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068◇亡霊の声


 まるで、何かの舞台劇みたいだ――


「陛下は12年前の『王都大火』の折に、先代(さき)の女王陛下をはじめとする大切なご家族を、幾人も亡くされたのです。それはそれは心を痛めておいででした。それを、この小僧は……」


 舞台上で、『先々代(さきのさき)の女王陛下』の取り巻きの一人、筆頭侍女の老婦人が、客席にいる俺を憎々し気に睨みながらそう言った。

 

 そうなん?


 物凄く動揺してたけど……『王都大火』の真犯人じゃなかったわけね?

 イヤー、『一日奴隷』の獣耳……「ロバ耳」付けてたせいで、皆さんから不当な扱いを受け続けて、ついつい腹立ったんだよ。ごめんごめん。


「……(無言)」

 てか、今のところ、ある事情で声に出しての反論が出来ないのだ。


「以来、あのような御病気になられました。突然、寝てしまわれるのです」


 たしか、ナルコレプシーとかいう過眠症みたいなヤツか? 心因性なのか?

 ラウラ姫も猫みたいにいっぱい寝るけど……それは無関係だろうな。


 主人公が突然寝ちゃうアニメがあったはずだけど……なんだったけ?

 「ちっちゃい子を退治する人たち」か? イヤ、違うな。

 「ちっちゃい胸の人たち」……でもないよな?


 俺は、そんな感じのエロい映像を頭の中に思い描いてみたけれど……ミーヨとプリムローズさんには、そのイメージが届いていないようだ。


 よし、分かった。


 やっぱり「視線を外す」が正解だった。

 要は、アイコンタクトしちゃダメなんだな。

 これで、俺の思考がダダ漏れになるのを防げる。


 いつだったか、プリムローズさんに無言でアイコンタクトしようとしてまったく通じなかった事があって、自分でも無意識に、そんな「イメージ伝達機能」を「真珠っぽい耳栓」に搭載してしまっていたらしい。


 それによって『七人の巫女』が持っているという『神授の真珠(極太)』の、劣化版か失敗作みたいなものが出来上がっちゃったんだろう。たぶん。


 そんな事をぼけ――っと考えていたら、誰かにきつく睨まれているのに気付いた。


「……(ギロリ)」

 向こうの筆頭侍女のメスゴリ……イヤ、ゴスロリラ? えーっと、なんてお名前でしたっけ?

 絶対に違うとは思うけど、(たけ)羅理沙(らりさ)多胡(たご)さん(※声優)? 絶対に違うよね?


「すでに退位されておいでとはいえ、陛下は『女王国』と王家に対して並々ならぬ愛着を持っていらっしゃいます。なのに『今上の女王陛下』……いえ、今上の陛下は悪うは御座いませぬ。陛下の側近どもときたら、我々を年寄りの邪魔もの扱い……」

 いろいろと愚痴にしか聞こえない話が続いてる。


 どうでもいいけど、舞台上の老婦人たちの声が、とてもよく響く。


 舞台の奥や、天井に施された音響効果用の構造のせいだろう。

 音を跳ね返す硬い「反射板」のせいで、反響して大きく聴こえてるっぽい。


 ラウラ姫の『宮殿』は、「亡霊騒ぎ」とやらで使用停止になるまでは、『音の宮殿』という名の王立歌劇場だったそうで、舞台と客席がそのまま残されていた。


 舞台と客席からなる円形の劇場部分は、高い吹き抜けになっていて、客席側の周囲を王侯貴族が座るような、高級そうなボックス席が多層に取り囲んでいた。3階建てだ。


 パッと見は、パリの「オペラ座」とかみたいだ。

 それに比べると、『この世界(こっち)』の方が一回りは小さいかもしれない。

 でも、使用目的が同じものは、異世界であっても、だいたい似た感じになるらしい。


 『地球』の日本のアニメに、そんなシーンは無かったかな? とついつい「脳内検索」をかけてしまう。


 近々では『終末のイ○ッタ』にあったな。「ひめさま」が某国要人と密談してたっけ。そこに(ネタバレ防止で以下略)。


 それはそれとして、舞台側の裏手には、舞台出演者やVIPのための控室(ひかえしつ)にあたる部屋がたくさん有るそうで、そのうちの一室に、眠りについてしまった『先々代(さきのさき)の女王陛下』が安置されている。


 ……こう言うと、なんか死んじゃってるみたいだけど、ちゃんと生きてるし、寝てるだけだ。


 そして、舞台上には、まるで何かの劇の「応接間のセット」のように並べられた仮設の「客間」がある。

 で、みんなはそこでお茶を飲んでいる。


 まあ、正確には「俺以外のみんな」だけど。


「……」

 俺は今、客席側の椅子に座って、舞台上の劇を観劇している。


 イヤ、正確に言うと、『先々代(さきのさき)の女王陛下』への暴言連発によって、椅子に荒縄で両手両足を縛り付けられて、拘束されているのだ。


 その上で、取り巻き連中の茶番劇を、無理矢理見せられてるのだ。


 しかも、『一日奴隷』のロバ耳装着中なのに馬みたいに「猿ぐつわ(ギャグ)」を噛まされてるので、まったく喋れない。

 ……てか、馬のは「猿ぐつわ」じゃなくて「(くつわ)」とか「馬銜(はみ)」か。

 間違えたら競馬好きの田中さんに怒られるよ。


 そんな事はいいとして、暴れてもラウラ姫やみんなに迷惑をかけるだけなので、無抵抗で素直にオナ○に……イヤ、お縄についたのだ。


 ――でも、扱いが酷過ぎる。


 いい加減、そろそろ脱出しようかと思う今日この頃なのであった。


 開けっ放しの口の中に、いっぱい溜まった唾液を、『口内錬成』で強い酸にでも変えようか――と思ったけど、真っ先に「猿ぐつわ(木の球だ。呼吸のための穴が開いてる)」が溶けて、口の中がエライ事になってしまうな……却下。


 『光眼(コウガン)』の「レーザー(ガン)」で、縄を()き切るのもいいけど……買って貰ったばかりの『夏の旅人のマントル』が燃えたら、もう着るものないしな。でもって、建物に引火したら火事になるし、『王都大火』の跡地でそんな事やったら、ミーヨがどうなるか分かんないし……これも却下。


 自分の「汗」を「油」にして、某脱●(固体)王……じゃなくて某「脱獄王」みたいに、ぬるっ、と脱出……キモイな。やめとこ。


 もう「歌劇場」というよりは「演芸場」のノリになってしまうけど、ここは「奇術」で大脱出といこう。

 放送前に「異世界(こっち)」に来ちゃったから、アニメ版は観れなかったけど、「某先輩」に奉げよう。

 手を変え品を変え、幾つもある「脱出ワザ」の中から、今回は「手を変える」ヤツを披露しようっと。


      ◇


(セーブ)


 俺は今現在の自分自身の身体状態を「セーブ」する。


 自分自身の肉体改造を行う『身体錬成』の前に、強く念じると『世界の理(ことわり)(つかさ)』に、それ(・・)が一時的に「セーブ」されるのを、経験則として発見しているのだ。

 そして「あ、やっちゃった。失敗した」と思った場合、錬成前の状態に戻せるのだ。


 『○クラダリ○ット』ならぬ「お体リセット」なのだ。

 脳内ボイスはもちろん、春○美空(ミソラ)だ。


(身体錬成。右腕の肘から先を骨抜き)


 『錬金術』で、自分の身体(からだ)錬成(つく)り変えるのだ。


 かなりの間がある。


   チン!


 鎮痛薬がいるかと思ったけど……痛みは無かった。

 自分の体だけど、一体どんな仕組みになってるのやら。

 骨が抜けて、ぶらんぶらんになった右腕を、縄から引き抜く。


 骨がないだけに、フレキシブルで柔軟だ。

 こんな事言ったら、『俺ガ○ル』の主人公(ヒキタニ君だったっけ?)に突っ込まれるな。


 右腕を引き抜いて、出来た隙間を利用して、まともな左腕も引き抜く。


 「縄抜けの奇術」では、手首の関節を外して縄を抜ける方法があるらしい、というのを何かで見た事がある。

 ただ、うろ覚えで、どこをどうするのか具体的なイメージが思い浮かばない。


 面倒なので、自分の「骨」を抜いてみた。


 こんなの……どう考えても、俺にしか出来ない。


 『夏の旅人のマントル』の中の事なので、その右腕は見えてないけど……見えてたら、精神的にきっついだろうなあ。


 もう、コレって人間技じゃないよね? 早く元に戻そうっと。


 ここで、ぜひぜひ春埼(ハルキ)○空に「リセット」と言って欲しいところだけど……。


(身体錬成。右腕を復元)


 セリフが違うので脳内ボイスは、(はな)香菜(かな)さんじゃなくて、俺なのだ。

 ……しょんぼり。


 …………。


 長い()がある。

 早くカルシウムを……。


 ちなみに俺の『錬金術』では、「生き物」から『錬成』に必要な元素を奪い取る事は出来ない。

 なので、舞台上の老婦人たちも、「骨粗鬆(こつそそう)症」の心配はいらないだろう。

 普段からきちんとカルシウムを()っていれば、の話だけれども。


 素材としては、ここの厨房にある「骨付き肉」とか「魚の骨」が、その対象になっているはずだ。……あるいは「炭酸カルシウム」の塊らしい灰白色の『永遠の道』が、原料になってるのかもしれない。


 とにかく「俺に持って来い」。

 そんな「最強の囮」みたいな事を思いつつ、出来上がりを待つ。

 

 そう言えば、だいぶ前にスウさんの工房で「魚のパイ包み」を昼食に出されて、その骨取りが面倒だったので、『固体錬成』で「カルシウム錠剤」を作ったことがあったっけ……もちろん、俺の「*」から出て来た錠剤なんて飲めないから下水に捨てたけど……。

 アレを取っておいて、こういう時に使えば良かったんだな。


 そんな事を考えながら……待つ。


 ちなみにセーブした状態に復元する時には、少しくらい考え事をしてても大丈夫なのだ。


 レトルトカレーをあっためるくらいの時間がかかって――


   チン!


 コキン! と外れた骨がはまるような音がして、右腕は元通り……しまった!


 左腕だったら「左腕(さわん)復元!」ってセリフが『ヱヴァン○リヲン』にあったのに……ちょっと後悔。


 ま、いいか。また、今度で。


 『夏の旅人のマントル』の上から縛られていたので、その中でゴソゴソやっても、傍から見ても分からないだろう。

 ちょっと身を(かが)めて、足を縛られていた縄を手動で解除っと。よし、OK。


 そのまま立ち上がって、バサッとな! で縄ごと『夏の旅人のマントル』を脱ぎ捨てて、全裸になろうとした――その時だった。


      ◇


   ウォォォオオ――


 どこからか、奇っ怪な唸り声がした。


「「「な……なに!?」」」


 舞台上に居る人たちが、驚いて立ち上がった。


   ヴォォォォオオオオオオ――


「「「なんなの?」」」


   ヴゥドゥォオシィヴァブブブブ――


 耳にした者の心を凍り付かせるような、そんな声だった。


 あまりにも不気味で、悲し気にも聞こえる呻き声だった……。


 けど、俺はどこかで聞いた事がある気がしていた。


 そして、目視で「あるもの」を確認した。


 ……なるほど、そう言う事か。


「殺してやる……って言った?」


 言ってない。言ってない。


「亡霊……?」


 誰かが言ってはいけない一言を口にすると、


「「「「きゃ――――っ!!」」」」


「「「「ぎゃ――っ!!」」」」


 あとは、悲鳴の連鎖だった。


 音がよく反響する舞台の上なので、めっちゃ騒々しい。


 君ら、うるさいっス。


      ◇


 俺は、満を持して『夏の旅人のマントル』を脱ぎ捨てて全裸になり、自由な両手で「猿ぐつわ」も外して、叫んだ。


「者ども、静まれ――――い!!」


 俺の叫びに、舞台上の全員の動きがピタッと止まった。

 なんで、みんな動作の途中で、一時停止的に静止してんの?


「「「「「……(静止)」」」」」


 パントマイムか?

 それとも「だるまさんがころんだ」か?

 イヤ、『前世の記憶』を持つプリムローズさんならこう言うだろう。


 「ぼんさんが●(気体)をこいた」か!


 それはそれとして、

「これは、亡霊の声などではないっ! 俺はその正体が何なのか分かっている!!」

 さっさと言ってしまおう。


 みんなが一斉に、舞台上から俺を見おろした。


 そして、ハッと息を飲む気配がした。


 俺様の「大脱出」の奇術にびっくりしてるらしい。

 それとも、亡霊説否定が原因かな。


「「「……!」」」


 そのうち何人かは、客席に突然出現した全裸の男(あっしのことです)に、腰を抜かしそうになっていた。

 まあ、この人たちは俺様の俺様が丸出しなのに驚ているらしい。


 そう言えば、今回は敵と戦うわけじゃないから、『★不可侵の被膜☆』の出番は無いし、全裸になる必要性はまったく無かったな……。


「「「「「……」」」」」


 ガン見されてる。

 ま、いいか。減るもんじゃなし。

 俺は性……イヤ、(うつわ)が大きいのだ。

 『錬成』で鍛えてるから「*」とか「口の中」もデカいけど。


「これはっ! 通風管を通して伝わった音が、こんな風に聴こえているだけだっ! 配管工事の手違いと、ここの舞台の音響設備のせいでな!!」


 引っ張るのも面倒なので、さくっとネタバレしてやる。


「『おトイレ』の換気のための……」


 というか、舞台から変な匂いが…………。


 『亡霊の声』の発生源と推測される『おトイレ』から流れて来てるわけじゃないだろうから……出元は舞台だろう。

 「ぼんさんの●(気体)」でもなさそうだし……ひょっとして、怖くて何人かチビりませんでした?


「黙って、俺の言う通りしろ! 祈願! 後始末!! そして、消臭!!」

 俺は舞台上の面々に向けて叫んだ。


「「「「「祈願! ★後始末っ☆!! そして、★消臭っっ☆!!」」」」」


 『守護の星』の虹色のキラキラ星が舞い飛んだ。

 みんなで声を揃えたせいか、効果が高い気がする。

 プリムローズさんが言ってた『多重詠唱魔法』ってコレかな?


 とにかく、匂いは消えたようだ。臭くない!


 良かった(笑)。


      ◇


「オオババちゃんの侍女の人!」

 俺が言うと、


「「「「「「「はいッ!」」」」」」」


 なぜか全員が返事した。


「オオババちゃんが目を覚まして、今『おトイレ』に居るから、ここに連れて来て!」


「「「「「「「はいッ! ただ今!!」」」」」」」


 『亡霊』の声がした舞台上に居るのが怖いのか、取り巻き七人全員行っちゃったよ。

 一人、二人でいいんだけどな。


 残ったのは、俺の仲間たちだけだ。

 そう言えば、次郎氏と茶トラ君は『俺の馬車』に残って貰っているらしい。舞台の上には居なかった。

 まあ、猫はともかく、次郎氏には『捕縛命令』が出てるらしいので、身を潜めているんだろう。


「ジン!」

「ジンくん。また全裸だよ?」

「亡霊の正体が分かったのか?」

「お兄さん、どうやって『縄抜け』を?」

「おにさ、ゆれ、てる」

「プロペラ小僧さまっ、前をお隠しください」

「若旦那様。こちらでお茶を」


 こっちサイドは統一感ゼロだ。見事にバラバラだ。


「とうっ!(バチン!)」

 俺は、床に脱ぎ捨てた『夏の旅人のマントル』をそのままに、全裸で舞台の上に飛び乗った。


 そして、なるべく偉そうに見えるように腰に両手を当てて屹立(きつりつ)する。


「ジンくん。見えてる。見えてる」

 侍女に変装したままのミーヨが、俺が華麗に脱ぎ捨てた『夏の旅人のマントル』を拾いに行く。いつもすまないねえ。


「いま、ばちん、おと、した」

 猫耳奴隷のセシリアは、作り物の猫耳とは無関係に、もともと耳がいいらしい。

 俺にも聴こえたけど、あの音(・・・)がした舞台の、天井近くにある通風管(・・・)から、『おトイレ』のドアの開閉音らしい音がしたのだ。


「ふと、ももに、ばちん、あたた」

 あれ? 太股にバチン! って当たった――って言ったのかな? え? ナニナニ? 何の話?


 そこへ、侍女たちに付き添われた『先々代(さきのさき)の女王陛下』が舞台袖から現れた。


 これで役者が全員、舞台上ってわけだ。


「ジンくん。早く隠して」

 俺はミーヨの手で『夏の旅人のマントル』を着せられて、全裸状態ではなくなってしまった。

 残念ではあったけど、メイドっぽいミーヨから「ご主人さま」扱いで服を着せてもらうとか……なかなか良い経験であった。うむ。


「……(とろーん)」

 うむ繋がり(?)でラウラ姫を見ると、椅子に座ったまま、今にも寝落ちしそうだ。

 さっきは物凄く騒々しかったのに、半目でぼ――っとしてる。ちゃんと起きててね?


「小僧。『亡霊』の正体が分かったと言うた、と聞いたぞ」

 オオババちゃんこと『先々代(さきのさき)の女王陛下』だ。

 態度が可愛くない。年寄りは可愛くしてないと、いろいろ辛いぞ。


「ああ、『亡霊』の正体はアンタだ! オオババちゃん!」

 俺はズバリ言ってやる。

「なん……じゃ……と?」

 めっちゃ衝撃を受けておいでのようだ。


 また眠られたり、最悪永眠されると面倒だな。

 さくっと行こう。ドロレスちゃんみたいに。


「アンタ。今さっき、『おトイレ』にいたろ? その音が『個室』に付いてる『通風管(・・・)』を伝わって、この舞台の天井に出る。そして、舞台の音響装置……反射板のせいで、やたらと大きく反響して増幅されて聴こえてるんだよ」


 普通のトイレには、そんなものついてないけど、ここは元『歌劇場』なので、王族や貴族用の、VIP用の豪華なトイレがあるに決まってる。換気用の通風装置として設置されたものだろう。


「「「……」」」


 みんな黙り込んでる。


「この『宮殿』って、『大火』の『焼け跡』を誤魔化すために、急ごしらえで作ったんだろ? 配管工事に手違いがあったんじゃないの」


 まあ、このあたりは推測と言うか想像に過ぎないけれども。

 たぶん、その通りのはずだ。


「……」

 俺が『大火』の話とかしたら、ミーヨがどう思うだろうと、ミーヨを見たら、目が合った。


「…………(みょんみょんみょん)」

 落ち着いて安心させるために、彼女自身のおでこのイメージを思い描いて、送り届けてみた。


 なお、「みょんみょんみょん」はあくまでもイメージ音だ。

 某異世界アニメの精霊パ○クの真似だ。

 栗(※『ベル○ルク』)じゃなくて、猫型大精霊の方だ(※『リゼ○』)。

 てか、栗の方は精霊じゃなくて「エルフ」だったっけ?


「……?」

 イメージが届いたんだろう……変な顔された。

 うん、ごめん。「ミーヨのおでこ」は俺が落ち着くアイテム(?)だった。


「……なるほどね。あの音の歪みと低音はそういう事か。管楽器のいちばん低い音はいちばん長い管から出るしね」

 プリムローズさんが転生前の『地球』の楽器の事でも追想してるのか、どこか遠くを見ながら言った。


 そう言うけど……違うんじゃないかな?


「ところで『おトイレ』から、ここの上に繋がってると、なぜ分かったんだい?」

 落ち着いた冷静な指摘だった。

 つい先刻(さっき)、俺様の『白い花』で壊れかけた人と、同一人物とはとても思えない。てか、あの記憶は『魔法』で消去されてるんだっけ。


「『星』が見えたんですよ。虹色のキラキラ星。『守護の星』が」


 俺はそう言って天井を指差した。

 例の音がした時、顔を上げて天井付近を見ていたら、『魔法』発動時に肉眼で目視可能な『守護の星(普通サイズ)』が舞っているのが見えたのだ。


 栗……じゃなくて、「彼女(・・)」が言った通りだった。


      ◆


 幻影や幻聴は本人にしか知覚出来ないので、共感出来ない場合が多い――まる。

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