を済ませてから命とトキワ、そして実とイブキはレイトとヒナタと合流して、魔物が大量に出るが近道と言われている獣道を下りながら港町を目指した。


「十二っ!」


 レイトは数字を言うと相棒の両手剣で魔物をなぎ払う。この数字は何かというと、レイトの提案で港町に着くまで誰が一番魔物を倒すか競争することになっため、討伐数を自己申告しているものだった。


「十!十一!」


 トキワもレイトに負けじと討伐数を稼ぐ。


「五!」


 次に多いのは実だ。刀を華麗に操り襲いかかる魔物達を一閃する。


「押忍!三!」


 その後ろでイブキがレイト達の残り物を片付ける形となっている。一方で命は競争に参加せず、ヒナタを抱っこして彼らの後を追うだけの形を取っている。


 流石に荷物を持ったまま五歳になったヒナタを抱っこし続けるのは重いので、トキワが魔術でヒナタと荷物に軽減を掛け、更に命とヒナタに危険が及ばないように周囲に強い結界も張ってくれていた。


 おかげで切り捨てられた魔物達の肉片や返り血を結界が弾いてこちらに当たることは無かった。


 しかしこんな血みどろでグロテクスな物をヒナタに見せて大丈夫なのかと命は心配していたが、どうやら常日頃父親であるレイトの背中を見ているのか、耐性がある様子で嬉々として皆を応援していた。

 

「十三!十四!イブキお前気張れよ!」

「押忍!」


 前方からレイトはイブキに檄を入れると、襲いかかって来た魔物を掴みイブキに投げつけた。


「よ、四!」


 イブキは驚きながらも飛んできた魔物を両断する。


「六!七!」


 実も負けじと討伐数を稼ぐ。早朝の為人通りが少ないせいか、心なしか魔物の数が多いと感じつつも、置いていかれないように歩みを進める命の背後から魔物が襲いかかってきた。


「十二、十三、十四!ちーちゃん大丈夫?」


 瞬時に命の元に駆け寄り、トキワは真空波を飛ばして魔物達を一気に片付けた。


「うん、ありがとう!」


 強い結界があるとはいえ気を抜いていたことを命は反省しつつ、頼もしいトキワにこっそり惚れ直した。


「イブキ!魔物を取りこぼすなよ!ちーちゃんとヒナちゃんが怪我したら許さないからな!」

「押忍!気をつけるっス!」


 完全にレイトとトキワにいびられているイブキに命は同情しつつも、よく見るとイブキは口角を上げて楽しそうなので、彼もまた水鏡族の戦士なんだなと感じた。


 村を出てから一時間掛けて獣道を抜け出し港町に入る前に討伐数の結果発表をする。レイトが四十二、トキワが三十九で実は二十四、そしてイブキは二十一だった。


 その後命と実が魔術で水を出して、返り血のついた服を着たままの状態で洗い流してから、レイトとトキワが風を操り乾燥させて簡単に身なりを整えててから町へと向かう。


「イブキくんも水属性だと思ってたけど違うんだね」

「押忍!自分は氷属性っス!」


 イブキの左耳に輝く水晶のピアスは浅黄色だったので、命はてっきり水属性だと思っていたが、氷属性だった。イメージと全く違ったので命は驚く。


「ちーちゃん怪我はない?」

「結界のおかげで私もヒナちゃんも傷一つないよ」


 トキワは命の全身を怪我が無いか、ベタベタ触りながら隈なく探す。命は過保護にも程があると感じてむず痒くなった。


「それよりもみんなは大丈夫なの?」

「大丈夫!そんなヘマしないよー!」


 実はくるりと一回転して怪我が無いことをアピールした。実とヒナタが無事なら、男どもは多少の怪我をしてても問題ないだろうと判断した命はほっと胸を撫で下ろす。


 身支度も整え直したので後は海水浴場を目指すのみ。討伐数で最下位を記録したイブキに全員の荷物を持たせると、命達は港町へと繰り出した。

 



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