084◇黄金色のダイヤモンド
でも、平気!
わりとよくある失敗なので、慣れてるから(※強がり)!
『女王国』の『おトイレ』の漏斗形●器は、取り換えや清掃のために固定されてなくて、簡単に持ち上げられるのだ。
これって、プリムローズさんに言わせると、昔のテレビに入ってる「ブラウン管」にカタチが似てるらしい。
へー、としか返しようのない話だったよ。分解とかは、した事ないし。
ま、それはそれとして、
ひょいっ、とな。
俺は●器を持ち上げて(以下略)。
(よし、布で拭いてっと)
拾い上げたダイヤモンドを確認してみる。
俺の「*」を保護するためか、謎な粘液に包まれて出て来た。
前回は『真珠の首飾り』を引っ張り出すのに、エライ目にあったからな。
自己防衛本能的な仕様だな……たぶん。
しかし、これは……。
中心部が濃縮された様に黄色くて、その周囲が無色透明という、まるでお○っこを凍らせたような感じだ。……イヤ、そんな経験はないけれど。
これって成功なのか?
これを『黄金色のダイヤモンド』と言っても誰も納得しないぞ。
どう見ても『凍ったお○っこ』だぞ……。
うーむ。
色々と邪念やら雑念が混じったからな。……完全に失敗した。
でも、とりあえず、まだ奥に残ってるので、全部出してしまおう。
「あうううう」
隣の個室では、鍵を落としたらしいポーニャ嬢が、変な声で呻いてる。
俺の方は出すのもの全部出したし(断っておくけどダイヤだよ?)、可哀相だから手助けしてあげようっと。
「ポーニャさん。俺が拾いましょうか?」
そう声を掛けてみると、
「な。なに言ってるんですか? ジン様! ぜひお願いします!」
遠慮がなかった。
俺は自分の入っていた個室から出て、隣の個室をノックする。
「どうぞ」
入っていいらしいです。
まあ、普通はありえないシチュだな。
「失礼しまあす」
入ると、ポーニャ嬢が半泣き状態だった。
個室の中の、小物を置く小棚には、ハンカチの上に何か丸まった布切れがあった。
……それ、ほかほかの「脱ぎたてパンツ」じゃねーの?
トイレの時、全裸になる人もたまにいるけど……この人はパンツを完全に脱がないと、用が足せない人なのか?
ま、いいか。スルーしようっと。
俺様は、脱いだ後のそれには価値を感じない男なのだ。
装着中か、あるいは半脱ぎ状態ならともかく。
膝までとか足首とか片側の太股までとか……半脱ぎならともかく。半脱ぎならともかく……半脱ぎ……落ち着け、俺。
「で、どうするんです?」
「こうするんです」
俺は●器をひょいっ、と持ち上げて、下を確認する。
「ホラ、あった」
放●(液体)後だけど放水前なので、黒い鍵は流されていなかった。
これなら取れる。
俺は鞄の中から「逆さてるてる坊主」を取り出す。
中身は、『冶金の丘』での『宝探し』の時に手に入れた、強力な永久磁石だ。
剥き出しにしておくと、鉄粉がくっ付いてしょうがないので、布で包んであるのだ。
で、縛ってある紐を手に、磁石の入った「逆さてるてる坊主」をスルスルと少しずつ下げる。
ぱちっ!
釣れた。
少し遠目の位置で、強力な磁力線にキャッチされた。
何かで黒く錆止めしてあるけど、やっぱり鉄製らしい。磁石にぴたっとくっついた。
「やりましたね! さすが、ジン様。鍵拾いの天才です!」
嬉しくない讃辞だった。
せめて『釣り師』と……それもヤだな。
「逆さてるてる坊主」になんかのシミがついちゃったので、あとでミーヨに綺麗にしてもらわないとな。
プリムローズさんが磁石を、肩凝りをとるために愛用してるらしいし……。
「ハイ、ポーニャさん」
「ありがとうございます」
彼女は鍵を受け取り、何かの布切れで拭こうとする。
「教えてもらえませんか? それってなんなんですか?」
俺は鍵の事を訊いたのに、
「え? ……これは……私のパン」
「痛ぅ」
「何してるの? ジンくん」
ミーヨに怖い顔で、背中を抓られた。
「個室に女の子と入って、パンツまで剥ぎ取って……」
「ご、誤解だ」
「あと、プリちゃんから聞いたけど、アルマメロルトリアさんと、おっぱい見せてもらう約束したって本当?」
「じ、事実だ」
「うん、じゃあいいや。何やってたの?」
ミーヨが信じてくれた!
『おっぱいの約束』を事実と認めた事で、前者が誤解である事が真実だと悟ったらしい……って、なんなんだそれ?
「ポーニャさんが、●器の中に鍵を落としたから、拾ってあげてたんだよ」
「ジンくんって、そんなのばっかだね」
ミーヨは呆れたように言う。
「ミヨレッタ。さっきからなんなのです、その口の利き方は? このお方は我々の主人であるラウラ姫殿下の『愛し人』なのですよ? そして、私の恩人でもあるのです」
第二侍女ポーニャ嬢がプンプンだ。おこ、だ。
ミーヨはちゃんと俺の事を信じてくれたし、今度は俺がちゃんとフォローしておこう。
「気にしないでください。実は俺たち、幼馴染みで、子供の頃からの知り合いなんです」
といっても、俺は『前世の記憶』と引き換えに、その頃の記憶を失ってるけれども。
「幼馴染み? でも、ただの幼馴染みではないのでしょう?」
わりと勘が鋭いのか、そう突っ込まれた。
「「……えへへ」」
つい、いつもの癖で、俺とミーヨは二人で照れ笑いしてしまった。
「まあ! そういう事ね……へー」
裏山でしそうだった……イヤ、ボコ村の近辺は平原に近い真っ平らな麦畑だった。するなら、そっちでだな(笑)。
じゃなくて、ポーニャ嬢は羨ましそうだった。
「その上、ラウラ姫殿下とも……まったく、殿方というのは……あれ?」
そこで少し考え込んだ。
「……いえ。私の父もそんな人でした」
がっかりしたように言った。
そう、この女性はラウラ姫のすぐ下の妹君の異母姉なのだ。……ややこしい。
とりあえず、第二侍女ポーニャ嬢が一人個室に残り、俺とミーヨはみんなと合流する。
事のついでに、さっきの『個室』の「音が丸聞こえになる秘密」を調べたかったけど、ちょっと無理だった。
次の機会に……イヤ、次の機会なんてあるのかな?
『王宮』の『おトイレ』にまた来る事なんて、あるんだろうか?
◇
「「「……すっごーい! こんなの初めて……」」」
失敗作『凍ったお○っこ』は、珍しい事は珍しいらしい。そう言われた。
「祈願! ★洗浄っ☆ ★乾燥っ☆ ★滅菌っ☆」
ミーヨが、いつぞやのプリムローズさんみたいに『魔法』を連発する。
もちろん、俺との『合体魔法』だ。今回はいつものように手ではなく、違う部位を握られた。てか、背中を抓られました。痛いです。
今の三連発で、「逆さてるてる坊主」のシミは取れて乾き、計8個の『凍ったお○っこ』は殺菌された。
「でも……変な宝石」
じ――っ、と『凍ったお○っこ』を見ていたミーヨが、そんな感想を漏らした。お○っこだけに(1/8)。
「うん、そうだろ? 俺もそう思う」
それは紛れもない事実なのだ。
今回の「ダイヤモンド錬成」は大失敗だったのだ。
といって捨てるのもなんだしな。後で次郎氏に『鑑定』を依頼しようっと。脳内で「鑑定団の音楽」が流れる。お○っこだけに(2/8)。
「ジン様、その指の隙間、なにかキラキラと光って見えるのですけど……それは一体?」
普段は控え目な第五侍女アルマメロルトリア嬢が訊いてきた。
我慢できなかったらしい。お○っこだけに(3/8)。
「俺は宝石を扱う商売をしてまして、その中の商品のひとつです」
用意してる「言い訳」のうちのひとつだ。
『錬金術』で錬成した『魔造宝石』を人に見られた時には、こう言う事にしている。
いろいろ秘密で、他人には漏らせないし。お○っこだけに(4/8)。
「……ぼそぼそ(ホントはジンが『錬金術』で作ったんだけどね)」
プリムローズさんが小声で俺の秘密を漏らした。お○っこだけに(5/8)。
しかし幸運な事に、アルマメロルトリア嬢には聞こえてなかったらしい。
「とても不思議な色合いの宝石ですね……」
そんな呟きを漏らした。お○っこだけに(6/8)。
「え? 宝石ですか? 私にも見せてください!」
個室でパンツを装着していた第二侍女ポーニャ嬢がやって来た。
「いえ、それは、ちょっと」
今回のイメージ・キャラクター本人には見せたくない(笑)。
「ええーっ、いいじゃない! 見せてよ!」
ポーニャ嬢が強い感情を迸らせた。お○っこだけに(7/8)。
「ちょっとだけですよ」
俺はソレを手のひらに乗せて、みんなに公開した。お○……イヤ、そんなわきゃないよ。
ポーニャ嬢が、遠慮なくじろじろと見ながら――
「うわ――っ! まるでお○っこを凍らせたみたいな感じですね!」
だから、本人が言うなよ。8/8でコンプリートしたけれども。
◇
全員揃ったので、ようやっと『おトイレ』から出た。
「どうします?」
「ここで待ちましょう」
「したくなったら、ここにいらっしゃるでしょうしね」
「……ぼそっ(待ち伏せ?)」
「じゃあ、軽く何か食べましょうか?」
発言順①俺 ②筆頭侍女 ③ポーニャ嬢 ④アルマメロルトリア嬢 ⑤ミーヨ
持ちこんだ大きな鞄に入れてあった姫用のオヤツで、昼食を簡単にすませた。
もちろん『おトイレ』の外の、休憩用の無駄に豪華な長椅子で摂りましたよ?
「すごい、し――ん、としてるね」
ミーヨが言う。
確かに『おっぱい宮殿』は今、出歩く人もなく、静かだ。
ラウラ姫とドロレスちゃんは、母親である女王陛下に誘われて、王宮の午睡の慣習『しえすた』に行っちゃってる。
『しえすた』は慣例的に、この『希望』側の「おっぱいドーム」で行うらしい。
なので、ウロウロしないで、生理的欲求に従ってトイレにやって来たら捕獲する作戦だ。
名付けて「菊一号作戦」だ!
……って「*」がストロベリーとか……俺をディスってんのか? いい度胸だな、俺?
俺が脳内で一人ケンカしていると、ミーヨが話し出した。
「『王都』で、お買い物って言うと、どのあたりになるんですか?」
「お買い物なら『西の街区』よ! 『西の七国』からの珍しい品も入ってくるし」
応じた第二侍女ポーニャ嬢が妙に得意げだ。
なんでも、ご実家が『西の街区』にあるそうな。
「「へー」」
俺とミーヨは4歳までは『王都』に居たらしい。
でも結局は田舎からの「おのぼりさん」だしな。何処に何があるかまでは知らない。
「『全知全能神神殿』から続く『神前町』も、なかなかの品ぞろえですよ」
アルマメロルトリア嬢が、控え目に言った。
「「へー」」
そんなとこあるんだ? シンシアさんや「神殿組」のみんなに会えるかな?
「ところで君たち、お金あるの? 『ヘビアタマの翼竜』の討伐報奨金は出ないよ」
プリムローズさんがそう言った。本気で心配してくれてるようだ。
「えっ、なんで?」
ミーヨが心底驚いてる。
「殿下の『星』として譲っちゃったでしょ? まあ、使えそうな『部位』の買い取りはあるだろうけどね。ただ『翼竜』ってお肉は珍味だけど、量が多いから買い叩かれるかも」
「……そんなあ」
ミーヨが深刻なダメージを受けている。
「心配するなよ。『宝石』売るから」
「う、うん」
色々といい思い出がないからか、ミーヨは気乗りしてないな。
俺様の『錬金術』で錬成った『宝石』を、本業は「商人」という次郎氏に売ってもらう予定だけど……今回の新作と言うか失敗作はどうだろう? きっと売れないだろうなあ……。
◇
今度は放●(液体)のため『おトイレ』に入り、終わって個室から出ると、第二侍女ポーニャ嬢が待ち構えてた。
そして、妙に気安く話しかけて来る。
「ジン様。ジン様。あの『黄色い宝石』売っちゃうの?」
俺様の最新作『凍ったお○っこ』が、気になるらしい。
まあ、彼女が原因で出来た失敗作だしな。なんらかのシンパシーを感じているんだろう。
「欲しいんですか?」
「もちろん!」
力強く断言された。
やはり強力な魂の共振(?)があるらしい。
「『あるもの』と引き換えなら、あげますよ」
「ジン様。まさか『お金と引き換えなら、あげます』とか言わないわよね? それ『あげる』って言わないわよ」
どうでもいいけど、俺に対する話し方が、どんどん雑になっていってるな。
「ジン様はそんな下らない事言わないわよね?」
なんか「気の利いた面白い事」を言えってか?
それが出来るんなら、全裸でプロペラ・ダンスとか……するけど。するのか、俺?
「ところで、あの鍵ってなんなんですか? 大事な物ならもっと慎重に」
「あれは私の『心の鍵』です。あれを落として三度拾ってくださった殿方に全てを奉げて、一生尽くすって、『願掛け』してるんです」
ポーニャ嬢が乙女な調子で言った。
「え?」
俺、もう2回拾っちゃったよ? リーチなの? 次で上がりなの?
「……なーんて、ウソ!」
「ウソかよ!」
「ね? こんな感じで面白い事言ってよ! ホントはウチの鍵。最近、我が家の秘密を探ろうとする者がいて、私が預かってるんです!」
我が家の秘密?
突っ込んでは訊けないけど、「侍女」としてラウラ姫に従っていれば、そうそう怪しい人間に手は出されないだろうし。そういう事?
この女性も、謎と言えば謎だな。
てか、ラウラ姫とドロレスちゃんの父君について訊く方が先だな。
「それで、あのー、馬車の中で言った事なんですけど」
「え? なにか騒がしいですね」
ポーニャ嬢が、また引っ張る気なのか話を逸らす。
あ、でも確かになんか『おトイレ』の外が騒がしいな。
「ほら、見てください!」
聞き覚えのある声だ。
すっかり忘れてたけど、女王陛下の傍に居たお婆ちゃんを探しに行っていた若くて美しい全裸の女官さんが、戻って来たらしい。すでにかなりの時間が経ってるけど、探して連れてくるのに随分かかったな。
よし、俺も急いで駆けつけないと!
「あっ、ジンくん!」
もう地が剥き出しのミーヨの声がしたけど、構わず俺は全裸のまま『おトイレ』から飛び出した。
まるで変態のような行為だが、仕方がないのだ。
いま『王宮』は、第二王女殿下女児出産祝いの『全裸祭り』の最中なのだ(ただし侍女は除く)!
俺は『光眼』の「カメラ機能」を起動する。
(よし、行くぜっっ! 連写モードっっっ!!)
右目の先には……全裸のお婆ちゃんがいたW
(うおええええええっ)
◇
「……大丈夫? ああ、『癒し手』のシンシアちゃんなら治せるのになあ」
床にへたりこんでorz状態の俺の背中を撫でさすりながら、ミーヨが言った。
「だ、大丈夫。ちょっと口の中酸っぱいけど」
イヤ、リバースはしませんでしたよ?
『口内錬成』でレモン・ジュレに錬成て、飲み込みましたから。
とっさの事態でしたけど、美味く……イヤ、上手く乗り切りました。ハイ。
「まあ!」
「ジン様。丸見え」
「うげげげっ、なんてもの見せるんだ、君は!」
侍女軍団が何か言ってる。
俺いま、全裸で四つん這いだから、色々見えてるのかも知れないけれども。
「女王陛下の『脇侍』ともあろうお方が、八つ当たりするなんて!」
若い女官さんの声がする。
もちろん、その姿は見えない。
ミーヨの両手が、俺の両目を覆っているからだ。上体を俺の背中に押し付けながら。
「少しはご自重ください!」
「……」
女王陛下の『脇侍』ネコジッタ婆は、口を噤んでいるらしい。
ということは、ホントにあのでかくて重そうな「座って何かしてます像」を、あの痩せてしわくちゃのお婆ちゃんが、ひっくり返したのか?
……何かの『魔法』で、だろうけど。
「聴いてらっしゃるんですか!?」
「……(だんまり)」
「……あの女官さん、偉い人相手にポンポン怒ってますけど、大丈夫なんスか?」
俺はプリムローズさんに訊いてみる。
「★謎の光っ☆ ダメだ。やっぱり弾かれるな。この間と同じだ。そう言えば、君。『癒し手』の『白い光』も弾いてたんじゃなかったかな? ……え?」
「だから、あの女官さんの事っス」
そんで、どさくさ紛れに、俺の『★不可侵の被膜☆』で『魔法』の実験すんのやめてください。
「あの方は、殿下の従姉妹君よ。先刻、殿下の叔母にあたる方々に会ったでしょう? その方の娘さんよ。まあ、母君がもう『三人の王女』じゃないから、あの方にも『王位請求権』はないし、『王族』という枠からも外れていらっしゃるのだけど」
「……へー」
なんか微妙な立場の女性らしい。
そんな人が『王宮』で女官やってんのか。なんかプリムローズさんの知り合いっぽいけど?
でも……どっちの娘さんだろ?
饒舌な方かな、「ほんに。ほんに」って相槌うってた方かな。
てか、お顔もまだきちんと見てないんですけど……両目塞がれてるから。
「ところでプリムローズさん。『日本語』で『脇侍』ってなんでしたっけ?」
この際だから、訊いてみる。
「えーっと、仏像でしょう? 『薬師如来』の脇の『日光菩薩』と『月光菩薩』とか。……なんの話?」
言ったら悪いけど「引き立て役」か? 三人組のセンターに立てない人たちか?
いつも側に居る「側近」の事なんだろうけど……お婆ちゃんだったので、俺の『脳内言語変換システム』がそういう線香臭い……というか抹香臭い方向で翻訳しちゃったのかな?
俺がそんな罰当たりな事を考えていると、
「ジン!」
ラウラ姫の声だ。
『しえすた』から戻って来たらしい。
ドタバタやってるうちに、既に一打点(約90分)は経ってるからな……親子3人でいろいろ話せたかな? それとも、ガチで「お昼寝」してきたのかな?
ぴたぴたと裸足で歩く音がする。
全裸のはずなのに、見れないなんて……ま、さんざん見たけれども。
「ライラウラ姫殿下。ご機嫌よう。お久しゅう御座いますね」
あ、あの女官さんの声だ。
従姉妹だからか、肩ひじ張らない普通な感じだ。
「うむ。『冶金の丘』に行っておった」
姫の方にも、安心しきった気安さがある。
(ジンくん。可哀相だから、見せてあげるね)
後ろから抱きつくように目隠ししていたミーヨに、耳元でそう囁かれた。
可愛い声だ。正直、△△しそう(笑)。
てか、マジか? 見てもいいの?
退位されたとはいえ『俺の女王さま』から「お許し」が……ってアレ?
目を開けて見ると、若くて美しい全裸の女官さんがいた。
ただし、3か所ほど「謎の白い光」で見えない部位があった。
ナニソレ? 見えねーよ。
(さっき、プリちゃんがかけた『魔法』を反射しちゃったでしょ? そしたら彼女に発動しちゃったみたいなの)
ミーヨが小声で言った。
『魔法』を反射して、他人に発動?
あるの? そんな事――
俺の皮膚に展開されているらしい『★不可侵の被膜☆』って、『魔法』を跳ね返す「リフレク(ション)」状態になってるのか?
そんで、元々『★謎の光☆』は、肌色全開女性の規制対象部位を隠すための『魔法』だから、ちょうど全裸だった彼女が、発動条件に適ってたのか? そんな気がするな。男には発動しないタイプの『魔法』らしいし。
そんな事をぼんやりと考えながら、規制対象外の肌色部分を見つめていると――
「ども、いろいろと黙っててごめんなさい」
ドロレスちゃんの声だ。
「「……いえ、そんな」」
ドロレスちゃんが第二侍女ポーニャ嬢と第五侍女アルマメロルトリア嬢に、正体を隠していた事を謝罪してる……てか、新たな『全裸祭り』の「参加者」を発見!
なんとドロレスちゃんも全裸じゃないか!
「王族」枠で参加か? 思いきったなあ。
彼女は俺の視線を気にしてか、プリムローズさんの後ろに隠れてる。
「プリムローズさん。ちょっとドロレスちゃんの脇に侍ってもらえませんか?」
「君はバカだなあ。ダメに決まってるじゃないか……。★謎の光っ☆」
「あっ!」
ちょっとした隙を衝かれて、ドロレスちゃんにまで「謎の白い光」が……む、無念で御座る。
「ごめん。バカだなんて言い過ぎた。ほら、今どくから」
「お兄さん。どうぞ、思う存分ご覧ください」
二人に優しく言われた。
「イヤ、見えないから」
しょんぼり。
そんなバカな事をやってると、女官さんが俺の方にやって来た。
「で、そちらがプロペラ小僧さまですね」
どこまで拡散してるんだろう? その二つ名。
「……ジンです」
俺は名乗って一礼したあと、直立不動の体勢をとった。
「あらあらまあまあ」
この口調から、おっとりしたゆるふわなお姉さんキャラかと思ったら、きりっとした知的で有能そうな女性だ。
女王陛下の側近を叱りつけるだけの胆力を持っていらっしゃる感じだ。
「……」
そのまましばらく無言で見つめられた。
王家の血筋と言うか遺伝なのか、青い瞳だ。
いまは『全裸祭り』開催中なので、「参加者」は装身具の類は身に付けてないし、みんな髪も下ろしてる。
ラウラ姫はわしゃわしゃした長い癖っ毛だけど、従姉のこの方は、シャラシャラした真っすぐな肩までの金髪だ。
残念ながら「謎の白い光」でよく見えないけど、大きくて形の良さそうなお胸だ。
でもって見えないけど、髪の毛以外も金髪なんだろうか? エルドラド家だけに。
「……(こくん)」
女官さんが俺をじっと見つめて、うん、と頷いた。
「とても素敵なお方で」
お世辞だろうけど。
「うむ。我が『愛し人』ジン・コーシュなる」
ラウラ姫が照れくさそうだ。
「まあ、『愛し人』! 姫も大人になれましたのね! うらやましゅう御座います」
含みのある口調だ。
「……う、む」
照れのある口調だ。
「『王宮』に姫の『破瓜の儀』の証である『処女の印』が届いた時には、皆で驚きましたよ。あの小さかった……今も小さいですけど、あのラウラ姫がと」
「う、うむ」
姫がメロメロに照れてる。
ちょっと酷い事言われてたのに、気付いてないし……。
そんで、『処女の印』ってようするに、アレがついたシーツだな。ポーニャ嬢とアルマメロルトリア嬢が先行して届けたんだな。
でも、永久保存するとかいう話だったけど、マジなのか?
「で、痛くありませんでした?」
「む。痛かった」
二人とも、どこ見てナニ言ってんの?
◆
またまた下品でゴメン――まる。




