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248☆シン最終章[20]◆神授祭 3日目⑤



「どうでした? 使えました?」


 俺は、『七人の巫女』たちに確認した。


「私は出来ますってば!」

「使えます。当然でしょう?」⇒混入した『乙女神官』ロザリンダ嬢。

「はいぃ、私もー、つかえましたぁ」

「え!? そうなの? 私、できなかったわよ!」

「私もできませんでした。なんだか安心しました」

「私も発動出来ませんでした。どんな系統の『魔法』なのでしょう?」


「……それで、『巫女』サレイシャは?」

「はい、使えました。便利ですね、これ」


「…………そうですわよね」


 てか、使えるんかい!


      ◇


 女体化時に愛用してる『★音無(おとなし)()め☆』という『おトイレ魔法』がある。


 実はこれ、『女王国』の「王家の血をひく女性」でないと、発動できない。


 『七の姫』であるドロレスちゃんは、かつてこう言っていた。「元々は、野外でウ○コする時に、『ケモノ』から身を守るための『魔法』らしいんです」と。


 つまりは、「お姫様専用の野外脱●(固体)時の防護結界魔法」なのだ(笑)。


 ホノカオの二人と出会った日。

 『おっぱい宮殿』の『おトイレ』で、『★音無秘め☆』を体験したホノカは、その後に試してみたものの、ひとりでは発動できなかったらしい。


 まるで、俺が悪いみたいに、ぶつぶつと苦情を言われたよ……。

 あの時は、俺と手をつないでの『合体魔法』だったからな。その場合、理由は不明ながら、規制が外れて、なんでもアリになってしまうだ。


 発動出来なかったホノカはくやしがり、のちにプリムローズさんとの共同開発で、ほぼ同等の性能を発揮する『★後始末・改☆』を編み出したそうだ。ただ、俺、それを「発動するところ(笑)」を見せてもらってないので、まだラーニング出来てないよ。


 それはそれとして、現在『王立産院』に滞在しているミーヨは、最初の通院のときに、ごくカンタンな身分証明の手段として、『おトイレ』で『★音無秘め☆』を発動できるかの確認をとられたそうなのだ。


 『王立』の名の通り、なんらかのかたちで王家の血をひく女性でないと受け入れませんよ、ってことだ。


 で、なにげなくやってみたら、あっさり発動できたそうだ。


 言うても、ミーヨさまは「デ」級の高位貴族なのだ。何代か前には王家のお姫様も降嫁し、その血筋が伝えられてるらしいのだ。


 というか、そもそもの話として彼女の家は、数千年前に『アアス』にあらわれた最初の人間たちである『方舟の始祖様』と呼ばれる古い古い指導者の家柄だったりする。


 で、約400年前に現れた「後着組」の連中が、自分たちの国を建国……というか、もう「世界征服」しようとして、ヒャッハー!して暴れまわっていたそうなのだけれど、そのリーダーの自称「国王」が、「地元の有力者の娘を嫁にもらった」ことによって、なんとかかんとか動乱が治まったそうなのだ。


 それって、『方舟の始祖様』である「オ・デコ家」の「おひめさま」だ。


 そしてどうやら、『★音無秘め☆』という『魔法』を最初に編み出したのも、「オ・デコ家」だったらしいのだ。


 『全知全能神神殿』には、大昔から伝わる「古文書(こもんじょ)」が納められた『伝承庫』があるのだけれど、そこにあった、古い古い「巻き物(スクロール)」に、そのことが記してあったのだ。


(『葬送のフリー○ン』で、約千年前に、フリー○ンが両手で持って読んでたようなやつだべか?)


 その後の時代では、記憶媒体が「本」が主流になるもんな。

 時々「縦ロール」になっちゃうフリー○ンちゃんが、横スクロールで読んでたよ。


(『東の円』にも、『巻き物』はいっぱいあるのだべさ)


 壁に掛ける「掛け軸」な。横じゃなくて、縦スクロールだよ。

 でも、実は『神殿』に伝わる「巻き物」も「縦スクロール」だった。「書き手」の都合でそうなっていて、「読み手」への配慮ではないらしい。


 逆に、「本」よりも後に現れた電子的な表示装置に近い感覚なので、我々『前世の記憶』持ちは、とくに気にならなかったりするのだけれど。


 それと……女体化した状態の俺が『★音無秘め☆』を「使える理由」としては、俺の母方の遠い遠いご先祖様が「王族」だったからだ。そのひと、正当な王位継承者なのに王位に即けなかった「残念王子」という不名誉な呼び方をされてるのだ。


 以前、女王陛下の御前で、ついつい調子に乗って全裸で『プロペラ・ダンス』とかやって、ある部位をグルグル振り回してしまったけれども……それでも怒られずに済んだのは、俺がその家の血をひいてるからなのだそうだ。


 とにかく、その「残念王子」にまつわる一連の出来事によって「男系王族が断絶」し、その国『かすてら・のば』は、後身の『女王国』へと転じていくのであった……。

 

 しかしまあ、いかにもバカっぽい、誰かがノリでテキトーに考えたアホなネタ魔法だと思ってた『★音無秘め☆』に、そんな歴史秘話が隠されていたとはな(笑)。


 でも、どうやって「王家の血をひく女性」を特定しているんだろう?


 女性だけに伝えられるという「母方のミトコンドリアDNA」でも解析しない限り、不可能だと思えるんだけどな。


 あるいは、某アニメにあった「女の子は、生まれた時からお姫様なの!」ってやつか? そこまではいいとして、その後につづくセリフが、あまりにも不穏当だよな。


(実際のところ、本当に遺伝子チェックしてるのでは?)⇒カオリちゃん。


 『方舟の始祖さま』からつづく「マジカル・ミトコンドリア・イヴ」を……か。


 そう言えば、『マギアレ○ード』に出てくる「エンブリオイヴ」の意味が分からん。『シャインポス○』の「聖舞(せいぶ)()○」とは無関係だろうし。


(『エンブリオ』は、『受精卵』が『胎児』になる前の状態らしいです)


 ……な、なんか、めっちゃ怖そうな意味だったのね?


(『デュラ○ラ!!』に、『胎児のときに性別のない時期がある。◎首ができてから性別が決まる』ってセリフがあるんですけど、ホントなんですかね?)


 ごめんなさい。観てないです。誰が言ったの?

 巨乳で眼鏡の子? なんかで、あの子の目が赤く光ってるのを見たことあるな。


園原(そのはら)さんじゃなくて、『ヴァ○ーナ』ですね)


 で、ホノカが言ってた「池袋の街で、何かが動き出している」って、『デュ○ララ!!』のことらしい。あと、カオリちゃんが言ってた「黒いパンスト」も。


 ところで、カオリちゃん。

 俺の「コピー体」であるところの君は、『★音無秘め☆』使えるの?


(以前、男性だった時は不可能でしたが、『性転換』後は使えてます)


 したら、君にも、「古い王家の血」が受け継がれてるってことだよ。


 なんにせよ、元々は「逃亡奴隷」だという『巫女』サレイシャが、『★音無秘め☆』を発動できるということは、つまり……。


(事によると、あたしの『異父姉(あね)』……なんですか?)⇒ドロレスちゃん。


 イヤ、俺にとっても、「異母姉(あね)」……かもしれないのだ。


(ジンくん、『おねえさん』が欲しかったんじゃあないの?)⇒ミーヨ。


 俺が欲しているのは、そういう事じゃあない。

 ちがう意味の「おねえさん」だ。


 あの彼ならば、分かってくれるだろうけれども。

 彼は「ゴリラ」を求めて、進む道が(わか)たれてしまったのだ。


(あとね、そういうのって、子供を産んだお母さんに訊いてみるのが、いちばん確実じゃないの?)


 女王陛下……今上(きんじょう)の「ブラリンダ二世」陛下にか。


 しかし、そんな「機会」はあるのだろうか?


(『七人の巫女』は、明後日。『宮殿』での『午餐(ごさん)会』に招かれています)


 ゴっさん回? なんだって?


(『午餐会』は……つまり『昼食会』です)


 でも、それ、まずくない?


 『女王国』の王族の女性には、幼少期を『おっぱい宮殿』で過ごす慣習があるらしいので、もしかすると「見覚えのある景色」を見て、「あの人」が過去の記憶を取り戻す……という展開があるかもしれない。実は、カオリちゃんもそうだったし。


(『午餐会』があるのは、新しい『巨乳宮殿』の方だと思いますよ)


 したら、見覚えもヘックリ○ンもないか。


(ホノカさん、『へっくりぽん』て、なに?)

(『豚のレバーは○熱しろ!』に出てくる謎生物だべさ)


 そんな風に「用語解説」されてたのね?

 でも、俺を介して雑談するのはやめてね。


 にしても、『午餐会』とか。

 そんなんあるとは、知らんかったよ。


(だーかーらー、『日程表』に書いてありましたよ)


 アレ、実は『錬成』の「素材」にしてしまったしなあ……。


 ……でも、そんなこと言えない。カオリちゃんから怒られるし。


(たとえ言わなくても、『念話』なので思いっきり伝わってます)


 音の無い声で伝わってましたか……。


 でも、「音無(おとなし)」って苗字あるよね?

 アニメキャラにもいそう。てか、『氷属性男子○クールな同僚女子』にいたな。下の名前知らんけど。


(『響子』とか『小夜』とか『芽留』とか『莉音』とか『響』とか)


 なんか、ぞろぞろ出てきた。したら、もっといそうだ。音無さん。


(『音無(ネム)』もいるのだべさ。『魔王城でおや○み』のス○リス姫のお母さん。カイ○ーン女王オーロラ・音無(ネム)・リース・○イミーンだべさ)


 したら、愛称は「ネムリス」なんやろか?


 で、CVは、実は「でび○くま」も演じてたらしい「早○沙織」さんだ。

 そして、これが初の「母親役」ってワケじゃなかったよ。思い出したよ、「556」のことを……。


      ◇


「いよいよ、決勝です!」⇒司会進行役の『乙女神官』。


 え? あ、そうなんだ?


 イヤ、その『神前重量挙げ大会』というだけあって、競技参加者は、ほぼほぼ「筋肉ダルマのおっさん」ばっかりなのだ(泣)。


 元々が男の子である俺様は、なんの興味も関心も持てないから、目の前で繰り広げられている「男たちの熱いバトル」とかいう地獄絵図(泣)から意識を逸らすべく、『★音無秘め☆』にまつわる諸々を長々と妄想したり、『★伝心☆』で雑念の飛ばし合いをしていたのであった。


「なお、決勝では、今年独立を果たした『東の円十二単王国』より寄贈されました『ばーべる』で行います。『ばーべる』とは『棒付き重量円盤』であります」


 バーベル? マジで?


「それに伴い、『重さ』を表す単位を『きろぐらむ』と呼称します。ご了承ください」

 

 『前世の記憶』持ちとしては、その方が分かりやすいんだけどさ。なんかこう、ファンタジー風味がねえなあ。


 しかし、バーベルなんて、『アアス』にあったの?


(あたしらが、汎用大型護衛艦『あわ』艦内の、『トレーニングルーム』で『発見』したものだべさ)


 そう言えば、「内部を探索した」とか言ってたな。


(して、昨晩『女王国』の『魔法審議会』の皆様の御協力によって、『東の円』から『★召喚☆』されたのだべさ)


 あの、やたらとデカい『魔法円』。

 そんな、しょーもないもん、召喚するためのものだったのか?


(別なものも、呼び寄せるらしいべさ。なにやら、ロマンティックなものらしいべさ)


 まあ、そっちが本命だろうな。


 にしても、バーベルとか。


 つい最近、『マッシュ○-MASHLE-』を観たよ。

 さっきの「お姫様」うんぬんを言ってたのは、この作品のピンクちゃんだよ。


 で、黒い「トレ着」着たマッ○ュ・バー○デッド君が、バーベルを軽々と持ち上げてたよ。


(フンフンフンフンフンフン)⇒ホノカ。


 そして、自分の筋肉に名前つけてたよ、○ッシュ・バーン○ッド君。


(なぜ、いちいちフルネームなんですか?)


 毎回毎回、サブタイトルがそんな感じなのよ。一部、例外もあるけれど。


 でも、『マッ○ュル』は……あまり参考にならない気がするな。


 これまた最近観た『魔都精兵の○レイブ』の寮のトレーニングルームにもあったな。バーベル。七番組にも六番組にも。


(それ、どんなアニメなんですか?)


 ひとくちでは言えないです。かなりの上級者向けです。

 あと、水滴が邪魔です。結露には気を付けてください。


      ◇


「選手入場!」


 どうせ、おっさん……ああ、そうでもないか。

 女性の参加者も、いる事はいるのだった。


「『冶金の丘』代表、スウ・グラ・フトン!」


 …………。


 残念ながら、会場の盛り上がりは一切無い。

 観客の過干渉やら不正を防止するために「無観客状態」なのだ。


 『地球』の「重量挙げ」……「ウエイトリフティング」において、競技者の服装に、どんな規定があるのかは知らない。


 惑星『アアス』では、上は「タンクトップ」で、下は女子が身に着ける「ボーイレッグ」みたいな感じだ。


 そのせいで、パッと見「陸上競技の選手」みたいに見える。


(それ、『地球』の『ウエイトリフティング』だと、規定違反のはずですよ)


 そうなんだ?


 俺が、ざっくりと聞いた話では、「おへそ」を出すのはNG……という謎ルールになっているらしいんだよな。


(『かみなりさま』にとられてしまうのだべか?)


 おばあちゃんかな?


 なお、現在は競技前の「選手紹介」みたいなものなので、「試合着」の上に、派手な色彩の「上掛け」を着ている。


 図案は、各地の「紋章」だ。

 西洋の騎士が甲冑の上に着る「サーコート」みたいだ。


 そんなカラフルな装いの選手たちが、つぎつぎと入場して来る。


 ……んんん? あれ? ……あれえ?


(どうしたんですか?)


 我々の「地元」と言っていい、『英知な都』の代表選手がいないぞ?

 唯一の「スカイブルー」だから、それだけで、すぐ分かるのに。


(『予備予選』で敗退したよ。見てなかったの?)⇒ミーヨ。


 ……ハイ、見てませんでした。


 てか、「予備予選」なんて、「金塊」を持ち上げるだけのデモンストレーションみたいなものなのに、そこで敗退しちゃったの?


(なんかね。うまく『せいし』出来なかったみたい)


 頭上での「静止状態」が、規定に満たなかったらしい。しかも、真下に叩きつけるように落下させてしまい、かなりヤバかったらしい。見てないから知らんけど。


 でも、デモンストレーションで真下に叩きつけるとか、日向くんかな?


 だがしかし、ドンマイなのん!


 ぶっちゃけ、まったく期待してなかったし。顔も名前も知らないし。


(……ヒドい)⇒カオリちゃん。


 ちなみに、あの「金塊」って、どっかからの「借り物」らしいよ。「盗難事件」とか、起きないといいよね。


(やめてくださいよ、フラグになったらどうするんですか?)


      ◇


 最後にあらわれたのは、今大会の優勝候補筆頭だ。


「『王都』『南の街区』代表。ゴスメリラ・ヒヤシンス!」


 家名が「お花の名前」だ。


 『女王国』は、生真面目な官僚機構の整った国なので、日本の「戸籍」みたいなシステムがあって、その管理の都合上、みんな無理やり「家名」を名乗らされる。でも、自身の家の名なんて分からない人は、『地球』の「お花の名前」をつける事が多いらしい。


 で、「ヒヤシンス」って、「花言葉」はなんだろう?


(アレ、やってみてくださいよ)


 二交代制『聖女』。「Wヨハンナ」のひとりであるカオリちゃんの助言だ。

 入れ替わり前に、色々とレクチュアされてた事のひとつだろうな。


 数千年にわたる「ひとびとの記憶」にアクセス可能な「黒い星」が、いま俺の「おでこ」に宿っている。ならばッ!


(検索。『アルマジロング』とは?)⇒俺。


 …………。


 ……。


 特撮ヒーロー『仮面ラ○ダー』に登場した「鋼鉄怪人」?

 へー、そうだったんだ? で、「ショッ○ー」のブラジル支部から派遣された? ブラジルに支部あるんだ? そこから遠路はるばる? 怪人だし、きっと密入国だろうから、船かな? 長旅、大変そう。


(……なぜ、そっち?)


 イヤ、ちょっと謎だったので。


 ついでに言うと、俺は『ワンパンマ○』のヒーローの中では、「無免○イダー」の「生き(ざま)」が好き。カッコいーよ、彼。


(それまた『中村さん』じゃないですか?)


 なお、先の「PA」も、これで調べたのだ。

 ほぼほぼ「ネット検索」なのだ。


(検索。『ヒヤシンス』の花言葉は?)⇒俺。


 …………。


 ……。


 ああ、色違いでいくつかあるんだ?


 『神殿』のある『南の街区』の紋章は「白」だ。

 で、「白」のヒヤシンスは、「ひかえめな愛らしさ」だってさ。


 失礼ながら、「ゴっさん」の見た目といちばんかけ離れた言葉だな。


「ウホウホ!」


 極端な多毛症で筋肉質。まるで見た目はメスゴリラのよう……。

 そんな女性が、自身の未来に悲観して「自■未遂」をおこし、そのまま目覚めず、「眠り姫状態」になった。


 おそらくは、その時に、もともと宿っていた「黒い星」が、離脱してしまっていたのだろう。


 その空いた「空席」に、一年前の『神授祭』の、当時の『聖女』さま(※アプロダイテ嬢のことだ)の『私的な祈願』によって、12年前の『とても寒い冬』に関連して亡くなっていた彼女の母親の『記憶』を記録していた「黒い星」が、固着したのだ。


 その後、目覚めた「ゴっさん」は、その『前世の記憶』によって、自分を「アプロダイテ嬢の母親」だと思い込み、彼女の「義母」として、一緒に暮らすようになったそうなのだ。


 言ったら、赤の他人同士の、どっちもどっちの「思い込み」の「勘違い」なのだけれど、それでもお互いに「家族」として、大切にしあっているそうなのだ。


(…………)⇒ミーヨ。

(…………)⇒ホノカ。

(…………)⇒カオリちゃん。


 こんな人たちにこそ、『聖女』専用の祝福祈願の言葉をかけたくなるよ。


(さち)あらん」


「「「「「……『聖女』さま!?」」」」」


 いきなりだったので、近くにいるみんなが、ビックリしてるだわさ。


(わたしも……そう言いたかった。お母さんみたいな『聖女』になって、みんなの祝福を祈願したかった……)


 ……ミーヨ。お前、そんなふうに思ってたのか……。


(ジンくんが、わたしの代わりに『聖女』になって、わたしの願いをかなえてくれたんだね。……ありがとう)


 イヤイヤイヤ、俺が『聖女』やってんのは、なんやかんやのドタバタがあっての、たまたまだ。そんな「いい話」みたいに、まとめようとするんじゃあないよ。


 まったくもーもー。


(照れてますね)

(照れてるべさ)


 そ、そんなこと言うんなら、いろいろと「台無し」にしてやる!


 祝福祈願の言葉は、「幸あらん」だけだ。ベリーショートだ。


 文言が異様に短い理由は、「どんな『聖女』でも覚えられるように」だそうだ。


 ぶっちゃけ、「人気投票」と「くじ引き」で選ばれるので、歴代の『聖女』の中には、物覚えの悪い「アホな子」もいたって事なのだ(泣)。


 そんで、これって聖地巡礼ツアー『七堂巡り』を完遂して、最終ゴール地点の『全知全能神神殿』で使用許可がおりるものらしい。


 俺、完遂してないけど……いいのかな?

 そういう意味でも、言うたびに「うしろめたさ」を感じるよ。


 それと、一方では、実際に血のつながりがある本当の家族が、離れ離れ別々に暮らしている場合もあるしな。


(あたしには、おじいちゃんがいるから、別にいいんですよ)


 ドロレスちゃんだ。

 彼女のおじいさんは、女王陛下の直轄領『冶金の丘』の「代官」なので、実は現在『王都』に上京してるらしい。どっかで酒のんで暴れてないよな?


 でも、俺が思っていたのは、『とても寒い冬』によって引き起こされた『王都大火』の後の「災害孤児」たちのことだ。


 その中の一人かもしれない『巫女見習い』セシリアのことだ。

 まるで双子みたいに似てる鈴阿弥(りんあみ)さんとの親子関係を立証して、なんかこう、うまいことならへんやろか?


(…………)⇒ホノカ。


 それと、ヒサヤはどうなんだろう?


 彼女は、自ら『西の七国』の生まれだと明言していたけれども。本当の家族がいるのなら、会わせてやりたいよ。なんかの折に、都合よく現われそうな気もするけれども。


      ◇


「「「「「…………」」」」」


 長い「()」が()いている。


 競技参加者全員にとって、今年からの新方式に使用される「バーベル」が、まったくの「未知」だったのだ。


 ついでに言うと、女子柔道アニメ『もう○っぽん!』の主人公は「未知ちゃん」だ。愛称で「ミチミチ」言われてたな。それと、『未知なるミチ』は某アニメのサブタイだ。走り出すのだ、ミチだけに。


(……大丈夫ですか?)


 寝不足と空腹と疲労で、ちょっとアレな状態です。


 ちなみに、「バーベル」って「(バー)の付いたダンベル」って意味の「造語」らしいよ。


 で、『アアス』の人たちにとって「バーベル」なんて見るのも触るのも「はじめて」だということで、全員に「お試し」させる事となり、現在それが行われているのだった。どうでもいいけど、参加者全員が興味津々で、ワイワイと楽しそうだ。


 しかし、観客側にとっては、意味のない無駄な時間が過ぎている。


 ヒマだ。無為(むい)だ。「むに」だ。「うい」だ。「夢以」だ。


(……本当に大丈夫ですか?)


 こんなんだったら、『メガネ』持ち込んで、アニメ観たかった。

 まだ、【○しの子】途中までしか観てないし。


(それなら、『ぴえ○ン』は見た?)⇒ミーヨ。


 誰それ? デカいの?


(だったら、『でかい子』は見た?)


 見た! デカかった! ピンクだった!

 もちろん「おっぱい」のことだ。ピンクは髪の色だ。


(すこし元気になってる。なんで、そんなに楽しそうなんですか?)


 そんなの、もう遺伝子に刻まれてる「なにか」としか言いようがないがね。


      ◇


(……ええええええ!?)


 どったの?


(いま、『三角広場』に『賭け』の『倍率』が公表されたんですけど……これって)


 我々は現在、大会会場にいるので「中継映像」が見れてないのだ。 


(……倍率が、とんでもない事になってます)


 カオリちゃんから、呆然としたような思念波が届いたよ。


(これ……ゴスメリラさんの人気が圧倒的過ぎて、勝っても払い戻し金が、元金割れするじゃないですか)


 うん、予想してた通りだ。


 実は、今回の『大会』は、完全な「出来レース」だ。


 優勝候補筆頭のゴっさんの「怪力ぶり」が、『王都』中に知れ渡ってるらしく、事前の人気投票で圧倒的だったのだ。


 いろいろと情報は上がって来ているのだ。


 ちなみに、スウさんが『冶金の丘』の地区予選で持ち上げた重量は……実は11.8ナンダモン。約130㎏だ。○井●子のテレポートの最大重量とほぼ同じくらいなのだ。


 これは、歴代最高記録には到底およばないし、昨年の『大会』の16ナンダモン(約176㎏)にも届かない。


 一方のゴっさんは、大人の男性三人くらいを、平然と持ち歩く人なのだ。女性ならば、五人はいけるかもしれない。


 なお、ゴっさんの名誉のために言っておくと、彼女は『癒し手』なので、「大人の男性三人」とは「負傷者の搬送」のことだ。変な風な「おもちかえり」とかじゃあないのだ。


 それはそれとして、どう考えても、スウさんには勝ち目は無い。

 いわゆる「ジャイアントキリング」はありえないのだ。某・女王さまじゃないのだ。


(男性参加者は、ガン無視ですか?)


 あるいは俺様が、ゴっさんに対して、チクチクする『魔針眼(マシンガン)』を撃てば……イヤ、そんなことはしたくない。てか、すでにゴっさんに全部ぶちこんでるのだ。それを負かして、どーする?


 でも、このままだと「賭け」は成り立たない。どうすんだろ?


 とか思ってたら、主催者側も問題視してたらしい。アナウンスがはいった。


「今回行われる『ちょっとした余興』について、お知らせいたします」


 その「ちょっとした余興」ってのは、つまり「賭け」のことだ。


「今回は、少し趣向を変えまして、『優勝者を当てる』のではなく、優勝者が持ち上げることの出来た『重さ』を当てる、という事にさせていただきます」


 なるほど、そうきましたか?


「つきましては、いったん休憩をはさみ……」


 改めて、ベットしろ、って事だわさ。


「なお、中継をご覧のみなさまには、その間、かわいい猫たちの姿をお楽しみいただきます」


 映画館の「おトイレタイム映像」みたいなのが流されるらしい。イヤ、正式名称知らんけど。


「「「「「そっちが見た――い!!」」」」」


 『七人の巫女』たちの叫びだ。


      ◇


「これ、あたくしたちが乗っていた『猫馬車』の猫たちの映像ですわね」


 ムービーカメラ『全知神の瞳』が仕込んであったらしい。いつからだろう?


 まだ成猫になり切れてない、中途半端な大きさの猫たちが、無邪気にはしゃいで、じゃれあってる。母猫の黒猫さんは……おつかれ気味だ。


 イヤ、我々も疲れている。


 したら、「(われ)にレッド○ルを(ささ)げよ」……イヤ、どこの「エルフ巫女」なんだよ? あるいは「巫女エルフ」か? エル○ルフ?


 うええええええん(泣)、疲れたよおおお!


(ダークエルフの○ーラちゃんに癒してもらえばいいじゃないですか?)


 あのヒーラー、めんどくさい。なので、ヤだ。

 でも、大西Aさん、ピッタリだった。ハマリ役だった。


(それにしても……大丈夫なんですか?)


 カオリちゃんが心配している。


 たしかに、「優勝者」ではなく「重さ」となるとな。

 主催者側によると、「キログラム」ずつ刻むって話だから、賭けは分散して、これならばきちんと配当金が出る。


 ただし、的中する確率は、思いっきし低下するな。

 一点張りは止めて、安全を考慮して分散すべきか……。逆に、ハイリスクハイリターンでいくか……。


(いえ、そう言ったことではなく、アニメで『重量挙げ』なんてありましたっけ? ネタは大丈夫なんですか?)


 そっちか!


      ◆


 次回、神授祭 3日目⑥

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