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243☆シン最終章[15]◆神授祭 2日目⑩




 ナレーション。


(ナレーション? いきなりなんだべか?)


 イヤ、「スペシャル企画」で抜けてたので(笑)。


 てか、「うれ○ョン」とか言ったら、また別な個人的に好きな声優さんになってしまうしな。ちなみに、このセリフがあったのは『100人』だ。『100万』じゃなくて。


(したら、ホントに『好きな声優さん』て、何人いるんだべか?)


 キミは、毎年毎年季節ごとに()わる()わる咲く花の数を、正確に数えられるのか? ……てか、なにかカッコいーセリフを言おうとして、外した感があるぜ。


 でも、小野小町(おののこまち)の歌に「花の色は移りにけりな」ってあるやん。


(それ、『花の色は色褪(いろあ)せてしまいました』って意味です)⇒カオリちゃん。


 …………。


 ……。


(♪たんたんたたたん)⇒ホノカ。

(♪びーこまち、ふっふー!)⇒ミーヨ。


 ……ホノカから、なに教わったの? 


(『びーこまち』の歌。『さいんはびー』)


      ◇


「……やっぱ、ねえな」


 ヒサヤを送り届けて戻る途中、空から探してみても、それは無かった。


 『王都』に「クリスマスツリー」みたいな飾りは……無いな。


 実を言うと、ちゃらんぽらんでいい加減な「なんちゃって和風」の『将棋愛好会』の会館内部には、『地球』の「クリスマスツリー」みたいな「飾りつけ」があったのだ。


 惑星『アアス』で、それっぽいやつというと、『星葉樹(せいようじゅ)』があるのだけれど……それって「常緑樹」じゃないので、今の季節は冬枯れた色だ。


 てか、アレって、日差しの強い時期には、枝も幹も全身緑色で、まるで「ブロッコリー」みたいな姿をしてるのだ。


(♪ぷろっこ ぶろっこ ぶろっこりー)


 ホノカが、なにやら歌ってる。ナニソレ?


(『おちこぼれフルーツ○ルト』の『ロコちゃん』の『古傷』だべさ)


 わざわざ、そんなものをエグるな。


(人気子役あるあるみたいなもんで、『【○しの子】』では、子役時代の『かなちゃん』が、重曹(じゅうそう)なめ……でなくて、『ピーマン体操』やってたのだべさ)


 ミーヨが()してたアニメだな。あとで観てみるよ。……てか、重曹なめ?

 そう言えば、『はるかな○シーブ』では、「シークワーサー」で「ワクワク」やってたな。酸っぱいのは「クエン酸」だよな。「重曹」って舐めると、どんな味なんだ? 苦いの……かな?


(元・子役は、いろいろな作品に登場するのだべさ)


 元・子役というと、なぜか男性キャラだけ思い浮かんでしまう。

 某「マサオ君」の「パピー」に捧げる歌が、なんかもう感涙だよ。


 声優さんにも、子役出身の方が何人かいらっしゃるよ。

 『○師』の一期目に、子役時代の某・声優さんが出てたりするよ。『(元)高木さん』の子供役の人だよ。


(……して、元々は、なんの話をしてたのだったべか?)


 そうだな。話が完全に逸れてしまったので、本筋に戻そう。


 えーっと、『魔法』使用時にキラキラと虹色に舞う『守護の星(普通サイズ)』は、(じつ)はその『星葉樹』の「葉」そのものだ。


 我々「人間」からすると『星葉樹』は「樹」にしか見えないのだけれど、それは『守護の星』の「製造装置」のように思われるのだ。


 まるで本当の「樹」のように、()()ずる春には、「(かえで)」の葉のように、さやさやと風にそよ。


 …………。


(なして、そこで切ったのだべか?)


 もう一回だけチャンスをやろう。


 ()()ずる春には、さやさやと風にそよ。


(……? なんだべか?)


 なんで、「なんで、『○日影(ひかげ)』やったの!?」って言わないの!?


(したら、『バン○リ』の『迷子ちゃんたち』だべか?)


 やっと分かってくれたか?

 ま、「話を本筋に戻す」つっといて、すぐさま脱線してるけれども。


 とりあえず、このネタで。ホノカさん、一緒にやりませんか?


(いいよー)⇒某キャラの真似をしたホノカ。


 うん。そんな風に、すげー、あっさりと即答してたよな。


 で、これは「そよさん」だ。あるいは、「そよりん」か?

 担当楽器は「ベース」だ。ポジションは「ママ(?)」だ。お嬢様キャラなので、座るときアレやってたよ。で、元「一ノ瀬」さんだよ。お母さんが、それきっかけで奮起したのか、生活レベルが爆上がりしてたよ。某キャラとは……やめとこ。


 とにかく、めっちゃ良かったよ。

 『BanG Drea○ It's MyG○!!!!!』。


 おもしれーアニメだよ。

 俺、「ガールズバンドもの」好きだから、こういうの待ってたよ。今回も、いろいろと突拍子もないことする子がいたよ。


(『きゅうり』で、一体ナニをしろと言うのだべか?)


 食べればいいと思うよ。


 えーっと、また話を戻すと……春には風にそよいで、夏から成長とともに大きく広がり、秋には「☆」のカタチになる。


 そしてそれは、真冬の『神授祭』の季節に、『巫女』たちの祈りとともに枝から離れ、一斉に空に放たれるのだという。


 てゆーか、それやるの、俺ら『七人の巫女』だよ。


 ……でも、いつやるんだったかな?


(あたしの『未来予報』スキルによれば、『神授祭』七日目だべさ)


 そ、そんなスキル、ホントにあるの!? 「未来予想」じゃなくて?

 そんで、現在は「二日目の夜中」だよ? まだまだ先じゃん! いろいろ大丈夫なの? ホントに終わるの? エターナルとかエンドレスはヤだよ?


(して、明日は『猫馬車』に乗ることになるのだべさ)


 だから、ナニソレ?


      ◇


「おまたせしました。プリマ・ハンナ様」

「ご苦労様でした。あそこは遠かったでしょう?」

「ええ、まあ」


 あの寄宿舎に、いたことあるんかな? そんな口ぶりだ。


 ここは、『将棋愛好会』。

 その談話スペース「囲炉裏(いろり)()」だ。


 言ったら「日本家屋」なので、床は「畳敷(たたみじ)き」だ。

 用意された「座布団」の上に、各自好き勝手な姿勢で座っている。もともと男の子である俺様は、「女の子座り」がうまく出来なくて、「体育座り」になっちゃってる。


 そんでここ、談話スペースと言いながら、「将棋盤」がしっかりとある。『将棋愛好会』だけに。


 盤上の「白木の小箱」はなんだろう? ああ、きっと中身は「駒」だな。

 そんな風に、よそ見してたら、となりに「正座」してる人から言われた。


一指(ひとさ)し、いきますか?」


 実は「将棋愛好家」でもあるプリムローズさんは、聖地巡礼ツアー『七堂巡り』の最中に、『聖女』さま(※こっちの中身はカオリちゃん)と、何度も『将棋』で対戦……イヤ、将棋だから「対局(たいきょく)」か? 対局していたそうなのだ。


 でも、俺のほうは弱っちくて、相手にもならないだろうな。


「それは、また今度の機会に」

「……そうですか」


 がっかりしてるのが、妙に可愛いプリムローズさんであった。


      ◇


 ――で、今までにあった「なんやかんや」を、彼女に話した。


「……つまり、亡くなったとされている『()の姫』ロザリンダ王女が生存してるかもしれないと?」


 プリムローズさんの立場上、見逃せないことだ。

 彼女は、第三王女ライラウラ姫の「筆頭侍女」なのだ。


 その姫が、『女王国』の「女王位」を目指しているのだ。

 年上の姫が生きてたってことになると、もともと『(よん)の姫』であるラウラ姫の「王位請求権」が消滅するのだ。なんかよく知らんけど、『三人の王女』じゃないとダメらしいのだ。


「ハイ、それで先ほど、お見せした画像が……」

「ですが、『聖女』さま。『おっぱい』だけで、それと特定するのは」


 そっちじゃなーい!


「最初に見せたやつじゃなくて、2番目に見せたものが、そのロザリンダ王女かもしれない女性を、仮想的に12歳若返らせた画像なのです。てゆーか、コレです」


 めんどいので、またまた当該画像を見せたった。


「ああ、よく見たら今代の『巫女』の、お一人じゃないですか」

「そうなのです。あの人なのです」


 色々と腑に落ちたらしいプリムローズさんが、あっさりと解決案を示した。


「ならば、放っておくのが一番いい。公式には、『()の姫』ロザリンダ王女は、もうすでに亡くなっているのですから」

「そんなんで……いいんですの?」


 楽っちゃ、いちばん楽だけどさ。


「噂が広まったところで、しょせん噂は噂。公式に『死んでいる』人間が、本当に生存していたとしても、それを証明するのは並大抵なことではありませんよ。『聖女』さまが心配するような事には、ならないと思いますよ」


 並大抵ではないか……。

 ちなみに、魔界大帝はキシリカ・キ○リスだ。……ちなんでないか。でも、「魔界大帝○シリカ・キシリス」って語感がいいよね。何度も言いたくなる響きだ。


「私も、いくつかそのような事例を知っていますが、すべて『ニセモノ』で終わっています。中には、もしかすると『ホンモノ』もいたかもしれませんがね」

「ですが」


 プリムローズさんは「歴女」なので、『地球』の歴史にあった、いくつかの「ニセモノ事件」が思い浮かぶらしい。


「ま、『替え玉』の『影武者』が、そのまま『ホンモノ』になり替わってしまった、という話もいくつかありますがね」

「…………」


 それって、実話? フィクションの話? 


 俺も、某作品の「偽○○」が思い浮かんでしまうな。

 まさかの展開だったよ。残酷すぎるよ。そんで、双子姉妹が演じてた双子姉妹が……。


「先ほどの鈴阿弥さんも、セシリアとは、まるで双子のように似ていますが、その親子関係を証明することは、現在の『アアス』の科学では不可能です」

「…………」


 でも、記憶を失っているだけで、子供を産んでるのは間違いないと思うんだけどな。実は、物的証拠的なものもあるし。


「『地球』の、遺伝子検査のような事は出来ないのですから」

「…………」


 親子関係を特定するような「遺伝子検査」って、どうやるんだろ?


(『タバタバ』の『スイガーラ』を拾うんじゃないの?)


 ミーヨ? ナニソレ? 誰かの愛称?


(火をつけて、お口に(くわ)えて吸って吐くと、煙がいっぱい出るのが『タバタバ』なんだって。ホノカさんが言ってたよ)


 それはきっと「タバコ」だな。『アアス』には無いもんな。


 てか、「タバタバ」って何? 「バタバタ」とか「ドタバタ」とか「ジタバタ」なら知ってるけれども。敵に捕まって、ジタバタして「P」が見えちゃった子も知ってるけれども(笑)。


(んー……とね。『第三話』の最後のほうで、あったの)

(『第3話』の、二人が吸い合うシーンはカットされてましたよ)

(『Lv.3』は、完全に『たまちゃん』がメインヒロインだったべさ)


 ……うん、わからん。

 みんな、なんかのアニメの話だろうな。そして、三人とも別作品だろうな。


(二人が吸い合う? えっちな話?)


 てか、ミーヨさん。貴女はホントにもう寝なさい。


      ◇


 親子関係を特定する「遺伝子検査」……か。

 俺のとこも、まあまあアレだしな。


 これまた某作品のことになるけれど……「転生体」とかだと親子関係って成立するんやろか? 「魂の親子」とか? でも、ぜんぜん知らない人に「全力でお兄ちゃん」やられても、すごく困惑すると思うんだけどな。


 そんな事を考えてると、プリムローズさんが恐ろしい事を言い出した。


「あるいは、その王女の幼い頃の『記憶』を宿した『黒い星』と、現在の王女本人の肉体との『合一(ごういつ)』でもないかぎり」

「それ、あり得るかもしれないのですけど?」


「……は?」


 プリムローズさんの、こんな間抜け顔は珍しいな。


「『亡霊』のことです。一緒に『神殿』の『伝承庫』に行きましたでしょう?」

「……ああ、なるほど……」


 ま、俺はただ一緒に()っただけで、「調査」はいっさい(おこな)ってないけどな。


「ぷっ……うぷぷぷ」


 赤毛の美少女が、なにやら笑いをこらえてる。


「ナニか?」

「いえ、思い出し笑いです。どうぞ、お気になさらず」


 …………。


 でもコレきっと、俺に『亡霊』の「黒い星」がとりついていた時の「闇堕ち(笑)」を思い出して笑ってるに違いない。幼児退行して「赤ちゃん化」した時の、恥ずかしい痴態を(泣)。


「……うぷぷぷぷ……」


 てか、実は以前、プリムローズさんに関わることで、こんな事があった。


 それは、まだ俺が『プロペラ小僧ジンくん』だった時の……イヤ、『神授祭』が終わったら、また入れ替わるっつーの!


 この『聖女』ヨハンナのほうが、俺の「仮の姿」だっちゅうの!


(『おちこぼれ○ルーツタルト』に、『仁菜だっちゅうの』ってセリフがあった気がするのだべさ)


 元々は、女性お笑いコンビのネタだっけ? だっちゅうの。

 そんで、それって何話目? そこまでの細かい「記憶」はある?


(第6話。サブタイトルは『へんたいあらわる!』だべさ)


 ……だから、ホントになんなん、そのアニメ?


      ◆◇◆


 それは、俺がまだ『宇宙』にいた時の話だ。

 滞在二日目の朝に、ミーヨから頼まれていたのだった。


(なんかね、プリちゃんが『えいせいしゃせい』が欲しいんだって)


 きっと「衛星写真」の事だろう。俺「画伯」だから「写生」はムリだし。


(出来るだけ、『こいぞ、うど』は細かくだって)


 これ、きっと「解像度」だな。たぶん、そうだろう。


(『きりこが飲むうどのこーひーは苦い』んだって)


 なんの話やねん。


 それはそれとして、『オペレーション・スプリットブレイク』発動後、『アアス』に帰還するための「大気圏突入」直前に、そのことを思い出し、減速して対地高度がかなり低下した状態で『女王国』上空を通過した時に、俺様の右目の魔眼『光眼(コウガン)』で撮影した映像を、『★イメージ転送☆』でプリムローズさんに送ったのだった。


 で、『アアス』帰還直後――


 ミルクタンクふたつを救命ボート代わりにして、海にぷかぷかと浮かんでいた時の事だ。


(なんかね、写りが良くなかったから、『りていく』だって)


 無茶言うな(泣)!


 そして、そのついでのように言われたのだ。


(わたしが新しく『太守』になった『英知な都』の近くの『地形』が、故郷の『ならぼんち』みたいなんだって)


 ……へー。


 プリマ・ハンナさん(※プリムローズさんの本名だ)の『前世の記憶』の「オリジナル」の人。関西ご出身なのは間違いないと思ってたけれど……「奈良」だったんだ? へー。


 お名前からして、「阪奈(はんな)」のどっちだろう?

 とは思ってたけれど、「奈良」の方だったか。そっかー。


 でも、その後に詳しく聞いてみたら、ちょっと違っていて、プリムローズさんが思いを()せていたのは、遥か古代に奈良盆地にあったという「大和湖(やまとこ)」だったらしいのだ。


「職場に通うための往復で、朝晩に『亀の瀬』ってところを通っててね。それで、つい思い出したんだよ」


 盆地って、言ったら「昔の湖が干上がったところ」だそうで、その「亀の瀬」を通る「大和川」によって、古代にあった「大和湖」が干上がって「奈良盆地」になったらしい。


 で、「亀の瀬」は有名な「地すべり地帯」で、それを克服するための工事が数十年も続いていたらしい。


「ここが埋まったら、大和川が()き止められて、また盆地に湖が出現するだろうなあ、ってね」

「そうなんスか? でも俺、何かのお笑いのネタとして、『淀川(よどがわ)せき止めて、京都盆地水没させたる』って聞いたことあります」


 俺がそう言うと、プリムローズさんは愉快そうに笑った。


「ああ、師匠やね」


 誰のことだろう?


 そんで、もともとは、琵琶湖がある滋賀県が、おとなりの京都に対して不満があるときに『水止める』ってのがモトネタなんだそうだ。


 『地球』の日本の平野部は、元々「湖」とか「川」とか「海」だったところが、干上がったり、埋め立てられたりしてるところばっかなんだそうだ。


「それと、奈良のどこかに『亀石』っていうカメの形をした石があって、それが『西を向いた時に奈良盆地は水没する』って伝説があるって聞いたことあります」

「うん、明日香のだね。たぶん、何らかの関係があるだろうね」


 で、なんでこんな話になったかというと――


 ミーヨが『太守』になった『英知な都』……旧名『死の廃都』は、二千年前の『月の欠片』の降下によって、川の流れが阻害されて出来た「堰き止め湖」の底に沈んでしまっている『古都』の事を指していたからなのだった。


 ちなみに、その湖。

 いま現在は『月の欠片』が自然の風雪や風雨で浸食された「土砂」が流れ込んで、誰がどう見ても「H」なカタチをしてる(笑)。


 そしてさらに言えば、ミーヨの「オ・デコ家」は、数千年前に忽然と『アアス』にあらわれた最初の人類『方舟の始祖様』の時代から続く名門で、その『古都』を治めていた「王」と呼んでいい存在だったらしいのだ。


      ◇◇◇


 あれ? ついつい思ってたんと違う追憶になった。


 でも、『衛星写真』に関して言えば、2度目に『宇宙』に行った時に、きちんと「リテイク」したけどね。


 その時、プリムローズさんから『魔法』の実験したいから、って言われて、色々やらされたよ。


 さらに余談だけど、プリムローズさんの「中の人」はコーヒー好きなので、ネットでコーヒーについて調べものをしてたら、何かの慣用句みたいな「キリコが飲むウドのコーヒーは苦い」という一文にぶち当たったのだそうだ。俺も「先輩」から聞いたことある気がするけれど……モトネタなんだったっけ?


 ま、それはそれとして、ホントはこっちだ。


 では、回想。


      ◆◇◆


 それは、俺が三度目の女体化をする、ちょい前のことだった。

 男子禁制の『王立産院』で、何度目かの「門前払い」を食らい、しょんぼりしていた時だった。


 たまたま通りかかったプリムローズさんに誘われ、『道』向かいの『乳業組合』のカラフルな乳飲料スタンド的なところで、謎めいた色付きミルクを飲みながら立ち話することになった。……イヤ、だから俺は牛乳苦手だってば。


 俺、過労■で異世界転生してもふもふ……じゃなくて、かろうじて「コーヒー牛乳」は飲めたから、「代替(だいたい)コーヒー量産計画」をなんとかして軌道に乗せたいよ。


「ナニコレ? いちご牛乳? でも、なんか味が違う」


 ピンク色した謎な乳飲料にとまどっていると、プリムローズさんから、いきなり切り出されて話が見えなかった。


「例のアレね。本当に『暗殺指令書』だったわ」

「例のアレ?」


 なんのことやら、さっぱりだった。


「以前、『王都』に向かう旅の途中に、色々あって入手した『めも』があったでしょう?」


 はて? メモ?

 某アニメで、クッキーの中に入ってた「メモ」に書いてあった連絡先の電話番号は何番だっけ? イヤ、すごい桁数だった気がするから、架空の番号なんだろうけれども。


 ならば、かなり昔に読んで、忘れようとしても忘れられなくなってる某漫画のネタはどうだ?


「ときめいたら、メモ。略して、ときメ」

「もう! なんの話やねん? あったでしょ? あの『黒髪の女。足に双子星。三人に六点』ってやつ」


 ああ、アレな。もう、散々やったやん。何度目だよ?

 恥……じゃなくて、「手垢(てあか)」がついてるよ。


「アレ、まだ引っ張るんスか?」

「いや、引っ張るとか、なんやねん?」


 で、メモの文言の「三人」は、12年前の仲良し三人組「三人ロザリンダ」を指していたという証言があったらしいのだ。つまり「黒髪の女」とは、「三人ロザリンダ」のうち一人だけ黒髪だった『()の姫』ロザリンダ王女である、という結論に至ったそうなのだ。


「その証言て、誰が言ったんスか?」

「今はまだ明かせないが、我々のよく知る人物の父親だよ」


 一体、誰の父親だ? まさかの俺?


      ◇◇◇


 で、今の俺は、そんな事があったとは、つゆだくに知らない『聖女』ヨハンナだ。


(我慢出来ないので、突っ込んでもいいですか?)

(『つゆほども』だべさ。『スープカレー』じゃないのだべさ)


 ここはひとつ、とってだしの「秘策」を使おう。


(制作スケジュールがベリータイトなアニメみたいになってますよ)

(つっこまれたくてボケてるとは思うけども『とっておき』だべさ)


「ちょっと『おトイレ』に……」


 席を立った俺は、そのまま奥まったところにある『こっそり小部屋』に入り、ある『魔法』を使おうとして……びっくりした。


「オウフ!」


 壁一面に投影されていたのは、アダルティーなコンテンツだった。

 俺が『宇宙』から持ち帰り、『錬金術』で量産した「未来のゲーム機」には、プロジェクタとしての機能もあった。それを、まさか……こんな場所で、こんな風に使うなんて!


 その本人には気づかれていなかったので、そのままそーっと部屋を出た。

 なお、本人の名誉のためにも、その名は明かせないので、ご了承願いたい。


 仕方なく、廊下のすみっこで発動させた『魔法』は――


「祈願! プロペラ小僧ジンくんの ★声音(こわね)☆」


 以前、シャー・リイ嬢……イヤ、実はもう御結婚されていて、現在は「稲田リイさん」だけれども……とにかく、彼女が使っていた「声真似変声魔法」だ。


 例によって例のごとく、小生(しょうせい)の「魔法コピー能力」でラーニングしたものだ。

 で、『アアス』の『魔法』システムを司る『世界の(ことわり)(つかさ)』にまで、俺の名前が「プロペラ小僧ジン」って事になってんだな……まあ、いいけど。


 にしても、いくら女体化してるとはいえ、自分で自分の声真似とか……。

 どうせなら、イケボの声優さん……でも、声は似せられても「演技」は自力だからな。イケメンの演技とか無理だわー。


 ま、それはそれとして、姿カタチは「ヨハンナちゃん」のまんま。

 しかしながら、声は「プロペラ小僧ジンくん」で、物陰から声をあげた。


「あれぇ!? プリムローズさんじゃないっスか?」

「ん? ジンか? いたのか? なんで声だけなんだ。出て来いよ」


 そうはイカのペ○ス!


「イヤ、俺いま全裸なんス」

「かまわないよ。どうせ、もう見慣れてるから、気にしない。話したいことがあるから、ちょっと出て来てくれ」


「…………」


 そんなことを言われても……。


「もう! プリムローズさんのえっち!」


 国民的アニメのヒロイン的なセリフを言ってみた。ジンくんの声のままで。


「え? おい!」


 仕方なく、こっそり『魔法』を『★解除☆』し、むなしく席に戻った。


「『聖女』さま。今、そこにジンがいませんでしたか?」

「彼、何があったのか、泣きながら走り去っていきました」


「……はあ? まさか全裸で、ですか?」


 プリムローズさんが、めずらしく困惑している。


 でも、もうこうなったら、多少強引でも聞き出してやる。


「プリマ・ハンナ様。あたくし、彼から聞いて知っていますわよ」

「……何をです?」


 警戒されてるが、強行突破だ。


「例のアレ。『めも』の事です」

「例のアレ?」


 えーっと、細部を忘れてるな。


「たしか、『黒髪の女。足に双子星。三人に六点』」

「……例のアレを、聞いているのですか?」


 めずらしく間違えなかった。さすが俺様です。二度目です。


「さらに言えば、あたくし。ラウラ姫殿下の侍女のハンナちゃんとハンナ嬢とも懇意(こんい)にしておりますのよ」


 情報収集要員「(ダブル)ハンナ」だ。

 キャラ的には「ハンナ(わらい)」に近いものがあるけれども。


 それと、元『おトイレのハンナちゃん』については、ある調査を命じてあるので、某所に潜入中だけどな。こっちはかなりの「ポンコツ」なので、ちょっと心配だけどな。


「あのポンコツのハンナちゃんと懇意……ですって?」


 そこなんかい。


「では、もうすでに、ご存知なのでは? 証言者とは……殿下の父君の事です」


 なん……だと?


 ラウラ姫とドロレスちゃん(※他に二名の男子あり)の父親だとう?


 例の『仮面の男』が?


「彼は、『女王国』に『男性の王』を誕生させるべく暗躍する『密猟者組合』の構成員だったのです」

「…………」


 そんな立場なのに、女王……イヤ、即位前だから、「王女様」か? 王女様の、『(いと)(びと)』だったのか?


「『王族』の女性に男児が生まれた場合、その父親となった人物はすべて、『密猟者組合』から『勧誘』されるそうなのです」

「…………」


 物事の順序は不明なものの、誘われてホイホイ入っちゃったのか?


 俺、実は『密猟者組合』と「接点がある」と言えばあるしな。


 実を言うと、彼ら『密猟者組合』の主な「狩り場」は、神造山脈『月の欠片』のすそ野に広がる広大な森林エリアだったりする。


 『月の欠片』は「女王陛下の直轄領」で、「禁猟区」だったのだ。

 女王陛下の称号のひとつ「『月の欠片』の保持者」って、そういう意味だったのだ。


 けれど、ミーヨが『死の廃都』の太守に就任したタイミングで、そこは「オ・デコ家」の領地に組み込まれた。


 そんで俺、旧『死の廃都』現『英知な都』の「領地経営」を手伝わされてるから、『密猟者組合』の代表と会談して、「狩猟」についての協定を結ばないといけない感じになってたりするのだ。ああ、めんどいなあああ。


「……(苦悶)……」


 プリムローズさんが、ずっと苦悶の表情をしている。

 『仮面の男』こと「姫の父君」は、彼女の「叔父」でもあるのだ。


「プリマ・ハンナ様。事によると、その暗殺計画の対象だった『()の姫』さまが、現在も生存しているかもしれませんし、そうだとしたら……」


 言うと、彼女はかすかに微笑した。


「その暗殺計画そのものは、未遂に終わったそうなのです。決行寸前に起きた『王都大火』によって」

「……それなら、気に病むことは……」


 どのみち、12年前の話だ。当時、俺たちは「幼児」だったのだ。


 それに、ついさっき自分で「放っておくのが一番いい」って言っといて、何を苦悩しているのだろう?


「公式には、旧『施薬治療院』において火災で亡くなった、という事になっている『()の姫』の生存が認められてしまうと……」


 ああ、元々の「精神」とでも言うべき「黒い星」と、元々の「肉体」との『合一(ごういつ)』の可能性を(あや)ぶんでるのかな? でも、それには双方の「おでこ」を合わせて……と言うか、「頭突き」をしない限り、平気だと思うけどな。


 あの二人。直接的な面識は無いはずだし。

 それに、11歳の『巫女見習い』と、19歳の『巫女』が「頭突き」をするシチュエーション……なんて絶対に無いと思うんだけどな。


 それよりも、俺が『聖女』ヨハンナとして、握手をした『仮面の男』って、明らかに「目が見えてた」んだよな。


「ところで、その方、普段は『仮面』を被っているとか……」

「そうでもないのです。むしろ堂々と素顔をさらしているようです」


 そしたら、都合が悪い時にだけ、素顔隠してるの?


 『王都大火』で、『癒し手』でも治せない傷を負ってるって話は、どうなったの?


 まさか、「目には見えない心の傷」とか言わないよな?

 もし、そうだったとしたら、ぼてくりこかすよ? 「ぼてくりこかす」って、なんか語感が可愛いけれど、実はガチなやつらしいよ。


「実は……私もジンも、素顔の彼と、会っていたかもしれないのです」


 以前、俺たち「ゆかいな仲間たち」が寄った『焼き肉のお店』で、堂々と素顔をさらして、焼き肉食ってたらしいよ。豚のレバーは加熱しないとダメだよ。まさに至言(しげん)だよ。


 にして、あの店で、焼き肉食ってやがったのか?


 まったくもーもー。


      ビロリラピロロン!


 あ、なんか着信入った。


(だからですね。今朝がた、言いかけたじゃないですか? 『焼き肉』って)


 こ、この思念波はドロレスちゃん? よい子はもう寝る時間だぞ?


 悪い子になったら……てか、ご両親ともご存命だよ。ドロレスちゃんは。


 でも、自称「最低最悪の超悪い子」は、めっちゃ可愛いぞ。

 でも、その子の父親はだあれ? と問い詰めたくなるぞ(泣)。


 でも、ネタバレになるから、作品のタイトルはヒミツだぞ。


      ◆


 次回。神授祭 3日目。

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