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219★最終章[20]◇それは伏線ではなく、ただの間違え



(――ジンさん。ジンさん)


 ある「下準備」のために、ひとり孤独にシコシコと「黒い球体」を『掌内錬成』してると、カオリちゃんからの『★伝心☆』が入った。


(いきなりですが、「ぶっきっちょ」って、なんなんですか?)


 イヤ、「不器用」のことを……そう言わない?


(それなら「ぶきっちょ」なのでは?)


 …………。


 ……。


 違ってたのか(泣)!


 ま、俺は『ジョ○ョ』の某キャラの名前がきちんと言えなくて、「ブチャラッティ」になってしまう男だからな。どことなくラテン系だ。イヤ、イタリア人だし、そもそもラテン系だ。「マセラティ」は言えるのに。


 関係ないけど、俺の『前世の記憶』の中の理科教師は「ボイジャー」が言えなくて、「ボインジャー」になってたよ。年上の「先生」に、つっこむにつっこめなくて、みんな分かってて放置してたよ。


 でも、そんな「戦隊もの」があったら素敵だろうな。

 

 『巨乳戦隊ボインジャー』とか。

 例え日曜の朝だろうと、頑張って早起きして、毎週観ちゃうよ(笑)。

 

 メンバーの中には「巨乳メガネ」もいるだろうな。

 担当色は「ピンク」かな? でも、ホノカの言ってた『ホ○ミヤ』の「桜ちゃん」は、髪の毛が「ミドリ」らしいんだよな。金髪巨乳の「ゴールド」とか競争率高そうだよな。でも、最有力は「食蜂さん」だろうな。「パイスラッシュ」って言う必殺技もあるしな。


(戦隊ものに『ゴールド』なんて、いないと思いますけど?)


 俺が「戦隊もの」に、ぜんぜん詳しくないのがバレバレだな。

 しかも、アニメキャラで編成しようとしてるし。


(そんな妄想は置いといて……『ボイジャー』って惑星探査機でしたっけ?)


 うん。1970年代に打ち上げられて、木星や土星とかを観測した探査機らしいよ。先の理科教師と「同い年」なんだってさ。あと、「未来人」ホノカによれば、2020年代には太陽系を離脱したそうだよ。そんで、さらにその先の宇宙を目指して、旅を続けているそうだよ。


 でも、某アニメでは、もう一機の探査機『パイオニア』と一緒に、なぜか擬人化されて、『地球』に戻って来たりしてたよ。その頃には、人類は衰退してたよ。


 さらに言うと、また別な作品では、あれに搭載された「ゴールデンレコード」が地球外生命体の手に渡って、それがせいで『地球』がピンチになったらしくて、某国際組織のトップが恨みがましく愚痴ってたよ。


(ああ、はいはい。ろくでもない『交戦規定』を発令する人ですね?)


 関係ないけど、『ラピス○ライツ』って作品には、「あるふぁ」ってキャラがいるらしいよ。なんで一人だけ「平仮名」なんだべか? ってホノカが言ってたよ。


 それはそれとして、『アアス』の「集団的意識共有体」のみなさんは、どうやって『地球』のことを知って、わざわざ「おでかけ」したんだろう?


 宇宙を流離(さすら)う『地球』の探査機を捕獲して……とかじゃあないだろうし。


(そうなんですか?)


 うん。もう朽ち果てて残ってないらしいけど、20世紀よりも遥か以前の「ロングシップ」とか「ガレー船」とかまで「コピペ」されてたって話だから、年代的に合わないし。


 人間の時間感覚とは違うから、千年くらいは『地球』の近傍にいたんだろうな。

 そんで、そのあいだに人間の科学技術が進歩して、「身バレ」しそうになって、慌てて『アアス』に帰還したんじゃなかろうか?


 ……そんな気がする。


 にしても、どうやって「光年」単位の距離を移動出来るんだろうな?

 ワープ的な超時空的なゲート的な亜空間航行的な「なにか」があるんかな?


(ブラックホールと(つい)になったホワイトホールって、本当にあるんですかね)


 ブラックホールに近づく物体は、超重力で細長く引き伸ばされて、「スパゲッティ」みたいになるって話を聞いたことがあるな。『黄○の風』では、これもちょっと名前が言いにくい某キャラが、ブチャ○ティのところで、スパゲッティご馳走になってたな。


(『奈良(なら)っち』だべか?)


 あと、うどんで有名な県を舞台にした某アニメでは、ヒロインの子が比喩的表現としての「ブラックホール」になってたな。


 話を戻すと……往復で一万二千年とか聞いてるし、ホントに「ワープ」とかなしに、どうやって『天の川銀河』の『太陽系』の『地球』にまで行けたんだろう?


(画面が白黒だった『○ップをねらえ!』の最終話だと)


 急に割り込んできたホノカが、またまた最終話のネタバレしそうだ。

 別な話題で阻止しよう。


 『彼方のアス○ラ』にも、なんかあるって言ってなかった?


(黒くてモヤモヤした、丸い「ワームホール」のことだべか?)


 それに触れて飲み込まれると、宇宙空間だろうと惑星の重力圏内だろうと、遠く離れた場所への「瞬間的な空間移動」が出来るそうなのだ。


(黒くて丸いモヤモヤと言えば、『○語』シリーズにそんな怪異が)


 カオリちゃんだ。ただ、趣旨が違ってきてる気がしないでもない。


(『シャドー○ウス』だと、ある液体を飲むと、ヒロインの瞳が黒いモヤモヤになるのだべさ)


 『生徒会○員共*』では、ヒロインの股間に黒いモヤモヤが……。


 じゃなくて!


 どこか異空間か異次元に繋がってるような「黒い球体」の話だ。


 でも、前出の作品では「黒い球体」が出現したところが、スッパリときれいな断面残して消え去るからなあ。


(ワームスフィアですか? 『虚無の申し子』の)


 そう言えば、味方側の機体も同じようなことをするのだった。忘れてた。


(『黒い球体』が登場するアニメって、他にもたくさんありますよね)


 だよねー。


 いま俺の近くにも、「黒い球体」がいっぱいあったりする。

 でも、これは、以前『冶金の丘』での「宝探し」で入手した「永久磁石」のコピー品だ。


(何かで、強力な磁力で空間を歪めてワープする作品が、あった気もします)


 残念ながら、ハッキリとした記憶は無いらしい。あやふやだ。


 ところで、カオリちゃん。

 何か俺に用があって、念話を繋いだんじゃあないの?


(そうでした。大事な用件を忘れてました)


 大事な用件って?


(まだ、『毛』には入ってないですよね?)


 惑星『アアス』を取り囲む巨大な円形の『軌道リング』には、そこから放射線状に『宇宙』側へと伸びる構造物がある。『リング』の周囲に、ほぼ等間隔で12本あるらしい。


 『毛』とは、その「仮称」だ。


 『少女☆歌劇 レヴュースタァ○イト』の舞台少女のひとり「露○まひる」ちゃんの髪型「ツーサイド・アホ毛」みたいに、ぴょこんと『軌道リング』から突き出しているのだ。


(きちんと結んであるんですから、「アホ毛」は違うと思いますけど)


 でも、内心の動揺とか感情の起伏などで、ピコピコと動くし……あれは、やはり「アホ毛」なのではないだろうか?

 ちなみに、中の人である「岩田さん」が舞台で演じる時には、流石にあの髪型は再現できずに垂れ下がっちゃうけど……それはそれで、めっちゃ可愛いのだ。


(『か○きしょうじょ!!』にも、似た感じの髪型の子がいるべさ)


 これまた、俺やカオリちゃんが観てない「未来のアニメ」のひとつだな。


 昨日、いろいろ聞かされたので、俺もざっくりと知ってる。

 ホノカ的アニメランキングでは、トップ10に入る名作だと絶賛してたよ。なんでも「第五幕」では、何度も大泣きしたらしいよ。


(双子の沢○姉妹の妹の千秋(ちあき)ちゃん。姉は千夏(ちか)だべさ)


 関西にある有名歌劇団の養成校をモデルにした「紅○歌劇音楽学校」の、100期生らしい。ある事情があって、99期生ではないらしい。


(出身も北海道。実家からは農産物でなくて、十勝(とかち)小豆(あずき)最中(もなか)が送られて来てたべさ。沢田姉妹役は、松○姉妹なのだべさ)


 ホノカ自身がそうなので、「道産子」が気になるらしい。


 でも、関西出身の双子の声優「○田姉妹」って、(つい)とかペアになるような役多いよね。所属してる事務所は、べつべつなハズなのにな。


 俺的には、『刀使(とじ)ノ○女』の「薫」と「ねね」を思い出しちゃうな。「ねね」が持つ特殊能力は、なかなかに凄いよな。


(どうせ、女の子の胸に関する能力の事でしょう? ジンさんも、大きいほうが好きなんですよね?)


 ところで、カオリちゃん。ぜんぜん話が進まないよ。

 何か言いたい事があって、『★伝心☆』をつないできたんじゃあないの?


(あ、そうでした。そうでした。また忘れるとこでした)


 よし、誤魔化せた。

 ホノカといい、こっちの『魂の双子』はチョロいぜ。


(『毛』には、入らないほうがいいですよ? ■にますから)


 …………ハア? 

 そんなに危険な場所なの? 『毛』って。


(うーん。でも、『毛』はやめて、別な仮称にしません?)


 なら、『アホ毛』?


(『でっぱり』とか)


 まるで「ち○こ」みたいじゃないですか。


(『なりなりて、なりあまれるところ』はどうだべか?)


 完全に「ち○こ」の事じゃないですか。

 『古事記』じゃないですか。「なりあわぬところ」はどこですか?


(とにかく、『軌道リング』から突き出た『デレッキ』についてです)


 某所に『ご光臨』した『全能神』さまに、『聖女』パワーのごり押しで、いろいろと「質問攻め」してみたらしい。


 ……ところで、「デレッキ」って何? 「デレ期」?


(「(まき)ストーブ」とかで使う「火掻(ひか)き棒」のことです)


 どうやら、北海道方言らしい。


 カオリちゃんが新たに命名した『毛』の仮称らしい。

 でも、あまりピンとこない。「名状しがたいバール」みたいなカタチ?


 そう言えば、「バール」で戦うヒロインが、「○ャル子さん」以外にもいるんだもんな。驚いたよ。


(別に戦ってはないでしよう? 壁に突き立てたりしてただけで)


 誰かと言うと、『スタ○ライト』の舞台少女「愛城(あいじょう)(れん)」と「神楽(かぐら)ひか○」の事だ。ちなみに「華○ちゃん」の中の人は、北海道出身だ。


(……話を戻しますね?)


 あ、ハイ。どうぞ。


(実は……)


      ◇


「『粉砕機』と『溶鉱炉』と『遠心分離機』だとう!?」


 ついつい声に出てしまった。


(『軌道リング』から突き出た『オシコーン』には、そんな目的で使用されているものもあるらしいんです)


 またまた名前変わっとるやん。

 てか、ナニソレ? ()しのトウモロコシ? 「塩味」とか「しょうゆ」とか「しょうゆバター」とか? 個人的にはホットプレートで焼いて、「焼きそばソース」とか「やきにくのたれ」がいいな。で、「オシコーン」て何?


(『キリン』の『角』のことです)


 ああ、あの角。

 正式名称は「オシコーン」なんだ?


 ま、「キリン」も、実は「ジラフ」が正しいらしいけど。

 あと、某・声優さんが描く「キリン」て、「四隅突出墳(よすみとっしゅつふん)」の上半分みたいだよね。俺と同じで、「画伯」なのかな?


(さらに言うと、『加速装置』でもあるらしいんです)


 某サイボーグもの……は観てないな。

 でも、主題歌は知ってる。あの曲、カッコいいよね。「()がため」とか。


 それはそれとして、もともとの『軌道エレベータ』は、惑星の回転を「角速度」で増幅した「遠心力」を利用する「加速装置」としての側面がある。地表からの距離さえ充分ならば、惑星の重力を振り切る「第二宇宙速度」以上に増速することが可能らしいのだ。


 で、「粉砕機」と「溶鉱炉」と「遠心分離機」ってなんなんだ?


(わたしたちが見た『みなみのわっか』。すごく微妙な色合いだったじゃないですか?)


 ああ、うん。


(砕けた『(ルナー)』の欠片を、一度『軌道リング』内に取り込んで、そこから突き出た『でっぱり』に入れて、こまかく粉砕して)


 最終的には「でっぱり」かよ。


 ところで、「粉砕機」って?

 某・建機メーカーのロボロボした双腕作業機「ASTAC○」みたいな?


(遠心力で、「鉄球」をぶつけるんだそうです)


 ハンマー投げみたいに?

 なんか、クレーンに吊り下げた「鉄球」で建物を破壊する「昭和の立て()もり事件」があった気がするな。


(ストラップレスです)


 ブラみたい。


 そしたら、ほぼほぼ「成形炸薬弾」みたいな「インパクタ」みたいな?

 そう言えば、日本の小惑星探査機『はやぶさ2』って、無事に帰還したらしいね。


(わたしたち、見てませんもんね、その瞬間)


 初代の『はやぶさ』の帰還は、『前世の記憶』にあるんだけどな。


(で、『溶鉱炉』も……今度は大きめの「鉄球」をぶつけるんだそうです)


 これまた『軌道リング』の「遠心力」を利用して……か。

 ん? でも、金属を「融解」させるんでしょ? 鉄球で? どうやって?


(『断熱圧縮』だそうです)


 ああ、『空気』を圧縮すると高温になるやつだな。


 『宇宙』からの「大気圏突入」で、表面温度がめっちゃ高くなる現象だ。

 綺麗だったよねー。初代『はやぶさ』の大気圏突入。


 あと、それを利用した「発火装置(ファイアスターター)」もあるはずだな。

 シリンダーに入れた綿とかを、ピストンによる空気の圧縮で発火させる実験とか……見たことある気がする。


 てことは、この『軌道リング』内の『空気』って、そのためにあるの?


(溶けて、どろどろになったものを、さらに最先端部に送り込んで、『遠心分離機』として使用して、そのまま冷却しつつ、物質を選り分けたあとで、宇宙空間に放出しているらしいんです)


 『リング』から突き出た『毛』の内部は、きっと「空洞」で、すんごい細長いシリンダーみたいになってるだろうな。


 で、その最先端部の「尾栓」は、どんな構造なんだろ?

 火縄銃みたいな「ねじ」になってたりして。


(構造全体に対する影響をやわらげ、力を分散させるために、Y字の位置関係にある『毛』を、3本同時に作動させているらしいんです)


 へー……って、一周回って『毛』に戻ってるやん。しかも「Y字」て。


 ……てことは何?

 あの微妙な色合いで、多層になってる『みなみのわっか』にある物質って、「遠心分離機」にかけられて、比重ごとに分けられてるってこと?


 何のために、わざわざそんなことしてんだ?


 利用するためか? 何かの「材料」にしてんだな。きっとアレだな。


      ☆


『冴えてるじゃないか。その通りだよ』


 颯爽と、『全知神』さまがあらわれた。でも、『ご光臨』ってヤツじゃあない。


『水くさいじゃないか。『伝説のデカい樹』に来たのなら、挨拶くらいしなよ』


 いつぞやの合同入浴会の時みたく、『化物(ケモノ)』に「憑依(ひょうい)」してる。

 例の、ミーヨの母親の若かりし頃をコピーしたと思われる『化物』にだ。飛行魔法で置き去りにして、そのまま忘れてたけれども……再会だ。あいかわず、全裸のままだ(笑)。


 無反応で無感動な「抜け殻」みたいな様子だったけど、今回はきちんと「中身」がある。


 『全知神』さまだ。


 おかしなところを「つんつん」したら、めっちゃ怒られるだろうな。

 ついつい、誘惑に駆られるけれども……自制しようっと。


「ここが……『伝説のデカい樹』なんスか?」


 声に出して、訊いてみた。


大意(たいい)としては、そうだな』


 惑星『アアス』から『宇宙』に出るための構造物の「総称」らしい。

 それも結局のところ、俺たちの「勘違い」に合わせてくれてるんだろうな。


「『全知神』さまは、いつも『ここ』にいらっしゃるんスか?」


 住んでんの?


『いや、私は(あまね)く世界を照らす光として』


 なんか、ヴィ○エイラ様みたいなこと言いだした。世界征服とか企んでそう。


『説明しにくいな。『巫女』に聞き給え。君たちの言葉で教えてくれるだろう』


 そう言い残し、『化物』から「離脱」したようだ。


「…………」


 またまた「抜け殻」みたいになった『化物』が、ふわーっと宙に浮いて、そのまま「白い空間」の天井(?)に張り付いた。見た目が「全裸の女性」だけに、異様でシュールな光景だ。美麗な「ケ○だけ星人」みたいだ(笑)。


      ◇


 で、聞いたよ。『巫女』に。


 いまの「やり取り」伝わってたでしょ?


(さあ? わたしって、結局のところはジンさんの『身代わり』じゃないですか? 知りませんよ、そんなの)


 よくそれで、『七人の巫女』が(つと)まるな?


(個であり、全でもあり。そもそも、そんな概念すら無いんじゃないんですか)


 つまりは……総体。総合体育大会か。


(どうしてそうなるですか? 違いますよ)


 ボケなのに、そんなに真剣に突っ込まれてもな。


(例えるなら、53万6329人の魂たち……とかじゃないんですか? あ、でも、これだと同化してないか)


 53万? なにかの戦闘力? めっちゃ強そう。


(『鋼の錬○術師』に、『バリンバリンの全開』というお話があるんですが)


 めっちゃ凄そうな「バトル回」に思えるけど?


(実際には、ウィン○ィの「お風呂回」でした)


 ……そうなんだ?


      ◇


 ウィ○リィは金髪で、なおかつ大きいらしい。

 だとすると、「ゴールド」の有力候補だな。


(だから、「ゴールド」なんて、ありま)


 どしたの? また某・温泉地? 

 怖い表現になるけど、某・主人公の血肉?


(わたし的には『カレカノ』の『彼氏』の方……じゃなくてですね。いろいろな金属が『遠心分離器』にかけられてるってことは、『みなみのわっか』の中には、『金の環』や『銀の環』があるんじゃないんですか?)


 ……まあ、あるだろうね。

 と同時に、強い放射能をもった「重元素」とかもあるだろうね……。

  

(もしも持ち帰れたら、ジンさん、大金持ちじゃないですか?)


 イヤ、そんなものを、勝手にいただいてしまっていいのだろうか?


(それらの整理整頓してある金属って、『宇宙』で『地球』の「鉄の船」を再現するためのものでしょう?)


 きっと、そうなんだろうな。

 とすると、少しイヤな予感がするな……。


(鉄の船には、『金』なんて、ほとんど使用されてないのでは?)


 でも、「超豪華クルーズ船」とかの「お風呂」には、「黄金のスケベイス」とかありそうな気もするな(笑)。純金製だと、熱くて座れなくなりそうな気もするけれども。


(『すけべいす』?)


 変なタイミングで加わって来たのはミーヨだ。

 カオリちゃんとは別行動らしいんだよな、いま。


(それって、どんなカタチしてるの?)


 凹。


      ◇


 ミーヨからは、約400年前に起きた「夜空の異変」についての話を聞いた。

 『みなみのわっか』が誕生する「きっかけ」になった出来事だ。


(それまでは『双子星』って呼ばれてた二つ並びの『星』が、重なってひとつになって、大爆発を起こしたんだって)


 超新星爆発か……あるいは、ほかの何らかの天体同士の衝突か……詳細は不明だ。


 とにかく、それが、いま現在も『アアス』の北半球の「夏の夜空」で見られる、赤いガス状星雲様の天体『真っ赤な薔薇』だ。


 惑星『アアス』を取り囲む(リング)『みなみのわっか』は、その『真っ赤な薔薇』から飛来する「有害な宇宙線」を防ぐために設置された「物理障壁」なのだ。ナナメ配置の「傾斜装甲」なのだ。


(それで、約300年前に……あれ? ずれてない?)


 ああ、いいんだよ。それで合ってる。


 昼間でも見えたという『真っ赤な薔薇』の最盛期……約400年前には、「有害な宇宙線」が原因と思われる「謎の疾病(しっぺい)」が発生して、生き物の数が激変したらしい。


 そんで、そのあとも「12年周期」で「謎の疾病」が、ぶり返しつづけたらしい。


 それって、12年周期で、この恒星系の主星『太陽(ソル)』と『真っ赤な薔薇』の「見かけ上の位置」が重なるからだ。


 その際に、『太陽』の重力によって「有害な宇宙線」が収束されて、ビームのように『アアス』に降り注いでしまうのだ。


 それは、『アアス』の北半球における「昼空」でのことだ。


(それを防ぐために、すでに現役を退いていた元の『聖女』さまが、我が身を捨てる『最終祈願』をして、『(ルナー)』を砕いたんだって)


 『系外調査船団』の母艦『旅する惑星』を、「召喚」したらしい。


 そんで、すでに老女だった元『聖女』さま……つまりは、例の『亡霊』さんが……なんてゆうかこう、ご高齢なのにイキり過ぎて、「貧血」でぶっ倒れて、そのまま「昇天」されたらしい……。


 それが一部で伝説化され、「『最終祈願』をすると■亡する」という誤解を生んでいたらしい……。


(そのあとに、『守護の星』のすっごく()っきなのが)


 俺が『きらきら☆ジャンプ作戦』でバインバインされた『守護の星(特大サイズ)』のことだな。


(天空に……ジンくんの言う『宇宙』の『星層圏』に配置されて、わたしたちを守ってくれるような仕組みが出来上がったんだって)


 つまりは、それまでの「つなぎ」だったのだ。

 『みなみのわっか』は、その役割を終えているのだ。


 だから、もういらなくなった「それ」を、ひとまとめにまとめて、新たな『月』を創るのだ。


「ムーン・メーキング・リクリエーション! なのだ!!」


 ついつい声に出して、言っちゃいましたよ。


「月に代わって、おち」


(大変です!)


 どったの? カオリちゃん。


(その前に、「おち」って、なんなんですか?)


 関係ないけど、『進撃の○人』に「オニャンポコ」だったか……そんなような名前のキャラいなかった?


      ◆


 正しくは「オニャンコポン」です――まる。

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