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207★最終章[8]◇絶賛降下中



(『私のはサーモンピンクだもん!』)


 ……ハァ!? ナ、ナニソレ?


 現在、色々と「良くない状況」だ。

 気持ちまで落ち込みそうなので、何か「元気が出るセリフ」をオーダーしてみたら、ホノカにそう言われて、ぶったまげた。


(『ご注文はう○ぎですか? BL*OM』での、○グちゃんのセリフだべさ)


 その「*」は「伏せ字」なの?


 兎に角、ホノカの「お気に」は、チ○メ隊の一人メ○ちゃんだそうだ。


 そう言えば、『神前じゃんけん大会』でのホノカは、メ○ちゃんの「手」を出し続けてたな。ちなみに、当時女体化していた俺は、チ○ちゃんだったよ。


 にしても……サーモンピンク……とか。


 一体全体、なんの色がサーモンピンクなの?

 そして、どんなシチュエーションで言ったんだ?


(第11羽で確認するがいいべさ。カフェラテアート担当は、なんとビックリ、コ○アだったべさ。予告? にも出てたべさ)


 めっちゃ観たいけれども。

 ここ異世界だし。どうやって「視聴」しろと?


(それに関して、お願いがあるのだべさ)


 『東の円』の女王『火巫女』ことユヒ・ホノカさんが、俺に確認して欲しい事があると言い出した。


 きっと、その「サーモンピンク」とやらが関連している事であろう。なんか楽しみだ。ワクワクして来た。


(実はあるハズのものが、見つからなかったのだべさ)


 詳しく話を聞くと――


 『東の円』滞在中、ホノカが汎用大型護衛艦『あわ』を『★召喚☆』した。

 と言っても、『地球』の海を航行中に、この惑星『アアス』から「お出かけ」した「集団的意識共有体」の人たち(?)が、知的所有権とかを無視して、勝手に「コピペ」した「コピー品」だ。


 それは、「彼ら」の「趣味」なのだ。

 そしてそのついでの「おまけ」で、船内にいた生物まで「コピペ」され、この惑星『アアス』に、我々のような『地球』由来の生物が棲みつくことになったのだ。


 しかも、甲板とか船上にいた人間たちは、その「記憶」のデータまで吸い出されてしまっている。それらは『前世の記憶』として、我々にある種の「勘違い」をもたらしているのだ。……やれやれだ。


 それはひとまず置いといて、その『あわ』の艦内を、10日以上かけて「探検」したのだそうだ。


 てか、「入り口」見つかったの?

 俺も、双胴空母にしか見えない『あわ』の、多目的全通甲板上に『魔法』で降り立ったものの、ステルス性と対テロ性が考慮された艦橋(ブリッジ)の主要部分には、入れなかったんだよな。


 なので、「垂直発射装置」の上部カバーを無理矢理こじ開けて、「33式極超音速滑空弾・改」の弾頭を「ぺたぺた」触っただけだったのだ。


 一緒にいた『女王国』メンバーや、ホノカの側近の『御伽衆』の方々も、何を勘違いしたのか、俺を真似て「ぺたぺた」触ってたよ。なんの御利益も無いのに……。


 で、ホノカが言うには、艦内のレクリエーション・ルームにあるハズの「記憶媒体」と「再生装置」が発見出来なかったそうなのだ。


 てか、レクリエーション・ルームとかあるんだ?


(もしかすると、それらは『宇宙』にあるかもしれないのだべさ)


 それは良いのだけれど……俺いま絶賛降下中なんだよ?


 『アアス』の重力に引かれて、『宇宙』から落っこちてる最中なんだよ?


 その点、分かってる?


      ◇


 星々は豪奢で美麗で、『アアス』も青く美しかった。


 昨日見た時には、視界いっぱいに青い水の惑星『アアス』の海が広がっている感じだったけど……寝ている間、知らぬ間に1万㎞も強制移動させられたので、現在は「両手に乗せられそうな大きさ」に見えてる。


 何かのアニメで、『地球』を両手で胸に抱きしめるような感じの「OP」があった気がするな……。何のOPだっけ? 思い出せない。


 ま、状況としては、そんな事考えてる場合じゃあないんだけどな。


(ところで、元々の原因はなんなんですか?)


 カオリちゃんには伝わってなかったらしいな。


 説明すると……ドロレスちゃんに化けた『化物(ケモノ)』が、必殺の『電気あんま』によって、その股間から、まるで「ピー」のように噴出させた「水」のせいで、「あるもの」が復活したんだよ。


(……ジンさん、この場合「ピー」だと「伏せ字」になりませんよ?)


 だよねー。

 『ハイ○ュー!!』では、「ピーマン」を「お○っこ男」だとか言ってたよ。


(そして、『電気あんま』とか……少しは気を使ってください)


 ……ハイ。


 復活した「あるもの」とは、『アアス』の謎生物のひとつ「ヌメヌメスベスベ」だった。水が無くて、「休眠状態」だったのだ。


 元々は「海棲動物」だったものが、淡水にも進出しているし、「陸棲タイプ」もいる。まさかの「宇宙タイプ」までいるんだもんな。


 彼らが這いまわったあとは、石灰岩のように……あるいは鍾乳石のように、「炭酸カルシウム+α(※何らかの分泌物)」で積層されていく。


 ちょうど『第一中継駅』の質感が、白い磁器のような感じだったし、きっと『駅』は、彼らヌメスベちゃんたちが、人間の常識を超えた長い長い年月をかけて造形したものなんだろう。


(それにしても……言葉を話してたんですか?)


 ああ、あの宇宙適応型のヌメスベちゃんたち?


 前にも「神様たち」が、自分の事を「この惑星の生物の意識の集合体」とか言ってたし、その「しょぼいヤツ」だと思えば……特には。


(……しょぼいヤツって……)


 細かい事気にしてたら、異世界でなんか生きていけないよ。


(…………)


 で、その「宇宙タイプ」が「酸素が苦手」だとかで、彼らが根城にしている『第一中継駅』から、無理矢理「外」へ。……宇宙空間へと「放出」させられたのだ。ヒドい話だ。俺でなかったら、確実に■んでるよ。


 そんで、俺いま『アアス』に落下中なんだよ(泣)。

 このままだと、『アアス』の地表に着地……イヤ、陸と海の比率は圧倒的に「海」だし、確率からいって「着水」だろうな。


(宇宙から降下して着水? 学校のプールにですか?)


 何かのアニメネタだろうけど……該当する作品が思い浮かばないな。俺は未視聴作品多いし。


(手計算では、大気圏突入まで、おおよそ二打点だべさ)


 ホノカの言う「手計算」は、数学魔法『★計算掌☆』によるものだろう。そして「二打点」は「約3時間」だ。


 俺に残された時間は、約3時間か。

 延長しなくても十分に……じゃなくて、「時間的余裕」は、あると言えばあるな。


 しかし、その間に何らかの方法で「加速」し、高度を上昇させないと、またまた「海ポチャ」してしまうだろう。


(こんなこともあろうかと?)


 ……イヤ、何の準備も無しに突然「放出」されたから、何も無いっス。秘密道具も隠し玉も無いっス。『全知神』さまから貰った『賢者の玉(仮称)』ならば、某所に隠されているけれども。


(『切り札』は最後まで取っておくものだべさ)


 そんな「ロリ○ン伯爵」みたいな事を言われてもなあ……。

 そう言えば、「おじさま」も「宇宙遊泳」ならぬ「空中遊泳(※平泳ぎ)」してたよなあ。しかも、垂直の壁を下向きに走ってたし……。


 試しに「クロール」やってみたけど……進んでる手応えゼロだよ。


 まさに、手足が「(くう)を切る」って感じだよ。

 足場も何も無い低重力下で、いくらジタバタしても、せいぜい「方向転換」しか出来ない。任意の方向に移動するためには、「スラスター」が必要なのだ。


 俺の「落下コース」は、薄い大気の抵抗で減速しつつ「下降線」を描くらしい。

 でも、惑星は球体だから、結果的に『アアス』の周囲を半周くらいするらしい。


(大気圏外へと打ち上げられた「それ」は、『地球』を一周して大気圏に再突入し、膨大な運動エネルギーでもって、巨大な三つのクレーターを穿(うが)ったのだべさ)


 ……イヤ、待て。ここは『アアス』だぞ。

 何の話だ、それ?


(『鎌倉』が舞台のアニメだべさ)


 『俺○イル』は、そうと見せかけといての「千葉」だしなあ。「カマクラ」は、比○谷くん家の猫の名前だしなあ。『完』は観れてないないしなあ(泣)。


 そう言えば、俺の『前世の記憶』には、千葉にいる親戚から、毎年「たけのこ」をいただいてた「記憶」があるよ。あく抜き用の「米ぬか」が同梱されてたよ。


(鎌倉? だったら、『うた○かた』とか?)


 カオリちゃんまで乱入してきた。


 『うた∽○た』は、2000年代の「魔法少女もの」のひとつだそうだ。でも、変身するのは一人で、十二種類の『神精霊(ジン)』の力で、12パターンの変身をするのだそうだ。ちょうど1クールだ。

 あと、カオリちゃん(いわ)く、OPとEDは、両方とも「神曲」らしい。


 俺は……「鎌倉」と言ったら、2010年代の『TARI○RI』かなあ。


 ……で、正解は?


(『アサル○リリィBOUQUET(ブーケ)』。舞台は鎌倉・百合ヶ○女学院だべさ)


 もう色々と、「百合感」満載だ。


 そんで、鎌倉なのに「浜」じゃなくて「丘」なんだ?

 『ユリ○嵐』の舞台も、「嵐が○学園」だったけれども。


(2020年秋アニメだべさ)


 そんな「未来のアニメ」は観てないってば!


(足湯に浸かる少女たちの『ふともも』が、たまらないのだべさ)


 たまに「おっさん」みたいだぞ、お前。


 あ、そう言えば……。


      ◆◇◆


 『美南海の水都』の「海浜温泉」での事だった。


 カオリちゃんとの『★伝心☆』で仕入れた情報を、ミーヨに話して聞かせたら、彼女は「間欠泉」を見たがった。


 俺たちの最終目的地だと思っていた『伝説のデカい樹』が、『軌道エレベータ』ではなく、『宇宙』にまで「物資」を吹き飛ばす、「大砲」みたいな「マスドライバー」だと判明した時の事だ。


 それって、「水」と「蒸気」による「間欠泉」みたいになってるそうなのだ。


「熱湯使うと危険だし。……あ、いい事思いついた! 『似て非なるもの』なら、見せてやれるよ」

「……へー、どんなの?」


 ミーヨが興味を示すと、ドロレスちゃん(※本物)と猫耳奴隷のセシリアも乗ってきた。


「あ、あたしも見たいです」

「みた、あい。みた、あい」


 昔、そんな「お菓子系」が……ま、それはいいか。アニメネタじゃないし。18禁なAVだし(笑)。


 とにかく、「実験」と称して、ココアとソーダとクエン酸……じゃなくて、「牛乳」と「温泉炭酸水」で、ちょっと遊んだのだ。


 なんちゃって「メン○ス・ガイザー」だ。


 炭酸飲料に「何か」をぶち込むと、「噴水」みたいに一気に噴き出すヤツだ。「ガイザー」は「間欠泉」の事だそうだ。あと、俺は「ココア☆ソーダ☆クエン酸」の組み合わせだと、どうなるのかは知らない。やりたい人は「自己責任」で!



      ……シュワシュワシュワ……



 もう既に、不穏な感じで「シュワシュワ」言ってるし。


 炭酸水の強さを表す単位として、「GV(ガス・ボリューム)」というのがあるそうだ。


 液体に対して、何倍の体積の「二酸化炭素」が溶存してるか? によって決まるそうで、炭酸飲料の中には「5.0GV」とか表記されているものもあるそうだ。


 何かで、「最強の炭酸水」が「6.5GV」とかいうのを見た記憶があるので、それに負けない感じでやってみた(※雑)。


「じ、じゃあ入れるよ?」


 ミーヨだ。

 断っておくけど、樽いっぱいの「炭酸水」に「牛乳」を、だ。


「お、おう!」


 入れるとすぐに、泡立った「白いの」が飛び出た。


 びゅるるるるる――って感じだった。


「うええっ!」

「うおおっ!」


 その「白いの」が、ミーヨの顔面にまでかかってしまった。

 俺だって、そんなのしたこと無いのに……。


「「「「……」」」」


 しばし、みんな無言で見守った。


 数秒間、「白いの」を噴出し続けて、最後は「しょんぼり」と終わった。


「最後は、だらしない感じで、力なく垂れ下がりましたね」


 そばで見ていたドロレスちゃん(※本物)だ。表現に若干の難ありだ。


「……あい。だらん、して、た」


 そんなことに同意しなくていいんだよ、セシリア。


      ◇


(炭酸水で思い出したことがあるべさ)


 なに?


(『TariTa○』の舞台には、鎌倉だけでなく、江ノ島も含まれてるのだべさ)


 たしかに……。

 俺の推しキャラは、「島」に住んでた気がするな。


(『鎌倉サイ○ー』と『江○島サイダー』って、二つのご当地ドリンクもあるのだべさ。一緒にしてはダメだべさ)


 そんなのあるんだ? どんな味なの?


(…………)


 なぜ黙り込む?

 ちなみに、あの作品の「前田君」は「ウィーン」だったよ。


 それはそれとして、あの「なんちゃって」を「スラスター」として使う事は出来ないだろうか?


 口から水を噴き出すとか「ピー」よりも、はるかに勢いがあって、「推力」が強そうだし。


 しかも、カエルの「卵塊」みたいな「泡の塊」だから、まんまの「液体」とは違って、一瞬で「霧散して蒸発」って事には、成らないだろう。


 炭酸水は、単に「水」に「二酸化炭素」が溶け込んでるだけだから、『錬成』も余裕だ。実際、今までに何度か錬成した事がある。


 その「炭酸水」にぶち込む「何か」に関しても、別に「牛乳」じゃなくてもいいし、代用が効くだろう。最悪、「塩」でもいいはずだし。


 ところで、『宇宙』で「液体」の「攪拌(かくはん)」って出来るのかしら?

 思いっきりシェイクすれば、なんとかなるのかしら? よく分かんねーな。


 そしてそれを、俺の『体内錬成』の、どこで錬成すればいいんだろう?


 口の中は駄目だ。呼吸出来なくなる……。

 かと言って、『液体錬成』は、元となるのが俺の「ピー」だしな。『固体錬成』では、半固体的な、お腹がゆるい感じの「ピー」になるし。『気体錬成』だと、「プー」だし。


 悩ましい。一体、どうしたら……。

 そんな馬鹿な事を考えていると……。


(そんなのでは、まるっきり『推力』が足りないべさ)


 またまた俺の夢は打ち砕かれてしまった。


(ジンくんと『化物』3匹。どれくらいの重さだべか?)


 『前世の記憶』を持つ俺たちにわかりやすく言うと、だいたい220㎏だろうな。某・五つ子ちゃんたちとは違うし。


(『ダンベル○キロ持てる?』には、身長以外そっくりで、マトリョーシカみたいな五人姉妹が……でも、アニメ版では出番が無かったべさ)


 なら、やめとけ。俺もその作品知らないし。


(サイドチェストォ!)


 それって、ボディビルのポージングだっけ?


 ……関係無いけど、『ダイ○モンドは砕けない』で、吉○吉影氏が「トレーニングジム」について、とても偏った意見を述べていたな。


 ま、それはそれとして――


 で、結局のところ、「推力」って何で決まるんだ?


(いちばんは、推進剤の噴射速度なんでないべか?)


 うーん、大気圏内ならな。

 単純に「空気」を送り出すだけでいいのにな。『アアス』の「魔法システム」を使えば、それが可能だし。


 ……と言って、ここは宇宙空間。

 そもそも、「空気」が……あれ?


 …………。


 ……。


(どうしました?)


 イヤ、『アアス』の『魔法』システムって、「音声入力」なワケよ。


(ああ、はい)


 でも、ここって、ほとんど「空気」の無い『宇宙』空間なワケよ。


(その語尾、フ○ンダですか? あまりにも脈絡が無く、唐突だったので、正直ビックリしましたよ)


 しかも、俺って『魔法』使うためには、無敵のバリアー『★不可侵の被膜☆』を「解除」する必要があるワケよ。


 でも、そんな事したら……。


(■にますね)


 うん、かるく■んじゃいますよ。


(それは、『より○い』の白石○月ちゃんの口癖じゃないですか)


 白○結月の「中の人」は、ヒロインが何度も■んじゃう『魔○城でおやすみ』ってアニメでは、「母親役」どころか「ナレーション」だったそうだよ。もう「ベテラン」というか「大御所」のポジションだよ……。


(ス○リス姫の「母親役」も、ちょこっとやってたべさ)


 『未来人』ホノカからの、追加情報だ。


 どちらにしろ、某ゲームでは、俺の「メインヒロイン」だったのになぁ……。


 とにかく、どうしよう? この状況……。


(こちらでも、何か手を考えてみます)

(したら、また後で)


 そう言って、二人は念話を切った。


      ◇


 『魔法』がダメなら、『錬金術』があるじゃない。


 しかし、俺の『錬金術』は、術式とかレシピとか錬成陣とか触媒とか素材とか関係無く、細部を既存の「魔法システム」に丸投げしてるだけなのだ。


 しかも、俺の体内に共生してる『守護の星(極小サイズ)』に頼りきった『体内錬成』が基本で、それを「体外に拡大」させるためには、錬成しているあいだ俺自身を守る無敵のバリアー『★不可侵の被膜☆』を対象に委譲しなくてはならないような仕様だ。


 非生物である「ドロレスちゃんに化けた『化物』」のうちの一体を、抱き枕的な感じの「巨大ペットボトル・ロケット」に『錬成』しようかな? とか、ふと思ったけど……よく考えたら、これまたバリアー解除が必要だし、これまた■んでまう(笑)。


 極限の宇宙空間で、無敵のバリアー『★不可侵の被膜☆』を解除すれば……普通に、■んでしまう。「俺様■亡エンド」だ。

 『魔法』にしろ、『錬金術』にしろ、どちらにしろ、だ。


 ついでに言うと、三峰(みつみね)○白、椎名○しろ、宗谷(むねたに)○しろ。

 他にもいるかな? 「ましろ」ちゃん。「白」とか「シロ」ならいるけれど。


 ま、それはそれとして、『魔法』も『錬金術』も使えないとなると、宇宙空間を「移動」する(すべ)がない。


 蹴り出す「足場」も何もないからだ。何もないところで「反作用」もあったもんじゃないし、何かを「噴射」して、その「反動」を使うにしても……「スラスター」が無い。


 宇宙飛行士が宇宙船から出て「船外活動」する場合、「命     綱(アンビリカル・コード)」を付けるのが当然だし、それを手繰れば「船」に戻れる。「へその緒(アンビリカル・コード)」を付けない場合でも、宇宙服の背中に、スラスタ付きのバックパックを背負うのが当然だ。


 俺みたいに、「全裸」で『宇宙』とか……有り得ない。


 そう、実は俺、ずっと「全裸」なのだ(笑)。


 無敵の『★不可侵の被膜☆』は、俺の「素肌」で発動されるのだ。


 ミーヨが守りたかったのは、「ジンくん本体」であって、「着ている服」とか「手荷物」は保証の「対象外」なのだ……。


 ともかく、このままだと『アアス』の引力に引っ張られて、不本意な形で「大気圏突入」だ。


 でも、「ミーヨの願い」が『アアス』の「魔法システム」によって具現化した『★不可侵の被膜☆』ならば、素のまんまで「大気圏突入」に耐えてしまう気がしないでもない。


 俺が『俺』として目覚めるきっかけになった「麦畑■人事件」で、ミーヨは俺を「生き返らせる」事を必死に祈ってくれた。


 それは実は、『ふしぎなわっか』と呼ばれる『魔法増幅円』の「ど真ん中」での事だったらしい。

 『アアス』の『軌道エレベータ』を構成する「リング」と「カウンターウエイト」をあらわす模式図だそうだ。日本の地図記号の「工場」に、似て非なるヤツだ。


 その極めて特殊な「地形効果」。

 それが故に、「かなり無茶な願い」が叶ってしまったのだ。


 彼女が持っていた『神授の真珠』は、その時に砕け散ってしまったそうだ。


 俺との「イケナイアヤマチ」で没収されたのかと思ってたけど……聞いてみたら、そういう話で、まるで俺の「生き返り」の代償のように、それは砕けたのだそうだ。


(ちがうよ。強く握りしめちゃって、『握力』で潰しちゃったの)


 そうなのだ。実はミーヨは「握力」が強い。

 そのせいで、俺は弱いのだ。「手コ○……イヤ、そういう事じゃあなくて……えええ? ミーヨさん?


(そうだよ)


 そして、ふと見ると……目の前に「何か」がある。


 これって……『全知神の瞳』だ……。

 『アアス』の各地で見られる「目」をかたどった「魔除けのおまもり」だ。眠そうな閉じかけの「半目(はんめ)」の球体だ。


 ただ、その実態は、「魔除け」なんかじゃなくて、「ムービーカメラ」だ。


(『聖女』さまが、『ぼいす・おんりー』だと、状況がつかみにくいから、視覚的な情報を得るために、近くにあるのを派遣したんだって)


 でも、その方が、作画がラクだし……じゃなくて、「近くにある」だとう?


 てか、そんな「偵察衛星」を飛ばすみたいなこと、出来るんだ? 俺のこと、見えてるんだ?


(うええっ! み、見えてるよ? おち○ちん!)


 前述のような事情で、俺はずっと「全裸」なのだ。


(丸出しだよ! 早く、隠して!)


 だが断る。


      ◇


(綺麗だねー)


 ミーヨが、うっとりとつぶやいた。


 ちなみに、俺のことじゃない。隠してもいない。

 『瞳』を「青い水の惑星」に向けて、その光景を地上にいるミーヨたちに見せているのだ。宇宙中継なのだ。


(これが……『アアス』なんだね)


 でも、気づいたら「海の色」が違ってるな。

 俺自身が、いま『アアス』の周りを回りながら降下中だから、知らん間に見慣れた『美南海』の色じゃなくなってる。これきっと『太陽の大洋』だな。


(みんな、すっごく綺麗だねー、って言ってるよ)


 どこかの『神殿』で見ているらしく、『聖女』さま(カオリちゃんだ)や、『巫女』シンシアさんも一緒に観てるらしい。


 て事は、またまた「清き乙女」の皆様に対して、「戒律違反」になるような事をやっちゃったらしいな。


(ドロレスちゃんがね)


 ドロレスちゃん(※本物)もいるらしい。彼女も実は『巫女見習い』だからな。


(下の方が(かげ)ってる、ってどこですか? って)


 言い方がちょっとアレだけど、きっと『みなみのわっか』の「影」の事だろうな。みんな、パイ○ンだしな(笑)。


 でも、前にみんなで『とても寒い冬(仮)』を体験した時から、時間は流れて「公転」が進み、もう「地上」は……『女王国』のある「北半球」の季節は、すっかり「秋」なんだよな。


 なので、はっきりと見えるカタチでは、「影」は地上に落ちていないな。

 てゆーか、「春分」とか「秋分」の頃だと、赤道直下に「ほっそい線」が落ちるだけで、地上には、ほとんど影響ないだろうな。


(そうなので御座るか、ってセシリアが言ってるよ)


 ……なんでセシリアが、そんな口調なんだ? 誰の影響だよ?


 ところで、カオリちゃんは?


 『★伝心☆』リンクしてないようだけど?


 『未来人』ホノカだけが知ってる某アニメのヒロインは、「りんく」らしいけど? スパゲッティを口にして振り回しながら、ちゅるるん♪ って食べるらしいけど? 


(ちゅるるん♪ なんて擬音は無かったべさ。あとカオリは、『聖女』として『最終祈願』の真っ最中なのだべさ)


 よく考えたら、『火巫女』さまと『聖女』さま、だもんな。

 すげーな、君ら双子は。二人とも高い地位にあるもんな。


 ……イヤ、待って!


 『最終祈願』……だとう?


 そんなことしたら……カオリちゃん、■んじゃうよ……。


      ◆


 心配しなくても、■なないから大丈夫(ひでぇネタバレ⑤)――まる。

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