第2話 スキル選択
俺はドキドキしながらもカテゴリー分けされたスキルに目を通す。ツリー状にカテゴリー分けされているので、下部に行くほど基本スキルみたいになっている事が確認できた。
分類的には、下位・中位・上位といった感じか。ツリーになっておらず単独で表示されているのは、下位互換がないというところか。
それにしても分類されたとはいえ膨大な量だな。ここから選ぶにしても骨が折れそうだ。そもそもいくつまでスキルを選んでいいんだ? そこを確認しないと選びようがないな。
「スキルはいくつまで選んでいいんですか?」
「5つまでならいいよ。本当は3つまでしか選ばせてなかったんだけど、何より今までの人はぽんぽん選んでさっさと異世界へ行ったから、思いついたスキルが3つ程でそれ以上選ぶ人がいなかったの」
「ちなみにその選んだスキルって聞くことが出来ますか?」
「えーとね、【鑑定】【無限収納】【体力増大】【魔力増大】【身体強化】【属性強化】【剣術適正】【魔法適性】とかかな。これまでの人はそういう知識があったみたいで、自分からぽんぽん言っていたからあなたみたいにリストの中から選ぶって人はいなかったんだ」
俺もそれなりにはゲームやラノベは趣味にしていたが、慎重に事を進めたいから選べるリストがあるならそれを参考にしたい。
失敗なんてしたら目も当てられなくなってしまうからな。【人生にリセットボタン無し】素晴らしい格言ではないか。
というか、何気に女神様の口調が砕けてきているな。それなりに親近感を持っていただけたのだろうか? こちらとしては嬉しい限りなのだが。
俺が砕けた口調にするのはもう少し様子を見てからだな。相手は神様だし、簡単に馴れ馴れしくしてもあまり良いものではないだろう。
「異世界へ渡った後なのですが、言語理解とかはどうなるのでしょうか?」
「それは選ぶスキルに関係なく付けるつもりだよ。特典みたいな感じだね。あとは健康でいられるように丈夫な体にしたり、ありとあらゆる技能が身につくように【センス】っていう成長系の隠しスキルを付けたりするよ」
「それって皆さん付いているんですか?」
「【言語理解】はみんなに付けるけど、それ以外は君にだけだよ?」
上目遣いにそんなこと言われてしまうと、ちょっと我慢が出来なくなってくるんだが……色々と。
「それにいつまでも硬っ苦しい喋り方じゃなくて、普通に接して欲しいかな?」
上目遣いだけでも健に多大なるダメージを与えていたのに、そこから更に首を傾げてソフィーリアは伝えるのだった。
(はい、きました! もう、可愛くて仕方がない感じ。もう我慢しなくていいよね?)
そういう考えに行きついた健は身を翻して一気に行動に移すと、目にも止まらぬ速さでソフィーリアを抱きしめる。
「えっ!?」
「あなたが悪いんですよ? そんなに可愛くされては我慢が効かなくなってしまいます。もう後には引けないから暫くこのまま抱きしめててもいいですか?」
お互いの心臓の高鳴りが聞こえてくるのではないかと思うくらい、ソフィーリアと健は脈打つ速度が上がってドキドキしている。
そのような中で、ソフィーリアが熱っぽく上目遣いで返答するのだった。
「うん」
健は顔を近づけ、耳元で囁いた……
「ソフィ、大好きだよ」
「~~っ!!」
一体いつまでそうしていたであろうか? どれくらい時間が経ったかもわからないくらい抱きしめ合っていた2人は、自然と離れてはお互いはにかむ。
「さて、スキル選びの続きでもしますかね。ソフィ、この中にさっき言ってた隠しスキルってのは表示されてる?」
「ロックをかけているから表示されてないわよ。隠しスキルというのはそれだけで結構強かったりもするから選べないようになってるのよ」
「見せてもらうことってできる?」
「うーん……健にだったらいいかな? ちょっと待ってね、ロックを解除するから」
ソフィーリアはそう言って、モニターをちょこちょこ弄りだす。その彼女は今や隣に座るということはなく、健の胡座の上に座っている。
健としてはさっき以上にヤバい状態である。胡座の上にすっぽりとハマっていて密着度がハンパない。
(女性の体って柔らかいんだな。女神様だから特別なのかな?)
「出来たよ」
「どれどれ……」
モニターには見るからにヤバそうな言語がズラリと並んでいて、これはロックを掛けても仕方がないとしか言い様がないものばかりだった。
(【天地創造】とかモロにヤバいだろ! これってスキルなの? カテゴリ間違えてない? 神様の力だよね、人間がやっていいものじゃないよね?)
俺がちょっとパニックになっていると、ソフィから話しかけられた。
「中には神様しか使っちゃいけないスキルとかが入っているけど、健なら悪いことはしないだろうし、特別に限定解除しちゃった。てへっ」
可愛いよ……可愛いけ・ど・も! やってしまってはダメなやつだったんじゃないの、これ?
モニターをしばらく眺めてスキルを確認していたら、割とセーフな感じのやつを見つけることが出来た。さっそく質問タイムだな。
「ソフィ、この中の隠しスキルって俺が選んでも大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。そのための【限定解除】だし。気になるスキルがあったら画面をタップすると、説明が見られるよ」
そうなのか……質問する手間が省けたな。色々とタップして精査したあとに選んでみるとするかな。
おや? これはさっきソフィが特典で付けてくれるって言ってたやつだな。
【センス】
ありとあらゆる技能習得や使用において、感覚が増し手助けになる。また、成長補正がかかる。
へぇー、やっぱり隠しスキルなだけあって効果が絶大だな。あれ? 【天地創造】があるのに、似たようなのがあるな。
【創造】
ありとあらゆるものが作れるようになる。既存のものはすぐに作れるが、ないものに関しては想像力次第。代償が必要。
「この【創造】ってスキルが欲しいかな。色々と作れそうだし、物作りとか割と好きだし」
「それはね物だけじゃなくて、ものも含まれているんだよ。隠語ってやつだね。それと代償は素材だったり、魔力だったりするわよ」
「【天地創造】とはどう違うの?」
「【天地創造】は最初の神様が新しい世界を作るのに一々創造していくのが面倒になったから、【創造】を使って【天地創造】を作り上げると手抜きが出来るようにしたんだよ。色々詰合せたセット商品みたいなものだね。そのおかげでずっと長いことかかって創っていってた世界を、なんとたったの1週間もかからず創れるようになったのは流石に喜んでいたね。最後の7日目はお休みにして、ゴロゴロしてるんだよ」
おい、神様よ……世界を作るのに手抜きをしたらいかんだろ。確かにしんどいかもしれないけれど、そこは頑張って欲しかった。
しかも、休みの日を作ってゴロゴロしているとは……
神様なのに人間味に溢れているな。まるで休日のサラリーマンみたいだ。
ん……待て待て……【創造】を使って【天地創造】を作った……? 【創造】の方が下位互換かと思いきや、まさかの上位互換なのか……ヤバイな。
「1つ目は【創造】を選ぶとして、残り4つはどれにするの?」
「えっ、【創造】を選んでもいいの? 聞いた限りじゃかなりヤバそうなスキルなんですけど。【天地創造】が作れるくらいだし」
「大丈夫だよ。【天地創造】を作るためには神様だけが持つ《神力》っていう力が必要になるし、【天地創造】を作るにしても使うにしても膨大な神力が必要だから。人間には《魔力》しかないからそこまで難しく考えなくても平気だよ」
そうか……《神力》が必要になるのか。それなら難しく考えなくてもいいかな。所詮、人間には神様の真似事なんて無理なんだし。
「つまり【創造】を持っていても《神力》がない以上、神々のスキルは作れないし、使えないってことでいいかな?」
「うん。その解釈で間違いないよ。だから【創造】を選んでも問題ないよ」
よし、とりあえずは【創造】を取ることにして、あと4つも選べるのか。そもそも俺の考えが正しければ、他のスキルは【創造】さえあれば作ることが可能なはずだ。神々のスキルに該当しなければ。
「隠しスキルって神々のスキルに該当するの?」
「スキルによりけりだよ。身近な所で言えば【神託】というスキルは隠しスキルに該当するけど、【聖女】という特殊職業の人が現れたときはその人に与えたりもするから。神々のスキルでもあるし、人間の使えるスキルでもあるのよ。そういう意味では隠しスキルなのにものによっては結構メジャーだったりもするのよね」
「ということは、隠しスキルの中にも【創造】でなんとか作りだせるものも存在すると?」
「そうだよ。ぶっちゃけ【創造】があれば、他のスキルは作れちゃう感じかな」
「じゃあ【創造】スキルだけで、あとは選ぶ必要がないかな」
(他の必要なスキルに関しては、第2の人生がスタートしてから作ることにするか)
「わかったわ。それじゃあ、選ぶスキルは【創造】のみということで。あとは、愛情特典で色々と付けることにするわね」
「お願いするよ」
ん……今、愛情特典って言ってなかったか? ただの特典からランクアップした感じか? まぁ、ソフィに任せてれば問題ないよな。……多分。
そうなるとあとは、転生するだけだな。できれば普通の家庭で産まれたいものだ。産まれた先が犯罪の巣窟だったらいきなり詰みになるしな。
だいたい今は何時くらいなんだろうか? ここに居ると時間感覚がわからなくなるな。どれだけ時間が経っているんだ?
そんなことを考えてしまったもんだから、自然とお腹も空いてきたな。死んでるのにお腹が空くっておかしな感覚だが。




