言霊
「ねーねー、さくらくん。朝から警察きてたけど何があったの?教えてよ~」
放課後の図書室で椿さんから質問責めにあう私。朝からとんだ災難だった。遺体発見した後警察からの事情説明。亡くなったのは2年1組の委員長の原田優里さんで、背後から頭を殴られたのが原因みたい。そして、私が気づいた通り中は密室だったが犯人はもう捕まった。犯人は用務員のおじさんだった。理由は鍵の開け閉めができたのが用務員さんだったから。本人はめっちゃ否定してたけどね。まさか私が殺人事件の第一発見者になるなんてね。
「ねーねー、教えてよ~さくらくん。」
私の顔を覗き込んで見つめてくる。正直いつもより鬱陶しい。本気で知りたい野次馬根性ってやつか。仕方ない、めんどくさいが鬱陶しいよりはマシか。話していつもの日常に戻ろう。
「あー、もうわかったわよ。話してやるからそれをやめろ!」
私は知ってる状況を椿さんに説明した。
「えー、めっちゃ単純な事件じゃんかー」
椿さんは話を聞き終わると、そのような感想を私に告げた。
「まぁ、犯人も捕まったしね」
そう、この事件はもう解決しているのだ。単純な事件と思っても仕方ないだろう。
「さくらくん。本気で事件が解決したと思ってるのかい?」
椅子に座って足を組み上げ(透けてるが)私に尋ねてきた。何を言っているの?
「警察がそう言ってるんだからそうなんでしょ?それとも…椿さんはまだ事件が解決してないと?」
「ふふっ、私の話を聞いてみない?」
挑発的な態度に一瞬イラつきを覚えたが、それ以上に私は彼女のいう真相が気になってしまい、
「いいわ、話だけ聞いてあげる」
「ふざけないで!そんなわけないでしょ!?」
彼女の話を全て聞いて出てきた言葉は否定。信じられるはずはないし、受け入れることも出来なかった。でも…
「でも…そう考えると全ての辻褄があうでしょ?」
そう、彼女の話は辻褄があうし、私の感じた違和感も全て解決されるのだ。
「でも…それはあなたの想像でしょ?物的証拠はどこにあるの?」
「それをあなたに調べてほしいの、用務員室に行けば証拠があるはずだから」
信じられないけど、信じてしまうだけの説得力があった。結果なんて求めないはずだったのにどうしてこんなに真相が気になるの?この子何者なの?私は図書室を飛び出し用務員室に向かった。そこには彼女のいう証拠が確かにあった…。まさか本当にあの人が犯人だなんて…私は真実に辿り着いてしまったのだ。
私は警察の人に事情を説明し、全員に集まってもらった。はは、どこの推理小説の探偵だよって話だな。でも…やるしかないんだ!椿さんにできないなら私がするしかないんだ!夜桜さんの言霊で私が真実を明らかにするんだ!