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210★最終章[11]◆宇宙でみるゆめ



 これは……「夢」なんだろうか?


 あるいはこれは……誰かの「記憶」なのか?


 なんで、こんなものが……俺の中に流れ込んで来るんだ?


      ◇◆◇


「ナニコレ? 『やきとり』って言っといて……豚肉とタマネギだ」


「あのう、突然ですけど、わたしのこと、覚えてらっしゃいますか?」

「あ、フェリーでご一緒した……ゆ○さん? ゆいか○りさんでしょう?」


「それは違うって、何度も言ったじゃないですか。油火(ユヒ)です」

「もちろん昨日の事のように覚えてますよ。忘れてないです」


「『また、お会い出来たらいいですね』って言って、お別れしたのは、昨日だったじゃないですか」

「ですよね? ……それで、そちらの方は?」


「わたしの双子の……」

火ノ火(ホノカ)。油火火ノ火だべさ」


      ◇◆◇


「なんで、カツ丼の『豚カツの卵とじ』が、平皿に乗って別々に出て来るんだよう!」


「だって、そういうものですから」

「そういうものなのだべさ」


「そんで、なんで双子の片方が、もう片方のデートに付いてくるんだよう!」


「それは……ごめんなさい」

「カツ丼は『エロス』なのだべさ。『もっとカツ丼をイメージして!』」


「それ、なんのアニメネタなんだよう!」


      ◇◆◇


「俺、『○花亭』のお菓子が好きなんだ」

「おみやげにいただいた、この『マルセ○バターサンド』とかですか?」


「うん。だから、このまま北海道(ここ)に住みつづける事にするよ」

「でも、本店は帯広(おびひろ)ですから、ここからだと、かなり遠いですよ?」


「イヤ、照れ隠しなんだけど……つまり、君と」

「…………」


「ハッキリするのだべさ! 火熾(カオリ)も待ってるのだべさ!」


「俺と、結婚してください!!」


「だが断る」


「「え? ええぇぇぇぇぇぇぇえええ!?」」


「あ、言ってみただけです。照れ隠しです」


      ◇◆◇


「名前は、もう決めた?」

「ええ」


「どんな名前?」

火ノ火(ホノカ)が、もっと『火力』をアップしたいと言ってまして」


「ほほう?」


「エクスプロ」

「言わせねえよ!」


「すこし古風かもしれませんけど、『みよ』とか、どうですか?」

「うーん、どうだろう? 最近、キラキラ☆ネーム多いし、『きらめき度』で負けない? てか、どんな字?」


「過去・現在・未来の『三世(さんぜ)』と書いて『三世(みよ)』」

「前世がドラゴンとか言い出したりして。未来予知とか出来たりして」


「英霊は、現在と過去、そしてまだ見ぬ未来から……」

「ああ、『F○e』? 俺、まだ全部は観てないんだよな」


      ◇◆◇


「「……うーん」」


「まさかの『双子』だったべさ。あたしらみたいだべさ」


「名前……どうしましょう?」

「考えてなかったな」


「こうなったら、オバちゃんが名付けてあげるべさ」

「イヤ、いいから」


「『アツム』と『オサム』。どうだべか?」

「女の子だっつーの!」


      ◇◆◇


(あの『星の渦巻き』とは……一体どうなっておるのじゃろう?)


(分からぬ事があれば、行って確かめるさ。たとえ、どんなに長い時がかかろうとも。私たちはいつも、そうしてきただろう?)


(そうじゃぞい。行くのだぞい)


(…………)



 …………。


 ……。


 なんなんだろう? これは?


      ◇◇◇


 『宇宙』二日目の朝――

 略して「うちゅかめ」の朝だ。ちょっと可愛いな。


(『★伝心☆』で繋がったまま眠ると、『同じ夢』を見ちゃうんだって)


 そう教えてくれたのは、ミーヨだ。


 『全知全能神神殿』に伝わる「神殿七不思議」のひとつだそうだ。

 なんでも、「同調夢現象」というシンクロナイズド・ドリーミング・フェノメノンらしい。どうでもいいけど、「フェノメノン」で合ってるのか?


 『巫女見習い』の「二段」昇格で「終身貸与」される神具『神授の真珠』を持つ……つまりは、「女の子のあいだ」だけで、まことしやかに語り継がれている不思議現象だそうだ。


 確かに、昨夜は色々とドタバタして、みんな最後は疲れ果てて寝ちゃったから、「念話」を切り忘れてたんだよな。


(それでわたし、カオリさんの『前世』が『お母さん』だ……って分かったの)


 彼女の場合、正確に言うと「前○前世」らしいけどな。


 俺が『宇宙』に行くために、ひたすら「黒い線」をよじ登ってた時の事だそうだ。

 二人でリンクして、俺の事で連絡を取り合っていたらしい。


 そして、カオリちゃんの方は「それきっかけ」で、俺との『★伝心☆』が「テレパシー能力」なのではないか? と疑念を抱くようになったらしい。通常は二人までだからな、リンク出来るのは。


 しかし、ミーヨとカオリちゃんが『同じ夢』とか、どんな内容だったんだ?


(小さな子供時代のジンくんの、おち○ちんがグルグルと……)


 ……そんなんは置いといて――


 『★伝心☆』は、ブーストなしだと「二打点(約3時間)」で途切れる。

 なので、上手いこと「ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠」といった感じに「眠りのサイクル」をシンクロさせるのも、なかなか難しいと思うんだけどな。俺たちの場合、特に意図したわけではなくて、たまたま偶然なんだけれども……。


 だとしたら、あの夢は「カオリちゃんの夢」……違うな。「ホノカ視点」だった気がするな……。明らかに、俺の知らない『未来の記憶』が含まれてたし。そんで、最後の方のは……。


 あとで、ホノカに訊いてみるか……。


 でも、夢の中で「見知らぬ誰か」と会ったり、会話したり……といった展開のアニメは、数々あるよな。


 そう言えば、某アニメでは「夢の中の世界」に棲んでる「穂乃歌ちゃん」がいたな。夢の中では、別名義だったけれども。


      ◇


(その話を聞いて、思い出したべさ)


 何を?


(許可証だべさ)


 許可証? 「異能開業」とか「妖夢鑑定業」とか「霊装使用」とか。

 あるいは「魔法少女任命権」を持つ……イヤ、アレは「妖精免許証」か。


(『魔○城でおやすみ』に、他人の夢に入り込める『夢の通行手形』ってのがあったのだべさ)


 度々出て来るけど、ホノカの「推しアニメ」なのだ。

 俺やカオリちゃんが観れなかった「未来のアニメ」のひとつだ。


 ホノカは、その中に出てくるマスコットキャラクター的な「でび○くま」を愛しているのだそうだ。その中の人は、正式なクレジットはないものの、主人公ス○リス姫と同じひとらしい。


(正しくは、オー○ラ・栖夜(すや)・リース・カイミーン姫だべさ)


 どうやら、「スヤ○ス姫」は「愛称」だったらしい……じゃなくて!


 アニメネタじゃなくて、俺たちのリアルの過去にあった話の事だよ。

 そんで、他人の夢に入り込む……ってアニメは、探せば色々あると思うよ。


 とにかく、俺たち、同じ夢を見たんじゃあないのか?


(そんな事を言われても……あたしは目を覚ますと、夢の内容をすっかり忘れてまう女なのだべさ)


 …………。


 ま、いいか。

 実際には「過ぎ去った遠い昔」の話だし、結局のところ「他人の記憶」だしな。


 でも、今回初めて見た「あの人たち」が、俺たちの『前世の記憶』の「オリジナル」って事になるんだろうな。『やきとり』とか『バターサンド』、美味そうだったな。正直、『カツ丼』はどうかと思うけどな……。


(カツ丼は『エロス』なのだべさ)


 お前、夢ん中とおんなじ事言ってるぞ? モトネタなんなんだよ?


      ◇


(そうよ! みんな、星になっちゃえばいいのよ!)


 い、いきなり何?


(ごめんなさい。ちょっとしたストレス発散です)


 何しろ、『聖女』さま、だからな。色々あるらしい。

 そんで、似たようなセリフが『伝説巨神イデ○ン』の劇場版にはあるらしい。そのラストには、「輪廻転生」的な要素があるらしい。


 てか、昨日の『きらきら☆ジャンプ作戦』において、『星層圏』にある『守護の星(特大サイズ)』を、地上からどうやって「遠隔操作」したのか? とカオリちゃんに質問してみたら、そんな答えだったのだ。


(なんてゆーんでしょうか? 『たま』と『たま』でした)


 操作は「脳波コントロール」だと思ってたら、「手動操作」だったらしい。


 彼女の言うところの「たま」は、『守護の星(普通サイズ)』がいくつも「合体」した『地球儀』ならぬ『アアス儀』で、それでだいたいの位置を指定して、さらに細かい操作は、もうひとつの「たま」を転がすような操作感だったらしい。


 それって、『コードギ○ス』の「ナイト○アフレーム」みたいに、親指でコロコロする感じ?


(もっと大きいべさ。『逆襲の○ャア』の『ν(ニュー)ガン○ム』みたいだったべさ)


 ホノカだ。

 そんで、またまたアニメネタだけど……我々には、これがいちばん「イメージを共有」しやすいのだ。


 でも、あの機体、「サ○コフレーム」を搭載してるし……イヤ、「脳波コントロール」してるのは「フィン○ァンネル」だけか?


(脳波で操ると言えば、『マクロ○シリーズ』にも、そんな機体があったべさ)


 某・競合試作機ね?

 まるで「座禅」組むみたいにして、操縦しているやつだな。


 とにかく、「椅子に座って肘掛けに置いた両手で、橋の欄干に付いてる『擬宝珠(ぎぼし)』みたいな『たま』と『たま』を操作している」ような感じで、比較的ラクな姿勢だったらしい。


 ミーヨがいま絶賛妊娠中だし、カオリちゃんが「エアホッケー」みたいとか言ってたから、激しい運動はどーなんだ? と心配になって訊いてみたのだ。


(ついでに言うと、『守護の星』って、『引き合う力』と『反発する力』を持っていて、その『反発する力』で、『星層圏』が何層かに分けられているんだそうです)


(『磁石』か『電気』の同極同士みたいになってるらしいべさ)


 二人とも「伝聞調」だ。誰から聞いたんだろ? その話。


 とにかく、その「反発する力」を働かせて、『星層圏』最上層にあるデッカイ星を、スライド移動させてたらしい。


 しかしまあ……今更だけど、そんな事が『魔法』で出来るんだね?

 二人とも『巫女』だし、『神授の真珠(極太)』のアイテム効果……あれ? 


 イヤ、待って!

 おかしいよ。だって君ら双子はともかく、もう一人の……。


(わたしには、『真珠の首飾り』があるから)


 あ、そのミーヨだ。

 

(お誕生日の『ぷれぜんと』に『真珠の首飾り』貰ったよ? アレって、ジンくんが『錬金術』で作った『神授の真珠』なんじゃないの?)


 バースデー・プレゼント?

 しかも、『真珠の首飾り』?


 俺は、某国の外務省の人間でもないし、ロリ○ンでもないぞ? あれは純愛なのかもしれないけれど。


(首にかけるには、ちょっと(ひも)が短いし、それになんか余計な紐が一本ついてるけど……ずっと身につけてるよ?)


 はて?


(『せくしーらんじぇりー』の中に、入ってたよ?)


 ああ……思い出した。

 ソレって、『真珠の首飾り』じゃねーよ。


 俺様が、わざわざ手作り(※『掌内錬成』)した『玉パン』だよ(笑)。


(『玉パン』? それはどんなパンだべか?)


 パンじゃねーよ。「P」だよ。「パ○パン」じゃないと「惨事」になるよ(笑)。


 知らないなら、あとで「画像検索」してみてよ。

 ま、ここは異世界だから、無理だけどね。


(『ちくわパン』でなく『玉パン』? 玉ネギが入ってるのだべか?)


 だから、「P」だっつーの!


 てか、北海道には「ちくわ」が入ってるパンがあるの?


(……ジンさんの変態)


 カオリちゃんの方は、『玉パン』の何たるかを御存知だったらしい……。


      ◇


(カオリさん、昨日の『ばとる』では、最初から勝負をあきらめてたみたいだったけど……ああいうの苦手なの?)


 バトルの優勝者は、ミーヨだった。

 『アアス』に帰還したら、何かねだられそうな気がするな。


(個人的に好きな声優さんから、「アキラメロン!」と言われた気がしまして)


 イヤ、気のせいだよ。

 あの方は、そんな事は言ってないと思うよ?

 ちなみに、『マ○ロス』の「F」での話だよ。


(めろん? クリムソルダさんの、おっぱいのこと?)


 正しく理解しているな。素晴らしいぞ。


(メロンと言えば、夕張メロンなのだべさ! ゴホンと言えば、『龍○散』なのだべさ!)


 もう無茶苦茶だ。

 そんで、『龍角○』は北海道ってより秋田県に縁があるはずだ。


(ついでに言うと、『自動車(くるま)に、ポ○ー!』なのだべさ)


 俺は『生○会役員共』で、「オ○ホにポピー」が刺さってるとこなら見た事ある。

 てか、俺の「先輩」から色々聞かされて、色々と毒されてきてるらしい……。


 でも、一応これでも「作戦会議」なのだ。


 いつまでも、こんな「低高度」でグダグダやってるワケにはいかないのだ。

 最低でも『軌道リング』があると言う「静止衛星軌道」のあたりまで、とっとと行かないと!


 でも、そこまでは「数万㎞」って話だ(泣)。


 現在俺がいるのは、『軌道エレベータ』の『第一中継駅』だ。高度約200㎞だ。


 それと、実はカオリちゃんは、勝負をアキラメロンしていたワケではなく、『軌道エレベータ』の「黒い線」の付近で、『守護の星(特大サイズ)』をいくつも縦に展開して、マスクメロンの表面の「ネット」みたいにして待ち構えていてくれたのだ。それで俺たちを「キャッチ」してくれたのだ。


 でも、「(ネット)」だと「隙間」が空いてたのでは? 最悪、漏れてたのでは?


天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして()らさず、です)


 悪者あつかいはやめてよ。

 そして、それ「音」だけ聞くと、ヘンな想像しちゃうよ。


(ジンくん、どこか(かゆ)いの?)


 痒くないです。


 とにかく、またまた『第一中継駅』にいるのだ。

 元々、ちょっとだけ滞在してた「ふりだし」の場所だ。「ソ○モンよ、私は帰って来たあああ!」だ。ショコラじゃないガトーだ。ちなみに、『巫女』アナベル嬢は任地の『冶金の丘』にいるはずだ。俺たちが最初に滞在していた街だ。


 なお、『駅』の中にいた「宇宙適応型のヌメヌメスベスベ」たちは、某・魔法で強制的に眠らせたった。休眠してもらったのだ。


 実は、昨夜寝る前に、こんな事があった。


      ◆◇◆


 うううっ……ゆ、○梨ちゃあああん。


 俺は泣きながら『軌道エレベータ』の「黒い線」を手繰(たぐ)り、最寄りの『第一中継駅』に向かった。


 誰のためのものなのか、「エアロック」みたいな「気密」のための機構がある。でも、この『駅』。カオリちゃんの『祈願』で、約1万㎞も上昇してたから……事によると、コレって「噴射ノズル」なのかもしれない。


 とにかく、俺は泣きながら『駅』の中に入った。


 全体的に、白い「陶磁器」のような質感だ。ツヤツヤしてる。

 なので、「巨大な貝殻」の中に入っていくような錯覚に陥る。


「あーあーあー」


 その「声」ともつかない「音」に振り向くと、エライ事になっていた。


 俺の足を掴んで「連結」していた「ドロレスちゃんに化けた『化物』三人娘」のうちの一体が、ちょっとアレな感じに変形してしまっていたのだ。


 コレってアレだな。

 俺様無敵のバリアー『★不可侵の被膜☆』を発動させると、『守護の星(特大サイズ)』での「バウンド」が出来なくなるから、それを防ぐ「バリアー除けのシールド」として「下敷き」にしたせいだな。


 接触時の「衝撃」なのか「摩擦熱」なのか……とにかく、エライ事になってる。明らかに変形してしまっている。


(あ~あ~あ~あ~あ~あ~)


 そして、この「思念波」はホノカのものだ。

 寝たんじゃなかったの? まさか、何かネタを放り込みたい時だけは、都合よく目を覚ますのか?


(今ちょうど、頭を打たせ湯に打たせているのだべさ。気持ちいいべさ。モ○ちゃんとおた○ちゃんの気持ちが分かるのだべさ)


 そっちは無視しよう。


 イヤ、「○カ」ってキャラは意外と何人もいるけど……「お○え」?

 てことは『バン○リ』の話か? 俺が観れなかった『3rd』の話か? 「黒きシュワシュワ美味しいぞよ」って、その回か?


 そんで、風呂場で入浴中ってえんなら、「寝落ち」すんなよ? 最悪■ぬぞ。そして以前お風呂で見せてもらったのを思い出したけど、綺麗な◎○してたよな、お前。でも、セ○ハラじゃないよ? 俺いま実は……。


(◎(りん)? 『鳰原』は『ニュウバラ』だべさ)


 それはそれとして……ここって「音」が伝わるんだな。


 組成は不明なのものの、どうやら「空気」があるっぽい。

 酸素嫌いのヌメスベちゃんたちが、俺たちを外へ噴出させた時に、相当量の「空気」が抜けたハズなのにな。


 どうやってか、また供給されたんだな。

 この『駅』がくっついてる「黒い線」の内部は、「空洞」らしいから、そこからかな?


 呼吸すると……息苦しい。「酸素」は少なそうだ。


「あーあーあー」


 この子を、このままで置いとくのもツラいな。


「お願い。半ケツちゃん! この子をタマゴに戻してあげて」

「了解です。えいっえいっえいっ!!」


 哀れにも変形してしまった子を、半ケツちゃんの『電気あんま』によって、タマゴに戻してもらった。


 その際、またまた水飛沫が飛び散ってしまった。

 またまた、ヌメスベちゃんたちに追い出されるのもヤダな。


 ならば、これはどうだッッ!!


「眠れ、良い子よ! ★ははのゆめっ☆」


 俺は『育児魔法』を発動させた。


    キラキラキラキラン☆


 たくさんの星が舞う。



     し――ん。



 この「静けさ」は、「壁のつぶつぶ」の「沈黙」だ。

 なんてゆうか、『魔法』が成功すると、独特な「手応え」があるのだけれど……今回はソレがあった。


 どうやら、ヌメスベちゃんたちの「強制催眠」に成功したらしい。


 でも、まさか、ホントに効くとは思わなかったよ。


(…………スヤー)


 ついでに、ホノカまで寝ちゃったらしい。平気かしら?


 ま、側近の『御伽衆』の面々がいるから、大丈夫だろう。……たぶん。


      ◇


 『化物』の「化けの皮」を材料に、ちょっと試してみた。


掌内(しょうない)錬成。()れたオトメナス)



      チン!



 ポコっ、とした丸みを感じた。

 閉じていた(てのひら)を開くと、白いプチトマトみたいな『アアス』の珍野菜「オトメナス」が完成していた。


 それを、「レーザー(ガン)」の「レーザーカッター」で、真っ二つに割る。


 で、しばし待つ。


 …………。


 ……白いまんまだ。変色しない。


 熟れたオトメナスは、「酸化作用」で綺麗なピンク色に変化する……つまり、ここにはまるっきり「酸素」が無いか、あるいはあったとしても、ごくごく薄いって事らしい。


 てか、一息吸い込んだ時点で、それは分かっていたけれど。


 カオリちゃんから聞いた話だと、例の『プラネ○ス』では「酸素」をめぐって、いくつか重要なエピソードがあったそうだ。その中には、「水」と「何か」を化学反応させて、「酸素」を作り……でも、カオリちゃんも「うろ覚え」だったしな。


 うーん、酸素……酸素……。


 簡単に「電気分解」つっても「電極」が必要だし、さらに真水じゃなく、何かを混ぜて「電解液」にする必要があるんだっけか?


 きっと、俺の『体内錬成』では、呼吸器系に入りこんでる『守護の星(極小サイズ)』が「何か」やってるんだろうけど……人の体内で、何やってんだろ? 気にしたら負けな気がするから、気にしないようにしてるけど……。


 『はた○く細胞』では、肺で受け取った「ガスボンベ」みたいな「酸素」を、擬人化された「赤血球」たちが、手押し車みたいなので「運ぶ」のだそうだけど……。「血小板」はみんなチビッ子で、「白血球」はナイフを武器に、侵入した「異物」と戦うのだそうだけど……なんで「飛び道具」使わないんだろう? ナイフて。血まみれになりそうやん。


 ま、それはそれとして、「材料」はあるんだし、「自作」する事にしよう。


 『化物』の「化けの皮」が、まだある。

 まるで「ゴム手袋」みたいになってて、内部に水が残ってるやつがあったので、それを手のひらで包んだ。


(掌内錬成。酸素)


 もっともシンプルに、「水」から「酸素」を錬成(つく)り出すのだ。

 俺の『錬金術』ならば、電極も電源も不要だ。


 でも、これだと同時に「水素」も錬成(つく)られてしまう事に、「爆発」の後で気付いた。



      チン!


     ぽきゅっ。



 地味で、しょぼい爆発だった。

 こんなんじゃあ、「爆発オチ」にもなりゃしない。


      ◇◇◇


(『ポキール』ってなんだべか?)


 知らないよ! 言ってないよ、そんな事は。

 だから、「ぽきゅっ」って感じの音だったよ。


(つまりは、水素をつくれるんですよね?)


 まあ、「おまけ」だけどね。


 結局その後も地道にコツコツと「酸素」を錬成し続けたよ。

 副生物の「水素」は、ほっとけば「上の方」に溜まるし、『軌道エレベータ』つっても、この『第一中継駅』では、しっかりと「重力」があるから、軽い気体は勝手に「上にまいります!」なのだ。


 昨夜の「爆発」は、「ゴム手袋」みたいになってた「化けの皮」の、「指の先っちょ」の部分に溜まった「水素」が原因なのだ。ごくごく小規模なものだったよ。


(うー……でも、なにが引火したの?)


 なかなか鋭い突っ込みをするミーヨであった。


(あ! ですよね? 何か火元がないと……)


 実は、手元が暗かったので、『錬成』の前に、照明魔法『★光球☆』を発動させていた。


(それが、『火元』だと?)


 じゃなきゃ、『化物』の「化けの皮」って「静電気」が溜まってるのかなあ? 


(静電気の火花が原因で可燃物に引火……って、ありますもんね。『静電気防止グッズ』も色々ありますし)


 でも、『電気あんま』によって『化物』をタマゴに戻したあとに残る『皮』は、ぶ厚い「皮革製品」みたいな質感なんだよな。イヤ、もちろん本物の「皮」じゃないけど。あの「手袋」触った時には、『ゴールデ○カムイ』の某キャラを思い出しちゃったけれども。


(静電気って……猫を撫でてると、たまに感じるパチパチのこと?)


 ミーヨも、体験的に知ってるらしい。

 なにかモフモフしたもの触ってると、静電気たまるもんな。


(あとね。『女王国』の冬って寒いから、わざと『化物』をなにかモフモフした生き物に化けさせて、そこから『毛皮モドキ』を作り出す事もしてるんだって)


 へー、『化物』から「フェイクファー」みたいものを作ってたのか?

 『化物』って、実はすっごく有用なのね?


(硫黄のボールで静電気つくってたべさ。ねこじゃらしでラーメンも作ってたべさ)


 そっちは、どんな『錬金術』なんだ? 「ねこじゃらし」から「ラーメン」て。


(錬金術ではなくて、妖術……でなくて、科学だべさ)


 それも、俺が観れなかったアニメだな。


 タイトル聞いたら、原作は某誌の漫画だった。

 俺にとって、某誌の作品は「アニメ」よりも「漫画」としてのイメージが強い。……アニメ版をあんまり観てないからな。人気作品は、それこそ膨大な話数になるから、俺のような「ヘタレなアニメ好き」としては、全話観るのは到底不可能なのだ。


(それで、『じゃんぷ』の話なんだけどね)

 

 こら――ッ!!


(え? なんで今わたし怒られたの?)


      ◇


 ミーヨが言いたかったのは、『きらきら☆ジャンプ作戦』で動かしていた『星層圏』にある『星』の、「引き合う力」と「反発する力」って、ソレなんじゃないの? って事だった。


 そう言えば、『ヘヴィー○ブジェクト』に「静電気式の浮上装置」とかあったなあ。

 言われてみると、俺も、そんな気がしてきた。


 ……で、「前置き」が非常に長くなってしまったけれども。


 『宇宙ピストン』で、『天元突……じゃなくて「雲を突破」した時に感じたことなのだけれども、『軌道エレベータ』の「黒い線」て、どうも「帯電」してるっぽいのよね。

 

 それを、「移動手段」として利用出来ないものなのかしら?


(どうしてそんな口調なんですか? ……ま、まさか、また?)


 魔法少女に変身よ!


 てか、実はもう「女体化」済みなんですう。


      ◆


 またまた? ――まる。

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