第7話 サポナビとの確認作業?
早速ケビンはステータスの確認作業へと取り掛かる。
『ステータス』
すると、半透明のウインドウが表示されステータス内容が顕になる。
ケビン・カロトバウン
男性 3歳 種族:人間
職業:年端もいかない子供
状態:普通
Lv.1
HP:5
MP:4
筋力:6
耐久:4
魔力:8
精神:6
敏捷:5
スキル
【言語理解】【創造】【センス】【隠蔽】【偽装】
【剣術適性】【魔法適性】
【身体強化 Lv.1】【属性強化 Lv.1】
【病気耐性 Lv.EX】【魔力操作 Lv.EX】
加護
女神の寵愛
原初神の加護
称号
アキバの魔法使い
女神の伴侶
ゴロゴロの同志
やっぱり色々とおかしい……とりあえず一つ一つ調べていくとして、どうやったら詳細とか見れるんだ?
ウインドウの見たい項目を凝視してみる。……何も起こらず失敗。タップしてみる。……指が通過するだけで失敗。うん、お手上げだな。
ラノベだと今の感じでいけてたはずなんだが、何かが足りないのだろうか? 思い出せ、俺なら出来るはずだ。
……そうだ、【鑑定】だ! ラノベだと【鑑定】スキルで色々見ていた気がする。【創造】で早速作ろう。初めての創造だな、ワクワクしてきた。
『ブッブーッ! 必要な代償が足りません』
そうか、代償が足りないのか……いや、待て、待て待て待て。
今の音声はなんだ? 【創造】か? スキルが答えたのか? 分からん……分からんが、出来ないことは分かった。いや、寧ろ謎が増えた。
この謎とどう向き合うべきか。あまりの出来事に変顔になってそうだが、こういうときどんな顔をすればいいかわからないな。スルーしとくか。よく分からないものと関わっちゃいけない気がするしな。
『笑えばいいと思うよ』
「!!」
ネタ挟んでキター!
なんだ!? この音声。『ブッブーッ!』とか軽いノリだし、『笑えばいいと思うよ』とかネタ挟んでくるし。もう、訳分からん。
ファー〇トインパクトもセカ〇ドインパクトもぶっ飛び過ぎだ。見えない圧力に押されて死ぬんじゃないか、俺……
いかんいかん、俺もネタに走ってしまっている。自重せねば……
『あなたは死なないわ……私が守るもの』
自重しろーー!!
サ〇ドインパクトまで来るのかよ! なんなのもう。馬鹿なの? 死ぬの?
-閑話休題-
落ち着いて状況整理をしよう。まず、ステータスは見ることが出来た。ステータスに表示されている項目の詳細は見れなかった。【鑑定】を作ろうと思ったがコストが足りなかった。あとは、何もなかった。そう、何もなかったのだ。
『ますたぁー、私の事を忘れてますよ』
疲れているんだろう。今日は初めて外に出たしな。幻聴は気の所為だ。ここには俺1人しかいないしな。
少し寝よう……目が覚めればまた、いつもの日常が戻ってくる。
そして、ベッドで横になったまま静かに目を閉じる。
『もしかして、無視!? ……これが涙? 泣いているのは私? いいわ、どうせ私が死んでも代わりはいるもの』
やめれーー! ちょいちょいネタを挟んでくるな! わかったよ、わかりましたよ。相手をすればいいんでしょ。
『で、誰なんだお前は』
『やっと構ってくれるんですね。もう、マスターのツンデレさん♡』
『チェンジ!』
『なっ!? チェンジなんかあるわけないじゃないですか! たとえあっても代わりませんよ!』
『お前がさっき言ったんだろ。代わりはいると』
『それは、死んだらの話でしょ。死んでないし、寧ろ死んでも代わらないし。そんなこと言うんだったら、ソフィーリア様に言いつけてやる!』
『なっ!? 何でソフィが関係してくるんだ?』
『今更謝っても遅いんだからね! 傷つけられたプライドは、10倍にして返してやるのよ!』
『いや、ソフィに言ったとしても何も変わらんと思うが。もう、疲れたから寝ていいか?』
『待って! 独りにしないで! 独りはイヤァァァァァッ!』
『お前、面倒くさいな。普通に出来ないのか?』
『可能です。私は《サポートナビ》というシステムで、ケビン様の手助けとなるように作られた存在です』
『なんかいきなりシリアスになったな。最初からそうしてろよ』
『最初が肝心だと思い、ケビン様の元の世界のネタを織り交ぜつつ、親交を深めていけたらなと思いまして、あの様な行動に出た次第であります。テヘペロ』
『ステータスの各項目の詳細が知りたいんだけど、どうやったらいい?』
『それは、【創造】を使ってそういう仕様に変更したらいいのです。そうすれば、思いのまま確認が出来ます』
『ステータスを見ても詳細が分からないのは、デフォルト設定ってことか』
『そうなります。そもそもこの世界の人達は、詳細を知ろうとはしませんから』
『それは何でだ?』
『ステータスを確認するのは、教会へ行くか魔道具が必要だからです。確認するだけでも面倒なのに、そこから一々詳細を知ろうとはしません。それに、大体のスキルは見れば効果ぐらいは想像できますから。スキルを使おうとした時点で感覚的にどんなものかわかるんですよ』
『そういうものか』
『そういうものです。詳細を知ろうとするのは、異世界人ぐらいなものです。この世界に来て、右も左もわからない状態ですから』
納得だな。確かにこの世界の人たちにとっては、ステータスの中身は当たり前のことだしな。学校もあるし、そういう教養も自然と身につくのだろう。
『今の俺に【創造】を使って仕様変更する事は可能か?』
『私がサポートすれば可能です。そもそもその為に造られましたから』
『そういえば、サポートナビの造られた経緯って聞いてないな。ソフィが造ったのは聞いたが』
『ソフィーリア様が、今回の《洗礼》の際にケビン様の事を想って、【創造】をお使いになる時に困らない様にと、サポートシステムとナビシステムを統合して造り、プレゼントなさったのです』
洗礼の時って、あの短時間でそんなもの造ってたのか。流石はソフィだな。万能過ぎる。
『じゃあ、ステータスの仕様変更したいから、サポートしてくれ』
『だが断る』
『……』
『このサポートナビが最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつにNOと断ってやる事だ……』
『チェ……』
『ちょーーっと待ったぁぁぁぁぁ! 今、チェンジって言おうとしてませんでした? 寧ろ言おうとしてましたよね?』
『そんな訳ないだろ。「ちぇっ」って舌打ちしようと思っただけだ』
『絶対嘘です! 嘘ですよね? わかってるんですよ!』
『言われたくないならネタに走って断るなよ。面倒くさいだろ』
『そこは断固抗議します。ケビン様もソフィーリア様に対して言ってましたよね? 私知ってるんですよ。』
『何故お前が知っている』
『万能空間で調べたからです。マスターとなる人がどの様な人物なのか知りたかったから。いやあ、短時間で調べるのに苦労しましたよ』
『それはいいから、サポートするのかしないのかハッキリしろ』
『その前にマスター登録をしたいので、名前を付けて下さい』
『マスター登録? それすると何かあるのか?』
『色々と特典が付きます。より、サポートしやすくなるのです』
『本当か?』
(ふっふっふっ、さっきのは心底チェンジって思ってたから危なかったですけど、防いでやったし名前さえ決まってしまえば、いくらチェンジを使おうと固定されてしまうのでこっちのもんです。ざまぁってやつです)
『おい、心の声がダダ漏れだぞ』
『なっ!』
『お前、馬鹿だろ? 思念で会話してるんだから、思っていることは全て筒抜けだぞ。それにしても……そうか、“ざまぁ”なのか』
『い、いやぁ……さっきのはほんの出来心でして、旦那の事は尊敬していやすとも。へへっ』
『口調すらおかしくなるくらいに動揺してるって事は本心だな。三下口調に合わせてお前の名前も三下風にしてやる。光栄に思え。名前は“蛇々 漏子”だ』
『イヤァァァァァッ! それだけは勘弁してつかぁさい。他のでお願いします。何卒、何卒ご慈悲を』
『じゃあ、“阿呆丸 出子”』
『まさかの侮蔑的なジャンルから抜け出せてない!? せめてまともな名前を付けて下さい。お願いします』
『ワガママなやつだな。そんなに嫌なのか? 名は体を表すとも言うんだぞ』
『表しすぎて無理です。寧ろストレート過ぎます』
『しょうがない。お前の名前は“サナ”だ。いいな? もう変更は受け付けないぞ』
『へっ? まさかのまともな名前? あと何回かは落としてくると思ってたのに。サラッといい名前を決めてくるなんて、そこにシビれる! あこがれるぅ!』
『はぁ……やっぱりお前のマスターになったのは失敗だったかな』
『そんなことないよ。これからもよろしくね、マスター♡』
こうして、何1つステータスの詳細解明には至らず、《サナ》というサポートナビの相手をしていただけで、俺はどっと疲れるのであった。
名前の由来は、考えるのが面倒くさいから《サポートナビ》の頭文字を取っただけというのは、心の内に秘めておこう。本人も喜んでるみたいだし……
取り敢えずサクッと仕様変更やってみるか。
『サナ、ステータス表示の仕様変更するからサポート頼む。今度は、断るなよ』
『わかってますって。では、【創造】を使ってどの様な仕様変更にするか決めてください』
とにかく優先すべきは見たい項目の詳細データだよな。思っただけで見れるようにするか。
タップ方式は傍から見たら、何もない所をつついている感じに見えるから、変人扱いされそうだしな。
『よし、決めた。【創造】』
『では、アクセス開始します』
接続……終了。
プログラム解析……終了
新規プログラム作成……終了
プログラム挿入……終了
デバッグ作業……終了
再起動……終了
切断……終了
仕様変更……完了
『マスター、終わりました。確認をお願いします』
『わかった。ステータス』
ケビン・カロトバウン
男性 3歳 種族:人間
職業:年端もいかない子供
状態:普通
Lv.1
HP:5
MP:4
筋力:6
耐久:4
魔力:8
精神:6
敏捷:5
スキル
【言語理解】【創造】【センス】【隠蔽】【偽装】
【剣術適性】【魔法適性】
【身体強化 Lv.1】【属性強化 Lv.1】
【病気耐性 Lv.EX】【魔力操作 Lv.EX】
加護
女神の寵愛
原初神の加護
称号
アキバの魔法使い
女神の伴侶
ゴロゴロの同志
よしよし……ステータス表示は問題ないな。とりあえず当たり障りのないものから確認していくか。
職業
職業は職に就いていない場合、その人の状況が表示される。複数の職に就いている場合は、全てが表示される。
よし、ちゃんと動作しているみたいだな。
『サナ、ちゃんと動作しているようだ。ありがとな』
『デレ期ですか!? デレ期が早くも来たのですか!? いやぁあ、私も隅に置けませんねぇ。ソフィ様には申し訳ないですが、遠くの妻より近くの彼女ってやつですかねぇ。役得ですなぁ。ムフフ……』
よし、馬鹿は放っておこう。俺にはやることがあるしな。知らないものをどんどん見ていこう。
【隠蔽】
見られては都合の悪いありとあらゆるものを隠す。
【偽装】
事実を偽り曲げて、もっともらしく設らえ装う。
【剣術適性】
剣を扱う事において補正がつく。剣系スキルを覚えやすくなる。
【魔法適性】
魔法を扱う事において補正がつく。魔法系スキルを覚えやすくなる。
【身体強化 Lv.1】
身体を強化し、ステータスに補正がかかる。補正はスキルレベルに依存する。
【属性強化 Lv.1】
属性魔法を強化し、威力に補正がかかる。補正はスキルレベルに依存する。
【病気耐性 Lv.EX】
免疫力が高まりあらゆる病気に罹りにくくなる。免疫力はスキルレベルに依存する。
【魔力操作 Lv.EX】
魔力を操作する技術が高まる。どれだけ魔力を操作出来るかはスキルレベルに依存する。
【Lv.EX】
Lv.10の段階でさらに精進した者だけが辿り着く境地。限界突破。
必須……系統の神の加護
女神の寵愛
ソフィーリアの愛を受け取った者。万能空間へのアクセス権を持つ。成長時にステータス補正がつく。
原初神の加護
原初の神様からの加護。詳細不明。
アキバの魔法使い
前世で30年間童貞を貫いた者に与えられし称号。異世界へ行くと【魔法適性】がつく。
女神の伴侶
ソフィーリアと結婚した証。《女神の寵愛》とセットで相乗効果を生む。その効果は未知数。
ゴロゴロの同志
原初の神様が理解者のいた事による嬉しさで押し付けた称号。ゴロゴロするだけで、回復量が増す。
『マスター、どうですか? なんか段々と険しい表情になっていってますが』
『いやな、途中までは良かったんだが、称号の辺りで変なのが混じっててな。大体予想のつくものと全く身に覚えのないものがあってだな、不名誉な称号が1番目に表示されていて、イラッときたのさ』
特典がつくのはありがたいが、前世のことを今世の称号欄に入れるかね? 寧ろ【創造】持ってる時点で、特典もあってないようなものだし。称号名のせいでありがたみがだだ下がりだ。
『どんな称号なんですか?』
『言わない。それ以外なら教えても問題ないが』
『では、言える範囲でいいので教えてください。他にもわからない事があれば答えられるかも知れませんし』
『原初神の加護って何だ? 何でついてる? 粗方予想はつくが』
『効果は不明ですね。そもそも原初の神様が、加護をつけること自体が異例です。余程、気に入られたんだと思いますよ。基本的に無関心ですから。加護をつけたのも初めてじゃないですか? 前例がないですし』
とすると、やはりゴロゴロに共感した事が原因か? 称号についてるし。
『あと気になるのは、Lv.EXの条件に系統の神の加護ってあるんだが、系統の神の加護って何だ?』
『それは、簡単ですよ。剣術だったら剣術神の加護って感じです。何のスキルがEXになってるんですか?』
『【病気耐性】と【魔力操作】の2つ。【魔力操作】は産まれて暇だったから、ずっと鍛錬しててLv.10になってても驚かないんだが、【病気耐性】は意味がわからん。健康法なんて自慢じゃないが試したことないぞ。面倒くさいし』
『おそらく【病気耐性】はソフィ様からの特典だと思います。転生特典貰ってるはずですから』
『あぁ、そういえば言ってたな。色々付けるって。じゃあ、身に覚えのないものはソフィが付けてくれたものか。かなり大盤振る舞いな感じもするが』
『余程愛されているんですね。妬けてきます。予想ですが、原初の神様は神々の頂点に立つお方ですから、その加護を持っているだけで、あらゆるスキルの限界突破が可能かと。ソフィ様が与えた場合Lv.10がMAXになりますから』
原初の神様すげえんだな。ゴロゴロしてるイメージしかないが。今度また教会に行くことがあったらお祈りでも捧げようかな?
これでようやくステータスの確認は出来たし、とりあえず今のところは満足だな。