141◆ポロリ
「はううう」
スクリーンには、引き締まって綺麗なクリムソルダ嬢のお尻が投影されてる。
ここまで堂々と大画面に映ってると、なにか神聖なものに感じられてくるよ。
なんかこう、ありがたーい気持ちで、両手を合わせて拝みたくなって来るよ。
(……バカばっか)
カオリちゃんが、心の底から呆れかえってる。
そのセリフ。
90年代のアニメ『機動○艦ナ○シコ』のキャラのでしょ?
ゲームで見た事あるよ。『○ヴァ』と同じ頃の作品でしょ?
そんで、『機動○艦ナ○シコ』と『宇○戦艦ヤ○ト2199』のヒロインって何か共通点あるの? そんなクイズ出されて全然判らなかった……あ、もしかして「中の人」が同じなのか?
(…………)
無視かよ。答え教えてくれないのかよ。
詳しくはwebで! ってか? でも、ここネット無いし。
『魔法』でなんとか『地球』のインターネットと繋げられないのかな?
古参のハッカーに乗っ取られそうだな。『この世界』の『世界の理の司』。
とにかく、次は俺たちだ。
行くよ、ルリ……イヤ、カオリちゃん!
(バカばっか)
『南天の星見』からの斜路を、気をつけて下り、『乙女の道』に立つ。
中央部に立ち、ここで白いヴェール『虫蚋除け』を外す。
甘美な感情が湧き立ってくる。みんなが俺を見てるのだ。
「みなさん、こんばんは。『巫女見習い』ヨハンナ。五段です」
なんだろう? 自己顕示欲と言うよりも、何かやらかしたい気持ちが、ふつふつと沸き上がって来るぜ。
とりあえず、頭部を覆っていた白いヴェール『虫蚋除け』を外して、背後のカオリちゃんに手渡す。
「「「「「……ほおおおっ」」」」」
なんだろう? この会場の雰囲気。
次は、全身を覆うマント『夏の旅人のマントル』を脱ぐのだけれど――
今まで登場した他の『巫女見習い』のみんなは、『夏の旅人のマントル』を脱ぐ時、肩から「すとん」と、下に落とすような脱ぎ方だった。
それを見ていて、俺はこう思ったよ。
(なっちゃいない。まるでなっちゃいないぞ)
『前世』での先輩の口癖だ。
何かのアニメのセリフらしいけど……モトネタが何なのかは知らない。
ちなみに「おさんぽの さの字を左右 反転だ」と言うバカ川柳を詠んだのはこの人だ。『ガン○ム』のDVD貸してくれたのも、この人だ。なお、競馬好きの田中さんとは別人だ。
それはそれとして……この俺様は、今まで何度も何度も『旅人のマントル』を脱いで、人前で全裸になってきた(笑)けれど、それは「すとん」と脱いではダメなのだ。
カッコよく、思い切りよく「バサッとな!」が正解なのだ。
今から、俺が、それを見せてやろう! って言っても、『この世界』のビキニ『全知神の三角』は着用してるから、全裸になったりはしないけどね!
それには、コツがあるのだ。
かつて、ミーヨ先生と特訓したのだ。
右手で左肩の布地を、ガッ、と掴んで――
(え? ダメですよ、そこ! ブラの肩ひもが……)
――手首にスナップを効かせて、肩の水平面から仰角5度で、全身に捻りを効かせて、思いっきり投げ捨てるように……バサッとな!
俺は、『夏の旅人のマントル』を華麗に脱ぎ捨てた!
(……あーあ)
カオリちゃんから、呆然とした思念が届く。
「「「「「…………あ」」」」」
みんなにガン見されてます。
甘美とは言い難い感じです。
「……ん?」
俺はみんなの視線を辿ってみた。ちょうど俺の胸元のあたりだ。
「おやー?」
おかしいな?
ここには『全知神の三角』のトップパーツが在ったハズなのに……今はそれが無い。
代わりに――
(おっぱいだ)
俺のだ。
所有権とか占有権の主張とかじゃなくて、完全に一体化した俺自身の俺のだ。
大勢の人の前なのに、おっぱいが丸出しになっちゃってる。
俗に言う「ポロリ」だ。
そして――
「「「「「……ヨハンナちゃん。◎首、■――い!!」」」」」
いつか来た道。また来たよ。
◇
「あなあなあなあなあなあなあなあな貴女!」
元『七人の巫女』で、現在は『巫女選挙運営委員会』委員長のロザリンダ嬢だ。
人間って「穴」いくつだろ? 毛穴まで数えたら、八つじゃきかないと思うけど。
「せ、『選挙』を妨害するような行為があれば、ただでは済まないとあれほど……」
めっちゃ怒っていらっしゃる。
まだ『★拡声☆』の「タラコくちびる」のままだ。
てか、しゃべると発動するんだな。これ。
えーっと、1ツン経過。
カオリちゃん、ごめんね。
(え? 何がです?)
「★解除☆」
俺は『★不可侵の被膜☆』を自ら解除した。
セルフだと、解除も可能なのが、実験で判明してるのだ。
コレの持続時間の検証のために、張りっ放しじゃないといけなかったのに……解除しましたよ。
「「「「「…………ざわざわ。ざわざわ」」」」」
会場が騒然としている。
(にしても、◎首■いなあ)
(噂に聞く第一王女と比べて、どーなんだ?)
(いや、この子はそもそも肌が浅黒いし、あっちの方がアレだろ?)
(お前、見た事あんのかよ)
(あの事件の時、『神殿』に居たんだよ)
(そりゃ災難だったな)
(つーか、あのヨハンナちゃん。なんで丸出しのまま隠さないんだ?)
イヤ、だって、みんなのこの記憶、ぜんぶ消しちゃうから。
うん、そろそろだな。
「我が生命を代償に奉げん! みんなまとめてっ! 暗黒邪法 ★空白の2ツンっっっ★」
ハイ。ここで『夜叉の構○』っと。
……ざわざわ。ざわざわ……★
ステルス性の高い、黒っぽい『守護の星(普通サイズ)』だ。
てか、それとは別物と思われるので、「黒い星」と呼称しよう。
幾万もの「黒い星」が、ざわざわ蠢いて、みんなの頭を、ごっちんこ(※擬音なのでセーフです)。
「「「「「……あはは……うふふ」」」」」
またコレかよ?
毎回怖いよ。
なんで、みんな一斉に笑い出すんだよ?
ばた……ばた……ばた、ばたばたばた……。
みんな倒れて、眠りこんだ。
幸い、お互いに支え合うような感じになって、ドミノ倒しみたいにはならなかったらしい。一部に、変な組体操みたいな姿勢で積み重なってる連中もいるけど……。
とにかく、良かった良かった。
流石は「人」と「人」。
みんなで支え合うようにして……実は誰かが楽してるんだな。
俺が、そんな総○高校文化祭の記録雑務の人みたいなコトを考えていると――
「みよねさー。しあねさー」
あれ? セシリアの声だ。
上の方……『南天の星見』から聞こえる。
なんで効いてないんだ? カオリちゃんまで寝てるのに。
「こ、これは何とした事なのですじゃ。まさか、あたしら姉妹以外に『暗黒邪法』の使い手がおるとは……」
クリムソルダ嬢の『黒幕』ベコジッタ婆ちゃんだ。
まあ、この人から習った(?)ようなもんだし、効いてないのね?
クリちゃんの方は……「清き乙女」としてはどーなの? ってポーズで寝てる。パシャッとな。いただきました。
他のみんな……『乙女の道』にいたみんなは、へたり込んで眠ってしまってる。
なのに、猫耳奴隷のセシリアは――
「みよねさー。しあねさー」
二人を、起こそうとしているらしい。
明らかに、効果が無効化されてるな。
この前の「小冒険」の時には、クリムソルダ嬢に抱きつくようにして、ガッツリ寝てたのに。
どうして、今回は……そう言えば、前に一度『耳コピ追従式合体魔法』で、セシリアと一緒に『★空白の2ツン★』を発動させた事があったな。
もしかすると、「一度かかった事があって、自身でも発動させた事がある」とかの条件で、キャンセル出来ちゃうのか?
そしたら、いまどこに居るか知らないけれど、ドロレスちゃんにも効かないハズだな。
「……くっくくっく」
誰だ?
若い女性の声だ。
『僕は友○が少ない』の主人公・小○の妹・小○(※中二病)か?
……イヤ、あの子の笑い方は「……くっくっく」だ。
そんで鳩の鳴き声は英語で「クー・クー」だったかな? ドイツ語と英語の混じった岩の門の帽子の子の口癖は「トゥットゥルー」だったっけ? 中の人違うけど、ニ○ル子さんは「クトゥルー」か「クトゥルフ」? どっちだっけ?
声のした方を見ると、見覚えのある女性が、奇妙な姿勢で立っていた。
横にいたロザリンダ嬢に圧し掛かられて、重そうだ。奇妙な姿勢なのはそのせいだ。
元『七人の巫女』……イヤ、『聖女』さまだ。一人だけ白い祭服のままだ。
何故……この女性までもが、『暗黒邪法』を無効化出来たんだ?
「その口ぶり! よもや、ネコジッタ? ネコジッタか?」
ベコちゃん(推定80歳)の声だ。
「……くっくくっく」
てか、ネコなのに、なんでそんな鳥みたいな笑い方なの?
「……今生の……いや、『前世』のわしの妹か? ベコジッタか?」
『聖女』さま(推定18歳)の声なのか?
推定18歳とは思えないようなしわがれた響きだ。
俺が知ってる永遠の17歳の人なんて、張りがあって凄い綺麗なお声してるのに。お子さんは成人した声優さんなのに。
それはそれとして、ベコちゃんの双子の姉という事は……「死んで生まれ変わる」とか捨て台詞を吐いて、『王宮』から姿を消した女王陛下の『脇侍』の婆さんの事だ。こんなキャラだっけか?
そんで、赤ん坊から「人生やり直す」んじゃなかったのか?
あの化けネコババアの「魂」が、『聖女』さまの「肉体」を乗っ取ったのか?
これって「憑依」か?
そんな事出来……るんだろうな。
現に、カオリちゃんは「俺のコピー体」の中に存在している。
そんで、『暗黒邪法』の副作用としての催眠効果で、『聖女』さまの意識が途切れてるからこそ、「それ」が表に現れた、ってゆー感じの、よくあるアレか?
「ネコジッタ! おのれ、『聖女』の肉体を奪い取って、何を企む?」
「……くっくくっく。知れた事よ。『世界の理の司』を我が手に納め、母に会うのじゃ!」
「この、戯け! わしらの母など、もうとうに死んでおるわい!」
まあ、推定80歳ですもんね……。
てか、母って……この人、マザコンなの?
「先日、母と初めて会うた子を見た。わしも母に会いとうなった」
それって、実母の女王陛下と初対面を果たした『七の姫』ドロレスちゃんの事か?
それを見て、自分も母親に会いたくなったってのか?
「その母とは一体誰の事なんですの?」
訊いてみた。
ここ300年ものあいだ「生まれ変わり」を繰り返してるんなら、何十人もいるんじゃね?
「知れた事、『本当』のわしを産んでくれた。わしの母じゃ! 我が魂のふるさと『地球』に帰るのじゃ!」
魂のふるさと『地球』だとう?
アンタも俺らと同じ『前世の記憶』持ちか? ……って、そりゃそうか。
『地球』の伝説的な錬金術師の「ヘルメス・トリスメギストス」なんて偽名を名乗ってたって話だもんな。
「痴れ者めが! かつて、お前と同じ事を言うて『穴』を開いた者がおったが、あの災厄の年に何があったか、知っておろうが!」
ベコちゃんが青筋立てて怒ってるよ。血圧上がるよ?
そんで……『穴』?
『メイ○インアビス』みたいな「大穴」?
あれの続き観たかったな。映画化されたんだよな……。
「黙れ! 黙れ! わしは『地球』に帰って、母に会うのじゃ!」
その『穴』を通って、『地球』に帰れるの?
そしたら、「次元の穴」とか? イヤ、母に会うとか言ってるし、空間どころか時間まで移動出来る「超時空」的な何か? 俺、『F』しか観た事無いな。
「それって一体」
言いかけると、
「くっくくっく。『巫女見習い』ヨハンナ。礼を言うぞ。そなたのお陰でわしは、この身体を手に入れる事が出来たのじゃ!」
何故か、そんな事を言われた。
そんなの、まったく身に覚えがないぞ。色んな意味で。
「祈願! ★お取り寄せっ☆ ほれ、これを受け取るがいい」
ネコジッタin聖女さまが、俺が『夏の旅人のマントル』と一緒にキャストオフしてしまった『全知神の三角』のトップを、『魔法』でお取り寄せしてくれた。「物体引き寄せ」とか、「能力」みたいだ。レベルいくつなんだ?
てか、『魔法』だろうな。
『世界の理の司』を我が手に納めるとか言っといて、それに「祈願」すんなよ。
イヤ、そんなんはいいとして……俺のお陰?
一体どういう意味なんだ?
俺……なんかした?
「くっくくっく。とりあえず、『巫女選挙』が終わるまでは、大人しくしていよう。★人格とりかえへばやっ★」
そんな事を言って、元々の『聖女』さまに戻ったらしい。
「ごめんなさーい。私、どーしても『七人の巫女』になりたくって、あんな約束を」
彼女は心にひっ掛かってるトラウマじみた事を言って、
「……え?」
夢から醒めたように、呆然としている。
あんな約束って、去年の『お披露目会』の時に「『巫女選挙』に当選したら、おっぱいを見せる」と宣言した事だろうな。
その代わりみたいに、俺が「おっぱいポロリ」しちゃったけどね……みんな目覚めれば、忘れてるだろうけど。
ふと見ると、スクリーンには『しばらくお待ちください』の文字と、お花の絵が映ってる。俺の「ポロリ」と言うか「放送事故」を隠すための措置らしい。
……誰がこれを表示してるんだ?
あと、先刻の「スロー再生」は、どうやって行われてたんだろ?
動画を保存する記憶媒体なんて無いハズだし、よくよく考えたらあのカメラワークとかスイッチングとか……誰がどうやってたんだろ?
一体なんなんだ? 一連の出来事が……ワケわからん。
「……やれやれ。またまた、ややこしい事になりそうだね」
この声は……パンツちゃんの『黒幕』についてるプリムローズさんだ。
いま目覚めたと言うよりも、ずーっと黙ったまま、状況を観察していたらしい。
「『人格とりかえへばや』ねえ? 多重人格的なものかな……? でも、今すぐにどうこうは出来ないか」
隣のロザリンダ嬢に圧し掛かるようにして、茫然自失状態の『聖女』さまを、困惑したように見ながらプリムローズさんが言う。
「……ぼそぼそ(にしても『クッククック』って『青い鳥』か!)」
そんで、こっそりと何かに対して突っ込み入れてるし……何の話なんだ? また何か「昭和ネタ」か? 俺には「ひらがな」で言ってるように聞こえてたけどな。てか『くっく ○っく』って絵本だか童話無かったっけ?
「そーいう主は、姫の筆頭侍女殿。何ゆえ、ここに?」
お互いに面識はあるもんな、この二人。
でも、ベコちゃんも、プリムローズさんが『巫女選挙』の『黒幕』になっているとは知らなかったらしい。
「実は女王陛下が『巫女選挙』の喧騒を嫌って『大事な秘書』らと共に避暑に出掛けておりまして……殿下もそれに同行されて、『王都』を離れております」
プリムローズさんがベコちゃんに近づいて小声で説明してる。俺には丸聞こえだけどね。
午前中、一度ラウラ姫と会ってるんだけど、あの後に出発したのかな?
「その間、侍女たちも休みをとって良いと仰せで」
いいのか? それで。
あの、ちびっ子姫剣士一人で大丈夫なのか?
てか、ドロレスちゃんはどこだろ? 姫に同行してる可能性もあるな。
「そして……どうやら『★空白の2ツン★』って、発動させた事がある人は、耐性がつくらしいね。……それで『巫女見習い』ヨハンナ。君は一体何者なんだ?」
プリムローズさんが、俺に向き直って、そんな事を言ったよ。
そういうあんたこそ……どうやって無効化したんだ?
「なんの事ですのん?」
俺は『全知神の三角』のトップパーツ(※ブラだよ)を再装着しながら、トボケた。
『耐性』って……俺が前に、『暗黒邪法』の事を話した後で、独自に「実験」でもしてみたのかな? それとも、その前に俺が『白い花』咲かせた時に、頭突きしたヤツか?
「何者と言われても……あたくしはあたくし」
どっちにしろ、『巫女見習い』ヨハンナの中の人が「プロペラ小僧ジンくん」だとバレるのは避けたい。
「じゃが、これだけの人数。ようもやり倒しおったわい」
ベコちゃんが呆れ果てたような、変な口調だ。
あ、忘れてたけど、『★空白の2ツン★』の「代償」は、俺の生命なのだった。
従量制で「対象人数×2ツン」って話だったな。
ちなみに、1ツンは『地球』の1分間と、ほぼ同じだ。
……ここに、何人いるんだ?
仮に5万人として――
「5万掛ける2は10万ツン。10万ツンって……何日ですのん?」
でも、実は5万人よりも……もっと多そうなんですけど?
俺の寿命……ごっそりと減ってない?
「あたくしの生命短くなってますのん?」
『選挙』なんて止めて、もういっそ恋に生きるべきかしら?
まるで俺の内心を読んだみたいに、
「いのち短し恋せよ少女……だね。知らないだろうけど」
そんな事を言われた。
イヤ、俺も聞いた事はある。
百年以上前の、大正時代の日本の流行歌だったハズだ。モトネタ知りたくてネットで調べた記憶がある。
「……ぼそぼそ(あれ? 石川啄木? 島崎藤村? どっちだったかな?)」
珍しく知らないのかな?
でも、今の俺が教えてあげるワケにはいかないしな。
プリムローズさんは気を取り直して、
「ま、平気だよ。『我が生命を代償に奉げん!』ってのは、『世界の理の司』を驚愕させて、『無茶なお願い』を聞き届けて貰うためのハッタリ台詞らしいから、実際に寿命が短くなるって事はないと思うよ」
そう言って、笑ってるようだ。
「……そーなのん?」
なら、いいけど。
てか、『世界の理の司』って、ホントになんなのん?
「『魔法』って、本当の『悪事』には使えないんだよ。『世界の理の司』によって『判定』されるからね。だから『暗黒邪法』って言っても『悪ふざけを隠蔽する』くらいの事しか出来ないと思うよ。まあ、君って『ポロリ』しちゃったしね」
プリムローズさんは、あっさりと言う。
確かに、安全対策のために「ニプレス」とか貼っておけば良かったか。
でも無いから、せめて「神社の交通安全のステッカー」とか……ちなみにコレ、モトネタは短編アニメ『フライング○イビーズ』だよ。ピ○キさんのED毎回楽しみだったよ。
「……」
一方で、その使い手のベコちゃんは黙り込んでる。
「ねえ、これは一体なんなの? 貴女がた、何の話をしてるの?」
正気を取り戻したらしい『聖女』さまだ。
「貴女がたが、『おっぱいを見せる』と言う約束を破ったから、こーなってるんです!」
八つ当たり気味に言ってみた。
「「ご、ごめんなさーい!」」
俺の失言につられて、『聖女』さまと一緒にプリムローズさんまで謝罪した。
「悪いと思うのであれば、今すぐ素直にお脱ぎなさい!」
「「それはやだ!」」
……なんて子たちなの。
◇
「「「「「……う……ううん」」」」」
そろそろ、みんなが覚醒するようだ。
対象人数は膨大な数なのに、今回は術後の催眠時間が長かった気もするな。
えーっと、どこからやり直せばいいんだ?
俺ってアホだから、「ループもの」って、話の繋がりが判らなくなるんだよな。
関係ないけど某配信サイトで、学園恋愛ものアニメの最終話観てたら、終わった直後に第1話が自動で再生されて、「これってループもの?」って思った事があったよ。ネタバレ防止でタイトル秘密だけど。
それはそれとして、『夏の旅人のマントル』は脱いじゃってるから……観衆にケツ向けて立ってればいいのかな?
『お披露目会』だしな。
見るがいい。俺様のキュートなヒップを。
「「「「「……ええっ!?」」」」」
な、なんだ? めっちゃ驚かれてるぞ。
「「「「「……あの子。いつの間に脱いだんだ?」」」」」
あ、繋がりに失敗した? 編集ミスか?
発動の2ツン前……って、名乗った直後あたりだったかな?
「じゃあぁ、歩きぃ、ますねぇ」
誤魔化すために、クリムソルダ嬢みたいに言って、歩き出す。
『乙女の道』をランウェイにした、ファッションショー的なウォーキングだ。
俺は、姿勢よく正面を向き、真っすぐ前へと歩き出した……はいいけど、何かヘンだ。
(曲がってます! ヨハンナさん、真っすぐ、まっすぐ!)
カオリちゃんから思念でアドバイスされる。
無事覚醒していたらしい。まるで何事も無かったかのような反応だ。記憶を失った時の記憶は無いらしい。
(ん? それってどうゆうコトですか?)
いけね、カオリちゃんには俺の思念がダダ漏れになるんだった。
(あ! それより、前! 曲がってますってば!)
そんな事思われても、俺は元のまんまの左目と、右目の魔眼『光眼』との視力のバランスが悪くて、長い直線を真っすぐ歩けない――という欠点があるのだ。
もう、しょうがないから「仕様」だと思って諦めてるのだ。
(もう、しょうもない人ですね。ヨハンナさんは)
違うだろ。「が」だろ!
(右目閉じちゃえばいいじゃないですか!)
まぶたにキズも無いのに、そんなことしたら『師匠』に失礼だよ!
(誰ですか? 師匠って? 小学生の女の子に『だら』呼ばわりされてた?)
はや○んが、ドルテって女の子役で出てるアニメだよ。
(えーっと……リ○スパ?)
うん、そう。あと『お○なの防具屋さん』の右目眼帯の店長の幼少期のウソ話に出てくる世界一エロい師匠でもないから……。
(あー、流石にそれは知らないです)
てか、カメラで撮られてるのに、そんなことしたら、女優失格だよ。
(必要な時以外は、包帯でも巻いとけばいいじゃないですか?)
イヤ、そこは黒の眼帯でしょ?
(もう……眼帯ネタ言い始めたら、キリが無くなりますよ)
とか、バカな事をやってるうちに、ホントに幅4千なの(約4m)の『乙女の道』から転落しそうになる。
『乙女の道』って言っても、その正体は「長――い屋根付き馬車乗り場の屋根の上」だ。それなりの高さがある。
てか、……落ちた。
「「「「「……ああっ!」」」」」
「祈願! ★着地っ☆」
ピタッとな!
プリムローズさんが発動してるところを何度か見てたから、使えるのだ、コレも。
でも、無い。どこだ? 俺のブラ。
落ちる時に、どっかに引っ掛かったか?
また「ポロリ」だよ。
そして――
「「「「「……ヨハンナちゃん。◎首、■――い!!」」」」」
ハイ。また、リテイクだよ。
別に「時間を巻き戻してる」ワケじゃないけれど……また「やり直し」だ。
「我が生命を代償に奉げん! みんなまとめて。暗黒邪法 ★空白の2ツンっっっ★」
ハイ。ここで『て○きゅう』の『夜叉の構○』っと。
これって同じ「新庄か○え」がやってた「ぬっぽす」のポーズじゃダメなのか?
……ざわざわ。ざわざわ……★
「「「「「……あはは……うふふ」」」」」
ホントに毎回怖いよー。
「……くっくくっく」
またアンタかよ!
「やはり、若いおなごの体は良い。堪えられんわい」
ネコジッタin『聖女』さまが、なんか下品なコトを言ってるし。
「……くっくくっく。この乳の張り」
自分で触っちゃってるし。
「アナタは一体、何者なのです?」
訊いてみた。
「……くっくくっく。我が名は」
言いかけて、急に黙り込んだ。
「我が名は?」
「我が名は……これはしたり。元々の名が思い出せぬ」
困惑しているようだ。健忘症? 痴呆症? 健康保険証?
「我はいったい何者なのであろう?」
知らんがな。「自分探し」の旅にでも出なよ。
『ハチミツとク○ーバー』の○本君みたいに、ママチャリで北海道に……途中で、主役MS(※マンションではありません)みたいに「乗り換え」あるけれども。
……って、それ俺だな。
さっき、カオリちゃんと「北海道の湖めぐり(?)」をしてて思い出したけど……俺って、おそらくは、北海道旅行のフェリーで「何か」があって、『この世界』に「転生」したと思われるんだよな……。
「ヘルメス・トリスメギストスじゃあないのかい?」
プリムローズさんだ。
また、鉄壁のブロックで『暗黒邪法』を無効化したらしい。
「いや……それは仮の名。元々の名は……はて?」
ヘルメスさんってば、ガチで思い出せないらしい。
俺も、元の名前とか色々と忘れてるから、人の事をどうこう言えないけれども。
「誰でも良い。『聖女』の肉体から離れよ! そして二度と取り憑くではないぞ!!」
こ、この声。
『南天の星見』から猫耳奴隷セシリアと手を繋いで下りて来たのは、オオババちゃんことラウラ姫の曾祖母『先々代の女王陛下』だった。
「……ぼそぼそ(お早いお着きで)」
プリムローズさんが呼んだの?
なんか連絡網でもあんの? 『魔法審議会』繋がりか?
「ぬしは……ライラ姫か? 老けたのう。見よ、我を。ピッチピッチじゃぞい」
えーっと、なに。知り合い?
ライラ姫? 曾祖母とひ孫の二人は同じ名の「ライラウラ」のハズだから、こっちはオオババちゃんの昔の愛称か?
「黙れ! この亡霊めが!」
オオババちゃんだって、人の事をどうこう言えないと思うけど?
「陛下のおっしゃられる通りじゃ。『聖女』さまの身体を返すのじゃ!」
ベコちゃんだ。
「なーにが『聖女』じゃ。そんな称号は、香典の前渡しみたいなものであろーが! この者の心は、何時自分が生贄に奉げられるか? という恐怖で、いっぱいじゃったぞ!」
ナニソレ? どーゆーコト?
てか、『聖女』ってホントに何なの?
元々の呼称は『身の代の巫女』って言うらしいけど、ガチで「心臓を奉げよ」的な感じなのか? しかも何かの「生贄」になって死んじゃうのか?
「にしても、ようもこれだけの数の『黒い星』を集めおったわ。それも二度も。今後しばらくは『亡霊騒ぎ』が起こるであろうよ(ジロリ)」
亡霊in『聖女』さまから、非難がましく睨まれながら言われた。
『亡霊騒ぎ』……ってどういう風にだよ?
そして、その「黒い星」って一体なんなんだ?
記憶を消す『暗黒邪法』の発動によって、どこからともなく現れるんだから、何かしら人間の「記憶」に関連するモノなんだろうな、きっと。
……と、いつの間にかセシリアが、亡霊in『聖女』さまの背後に、こっそりと忍び寄っている。
両手を組み、両人差し指を突き出している。それは……ま、まさか?
セシリアは、その手を――
ぶすり。
亡霊in『聖女』さまの、「*」に突き刺した!
「……うっく!」
反り返ってる。
ああ……若くて綺麗な女性が、子供に「カン○ョー」されるとか……某アニメの2クール目の新展開を台無しにしたシーンを思い出すなあ……。
「よし! でかした。セシリア!」
「あいっ!」
ぐりっ。
あ、ひねっちゃった。
「……ぐむっ!」
悶絶してるよ。
「お、おのれ……この借りは必ず」
何か言いかけて、また元の『聖女』に戻ったらしい。
てか、今のって「借り」なの?
「痛ったーい! なになに、何なの? この痛みはぁああっ!」
『聖女』さまが、お尻を痛そうに押さえて、涙目だ。
あとで、ヒサヤに治して貰うといいよ。
「「「「「……う……ううん」」」」」
いけない。
そろそろ、みんなが覚醒する。
てか、ブラどこ? 俺のブラはどこ――っ!?
◆
後にメイン・ヒロインもその魔の手に(某アニメの話)――まる。




