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238☆シン最終章[10]◆神授祭 2日目⑤



 ねえ、知ってる?


 PCってね、長いこと使ってると……壊れるんだよ。


(……いきなり、なんなんですか、それ?)


 それでね、PCが壊れると……なにかが、ポキッ、と折れるんだよ。


(…………)


 それを何と呼ぶのか……今のわたしには分からないのだけれども、えーっと、とにかくそういうことなんだよ。


 …………。


 ……。


      ◆


「「「「「いいにおーい!」」」」」


 クッキーが焼き上がった。


 焼き上がるまでのあいだ、なにやらものすごーく時間がかかったような気もするけれども……それはきっと、たぶん気のせいだろう。


 石窯(いしがま)から金属板のトレイを引き出してみると、真っ白だったクッキー生地が「小麦色」になってる。


 でもこれ、生地に練りこんだバターが焦げてるっぽい。

 小麦粉そのものの焼き色じゃないと思われるな。


「きつね色ですね」


 まるで、「あぶらげ」か「コロッケ」みたいな言い方だ。

 誰かと思って振り向くと、元・狐耳奴隷らしい『巫女』サレイシャだった。


 でも、奴隷期間が始まる直前で『化物(ケモノ)』を替え玉に仕立てて逃亡したそうで、実際の奴隷としての実働期間はゼロらしいんだよな。


(きつねって、『キタキツネ』のことだべか?)


 長くなりそうなので、こっちはスルーしよう。


「真っ白かったのに、こんな色に焼けるんですね」


 自分自身と、重ねてるんでろうか?

 『巫女選挙』の頃の「褐色の肌」は「日焼け」の結果で、もともとは今みたいな「白い肌」の持ち主らしいし。


「サレイシャさんは、『巫女』になる前は、どちらで何をしておられたので?」


 料理とかお菓子作りそのものが、初めてなんじゃなかろうか?

 そんな感じの、浮世離れした知らなさ加減だ。


「私の『巫女見習い』時代は、ずっと『洗濯』担当で、毎日毎日、洗濯物と戦っていました)

「そうなんですの?」


 『全知全能神神殿』に所属する『巫女見習い』には、広い『神殿』のどこかで、なんらかの「お仕事」が割り振られるのだ。タダ飯は食えないのだ。


 で、それって『プリン○ス・プリンシパル』の「洗濯工場」みたいな感じなんやろか?


「私、身体が引き締まっている、とよく言われるのですが」

「ああ、ハイ」


 俺も、そう思ってました。

 ウエストが引きしまったナイスバディの持ち主なのだ。


「それって、洗濯物を両手で『圧し洗い』してたからなのです」

「へー……」


 そんなことを毎日やってると、ウエストがすごく引き締まるらしい。

 そんで、いつだったか、セシリアがまだ『猫耳』つけてた時に、洗濯物を両手で「前足とんとん」してたのを思い出したよ。


(あの動作は『ふみふみ』じゃないの?)⇒ミーヨ。


 アニメの「田舎の少女」に多い気がする「ふみちゃん」。

 俺は2人知ってる。いずれも名作だ。猫関係ないな……でも、『スキッ○とローファー』の「みつみ」ちゃん家のペットは、犬は「おみそ」で猫は「おしお」……イヤ、だから猫の話じゃないってば! 「洗濯」の話だってば!


(洗濯物にティッシュ混入で激怒してた巨大猫がいたのだべさ)


 そんな事されたら、巨大猫じゃなくてもフツーに怒るよ。


 ちなみに『デキる○は今日も憂鬱(ゆううつ)』の話だよ。

 同じ制作会社で、同じ期に放送されてたらしい『好きな子がめがねを○れた』と、どっちが「作り置き」だったんだろう? どっちも、めっちゃクオリティ高かったよ。ガチな同時進行だったとしたらスゴいよな。


 ま、それはそれとして――


「私は、とくに取柄もなくて……ずっと『洗濯係り』ばかりでした」


 『巫女』サレイシャが、憂鬱そうに言った。

 彼女は、見た目とちがって「デキる」ってタイプではないらしいのだ。かと言って、ポンコツ感もないけれど。


「そうでしたの……」


 しかし、女性の下着洗うのって、たのしいんやろか?

 あれこれとうるさく言われて、面倒くさそうだよ「洗濯係り」。


(どこかの『使い魔』みたいですね)⇒カオリちゃん。


 だから、俺はキャストオフされた「P」には興味がないってば!


      ◇


 でも、いくつか()げてるのがあるなあ。


「焼きすぎてますってば!」

「炭化したのは、捨てないとダメですってば!」


 『巫女』アルルミナと『聖女』ヨハンナ(中身は俺)だ。

 合金ならまだしも、食べ物に「炭化」はアカンのだ。たんたんたぬきの「キングテイマー」なのだ。てか、「王を調教する者」って、つまりは「女王さま」か?


(『平成○合戦ぽんぽこ』だとなんでしたっけ?)

(『きん○ま』だべか?)


 言いたい事は多々あるが、ここはスルーするぜ。

 ちなみに、原曲は「讃美歌」らしいよ。その替え歌なんだってさ。


「捨てるのはぁ、もったいないですう」

「食べられるのは、あとで食べるらしいわよ」


 『巫女』クリムソルダと『巫女』アナベルだ。

 ユニット名は「クリアナ」だ。ちょっと危険だ。


 とにかく、素人がやってることなので、焼きすぎて()げたクッキーもあったのだ。でも、歩留(ぶど)まりは悪くないな。アウトレットに回されるのは、ちょびっとだ。

 で、その「非正規品」は、今日の『神殿』の夕食に(きょう)されるらしい。


「焦げたものは、こちらに移してくださいね」


 『巫女』シンシアだ。新たなヘアスタイル「姫カット」がかわいい。

 相変わらず、すこぶる委員長的だ。なお、「すこぶる」は「頗る」で、なんかの略じゃないらしい。したら、「おでこパワー満タン」の「満タン」て何の略だろ?


(その前に、『おでこパワー』ってなんなんですか?)


 カオリちゃんだ。「Wヨハンナ」の一人だ。

 ちなみに、彼女のおでこにあった『聖女』の証の「数千年に渡るひとびとの記憶」が宿る「黒い星」は、入れ替わり前日に、こっそりと『おでこ合わせの儀』を行って移動させ、いま現在は俺の「おでこ」にある。


(だから、『おでこパワー』ってなんなんですか?)


 なお、「おでこパワー」は、『星屑(ほしくず)テレ○ス』の話だ。「おでこパシー」だ。

 ロケットがいっぱい出てくる話だ。すばらしい良作だ。OPもEDもめっちゃいいし、『spektro』も良かった。ただ、歌詞が「宇宙語」なので、完全に意味不明だったけれども。


(ボナヴ~)⇒ホノカ。


 マティヴー。


(ふつうに会話してるじゃないですか)


 これはただの「あいさつ」だ。


「焦げすぎというと、こんな色味ですかね」


 『巫女』ポタテが、自分の褐色の手をカラーチャートみたいに使ってる。

 『地球』だとセンシティヴになるかもしれないけれど、惑星『アアス』に住む人は六割がたが「すべての人種の特徴がいりまじったような褐色の肌」が多い。俺もそうだし、気にすることはないのだ。


 そんで、某アニメのヒロインが、「日焼け」と見せかけといての「肌黒ファンデ」で褐色になってたの思い出したよ。作中、「健康な下乳(したちち)を見ると健康になれる」って、スゴイ名言があるよ。てか、これぞまさしく「宇宙の真理(しんり)」ってやつだよ(笑)。


 でも、主人公の○条新菜(わかな)君は、なぜかいつも「やつれ気味」だ。意味深にボックスティッシュとか……。


(『その着せ替え人形(ビスクドール)は○をする』だべか?)


 いいアニメって、視聴中の「体感時間」を短く感じるけれど……この作品も、感覚的には「一話5分」だよ。あっという間に観終わっちゃうよ。ヒロイン、えっちぃよ。よきー。


(『海夢(まりん)ちゃん』だべか?)


 ほかにもいるよね、マリンちゃん。

 某アニメ作中の架空作品だけど、『魔女の谷のマジカル・マリン』ってのがあったな。その声優さんは、どなただったかしら?


(『ほしのあくあまりん』とか?)


 はて?

 ミーヨは何を言っているのだ? どこかの水族館か?


(実は、わたしも今『あにめ』観てるの)

(あたしが『通訳』してあげてるのだべさ)


 へー、どんなアニメ?

 アクアマリンって、元・喫茶店のラジオ局とか?


(双子でね、もうひとりは『るびー』ちゃん)

(あたしは、この瞳に慣れるまで、時間かかったのだべさ)


 ……へー?

 でも、なるべく「胎教」にいいやつ観てね。ガチな妊婦さんだし。


(…………)⇒ホノカ。


 なぜ黙り込む?


「『聖女』さま。撮影いいですか?」


 コスプレ撮影会みたいなことになってるな。

 『神官女』ダイナさんに、魔法的なスナップショットを撮られながら、分厚い「鍋つかみ」みたいなので、クッキーの乗った金属トレイを取り出したよ。ところで、この「鍋つかみ」は、なんて名前だっけ?


(『ミトン』ですか?)


 どっかの「有翼球体生物」みたいな名前だ。


 ちなみに「棒付球体飴玉」のバリ取りのほうは、「やってる(てい)」の写真撮影が終わったので、外注というか下請けに出されている。さすがに我々『七人の巫女』が全部やるには、数が膨大すぎるのだ。


 将来有望な『巫女見習い』セシリアも、どっかで手伝わされてるらしいよ。


(あたしもですよ~)


 ドロレスちゃんだ。

 彼女、今回は『巫女見習い』として『王都』に来てるので、『神殿』の雑用に動員されてらしい。がんばってねー。


 で、クッキー、キャンディーときたら……お次はアレだな?


「『めろんぱん』ですう」


 ……マシュマロじゃなかった。

 そしたら、チョコレートも無しだな。


(そんな!)⇒ホノカ。

(ひどい!)⇒カオリちゃん。


 でも、個人的には「くるみパン」が食いたいな。


「先生。あのナッツは持ってる?」

「『なっつ』?」


 俺が訊いたら、ロザリンダ嬢が不思議そうな顔してるよ。

 意味が通じてないな。ちなみに、「ナイスロケッツ」の略ではないよ。


「昨日いただいた『木の実』のことです。もし、お持ちなら、パンに入れたいので、またくださいな。おねがい☆先生」

「でしたら、すこし、お待ちを」


 あっさりと「おねがい」が通ってしまった。

 あのナッツ。香りもいいし、おいしいのだ。ぶっちゃけて言うと「くるみ」だ。


(やるんじゃないかなー、とは思ってましたが、本当にやりましたね? ですが、放送順は『ティーチャー』『ツインズ』『あの夏』でしたよ?)


 カオリちゃんの「思念訂正波」だ。

 だがしかし、俺の視聴順は『双子たち』『あの夏』『先生』だったのだ。そんで、あの「湖」はどこにあるんだ?


(『地球』の日本の長野県の大町市です)


 そこって、町なの市なの? 信濃(しなの)なの?


      ◇


(『サン○ャイン!!』のスピンオフ『幻日のヨハ○』でも、「女子会」やって「お菓子作り」してたべさ)


 こっちは、静岡県沼津市……に似た異世界のお話だな。

 お菓子作りのチーム分けのために「くじびき」をやって、見事に「一年生チーム」「二年生チーム」「三年生チーム」に分かれてた……って、イヤ、それってイカサマなのでは?


(その舞台が、『劇場版』の『浦の☆女学院 分校』だったので、なかなかエモかったのだべさ)


 古びた廃校な。似た感じの展開が『G&Pz』でもあったよねー。

 ちなみに、「Pz」は「パンツァー」だよ。変な意味の略ではないよ。


(異世界の後宮(こうきゅう)の、胸の小さな侍女(じじょ)の子が、胸のデカいお(きさき)さまに、なにやら教えてたアニメもあったのだべさ)


 花街の妓楼(ぎろう)叡智(えいち)らしい。ただ、その詳細は不明らしい。


      ◇


「祈願! みんなまとめて ★くるみ割りっ☆」


      パキン! パキン! パキン!


 軽音でも爆音でもなく、「快音」が連発した。


 事前に、厨房にあった鉄鍋で、ゴロゴロと転がしながら()ってもらったので、中身を取り出すのは比較的容易だ。くるみを竹製の爪楊枝(つまようじ)でほじほじする。うん、綺麗に()けた。これをパンに入れるのだ。干しブドウも欲しいけれど、俺様の……やめとこ。


 で、『地球』の日本には、「くるみと小魚の佃煮(つくだに)」があるやん?

 あの『くるみ小女子』の『小女子』って、なんて読むの?


(『小女子(こうなご)』じゃないんですか?)


 コウナゴ? ……へー、そうだったんだ?

 読み方知らなくて、字の見た目から「くるみ小女子(ロリ)」と仮称してたよ。


(ロリって、そんなアホな……ああっ、このトランク。そうだったんだ?)


 『リコリス・リ○イル』の第2話のことだろう。

 そろそろだと思って、狙ってブチ込んでやったのだ。


      ◇


 石窯に、メロンパン(※(なま))と、くるみパン(※俺用)をブチ込んだ。

 今は、それが焼きあがるまでの待ち時間なのだけれど……。


「……アレはなに?」


 『全知全能神殿』の『厨房』には、「赤葡萄酒」とかが貯蔵されてる「地下食糧保管庫」につながる扉がある。それでそこから、(うやうや)しいまでの丁重さで、取り出されてきたものがある。


 それはまるで、う○……イヤ、大きさといい、カタチといい「黒糖かりんとう」みたいな物体が、トレイに並べられている。なんなんだ、アレは?


「『辛口師匠』の実ですね」


 『巫女』シンシアが明快に言った。

 辛口? で、その「師匠」って落語の? 与太郎の? まめだぬきの?


「『女体樹』のひとつで、『満腹丸焼き』に使う香辛料なのですって」

「ああ、ハイハイ。『満腹丸焼き』ね」


 『満腹丸焼き』は、ラウラ姫の「大好物」だ。

 以前、食ったことがあるので知ってる。カレー味の「鳥の丸焼き」だ。『神授祭』の名物料理だ。


「すると、『辛口師匠』って、カレー味のオールインスパイス……イヤ、カレールーかな?」


 前々から、どんなスパイス使ってるんだろう? と思ってはいたけれど、またまた『女体樹』かあ。でも、そのカタチが、う○……イヤ、「かりんとう」に見えるってのもどうなんだ?


(「師匠」と「カレー」って言ったら、『転生したら○でした』みたいだべさ。加○亜衣さんの幼女声が、あんなにもかわいいとは思わなかったべさ)


 したら、俺も聞きたい。で、フ○ンちゃん。猫耳少女らしい。

 あと、「剣」のほうは、微妙に「おじいちゃん」ぽいらしい。……怒られない?


「『おーるいん』? なんですって?」


 教えてくれた『巫女』アルルミナが、知らない言葉にとまどってるようだ。


(明日は、『お肉の日』ですから)


 実は、12年前のその日に生まれてるというドロレスちゃんだ。


 にしても、『満腹丸焼き』か。

 『神授祭』の期間中の、いつ登場するんだろう? と思ってはいたけれど、明日の『お肉の日』かあ。なるう。そのために、今から仕込みにはいるんだろうな。でっかい「鳥肉」が運ばれて来るんだろうな。


(カレーに大きな肉は入れなくていいのだべさ。チクワでいいのだべさ)


 どこの「姫」だ?

 ついでに言うと、カレーに「かくしあじ」として、味噌を入れようとしてた子もいたな。


(ん? アシ○パさんですか?)


 と見せかけといて、『五等○の花嫁』の「中○三玖(みく)」です。

 で、考えたら「三」って、夏服でも黒っぽいタイツはいてた気がするな。今、ふと思い出したよ。そんで、実はチョコレート苦手なんだよな。


 よし、ならば「三」にちなんで、しばらくチョコレート禁止だな。


(そんな!)⇒カオリちゃん。

(ひどい!)⇒ホノカ。


「「「「「いいにおーい」」」」」


 焼き上がりが近づいて、石窯からパンの匂いがただよってきてるよ。


 『五等分』の「二」と「三」。パン屋になってたよなあ。

 『劇場版』のラストの「三」の「大人ver」が、めっちゃ綺麗で惚れ直したよ。


国木田(くにきだ)花○ちゃんも、パン屋になってたずら)


 でも、それは「異世界のお話」だ。

 ホノカの推しキャラは「魔王」だったし。俺の推しキャラなんて、もはや異世界でもファンタジーでもなかったよ(泣)。あのスーツとかバイクはなんだったの?


(黒澤ダイ○ちゃんだべか?)


 ホノカは、キャラを混同しそうな場合には、きちんとフルネームで呼ぶらしい。

 ダイヤちゃんには、『サト○ダイヤモンド』がいるもんな。


(『国木田』には、メガネの独歩(どっぽ)さん、がいるのだべさ)


 『Nopp○』食いたい。


      ◇


「「「「「おいっしー!!」」」」」


 焼きたて「メロンパン」をいただいてます。

 いい出来です。上がサックサクで、パンもフワッフワです。さすが俺様です。某・眼帯キャラじゃないです。


(あたしは『チョココロネ』食べたいべさ。♪チョココロネー)


 ホノカが、『BanG Drea○』の某ベーシストみたいなこと言ってるよ。

 ちなみに、その子が所属するバンド『P○ppin'Party』には、「パン屋(※ベーカリー)」の長女もいるよ。そんで、その弟さんは下品な言葉を連発してたりするよ。


「白いパンてぇ、おいっしーですう」⇒『巫女選挙』第一位。


 食えるの? フライ(ド)にすれば、食べれるのかな?


「『神殿』にいると、『黒パン』ばかりですしね」⇒同・第二位。


 フランス語で「クロパンクロパン」てぇ、どんな意味だっけ? 「なんとかなる」かな? つまりは「気合」だな。


「『くるみパン』。なつかしいなあ」⇒同・第三位。


 俺だ。

 ちなみに、『巫女』の「お給金」は、『巫女選挙』の順位にしたがって、段階的に約10パーセントずつ低下していくらしいよ。ひでー話だ(泣)。


(違いますよ。(100×0.9)×0.9……って感じに計算していくそうです。だから、第七位の人は、一位の人の「約59パーセント」だそうです。なかなかの格差ですよね)


 でもまあ、「獲得票数」の比率で計算した場合、みんなもっと下がるしな。

 今年は、『巫女』クリムソルダの「おっぱい力」が炸裂してたのだ。おっぱいこそパワーだったのだ。そんで、「『聖女』手当て」とかは無いらしいんだよな。


(そのために『私的な祈願』が、2回出来るらしいですよ)


 ……へー。


「『聖女』さまは、甘いパンが苦手なのですって」⇒同・第四位。


 そんな事はないのだけれど、クッキーやキャンディの甘い匂いが満ち満ちてるので、とりあえず今のところは甘くないのが食べたかったのだ。


 あと、未来人ホノカから、某作品の某キャラの「愛称」が「メロンパン」だったと聞かされ、なんか複雑な気持ちになってしまったのはナイショだ。


「あたしの地元の『パン工房』の人が、すっごい怪力でさー」⇒同・第五位。


 明日の『神前重量挙げ大会』に出るらしいよ。スウさん。


「……(もくもく)……」⇒同・第六位。

「……(もぐもぐ)……」⇒同・第七位。


 ……なんか、しゃべれや。


 以上が、今代(こんだい)の『七人の巫女』だ。

 みんな人間だ。その、「アアス亜種(あしゅ)」なのかもしれんけど……耳が長くて、(とが)ってるとかの差異はないし、外見上は完全に「ニンゲン」だ。


 そんで、『○(じつ)』の『七陰(しちかげ)』は、「4/7」で非常にエルフ率が高い。約60パーセントくらいかな? というか、「ガーデン」には他にもエルフがいっぱいだよね。


(……めんどくさそうですよね、エルフって)


 エルフに対する偏見だ。

 でも、まったく()われのない事でもないな。めんどくさいエルフって、いっぱいいるし。「弓手」とか「魔法使い」とか「大魔法使い」とか……あと、タイトル秘密だけど、めっちゃかわいい「男の()」までいるし。


(『葬送のフ○ーレン』がすごかったのだべさ)⇒ホノカ。


 大事だよなー、「体感時間」。

 俺、飼ってた犬や猫たちを思い出して泣いちゃったよ……。


 世界中で大人気だったらしいよ。『フリー○ン』。あとでガッツリやるよ。


 あと、巫女とエルフの物語もあったな。

 でも、なんで「江戸前」が「オタク」なんだろ?


      ◇


「「「「「おつかれさまでしたー!」」」」」


 カツカレーサマー。


 『七人の巫女』による「お菓子作り」は終了した。

 なお、今は「夏」ではなく、「冬」だ。フツーに寒い。


 ちなみに俺は、ある年の夏に作家「京極○彦」氏の作品を読みまくったことがある。個人的に、あの夏のことを「日本の夏 京極の夏」と呼称しているのだ。……怒られるか。


(『きょうごくなつひこのさいころぼん』てなに?)


 ミーヨに訊かれてビックリした。ナニソレ?


(作中に『絡新婦(じょろうぐも)の○』の文庫本が登場するのだべさ。園児が読んでたのだべさ)


 ……そうなんだ?

 それ、俺の「個人的に好きな小説」だよ。指で押しても倒れないよ。


 そんで、ホノカオの二人も読んでたそうだよ。

 京極先生。北海道ご出身らしいよ。二人に聞いて、はじめて知ったよ。


(ああ、ハラハラする。あ、おかあさんだ)⇒ミーヨ。


 ……しかし君ら、ホントになんのアニメ観てるの?


 そんで、「おかあさん」で思い出したよ。


「あ、ダイナさん! これを、お嬢さんに」


 立ち去ろうとしていた『神官女』ダイナさんを呼び止めた。

 『聖女』さま手作りの「クッキー&キャンディ」をプレゼントだ。「ハッピーハロウィン」だ。イヤ、これは違うな。


「シャシャンナに……ですか?」


 なんか意味ありげに、自分のお腹をなでてる。「自分の分もくれ」って意味か?


「実は、お腹に『ふたり目』が」

「あらららら……それはそれは、おめでとうございます」


 ご懐妊中だったらしい。

 『神官女』は、元『巫女見習い』で、なおかつ「正式な結婚」をした『神殿』勤めの女性だ。なので、「デキる」場合があるのだ。


「そしたら、その子の分も」


 まあ、実際に食うのは、この女性(ひと)だろうけれども。


「ははーっ、()(がた)き幸せ」


 そんな小芝居いらんがな。


      ◇


「あのー、『聖女』さま。少しよろしいですか?」


 不意に、『巫女』シンシアが近距離に接近してきた。


「『聖女』さまは、ジンさんの幼馴染(おさななじみ)なのですよね?」


 そんな前置きをされた上で――


「『聖女』さまには、お話しておきますね」


 すごく近くで、俺にしか聴こえないような小声で話し出した。

 先刻、『巫女』サレイシャが「お菓子作り」の休憩時に話していた事から、何かを刺激されたらしい。


「実は私も、すでに亡くなったと思っていた人が生きていた……という経験があるのです」

「……ハイ」


 これは、真面目に聞くしかない雰囲気だ。


「私の、『異母姉(あね)』のことです」


 ん? ホノカのこと……じゃあないな。


「……異母姉?」

「はい、プロペラ小僧ジンさんの」


 どうでもいいけど、「プロペラ小僧ジン」が、俺の正式名称みたくなって広まってしまっているなあ。


「祖母にあたる人なのですけれど、私には年齢(とし)の離れた異母姉がいるのです」

「ジンさんの……おばあちゃん?」


 俺の「おばあちゃん」? 生きてたんか?

 イヤ、母方の「ばあちゃん」は元気に生きてるんだけどさ。ついでに言うと、別に■亡説はなかったけれど、某ライブハウスのオーナーも生きてたよ。孫が「おもしれー女(の子)」だよ。


 ……でも、父方のほうは、「もう亡くなってる」って聞いてたぞ? 生きてたの?

 いまの俺と同じ名前の「ヨハンナさん」だよ。イヤ、その母親も「ヨハンナさん」らしいので、なんやかんやで混同してたのかも?


 ああ、そっか。

 昨日、ホノカが『養老院』で会ってた人って……つまり、そういう事か?


 そのひと、最近名前を聞く事が多い、奇行で名高い俺の父親「キ・コーシュ」氏の母親だよ。


「その方が、数奇な運命を辿(たど)られ、つい先日、旧『北の帝国』領から帰還なされたのです」


 その地は、『女王国』に併呑(へいどん)されたのだ。

 どっかのアホが、ついつい勢い余って「征服」しちゃったのだ。


 で、『女王国』は「(くだ)る者」に対しては非常に寛大なので、元の身分にいっさい関係なく、すべて『女王国』の「国民」として受け入れたのだ。


 でも、そのあたりの事情は、『聖女』ヨハンナとしては(あずか)り知らぬところだ。


「えーっと、獣耳奴隷……とかですか?」

「私もくわしい事情は分かりかねますが、12年前の『王都大火』で何事かあったらしく、自責の念から、自ら『捨身(しゃしん)奴隷』となられたそうなのです。私は、その事を知らされておらず、亡くなったものと思い込んでいました」


「……そうなんですの」


 ごくまれに、そういう人がいるらしいんだよな。

 事情はそれぞれだけど、自らすすんで「獣耳奴隷」になっちゃう人が。


 俺のばあちゃん。何にどんな風に関係してたんだろ?


 『大火』の原因となった『()の姫』の父親が、本当に「キ・コーシュ」氏だとすると……その母親こそがその人なわけで、つまりは「孫娘のしでかしたこと」に責任を感じたのかもしれない。


 また、ややこしいことにならなきゃいいけどな……。

 お菓子作りのあとの世間話なのに、あまくはないなあ。


 そんな事を思って黙りこんでいると、ついでのように言われた。


「ちなみに、『猫耳』だったそうです」

「…………」


 つっても、現在60歳を越えてるらしいので……ニャンだかなあ。


(愛称は『ばあニャ』だべか?)


 てか、お前! 知ってたんなら教えろや!


      ◇


(うううっ……。だうううううううっ)


 ミーヨさん? 泣いてんの?


(わたしは、生まれてくる子供に、『愛してる』って絶対に言う!)


 うん。だから、なんのアニメ観たの?


(『【推し○子】』だべさ)


 『おし○こ』?

 タイトルから察するに、「アイドルもの」……かな?


有馬(ありま)○なは、新生『○小町』のセンターだべさ)

(ジンくんも、あとで絶対に観てね! あと、わたしは二人を引き取ったミヤコさんが、すごくエラいと思う!)


 ……お、おう。


 しかし、異世界の女の子から『地球』の日本のアニメを推奨されるとか……フツーは、ありませんよ、そんなシチュ。 


      ◇◇◇


 だううううううううううう(※号泣)。


 (すす)められるがままに観てみたら、第1話から大号泣だった。

 それにしても、このアニメ。めっちゃいいのに、一話が妙に長く感じられたな。「体感時間」が、ちょっとだけ長く感じられたよ。


(いやそれ、第1話は1時間半くらいありますから)


 で、ここに至るまでに、実に色々なことがあった。


 ……ハイ、回想。


      ◆◇◆


「……いなりずしに」

「毛が生えたようなもの」


 符牒(ふちょう)はバッチリ「正解」だった。


「『将棋愛好会』へようこそ、だべさ」

「そんなことより、合い言葉変えようよ。なんなんだよ、これ」


      ◆


 次回。神授祭 2日目⑥。のびたので大冒険(※ウソ)。

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