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面倒くさがり屋の異世界転生  作者: 自由人
第5章 交易都市ソレイユ
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第90話 同じ言葉でも意味が違う……

 ズイの街を出発してから3週間後、ようやく俺たちは、お昼頃に目的地である【ミヤジノフ】へと到着した。


 ここの名物は、“焼きルドーヌ”と言うらしく、ルドーヌを焼いたもので、どんな物かは食べてみないことにはわからないが、ガルフさん曰く、とてもオススメらしい。


 料金も安くて、屋台によってそこそこ味が違うらしく、その中で自分好みの味を探すのだそうだ。


 料理屋でも出されているそうだが、その時々で味が微妙に変わってしまう屋台の方が、楽しみ甲斐があるそうなので、俺も屋台を中心に巡ることにした。


 宿屋で部屋の手配をした後は、早速屋台巡りの話になり、俺はティナさんとニーナさんの3人で回ることになった。


「それにしても、3人で回る必要があったんですか?」


「いいじゃない。食べ歩きデートみたいなものよ」


「デート」


 食べ歩きがデートに入るのかどうかは疑問だが、とりあえず最初の屋台へと向かい、焼きルドーヌを注文した。


 目の前で調理されていく様を見ていると、材料を取り出したので、それを見てある点に気づいた。


 そう……それは麺だ。野菜や肉を焼きながらそこへ麺を投入して、更に焼き上げていく。


 仕上げにソースを絡ませて、出来上がったそれは、誰がどう見ても焼きそばだった。


 まさか異世界に、焼きそばがあるとは思いもしなかった。出来上がったものは、木皿に乗せられて渡された。屋台食いのルールとして、この木皿は買ったお店に返却するのだそうだ。


 それにより容器の消費を抑えて、コストダウンを図っているらしい。まぁ、この世界に消費しても痛くない、安いプラ容器なんてないから、当然といえば当然の判断だった。


 銅貨で3人分の支払いを済ませたら、近くのベンチに座り、早速焼きルドーヌを食べてみる。


 懐かしい味だ……ソースのコクが麺や具に絡み合い、少しピリッとした香辛料の隠し味も中々にいいものだ。


「美味しいですね……」


「そうね。ちょっと、お酒が欲しくなってくるかも」


「ピリッとしたのが苦手」


 どうやらニーナさんは、辛い物が苦手らしい。ティナさんは、このピリッと感がお酒に合うと思ったのだろう。


 俺としてはピリッとしたのよりも、甘みのある方が好みだが、ここに滞在している期間中に、是非とも自分好みの味に巡り会いたいものだ。


 それからもう1軒屋台を巡ると、さすがに腹が膨れたので、今日の屋台巡りは終了となる。


「時間が余りましたが、どうするんですか?」


「んー……前に言ってた、私たちのステータスでも見に行こうか?」


「俺は見なくてもいいのですが」


「興味ない?」


 不安げにケンの様子を窺ってくるニーナに対して、ティナは特に気にした風でもなく話を進める。


「ケン君が興味なくても、見せるつもりだよ。これは、私たちからの誠意ってところかしら」


「何に対しての誠意なんですか?」


「ケン君の強さを暴いたことよ。普通ならいくらパーティーといえど、根掘り葉掘り聞くのは、マナー違反なんだよ。仲がいいなら別だけどね」


「でも、行動を共にする以上、相手の実力は、知っておかないといけないのでは?」


「それでも、“このくらいならできるよ”って、程度で終わらせるのよ。それに対してケン君は、ほとんど話しちゃったでしょ? だからよ」


「俺としては、質問されたから返答しただけなんですけど」


「もう、相変わらず強情ね。いいから行くわよ」


 ティナから強引に手を引っ張られると、ケンは教会へと連れていかれた。教会に到着したら、寄付金を渡し3人で別室へと入る。


「ティナさんとニーナさんは、別々じゃないんですか?」


「こっちの方が手っ取り早いでしょ? それに私たちは、将来ケン君のお嫁さんになるつもりなんだから、いわば家族予備群よ。家族に隠し事はいけないわ」


「それって暴論じゃないですか。ニーナさんはいいんですか?」


「ティナになら構わない」


「それじゃあ、私からね」


 ティナが魔導具に触れると、正面にステータスが表示された。




ティナ

女性 17歳 種族:エルフ

職業:Bランク冒険者

状態:恋煩い(初恋)


Lv.38

HP:360

MP:270

筋力:320

耐久:300

魔力:230

精神:210

敏捷:190


スキル

【身体強化 Lv.3】【弓術 Lv.5】

【気配探知 Lv.4】【気配隠蔽 Lv.3】

【魔力操作 Lv.1】


魔法系統

【風魔法 Lv.3】【光魔法 Lv.5】


加護

世界樹の加護


称号

森の守護者

慈愛

エロテロリスト




 ティナさんのステータスを覗くと、加護に凄いものを発見したが、それよりも、見過ごせないものがあるのに気づいた。


「ティナさん……」


「何かしら?」


「この【エロテロリスト】って、嫌な予感しかしないんですけど」


「それはねぇ、ケン君にエッチなイタズラをしてたらついてたみたい。効果はね、それに準ずる行動をすると、ケン君がムラムラしちゃうの」


「――!」


 もしかしてタミア以降のムラムラは、ティナさんが原因だったのか!? てっきり自分の欲望が制御できていなくて、戒めなければと思っていたのに。


「あと、【慈愛】もケン君に対してだよ。ケン君と出会うまでは、称号は1つしかなかったの」


「まぁ、それについては、何となく予想はつきましたので」


 ティナとケンがステータスについて話していると、ニーナが前へ出てきて自己主張する。


「次は私の番」


 ティナが魔導具から離れ、代わりにニーナがそこに手を乗せた。




ニーナ

女性 17歳 種族:人間

職業:Bランク冒険者

状態:恋煩い(初恋)


Lv.36

HP:260

MP:340

筋力:220

耐久:200

魔力:300

精神:280

敏捷:120


スキル

【杖術 Lv.2】【魔力探知 Lv.3】

【魔力操作 Lv.1】


魔法系統

【火魔法 Lv.4】【水魔法 Lv.4】【土魔法 Lv.4】


加護

なし


称号

人見知り

片言(へんげん)の使い手

ギャップ萌え




 ニーナさんのステータスには、明らかに俺が原因と思われるものがあった。


「ニーナさん……」


「何?」


「この【ギャップ萌え】は、多分俺のせいです……」


「ケンが私を好きになった証。逆に嬉しい」


 あの出来事は、2人だけの秘密なので、明らかに俺が原因だろう。申し訳なくもあるが、ニーナさんが嬉しいならそれで良しとしよう。


「そういえば、ニーナさんは【魔力操作】のスキル覚えたんですね。何故か教えていない、ティナさんも持っていましたけど」


「頑張った」


「私はニーナが面白いことしてるから、教えて貰っただけよ」


「Lv.1なら効果は微々たる程度ですけど、めげずに頑張ってください」


「頑張ってレベル上げる」


「私もニーナに負けないように頑張るわね。暇な時とか、結構時間潰せたりするし」


「それでは、外に出ましょうか?」


 ステータス確認という一大イベントが終わり、ケンたちは教会の外へと出て行ったのだった。


 宿屋に戻ってきて部屋へ入ると、ニーナさんがおもむろに話しかけてきた。


「次は何をすればいい?」


「次とは?」


「【魔力操作】の修行」


 その言葉にティナも反応し、ケンのところへと寄ってくる。


「あっ、私もそれを知りたい。魔力が流れているところまでは、わかるようになったんだけど、ここから先は、どうしたらいいのかわからなかったのよね」


「魔力がわかるようになったなら、次はその魔力の移動ですね」


「移動?」


「流れてるから、移動してるんじゃないの?」


「えぇーと、意図的にタンクから取り出した魔力を、どこかに移動させるんです」


「難しい……」


「どこかってどこ?」


 ティナとニーナは理解が追いつかず、ケンは実演することにした。


「お手本を見せますので、ここをちょっと見ていてください」


 ケンは人差し指を立てると、そこへ魔力が行くように操作する。すると、次第に人差し指の先が、淡く光り出して魔力が可視化出来るようになった。


「ケン君、すごーい!」


「初めて見た」


「これは2人にも目に見えてわかるように、魔力を可視化させるために魔力密度を上げていますので、2人にはまだ出来ませんが、体内の魔力を感知できるようになっていますので、目には見えなくとも感じることはできると思います。とりあえず、手のひらに魔力が移動できるように、頑張ってみてください」


「やってみるわ!」


「頑張る」


 2人は、それから手のひらを見つめて、唸りながら一所懸命に移動させようとしていたが、中々上手くはいかないようであった。


「ケン君、これってコツとかないの?」


「コツですか? 人に対して教示したのは初めてなので、自分のコツが他の人にもコツとなるのかわかりません」


「ちなみにケン君のコツは?」


「シュッと取り出して、ギューンとします」


「それって、天才肌の人が言うセリフよね?」


「凡人には辛い」


「“考えるな、感じろ!”です」


「「無理!」」


 2人が即否定した事で、今まで感覚的に、魔法の修練をしてきたケンにとって、初めて人にものを教える難しさを理解した。


「うーん……ちょっと試してみますか?」


「何を試すの?」


「魔力移動です」


「さっきやったじゃない」


「ティナさんの体を使って、俺が出来るか試すんです。とりあえず、ベッドに横になって楽にしてください。」


 ティナは言われた通りベッドに横になり、ケンはティナの鳩尾に手を当てると、その行為にティナが反応した。


「痛くしないでよ?」


「魔力を移動させるだけなので、痛みはないですよ」


 ケンはティナの体越しに、魔力を感知するため意識を集中させた。すると、ティナの体内にある魔力の塊を見つける。


「これかな?」


「何かわかったの?」


「ティナさんの魔力タンクですよ」


「凄い」


「ちょっと、俺の魔力を混ぜつつ移動させてみますので、ティナさんは魔力をちゃんと感じててくださいね」


 そこからケンは、ティナのタンクから魔力を取り出し、自分の魔力を混ぜ合わせながら、意図的に移動させ始める。


「……あっ……」


 ティナは体を襲う初めての感覚に身悶え始めるが、ケンは失敗しないように集中しているため、気づかずに魔力移動を続けた。


 ケンはティナの魔力を一通り体内循環させると移動をやめた。一方ティナは頬を染め、体を上気させており呼吸を荒くしていた。


 2人の様子を見ていたニーナは、ティナと同様に頬を染めて俯いていた。


「ティナさん、ちゃんと感じましたか?」


 ケンの言葉に、呼吸を整えたティナは、ジト目を向けて答えた。


「感じるの意味が違ったわ……」


「えっ? 感じませんでした?」


「別の意味では、しっかりと感じさせられたわね」


「別の意味?」


 ケンは、ティナが言わんとしていることが理解できないために、聞き返していた。


「さぁ、次はニーナの番よ」


 ケンの疑問に答えるでもなく、ティナはニーナの手を引き、ベッドに寝かせる。


「わ……私は……」


 ニーナは先程の惨状(?)を目の当たりにしているので、断ろうとしたのだが、ティナがそれを許さなかった。


「ニーナ、たっぷりと可愛がってもらいなさい」


 ティナの有無を言わせぬ言動に、ニーナは諦めの境地に入った。


「さ、ケン君。ニーナにもしてあげて」


 ケンはどこか腑に落ちないが、やり方はさっきティナで試したので、問題ないと割り切り、作業を開始することにした。


「わかりました」


 ケンがニーナの鳩尾に手を当てると、ニーナはビクッと体を震わせた。


「ニーナさん、痛くないから大丈夫ですよ。それでは始めますので、ちゃんと感じてくださいね」


 ティナの時同様、ニーナの魔力タンクを感知すると、ケンは移動を開始した。


「ッ――!」


 ニーナも体を襲う初めての感覚に身悶え始めるが、ケンは先程と同様に集中しているため、そのまま魔力移動を続けた。


 ケンは、ニーナの魔力を一通り体内循環させると移動をやめた。ニーナは、体を上気させて頬を染めており、呼吸が荒くなっていた。


 2人の様子を見ていたティナは、ニーナに対して、してやったりとニヤニヤしているのだった。


「どうでしたか? 感じました?」


 呼吸を整えたニーナは静かに答えた。


「……感じすぎた」


「ティナさんの時は、何か腑に落ちない感じがしましたが、ニーナさんはちゃんと感じたんですね」


「ティナと同じ」


「えっ? 同じ……?」


 その言葉にケンは混乱するのだった。そんなケンに後ろからティナが声をかける。


「私もニーナも気持ちよくなったことだし、お風呂に行かせてもらうわね」


「ん? 気持ちよく……?」


「ケン君、1回じゃまだ感覚が掴めないから、また今度同じ様にしてね。その時はニーナも一緒よ?」


「うぅ……」


 ケンが未だに状況が掴めていない中、2人は入浴へと向かった。残されたケンは、やはり腑に落ちない感じがしたが、1回で掴めなかったのなら仕方がないかと、次に頼まれた時も、同様にしてあげようと思うのであった。


 かくして、ケンからされる魔力移動という、新たな快感を覚えたティナとニーナは、これから先も何かとケンにオネダリして、やってもらうのだった。


 ケンがこの行為の副次的作用で、相手に快感を感じさせていることに気づくのは、まだ先のことである。


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