210★最終章[11]◆宇宙でみるゆめ
これは……「夢」なんだろうか?
あるいはこれは……誰かの「記憶」なのか?
なんで、こんなものが……俺の中に流れ込んで来るんだ?
◇◆◇
「ナニコレ? 『やきとり』って言っといて……豚肉とタマネギだ」
「あのう、突然ですけど、わたしのこと、覚えてらっしゃいますか?」
「あ、フェリーでご一緒した……ゆ○さん? ゆいか○りさんでしょう?」
「それは違うって、何度も言ったじゃないですか。油火です」
「もちろん昨日の事のように覚えてますよ。忘れてないです」
「『また、お会い出来たらいいですね』って言って、お別れしたのは、昨日だったじゃないですか」
「ですよね? ……それで、そちらの方は?」
「わたしの双子の……」
「火ノ火。油火火ノ火だべさ」
◇◆◇
「なんで、カツ丼の『豚カツの卵とじ』が、平皿に乗って別々に出て来るんだよう!」
「だって、そういうものですから」
「そういうものなのだべさ」
「そんで、なんで双子の片方が、もう片方のデートに付いてくるんだよう!」
「それは……ごめんなさい」
「カツ丼は『エロス』なのだべさ。『もっとカツ丼をイメージして!』」
「それ、なんのアニメネタなんだよう!」
◇◆◇
「俺、『○花亭』のお菓子が好きなんだ」
「おみやげにいただいた、この『マルセ○バターサンド』とかですか?」
「うん。だから、このまま北海道に住みつづける事にするよ」
「でも、本店は帯広ですから、ここからだと、かなり遠いですよ?」
「イヤ、照れ隠しなんだけど……つまり、君と」
「…………」
「ハッキリするのだべさ! 火熾も待ってるのだべさ!」
「俺と、結婚してください!!」
「だが断る」
「「え? ええぇぇぇぇぇぇぇえええ!?」」
「あ、言ってみただけです。照れ隠しです」
◇◆◇
「名前は、もう決めた?」
「ええ」
「どんな名前?」
「火ノ火が、もっと『火力』をアップしたいと言ってまして」
「ほほう?」
「エクスプロ」
「言わせねえよ!」
「すこし古風かもしれませんけど、『みよ』とか、どうですか?」
「うーん、どうだろう? 最近、キラキラ☆ネーム多いし、『きらめき度』で負けない? てか、どんな字?」
「過去・現在・未来の『三世』と書いて『三世』」
「前世がドラゴンとか言い出したりして。未来予知とか出来たりして」
「英霊は、現在と過去、そしてまだ見ぬ未来から……」
「ああ、『F○e』? 俺、まだ全部は観てないんだよな」
◇◆◇
「「……うーん」」
「まさかの『双子』だったべさ。あたしらみたいだべさ」
「名前……どうしましょう?」
「考えてなかったな」
「こうなったら、オバちゃんが名付けてあげるべさ」
「イヤ、いいから」
「『アツム』と『オサム』。どうだべか?」
「女の子だっつーの!」
◇◆◇
(あの『星の渦巻き』とは……一体どうなっておるのじゃろう?)
(分からぬ事があれば、行って確かめるさ。たとえ、どんなに長い時がかかろうとも。私たちはいつも、そうしてきただろう?)
(そうじゃぞい。行くのだぞい)
(…………)
…………。
……。
なんなんだろう? これは?
◇◇◇
『宇宙』二日目の朝――
略して「うちゅかめ」の朝だ。ちょっと可愛いな。
(『★伝心☆』で繋がったまま眠ると、『同じ夢』を見ちゃうんだって)
そう教えてくれたのは、ミーヨだ。
『全知全能神神殿』に伝わる「神殿七不思議」のひとつだそうだ。
なんでも、「同調夢現象」というシンクロナイズド・ドリーミング・フェノメノンらしい。どうでもいいけど、「フェノメノン」で合ってるのか?
『巫女見習い』の「二段」昇格で「終身貸与」される神具『神授の真珠』を持つ……つまりは、「女の子のあいだ」だけで、まことしやかに語り継がれている不思議現象だそうだ。
確かに、昨夜は色々とドタバタして、みんな最後は疲れ果てて寝ちゃったから、「念話」を切り忘れてたんだよな。
(それでわたし、カオリさんの『前世』が『お母さん』だ……って分かったの)
彼女の場合、正確に言うと「前○前世」らしいけどな。
俺が『宇宙』に行くために、ひたすら「黒い線」をよじ登ってた時の事だそうだ。
二人でリンクして、俺の事で連絡を取り合っていたらしい。
そして、カオリちゃんの方は「それきっかけ」で、俺との『★伝心☆』が「テレパシー能力」なのではないか? と疑念を抱くようになったらしい。通常は二人までだからな、リンク出来るのは。
しかし、ミーヨとカオリちゃんが『同じ夢』とか、どんな内容だったんだ?
(小さな子供時代のジンくんの、おち○ちんがグルグルと……)
……そんなんは置いといて――
『★伝心☆』は、ブーストなしだと「二打点(約3時間)」で途切れる。
なので、上手いこと「ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠」といった感じに「眠りのサイクル」をシンクロさせるのも、なかなか難しいと思うんだけどな。俺たちの場合、特に意図したわけではなくて、たまたま偶然なんだけれども……。
だとしたら、あの夢は「カオリちゃんの夢」……違うな。「ホノカ視点」だった気がするな……。明らかに、俺の知らない『未来の記憶』が含まれてたし。そんで、最後の方のは……。
あとで、ホノカに訊いてみるか……。
でも、夢の中で「見知らぬ誰か」と会ったり、会話したり……といった展開のアニメは、数々あるよな。
そう言えば、某アニメでは「夢の中の世界」に棲んでる「穂乃歌ちゃん」がいたな。夢の中では、別名義だったけれども。
◇
(その話を聞いて、思い出したべさ)
何を?
(許可証だべさ)
許可証? 「異能開業」とか「妖夢鑑定業」とか「霊装使用」とか。
あるいは「魔法少女任命権」を持つ……イヤ、アレは「妖精免許証」か。
(『魔○城でおやすみ』に、他人の夢に入り込める『夢の通行手形』ってのがあったのだべさ)
度々出て来るけど、ホノカの「推しアニメ」なのだ。
俺やカオリちゃんが観れなかった「未来のアニメ」のひとつだ。
ホノカは、その中に出てくるマスコットキャラクター的な「でび○くま」を愛しているのだそうだ。その中の人は、正式なクレジットはないものの、主人公ス○リス姫と同じひとらしい。
(正しくは、オー○ラ・栖夜・リース・カイミーン姫だべさ)
どうやら、「スヤ○ス姫」は「愛称」だったらしい……じゃなくて!
アニメネタじゃなくて、俺たちのリアルの過去にあった話の事だよ。
そんで、他人の夢に入り込む……ってアニメは、探せば色々あると思うよ。
とにかく、俺たち、同じ夢を見たんじゃあないのか?
(そんな事を言われても……あたしは目を覚ますと、夢の内容をすっかり忘れてまう女なのだべさ)
…………。
ま、いいか。
実際には「過ぎ去った遠い昔」の話だし、結局のところ「他人の記憶」だしな。
でも、今回初めて見た「あの人たち」が、俺たちの『前世の記憶』の「オリジナル」って事になるんだろうな。『やきとり』とか『バターサンド』、美味そうだったな。正直、『カツ丼』はどうかと思うけどな……。
(カツ丼は『エロス』なのだべさ)
お前、夢ん中とおんなじ事言ってるぞ? モトネタなんなんだよ?
◇
(そうよ! みんな、星になっちゃえばいいのよ!)
い、いきなり何?
(ごめんなさい。ちょっとしたストレス発散です)
何しろ、『聖女』さま、だからな。色々あるらしい。
そんで、似たようなセリフが『伝説巨神イデ○ン』の劇場版にはあるらしい。そのラストには、「輪廻転生」的な要素があるらしい。
てか、昨日の『きらきら☆ジャンプ作戦』において、『星層圏』にある『守護の星(特大サイズ)』を、地上からどうやって「遠隔操作」したのか? とカオリちゃんに質問してみたら、そんな答えだったのだ。
(なんてゆーんでしょうか? 『たま』と『たま』でした)
操作は「脳波コントロール」だと思ってたら、「手動操作」だったらしい。
彼女の言うところの「たま」は、『守護の星(普通サイズ)』がいくつも「合体」した『地球儀』ならぬ『アアス儀』で、それでだいたいの位置を指定して、さらに細かい操作は、もうひとつの「たま」を転がすような操作感だったらしい。
それって、『コードギ○ス』の「ナイト○アフレーム」みたいに、親指でコロコロする感じ?
(もっと大きいべさ。『逆襲の○ャア』の『νガン○ム』みたいだったべさ)
ホノカだ。
そんで、またまたアニメネタだけど……我々には、これがいちばん「イメージを共有」しやすいのだ。
でも、あの機体、「サ○コフレーム」を搭載してるし……イヤ、「脳波コントロール」してるのは「フィン○ァンネル」だけか?
(脳波で操ると言えば、『マクロ○シリーズ』にも、そんな機体があったべさ)
某・競合試作機ね?
まるで「座禅」組むみたいにして、操縦しているやつだな。
とにかく、「椅子に座って肘掛けに置いた両手で、橋の欄干に付いてる『擬宝珠』みたいな『たま』と『たま』を操作している」ような感じで、比較的ラクな姿勢だったらしい。
ミーヨがいま絶賛妊娠中だし、カオリちゃんが「エアホッケー」みたいとか言ってたから、激しい運動はどーなんだ? と心配になって訊いてみたのだ。
(ついでに言うと、『守護の星』って、『引き合う力』と『反発する力』を持っていて、その『反発する力』で、『星層圏』が何層かに分けられているんだそうです)
(『磁石』か『電気』の同極同士みたいになってるらしいべさ)
二人とも「伝聞調」だ。誰から聞いたんだろ? その話。
とにかく、その「反発する力」を働かせて、『星層圏』最上層にあるデッカイ星を、スライド移動させてたらしい。
しかしまあ……今更だけど、そんな事が『魔法』で出来るんだね?
二人とも『巫女』だし、『神授の真珠(極太)』のアイテム効果……あれ?
イヤ、待って!
おかしいよ。だって君ら双子はともかく、もう一人の……。
(わたしには、『真珠の首飾り』があるから)
あ、そのミーヨだ。
(お誕生日の『ぷれぜんと』に『真珠の首飾り』貰ったよ? アレって、ジンくんが『錬金術』で作った『神授の真珠』なんじゃないの?)
バースデー・プレゼント?
しかも、『真珠の首飾り』?
俺は、某国の外務省の人間でもないし、ロリ○ンでもないぞ? あれは純愛なのかもしれないけれど。
(首にかけるには、ちょっと紐が短いし、それになんか余計な紐が一本ついてるけど……ずっと身につけてるよ?)
はて?
(『せくしーらんじぇりー』の中に、入ってたよ?)
ああ……思い出した。
ソレって、『真珠の首飾り』じゃねーよ。
俺様が、わざわざ手作り(※『掌内錬成』)した『玉パン』だよ(笑)。
(『玉パン』? それはどんなパンだべか?)
パンじゃねーよ。「P」だよ。「パ○パン」じゃないと「惨事」になるよ(笑)。
知らないなら、あとで「画像検索」してみてよ。
ま、ここは異世界だから、無理だけどね。
(『ちくわパン』でなく『玉パン』? 玉ネギが入ってるのだべか?)
だから、「P」だっつーの!
てか、北海道には「ちくわ」が入ってるパンがあるの?
(……ジンさんの変態)
カオリちゃんの方は、『玉パン』の何たるかを御存知だったらしい……。
◇
(カオリさん、昨日の『ばとる』では、最初から勝負をあきらめてたみたいだったけど……ああいうの苦手なの?)
バトルの優勝者は、ミーヨだった。
『アアス』に帰還したら、何かねだられそうな気がするな。
(個人的に好きな声優さんから、「アキラメロン!」と言われた気がしまして)
イヤ、気のせいだよ。
あの方は、そんな事は言ってないと思うよ?
ちなみに、『マ○ロス』の「F」での話だよ。
(めろん? クリムソルダさんの、おっぱいのこと?)
正しく理解しているな。素晴らしいぞ。
(メロンと言えば、夕張メロンなのだべさ! ゴホンと言えば、『龍○散』なのだべさ!)
もう無茶苦茶だ。
そんで、『龍角○』は北海道ってより秋田県に縁があるはずだ。
(ついでに言うと、『自動車に、ポ○ー!』なのだべさ)
俺は『生○会役員共』で、「オ○ホにポピー」が刺さってるとこなら見た事ある。
てか、俺の「先輩」から色々聞かされて、色々と毒されてきてるらしい……。
でも、一応これでも「作戦会議」なのだ。
いつまでも、こんな「低高度」でグダグダやってるワケにはいかないのだ。
最低でも『軌道リング』があると言う「静止衛星軌道」のあたりまで、とっとと行かないと!
でも、そこまでは「数万㎞」って話だ(泣)。
現在俺がいるのは、『軌道エレベータ』の『第一中継駅』だ。高度約200㎞だ。
それと、実はカオリちゃんは、勝負をアキラメロンしていたワケではなく、『軌道エレベータ』の「黒い線」の付近で、『守護の星(特大サイズ)』をいくつも縦に展開して、マスクメロンの表面の「ネット」みたいにして待ち構えていてくれたのだ。それで俺たちを「キャッチ」してくれたのだ。
でも、「網」だと「隙間」が空いてたのでは? 最悪、漏れてたのでは?
(天網恢恢疎にして漏らさず、です)
悪者あつかいはやめてよ。
そして、それ「音」だけ聞くと、ヘンな想像しちゃうよ。
(ジンくん、どこか痒いの?)
痒くないです。
とにかく、またまた『第一中継駅』にいるのだ。
元々、ちょっとだけ滞在してた「ふりだし」の場所だ。「ソ○モンよ、私は帰って来たあああ!」だ。ショコラじゃないガトーだ。ちなみに、『巫女』アナベル嬢は任地の『冶金の丘』にいるはずだ。俺たちが最初に滞在していた街だ。
なお、『駅』の中にいた「宇宙適応型のヌメヌメスベスベ」たちは、某・魔法で強制的に眠らせたった。休眠してもらったのだ。
実は、昨夜寝る前に、こんな事があった。
◆◇◆
うううっ……ゆ、○梨ちゃあああん。
俺は泣きながら『軌道エレベータ』の「黒い線」を手繰り、最寄りの『第一中継駅』に向かった。
誰のためのものなのか、「エアロック」みたいな「気密」のための機構がある。でも、この『駅』。カオリちゃんの『祈願』で、約1万㎞も上昇してたから……事によると、コレって「噴射ノズル」なのかもしれない。
とにかく、俺は泣きながら『駅』の中に入った。
全体的に、白い「陶磁器」のような質感だ。ツヤツヤしてる。
なので、「巨大な貝殻」の中に入っていくような錯覚に陥る。
「あーあーあー」
その「声」ともつかない「音」に振り向くと、エライ事になっていた。
俺の足を掴んで「連結」していた「ドロレスちゃんに化けた『化物』三人娘」のうちの一体が、ちょっとアレな感じに変形してしまっていたのだ。
コレってアレだな。
俺様無敵のバリアー『★不可侵の被膜☆』を発動させると、『守護の星(特大サイズ)』での「バウンド」が出来なくなるから、それを防ぐ「バリアー除けのシールド」として「下敷き」にしたせいだな。
接触時の「衝撃」なのか「摩擦熱」なのか……とにかく、エライ事になってる。明らかに変形してしまっている。
(あ~あ~あ~あ~あ~あ~)
そして、この「思念波」はホノカのものだ。
寝たんじゃなかったの? まさか、何かネタを放り込みたい時だけは、都合よく目を覚ますのか?
(今ちょうど、頭を打たせ湯に打たせているのだべさ。気持ちいいべさ。モ○ちゃんとおた○ちゃんの気持ちが分かるのだべさ)
そっちは無視しよう。
イヤ、「○カ」ってキャラは意外と何人もいるけど……「お○え」?
てことは『バン○リ』の話か? 俺が観れなかった『3rd』の話か? 「黒きシュワシュワ美味しいぞよ」って、その回か?
そんで、風呂場で入浴中ってえんなら、「寝落ち」すんなよ? 最悪■ぬぞ。そして以前お風呂で見せてもらったのを思い出したけど、綺麗な◎○してたよな、お前。でも、セ○ハラじゃないよ? 俺いま実は……。
(◎輪? 『鳰原』は『ニュウバラ』だべさ)
それはそれとして……ここって「音」が伝わるんだな。
組成は不明なのものの、どうやら「空気」があるっぽい。
酸素嫌いのヌメスベちゃんたちが、俺たちを外へ噴出させた時に、相当量の「空気」が抜けたハズなのにな。
どうやってか、また供給されたんだな。
この『駅』がくっついてる「黒い線」の内部は、「空洞」らしいから、そこからかな?
呼吸すると……息苦しい。「酸素」は少なそうだ。
「あーあーあー」
この子を、このままで置いとくのもツラいな。
「お願い。半ケツちゃん! この子をタマゴに戻してあげて」
「了解です。えいっえいっえいっ!!」
哀れにも変形してしまった子を、半ケツちゃんの『電気あんま』によって、タマゴに戻してもらった。
その際、またまた水飛沫が飛び散ってしまった。
またまた、ヌメスベちゃんたちに追い出されるのもヤダな。
ならば、これはどうだッッ!!
「眠れ、良い子よ! ★ははのゆめっ☆」
俺は『育児魔法』を発動させた。
キラキラキラキラン☆
たくさんの星が舞う。
し――ん。
この「静けさ」は、「壁のつぶつぶ」の「沈黙」だ。
なんてゆうか、『魔法』が成功すると、独特な「手応え」があるのだけれど……今回はソレがあった。
どうやら、ヌメスベちゃんたちの「強制催眠」に成功したらしい。
でも、まさか、ホントに効くとは思わなかったよ。
(…………スヤー)
ついでに、ホノカまで寝ちゃったらしい。平気かしら?
ま、側近の『御伽衆』の面々がいるから、大丈夫だろう。……たぶん。
◇
『化物』の「化けの皮」を材料に、ちょっと試してみた。
(掌内錬成。熟れたオトメナス)
チン!
ポコっ、とした丸みを感じた。
閉じていた掌を開くと、白いプチトマトみたいな『アアス』の珍野菜「オトメナス」が完成していた。
それを、「レーザー眼」の「レーザーカッター」で、真っ二つに割る。
で、しばし待つ。
…………。
……白いまんまだ。変色しない。
熟れたオトメナスは、「酸化作用」で綺麗なピンク色に変化する……つまり、ここにはまるっきり「酸素」が無いか、あるいはあったとしても、ごくごく薄いって事らしい。
てか、一息吸い込んだ時点で、それは分かっていたけれど。
カオリちゃんから聞いた話だと、例の『プラネ○ス』では「酸素」をめぐって、いくつか重要なエピソードがあったそうだ。その中には、「水」と「何か」を化学反応させて、「酸素」を作り……でも、カオリちゃんも「うろ覚え」だったしな。
うーん、酸素……酸素……。
簡単に「電気分解」つっても「電極」が必要だし、さらに真水じゃなく、何かを混ぜて「電解液」にする必要があるんだっけか?
きっと、俺の『体内錬成』では、呼吸器系に入りこんでる『守護の星(極小サイズ)』が「何か」やってるんだろうけど……人の体内で、何やってんだろ? 気にしたら負けな気がするから、気にしないようにしてるけど……。
『はた○く細胞』では、肺で受け取った「ガスボンベ」みたいな「酸素」を、擬人化された「赤血球」たちが、手押し車みたいなので「運ぶ」のだそうだけど……。「血小板」はみんなチビッ子で、「白血球」はナイフを武器に、侵入した「異物」と戦うのだそうだけど……なんで「飛び道具」使わないんだろう? ナイフて。血まみれになりそうやん。
ま、それはそれとして、「材料」はあるんだし、「自作」する事にしよう。
『化物』の「化けの皮」が、まだある。
まるで「ゴム手袋」みたいになってて、内部に水が残ってるやつがあったので、それを手のひらで包んだ。
(掌内錬成。酸素)
もっともシンプルに、「水」から「酸素」を錬成り出すのだ。
俺の『錬金術』ならば、電極も電源も不要だ。
でも、これだと同時に「水素」も錬成られてしまう事に、「爆発」の後で気付いた。
チン!
ぽきゅっ。
地味で、しょぼい爆発だった。
こんなんじゃあ、「爆発オチ」にもなりゃしない。
◇◇◇
(『ポキール』ってなんだべか?)
知らないよ! 言ってないよ、そんな事は。
だから、「ぽきゅっ」って感じの音だったよ。
(つまりは、水素をつくれるんですよね?)
まあ、「おまけ」だけどね。
結局その後も地道にコツコツと「酸素」を錬成し続けたよ。
副生物の「水素」は、ほっとけば「上の方」に溜まるし、『軌道エレベータ』つっても、この『第一中継駅』では、しっかりと「重力」があるから、軽い気体は勝手に「上にまいります!」なのだ。
昨夜の「爆発」は、「ゴム手袋」みたいになってた「化けの皮」の、「指の先っちょ」の部分に溜まった「水素」が原因なのだ。ごくごく小規模なものだったよ。
(うー……でも、なにが引火したの?)
なかなか鋭い突っ込みをするミーヨであった。
(あ! ですよね? 何か火元がないと……)
実は、手元が暗かったので、『錬成』の前に、照明魔法『★光球☆』を発動させていた。
(それが、『火元』だと?)
じゃなきゃ、『化物』の「化けの皮」って「静電気」が溜まってるのかなあ?
(静電気の火花が原因で可燃物に引火……って、ありますもんね。『静電気防止グッズ』も色々ありますし)
でも、『電気あんま』によって『化物』をタマゴに戻したあとに残る『皮』は、ぶ厚い「皮革製品」みたいな質感なんだよな。イヤ、もちろん本物の「皮」じゃないけど。あの「手袋」触った時には、『ゴールデ○カムイ』の某キャラを思い出しちゃったけれども。
(静電気って……猫を撫でてると、たまに感じるパチパチのこと?)
ミーヨも、体験的に知ってるらしい。
なにかモフモフしたもの触ってると、静電気たまるもんな。
(あとね。『女王国』の冬って寒いから、わざと『化物』をなにかモフモフした生き物に化けさせて、そこから『毛皮モドキ』を作り出す事もしてるんだって)
へー、『化物』から「フェイクファー」みたいものを作ってたのか?
『化物』って、実はすっごく有用なのね?
(硫黄のボールで静電気つくってたべさ。ねこじゃらしでラーメンも作ってたべさ)
そっちは、どんな『錬金術』なんだ? 「ねこじゃらし」から「ラーメン」て。
(錬金術ではなくて、妖術……でなくて、科学だべさ)
それも、俺が観れなかったアニメだな。
タイトル聞いたら、原作は某誌の漫画だった。
俺にとって、某誌の作品は「アニメ」よりも「漫画」としてのイメージが強い。……アニメ版をあんまり観てないからな。人気作品は、それこそ膨大な話数になるから、俺のような「ヘタレなアニメ好き」としては、全話観るのは到底不可能なのだ。
(それで、『じゃんぷ』の話なんだけどね)
こら――ッ!!
(え? なんで今わたし怒られたの?)
◇
ミーヨが言いたかったのは、『きらきら☆ジャンプ作戦』で動かしていた『星層圏』にある『星』の、「引き合う力」と「反発する力」って、ソレなんじゃないの? って事だった。
そう言えば、『ヘヴィー○ブジェクト』に「静電気式の浮上装置」とかあったなあ。
言われてみると、俺も、そんな気がしてきた。
……で、「前置き」が非常に長くなってしまったけれども。
『宇宙ピストン』で、『天元突……じゃなくて「雲を突破」した時に感じたことなのだけれども、『軌道エレベータ』の「黒い線」て、どうも「帯電」してるっぽいのよね。
それを、「移動手段」として利用出来ないものなのかしら?
(どうしてそんな口調なんですか? ……ま、まさか、また?)
魔法少女に変身よ!
てか、実はもう「女体化」済みなんですう。
◆
またまた? ――まる。




